2024年02月16日

◆ 能登の水道復旧の困難さ .2

 ( 前項 の続き )
 補充的な情報を少し付け足す。

 ──

 朝日新聞記事


 復旧は亀の歩みだが、それがどのくらいのペースであるかを、数字で示すことができそうだ。
 7日、輪島市役所から約500メートル離れた市中心部で、東京都水道局の職員らが水道管の破損状況を点検し、復旧作業にあたっていた。1日に進められるのは数百メートルにとどまるという。
 甚大な被害が出た「奥能登」(輪島、珠洲、能登、穴水)の4市町では、今も約2万戸が断水中だ。輪島市によると、市内の上水道管は全長約600キロ、下水管は約170キロで、ほぼ全域の約1万戸が断水している。担当者は「漏水箇所が多すぎ、少しずつしか水道管を直せない」という。
 市内で全壊した住宅は2千棟を超す。多くのがれきが残ったままで、住人がいないと勝手に撤去することもできない。担当者は「その部分の水道管は後回しにするしかない」と話す。
 県内の住宅被害は6万8千棟超。災害廃棄物は244万トンにのぼると推計されているが、撤去が進まない地域も多い。
( → 長引く被災地のインフラ復旧…宿泊施設不足が壁、拠点づくりを強化へ :朝日新聞

 「市内の上水道管は全長約600キロ、下水管は約170キロ」だから、総計で 770キロだ。下水間の手間は何倍もかかるから、上水道に換算して、1000キロぐらいの量だ。
 一方、「1日に進められるのは数百メートル」だという。別の数字を取ると、1チームが1日 20メートルで、(輪島市では)30チームぐらいあるから、全体では1日に 600メートルとなる。( → 前項を参照 )
 1日 600メートル( 0.6キロ)のペースで 1000キロを補修すると、1666日がかかることになる。これは 4.56年に相当する。
 今後、道路の復旧が進むと、補修のペースが速まることもありそうだが、山間僻地では補修のペースが遅くなることもありそうだ。いずれにせよ、4年前後の時間がかかるので、3〜5年という予想(前項)は、おおむね妥当だったことになる。

 横浜市の仮復旧


 横浜市の水道局は、仮復旧を進めている。

 仮復旧だと、道路を掘ることもなく、一挙に長い距離で敷設できる。ペースが大幅に速い。
 とすれば、このような仮復旧を集中的に実施する方がいいだろう。本復旧と仮復旧を並行させるよりは、当面は仮復旧だけをやる方がいいだろう。
 といっても、そのための部材の生産が足りなくて、設置したくても設置できないのかもしれないが。だとしても、似たような部材を転用するというような方針で、これに集中して工事するべきだろう。

 被害の少ない七尾市でさえ、水道の仮復旧がままならないようだ。当面は七尾市に集中して、水道の仮復旧に全力を挙げるべきだろう。「選択と集中」だ。

 逆に、輪島市の地下を少しずつ補修するなんて、ペースが遅すぎて、とうてい間に合わない。こんなところは、後回しにするべきだ。(道路の復旧の方が先決だ。)

 道路の問題


 道路の問題も、朝日新聞の記事に記してある。
 県の統計によると、奥能登の宿泊施設は2022年時点で137軒(収容人員計約5千人)で、県全体の収容人数の7%にとどまる。さらに今回の地震で損傷するなどして、大半が休業中だ。
 そのため、多くの応援職員が日帰りでの作業を余儀なくされている。輪島市西部の門前地区で1月15日から復旧工事に派遣された横浜市水道局などの約20人は、宿泊拠点としている金沢市を午前5時に出発して、4、5時間かけて輪島に到着。数時間だけ作業して戻るという日々を繰り返した。道路状況の改善で移動時間は片道約3時間と短縮はされたが、十分な作業時間が確保できない状況は変わっていない。
( → 長引く被災地のインフラ復旧…宿泊施設不足が壁、拠点づくりを強化へ:朝日新聞

 この件については、前々項でも記したとおりだ。
 金沢から片道4時間もかけて、住居建設現場まで向かう。無駄の極みと言えるだろう。
( → 能登の復興方針のミス: Open ブログ

 これは NHKスペシャルからの引用だが、同様のことが朝日の記事でも示されている。
 ともあれ、道路の問題があるせいで、通行が制限されて、奥能登での作業効率が大幅に低下する。
 だからこそ、今は奥能登での工事を後回しにして、当面は道路の補修を優先するべきなのだ。
 物事の順序を間違えてはいけない。
 
posted by 管理人 at 22:20 | Comment(0) |  震災(東北・熊本) | 更新情報をチェックする
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