2024年01月23日

◆ 被災者の支援金を奪おう .2

 ( 前項 の続き )
 前項の話には、反論があるだろう。そこで、疑問をほぐすために、さらに詳しく解説しよう。

 ──

 前項の話には、反論があるだろう
 「甚大な被災地(輪島市・珠洲市)は別として、七尾市以南では、観光業界に被害が出ている。これらの観光地では、観光業界を支援することが必要だ。ならば、観光業界に補助金を出すのは妥当である」
 「補助金は、全額の負担ではなく、50% だけだ。残りの 50% は、観光客が負担する。つまり、政府は1万円を負担することで、2万円の需要を創出できる。レバレッジで2倍の効果がある。これは金を有効に使うことになる」

 こういう反論があるだろう。そこで、本項ではさらに解説をしておこう。

 ──

 実は、上の反論は正しい。
  ・ 観光業界に補助金を出すべきだ
  ・ 補助金にはレバレッジ効果があるので有効だ

 という二点は、まったく正しい。論理としては、間違っていない。

 では、何が間違っているか? 効率だ。レバレッジの効果が2倍だというのは、効率があまりにも低すぎる。金の使い方が下手すぎるのだ。
 したがって、私の代案は、こうだ。
 「レバレッジの効果は、2倍でなく5倍にするべきだ」

 では、どうやって? その方法は、こうだ。
 「観光業界に補助金を出すのではなく、交通業界に補助金を出す」


 つまり、宿泊料の 50% を負担するのではなく、交通費の 20% を負担するのだ。次の形で。
 「 JR に補助金を出して、交通費の 20% を国が負担する。ただし、その条件は、JR が運賃を 50%引きにすることである」

 この場合、国が 20%を負担して、JR が 30% を負担する。かくて、乗客は運賃が 50% 引きとなる。
 JR が 30% を負担することで、減収になると見えるが、実は、観客が大幅に増加するので、かえって増収になる。本来ならば、空席だらけで空気を運んでいるだけだったのが、30%引きにすることで、大幅に乗客が増えるので、かえって増収になる。大雑把には、「乗客が2倍になって、収入は4割増になる」というぐらいの感じだろう。値引きしたことで、かえって儲かるわけだ。(国の補助金も出るからだ。)

 これだけでは観光客が「物足りない」と思うだろう。そこで、宿泊料についても、20%ぐらいの補助金を出してもいい。政府案の 50% 負担のかわりに、20% の負担とするわけだ。

 ともあれ、以上の方式では、20%の負担で済むから、5倍のレバレッジ効果が出る。これは政府方式における2倍のレバレッジ効果よりも、ずっと優れている。
 だから、どうせ補助金を出すのなら、本項で示したように補助金を出せばいいのだ。これが利口な方法だ。

 ──

 ※ なぜこの方法が成立するかというと、交通費は事実上、原価がゼロだからだ。観光客に食事を出すと、食事の分の原価が追加されるが、JR の電車で空席を埋めても、原価は増えない。どっちみち運航費は同額かかるからだ。……ゆえに、JR には「運賃の 30%引き」を要請できる。こうして「 20%の補助金を出すだけで、運賃の 50%引き」が実現するわけだ。

 ※ JR はこの要請を受け入れるか? 当然だが、こうなるだろう。
  ・ 週末は、もともと客が多いので、受け入れない。値引きしない。
  ・ 平日は、もともと客が少ないので、受け入れる。値引きする。

 こうなるだろう。そして、それでいいのだ。もともと観光客が減っているのは平日だからだ。休日対策は、しなくてもいい。
 さらに言えば、春休みの期間中は、もともと旅行客が多いので、50%引きなど、必要ない。20%引きぐらいでも、観光客は多く来るだろう。特に、3月以降なら、地震の影響は薄らぐはずだ。(今すぐ値引きするならともかく、3〜4月に値引きするなんて、時期が遅れすぎている。)



 [ 付記1 ]
 「割引率を 20%にしても、国の金で飲み食いするのは、同様だろ。やっぱり外道だろ」
 と思う人もいそうだが、さにあらず。
 割引率を 20%にすれば、自己負担が 80%だ。この場合は、主として自分の金で飲み食いしていることになる。自分の金で飲み食いするのであれば、どれほどぜいたくをしようと勝手なのだ。他人が口を出すことではない。

 「でも JR が割引すれば、自己負担は 50%だけだろ」
 と思う人もいそうだが、別に問題ない。30%は国が補助金を出すのではなく、JR が「値引きした方が儲かる」と思って、閑散期に自発的に値引きするだけだからだ。ただの期間限定のバーゲンセールである。どの店でもやっていることだ。国が口を挟むことではない。

 要するに、「国の負担率 50%」という大盤振る舞いが悪いのであって、50%でなく 20%ぐらいなら、特に問題ではないわけだ。
 逆に言えば、「国の負担率 50%」という大盤振る舞いが許されるのであれば、「国の負担率 100%」という大盤振る舞いだって許されるはずだ。つまり、「他人の金を勝手に使ってしまって豪遊する」という泥棒行為が是認されるわけだ。
 こんな屁理屈が許されるなら、あらゆる泥棒は是認されてしまう。
 「金持ちの金は利用されずに退蔵されている。それでは金が死んでいるから、おれが金を勝手に使ってやる。そうすれれば経済効果が出て、国は豊かになる。国を豊かにするために、金持ちの金を盗む。これは善行だ」
 こういう理屈で、泥棒が是認されてしまう。犯罪が野放しになる。

 [ 付記2 ]
 どうせ金を使うのであれば、観光客に1日1万円を与えるよりは、被災者に1日 2000円を与えるべきだろう。この額を「食費兼雑費」として与えるべきだ。こうすれば、日々の食事や日常経費をまかなうことができる。
 「食事の出る旅館もあるぞ」という批判もありそうだが、その場合は 2000円によって払ってもらえばいい。(食事代を 2000円のうちから徴収するわけだ。)

 このように「1日 2000円を支給する」という制度ができれば、「じゃあ、金が欲しいから、2次避難所に行こう」と思う人が増えてくる。こうして「移住する人が少ない」という問題も自動的に解消する。
 一石二鳥だ。

 ※ 現行制度では、そうなっていない。政府は食費を出さない。食事代は有料だ。では、食事のための金がない被災者は、どうなる? もちろん、何も食えない。
 ※ つまり、「金がない人は餓死しろ」「地震で家から金を持ち出せなかった一文無しは餓死しろ」ということだ。簡単に言えば「被災者は飢えて餓死しろ」ということだ。それが政府の方針である。……だから、その分、都会民が贅沢三昧で飲み食いするわけだ。




 [ 補足 ]
 政府案では、やたらと補助金を出すことにしている。だが、それが十分な効果を持つ保証はない。なぜなら、北陸新幹線は、すでに週末はキャパオーバーになっているからだ。(満席で客を増やせない。)
 特に、「東京〜大宮」間で、東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線」が重複していることで、大混雑となっていて、ボトルネック状態となっている。ここで北陸新幹線がキャパオーバーになっている。これ以上、客を増やそうにも、増やせないのだ。
 現実を見れば、北陸新幹線も上越新幹線も、休日には大混雑している。本数を増やせないままだ。
 特にひどいのは、大宮始発の新幹線がないことだ。
( → 東京〜大宮の混雑(新幹線): Open ブログ

 現状では、「東京〜大宮」間の混雑がボトルネックとなって、北陸新幹線の客を増やしがたい。いくら客を増やそうとしても、北陸新幹線では、東京の客を呼びにくいのだ。
 困った。どうする? 

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。というか、その解決策は、先に提案した。
  → 新幹線特急料金を近代化せよ: Open ブログ

SaikyoLine.gif
出典:Wikipedia


 半分ぐらいの乗客は、「東京〜大宮」の新幹線を回避して、池袋経由で大宮に直行する在来線を利用すればいいのだ。そうすれば、新幹線の客を分散することで、「東京〜大宮」の混雑を回避することができる。

 ただし現状の料金制度では、それが困難だ。「東京〜大宮」では、在来線よりも新幹線を使う方が、料金で有利になるからだ。
 そういう馬鹿げた料金制度になっているせいで、「東京〜大宮」の新幹線がやたらと混雑する。かくて、北陸新幹線はキャパオーバーとなって、大量の観光客を運べない。
 その一方で、「大宮〜北陸」は、乗客不足で、席がガラガラとなる。「東京〜大宮」は大混雑でも、「大宮〜北陸」はガラガラなのだ。

 こういう馬鹿げた料金制度を改革すれば、無駄な補助金を出さなくても、北陸の観光客はどんどん増えるのだ。やるべきことは、頭をまともに使うことだ。

 《 加筆 》
 なぜ JR は、そういう馬鹿げた料金制度を取っているのか? それは、料金制度を「段階別料金」にしているからだ。「距離に比例する料金」ではなく、「一定のゾーンでは料金を一律にする」という料金制度にしている。
 ではなぜ、そういうふうにするのか? その方が計算の手間が少ないからである。昔はそろばんにしていたので、いちいち料金を個別に計算すると、計算が面倒だ。そこで、一定のゾーンの料金は一律にすることで、個別の計算を省いたのだ。そろばん時代には、そうするしかなかったのである。

 ではなぜ、今はそろばんでなくデジタルなのに、そろばん時代の制度を採用しているのか? 頭が化石化しているからだ。世界はデジタル化しても、JRの経営者の頭は化石化している。だから JR は、そろばん時代の制度を維持しているのである。

 で、そのせいで、政府は泥棒を正当化するわけだ。国家的破綻。

 《 名案 》
 実は、「東京〜大宮」のボトルネックを解消する名案がある。下記に加筆しておいた。
  → 新幹線特急料金を近代化せよ: Open ブログ
posted by 管理人 at 23:38 | Comment(2) |  震災(東北・熊本) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  [ 付記1 ] [ 付記2 ] を、途中に加筆しました。
Posted by 管理人 at 2024年01月24日 09:05
まだ避難所すら禄に運営できていないのに、何で観光業(しかも無傷の地域)を支援しなきゃいけないんですか?

石川県民の感覚が全く分かりません。
Posted by 0124 at 2024年01月24日 18:10
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