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声明の全文は次の通り。
芦原妃名子さんに哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。
「セクシー田中さん」の漫画・ドラマを愛していただいている読者・視聴者の皆様、ドラマの出演者、関係者の皆様に、多大なるご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
日本テレビは今回の事態を極めて厳粛に受け止め、これまで独自に社内調査を行っておりましたが、原作漫画「セクシー田中さん」の出版社であり、ドラマ化にあたって窓口となっていただいた小学館にもご協力いただき、新たに外部有識者の方々にも協力を依頼した上、ドラマ制作部門から独立した社内特別調査チームを設置することにいたしました。
早急に調査を進め、真摯に検証し、全ての原作者、脚本家、番組制作者等の皆様が、より一層安心して制作に臨める体制の構築に努めてまいります。
( → 日テレ、社内特別調査チーム設置を発表 「セクシー田中さん」めぐる事態を「極めて厳粛に受け止め…」 - サンスポ )
「ドラマ制作部門から独立した社内特別調査チームを設置する」
とのことだ。これは「第三者委による調査」とは異なる。子飼いの社員による調査だ。当然ながら、上層部に向かって、「おまえが犯人だ」と指差すことはできない。言おうとすれば、(言う前に)犯人によって消されてしまう。
だいたい、犯人が自分を捜査するなんて、馬鹿げているとしか言いようがない。捜査するなら、どうしても第三者に委ねる必要がある。
この声明は、まったくのナンセンスだというしかないね。調査があるとしても、「真相を解明するためではなく、真相を隠蔽するための調査だ」というふうになる。それが必然だ。
参考:
→ 原作改変・総括 .3(組織): Open ブログ
ここに真相が明かされている。「真犯人は会社組織だ」と。
NHK の方針
別項のコメント欄で、NHK の方針を紹介した。
→ 原作改変・総括 .6(余録): Open ブログ
NHK の方針とは、下記だ。
→ NHK、正体を現す。「原作者が脚本に口出ししてきてクランクイン間に合わなかった! 6000万円請求する!」
これについて、コメント欄では次のように記した。(再掲)
NHK が勝手に原作を大幅に改変したドラマを作ろうとしたが、原作者が「改変がひどいので、ドラマ化は不可」と決めた。あげくNHK が、「賠償金を払え」と文句を突きつけて、訴えたが、敗訴した、という事例。
原作者が許可しなかったことを「第三者による検閲なので けしからん」と主張している。
呆れた。狂気の沙汰だ。それが NHK のドラマ制作の現場だ。上層部も同様だ。
人のものを盗んで自分のものだという顔をするのだから、盗人猛々しいとは、このことだ。
こういう横暴なことが、NHK に限らず、テレビ局ではまかりとおっているのだろう。
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さて。この件について、さらにじっくり考えてみた。
上の話を読むと、テレビ会社は「著作権」というものをまったく理解できていない、とわかる。(話は NHK に限らない。)
彼らはこう思っているのだ。
「ドラマの著作権を持つのはテレビ局だけだ。他は誰もドラマの著作権を持たない。脚本家の著作権も、映像化の著作権も、テレビ局が金を払って所有している。原作者の著作権だけは別だが、それは原作の著作権であって、ドラマの著作権には影響しない。ドラマの権利を持つのはテレビ会社だけであって、それについては原作者たりとも口出しはできない。口出しするのは検閲だから許されない」
まったく、ひどいものだ。
では、正しくは? 著作権については、北村弁護士の談話を紹介した記事がある。下記の通り。(以下、引用)
北村氏は「セクシー田中さん」について「当然ながら原作『セクシー田中さん』。これを使ってドラマ化する訳ですから、原作者の芦原さんには著作者としての権利があります」と話した。「難しいことはさておき著作者人格権というものがありまして、その中に同一性保持権がある。これが何かというと著作者が考える、著作者の頭の中にある原作を勝手に変えちゃいけない権利。勝手に変えられちゃ困ると言える権利。これは絶対的な権利としてある。これを侵されると著作者人格権の侵害で損害賠償など、元に戻せという権利が発生します」と指摘した。
( → 北村晴男弁護士「セクシー田中さん」改編問題に「原作者のOKなしには…」裁判例ふまえて説明 - 社会 : 日刊スポーツ )
「著作者人格権」があるので、テレビ会社は原作者の許可なく改変することはできない。原作者には決定的な拒否権がある。
これが法律だ。この法律をきちんと理解できていない、という点に、テレビ会社の問題がある。(これは NHK に限らない。)
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以上のことからして、テレビ会社( NHK や日テレなど)は、著作権について無知すぎる、とわかる。
彼らは著作権を「自分たちが金儲けするための権利」としか思っていない。著作者人格権という概念も知らないし、原作尊重という概念(方針)も知らない。あまりにも無知すぎる。
テレビ会社はかくも法律について無知だ。ならば、法律について教育をするべきだろう。経営者も社員も著作権に無知すぎるのだ。というか、根本的に勘違いしているのだ。
[ 付記 ]
無知であるだけでなく、傲慢でもある。本来は人のものであるとしても、何でもかんでも自分のものだと思い込む。
「おれのものは おれのもの ひとのものも おれのもの」
というジャイアニズムを信奉している。
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本来ならば、脚本家の脚本についても、脚本家に著作権を認めるべきだろう。テレビ会社は脚本の実施権だけを購入すればいい。
しかし現実には、テレビ会社が「買い切り」の形で、脚本の著作権を没収する。「金を払っているんだから、著作権をすべて没収する」という方針を貫く。強欲すぎるし、傲慢すぎる。これでは「創作家の知的権利を尊重する」という方針は取れない。
だから、日本のテレビドラマは、韓国のドラマに大敗を喫しているのだ。「創作家の知的権利を尊重する」という方針がないのだから、当然だ。彼らが考えているのは、「創作家の知的権利を踏みにじる」(それで自分が儲ける)ということだけだ。
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