補充的な情報を少し付け足す。
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朝日新聞記事
復旧は亀の歩みだが、それがどのくらいのペースであるかを、数字で示すことができそうだ。
7日、輪島市役所から約500メートル離れた市中心部で、東京都水道局の職員らが水道管の破損状況を点検し、復旧作業にあたっていた。1日に進められるのは数百メートルにとどまるという。
甚大な被害が出た「奥能登」(輪島、珠洲、能登、穴水)の4市町では、今も約2万戸が断水中だ。輪島市によると、市内の上水道管は全長約600キロ、下水管は約170キロで、ほぼ全域の約1万戸が断水している。担当者は「漏水箇所が多すぎ、少しずつしか水道管を直せない」という。
市内で全壊した住宅は2千棟を超す。多くのがれきが残ったままで、住人がいないと勝手に撤去することもできない。担当者は「その部分の水道管は後回しにするしかない」と話す。
県内の住宅被害は6万8千棟超。災害廃棄物は244万トンにのぼると推計されているが、撤去が進まない地域も多い。
( → 長引く被災地のインフラ復旧…宿泊施設不足が壁、拠点づくりを強化へ :朝日新聞 )
「市内の上水道管は全長約600キロ、下水管は約170キロ」だから、総計で 770キロだ。下水間の手間は何倍もかかるから、上水道に換算して、1000キロぐらいの量だ。
一方、「1日に進められるのは数百メートル」だという。別の数字を取ると、1チームが1日 20メートルで、(輪島市では)30チームぐらいあるから、全体では1日に 600メートルとなる。( → 前項を参照 )
1日 600メートル( 0.6キロ)のペースで 1000キロを補修すると、1666日がかかることになる。これは 4.56年に相当する。
今後、道路の復旧が進むと、補修のペースが速まることもありそうだが、山間僻地では補修のペースが遅くなることもありそうだ。いずれにせよ、4年前後の時間がかかるので、3〜5年という予想(前項)は、おおむね妥当だったことになる。
横浜市の仮復旧
横浜市の水道局は、仮復旧を進めている。
#輪島市 に派遣されている職員から報告が届きました
— 横浜市水道局 (@yokohama_suidou) February 7, 2024
写真は、応急復旧工事で布設された #仮設の水道管 です
一日でも早く水を届けるために、日々活動しています#横浜市水道局 は、#能登半島地震 の被災者に対する応急給水と水道施設の応急復旧に引き続き取り組みます#横浜 #水道?????? pic.twitter.com/FYY7fVEhCP
#輪島市 に派遣された #応急復旧隊 からの報告です
— 横浜市水道局 (@yokohama_suidou) February 16, 2024
一日でも早く水を届けるため、悪天候の中でも仮設の水道管の布設工事を進めています??#横浜市水道局 は、横浜建設業協会・横浜市管工事協同組合とともに #能登半島地震 の被災地の水道施設の応急復旧に引き続き取り組みます pic.twitter.com/K0AIwCVws6
仮復旧だと、道路を掘ることもなく、一挙に長い距離で敷設できる。ペースが大幅に速い。
とすれば、このような仮復旧を集中的に実施する方がいいだろう。本復旧と仮復旧を並行させるよりは、当面は仮復旧だけをやる方がいいだろう。
といっても、そのための部材の生産が足りなくて、設置したくても設置できないのかもしれないが。だとしても、似たような部材を転用するというような方針で、これに集中して工事するべきだろう。
被害の少ない七尾市でさえ、水道の仮復旧がままならないようだ。当面は七尾市に集中して、水道の仮復旧に全力を挙げるべきだろう。「選択と集中」だ。
逆に、輪島市の地下を少しずつ補修するなんて、ペースが遅すぎて、とうてい間に合わない。こんなところは、後回しにするべきだ。(道路の復旧の方が先決だ。)
道路の問題
道路の問題も、朝日新聞の記事に記してある。
県の統計によると、奥能登の宿泊施設は2022年時点で137軒(収容人員計約5千人)で、県全体の収容人数の7%にとどまる。さらに今回の地震で損傷するなどして、大半が休業中だ。
そのため、多くの応援職員が日帰りでの作業を余儀なくされている。輪島市西部の門前地区で1月15日から復旧工事に派遣された横浜市水道局などの約20人は、宿泊拠点としている金沢市を午前5時に出発して、4、5時間かけて輪島に到着。数時間だけ作業して戻るという日々を繰り返した。道路状況の改善で移動時間は片道約3時間と短縮はされたが、十分な作業時間が確保できない状況は変わっていない。
( → 長引く被災地のインフラ復旧…宿泊施設不足が壁、拠点づくりを強化へ:朝日新聞 )
この件については、前々項でも記したとおりだ。
金沢から片道4時間もかけて、住居建設現場まで向かう。無駄の極みと言えるだろう。
( → 能登の復興方針のミス: Open ブログ )
これは NHKスペシャルからの引用だが、同様のことが朝日の記事でも示されている。
ともあれ、道路の問題があるせいで、通行が制限されて、奥能登での作業効率が大幅に低下する。
だからこそ、今は奥能登での工事を後回しにして、当面は道路の補修を優先するべきなのだ。
物事の順序を間違えてはいけない。