2024年01月28日

◆ 羽田の事故を解明するな

 羽田で海保機と JAL機の衝突事故があった。この事故の原因を解明してはいけない。それは悪だからだ。

 ──

 「真実の解明を」というのが政府や世間の方針だ。それに反対して、「真実の解明をするな」と私が唱えると、「何を馬鹿な」と思う人もいるだろう。だが、世の中には、真実の解明よりも、もっと大切なことがある。それは、正義を通すことだ。
 逆に言えば、悪を貫くことによって真実を解明するのは、やってはいけないことだ。
 比喩的に言えば、真実を解明するためという理屈で、無実の容疑者を逮捕して、ひどい拷問にかけて、ぶんなぐる……というようなことは、やってはいけないことだ。たとえそれが「真実の解明」を目的としていても、やってはいけないのだ。
 なのに、政府がやろうとしていることは、そういうことだ。だからこそ、私は唱える。「真実の解明をするな」と。

 ──

 この件については、次の声明が出ている。話題を呼んだので、覚えている人もいるだろう。
  → 2024年1月2日に東京国際空港で発生した航空機事故に関する緊急声明(PDF)
  → 2024年1月2日に東京国際空港で発生した航空機事故に関する緊急声明(画像)

 ここから一部抜粋しよう。
 日本国内で航空機事故が発生した場合、警察が事故原因を特定することを目的として捜査することが通例になっていますが、これは国際民間航空条約(ICAO)が求める事故調査ではありません。これまで日本において発生した航空機事故を警察が調査したことにより、事故の原因究明に大きな支障をきたしたという事例はいくつもありました。警察による調査はあくまでも犯罪捜査であり、事故原因を究明するための調査ではないのです。
 航空機事故の発生原因には複合的な要因が潜在しているため、事故原因を調査し再発防止に努めるという考え方が ICAO Annex13 の原則です。その理由は、航空機事故の原因を特定することで更なる事故の防止に寄与するという考え方が存在するからです。従って、ICAO に批准している日本は、その真意を正確に理解し、遵守することが求められます。

 また、日本では、運輸安全委員会の事故調査結果が刑事捜査や裁判証拠に利用されています。これらの行為は、明らかな犯罪の証拠がある場合を除き、調査結果を利用することを禁止する国際民間航空条約(ICAO)の規定から逸脱した行為であり容認できるものではありません。
 今般の航空機事故において最も優先されるべきは事故調査であり、決して刑事捜査が優先されるものではないこと、またその調査結果が、再発防止以外に利用されるべきではないことをここに強く表明するものです。

 ここでは、次の基本方針が示されている。
 「刑事責任を追及するよりも、真実の解明を優先するべきだ」
 と。

 ところがそれに反して、現実にはそれを阻害する状況がある。
 「運輸安全委員会の事故調査結果が刑事捜査や裁判証拠に利用されています。これらの行為は、明らかな犯罪の証拠がある場合を除き、調査結果を利用することを禁止する国際民間航空条約(ICAO)の規定から逸脱した行為であり容認できるものではありません」

 これは何を意味するか? こうだ。
 「責任を問われる可能性のある者が、何らかの証言をして、結果的に責任を問われるとしたら、その人は自白を強要されたことになる」

 これを避けるためには、あらかじめ、次の告知をする必要がある。
  ・ あなたはその証言によって、刑事的に罰される可能性があります。
  ・ あなたはその証言を拒否する自由があります。

 この二点を事前に告知する必要がある。これは刑事事件において、当然のことだ。この告知がなければ、自白の任意性がないので、自白の証拠能力がなくなる。(裁判の常識。)

 しかしながら、上の二点を事前告知したなら、事故の解明はまったく進まなくなる。誰もが証言拒否をするからだ。

 結果的に、次の二者択一となる。
  ・ 証言拒否の自由を認めずに、強権的に事故の解明をするか。
  ・ 証言拒否の自由を認めて、事故の解明を放棄するか。

 当然ながら、前者は違法であり、不正義であり、悪である。
 1. 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
 2. 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
( → 日本国憲法第38条 - Wikibooks

 ゆえに、前者を認めてはならない。とすれば、残るは後者だ。ゆえに、証言拒否の自由を認めて、事故の解明を放棄するしかない。
 結局、現状では、「事故の解明を放棄する」しか、選択肢はないのだ。
 ゆえに、「事故の原因を解明するべきではない」というのが、結論となる。
 これが論理的な結論というものだ。

 ──

 しかし、これを聞いた読者は、不満に思って、異議を唱えるだろう。
 「あちらが立てば、こちらが立たず。困ったね。だったら、困ったときの Openブログが、何とかしろ」

 はい。わかりました。何とかします。つまり、代案を示します。こうだ。
 「事故の解明をするために、事故において証言した人については、すべて刑事的な免責を与える。少なくとも、自分で証言した部分については、免責を与える」

 これは「司法取引」と同様の発想によるものだ。こういうふうにして免責を与えれば、証言は得られる。
 ただし、「司法取引」は、検察官が個別に証言者と取引をするものだ。一方、今回の事案では、捜査官が広範に証言者と取引をする必要がある。そのためには、個別に取引をするのではなく、証言者全体に一括して「免責」を与えるべきだ。
 そして、そのためには、「航空機事故の証言者は罰しない」という原則を立てる必要がある。つまり、法律で立法化する必要がある。

 現実には、どうか? そういう法律はできていない。とすれば、証言者は何も証言するべきではない。自分の身がかわいければ、自分が責められる可能性のあることについては、一切、口をつぐむべきだ。つまり、事故の解明については、一切、口をつぐむべきだ。
 これが正しいあり方だ。

 政府が間違った方針を取っている以上、その間違いに自分を合わせるべきではない。政府が間違いを正すのを、じっくり待つべきだ。そして、政府がそれを実行できないのであれば、事故の解明に協力するべきではないのだ。

 世の中には、真実の解明よりも、もっと大切なことがある。それは、正義をつらぬくことだ。悪と無能の政府に迎合して、自分や他人を犠牲にしてはならないのだ。



 [ 付記1 ]
 上記の方針(結論)からすると、冒頭の声明(引用部)は、主張が甘すぎるね。
 「理解し、遵守することが求められます」
 「調査結果が、再発防止以外に利用されるべきではないことをここに強く表明するものです」
 と声明しているが、これでは甘すぎる。政府に対して、「……するべきです」と声明しているが、政府がその声明を受け入れる可能性など、ほとんどない。こんなことは前から何度も言われているのに、馬耳東風で、ずっと受け流してきた。今回もまた、受け流すに決まっている。
( ※ 能登の被災者の声さえ聞かないほどだ。「二次避難所で食事を出してくれ」と訴えても、「無料ですよ」と嘘をついて、食事を出さずに、餓死させようとする。そんな嘘つき政府が、まともな対処をするわけがない。)

 政府はまともな対処を何もしない。今回も、証言者の訴追責任を免除しない。それが現実だ。とすれば、次のことが必要だ。
 「関係者は何も証言するな。事故の解明に一切、協力するな」
 このような声明を出すことが是非とも必要なのだ。
 なのに、上記団体は声明しない。だから私がかわりにここに表明するのだ。「事故の解明をするな」と。それこそが正義なのだ。

 今の日本において、正義を訴えるのは、私だけだ。(本件については。)


 [ 付記2 ]
 仮に、本項に従わない場合には、どうなるか? もちろん、事故の解明を進めることになる。その際、先の二点を告知しないで証言を得ることになる。しかし、先の二点を告知しないのは、違法行為である。つまり、事故の解明をする担当者が、違法行為をすることになる。
 この場合は、担当者が違法行為をしているのだから、担当者が犯罪者となってしまう。担当者は、犯罪者として、逮捕されるべきだろう。
 「事故の解明をする担当者は、犯罪者として、逮捕される」
 このことを、事前に告知しておくべきだ。さもなくば、政府は(担当者に対して)詐欺をしていることになるね。



 【 関連項目 】

 → 羽田で航空機炎上: Open ブログ
 → 羽田の事故の原因: Open ブログ
 → 羽田の事故と機械制御: Open ブログ






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posted by 管理人 at 21:40 | Comment(1) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に [ 付記1 ] [ 付記2 ] を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2024年01月29日 07:49
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