2024年01月23日

◆ 被災者の支援金を奪おう .1

 被災者を救うための金を、都会民が横取りして奪ってしまおう。都会民が観光客となって、北陸で美食と美酒のために金を使えば、地元民が潤う。被災者の金を都会民が横取りして使えば、北陸の地元民が感謝するはずだ。

 ──

 政府は被災者を救うための巨額の金を用意している。その金を、被災者には与えず、都会民が奪うわけだ。これで都会民は、地震を利用して、まんまと丸儲けができる。実にうまい方法だ。公的な金を盗むわけで、一種の泥棒か詐欺師のようなものである。しかもこれで、地元民は「すばらしい」と感謝してくれる。都会民が金を盗めば盗むほど、感謝されるわけだ。都会民にとって、これほど好都合なことはない。悪魔も思いつかないような悪賢さだ。すばらしい! 

 ただし、これは私の提唱する方法ではない。政府の方針だ。すでに実施がほぼ決まっている。本日の報道にこうある。
 北陸応援割は風評被害を受ける観光業を支援するため、1人1泊あたり2万円を上限に、旅行代金の50%を支援する。3〜4月に実施し、能登地方を含む石川県のほか、富山、福井、新潟の3県を対象に加えることも検討している。
( → 「北陸応援割」で被災地の観光業支援へ 1人上限2万円で政府が検討:朝日新聞

 観光需要を喚起するため「北陸応援割」として、3月から大型連休前まで1人1泊あたり最大2万円まで旅行代金の50%を補助する方針です。
( → 「北陸応援割」3月から大型連休前まで1泊最大2万円の補助 奥能登は復旧優先

 なぜこういうことをするのか? この方針の背景には、「北陸の旅館は、地震の風評被害で、キャンセルが続出している」ということがある。
 加賀市……の担当者は「キャンセルが相次ぎ、厳しい状況だ」と話す。
 金沢市では復興支援の関係者で部屋がほぼ埋まったホテルもある。だが観光地は閑散としていて、17日には村山卓市長が過度の自粛を避けるよう呼びかけた。
 富山県が10日までに行った調査によると、127の宿泊施設で2万1372人の予約取り消しが発生。損失額は計2億9643万円にのぼる。
( → 傷む悩む、北陸の観光地 和倉温泉、断水で全旅館休業 相次ぐキャンセル:朝日新聞

 こういう状況があるから、「地元の観光業界を振興するため」という目的で、巨額の補助金を出そう、というわけだ。「1人1泊あたり2万円を上限に、旅行代金の50%を支援する」ということだから、4人家族で(1泊あたり)上限4万円。5泊すれば、20万円もの補助金をもらえることになる。20万円! すごい大盤振る舞いだ。被災者は、みなし仮設でさえ 月に5万円ぐらいしかもらえないのに、都会民が来れば、5泊で 20万円ももらえるのだ。ほとんどボッタクリみたいに、莫大な金を横取りできるわけだ。

 ──

 一方で、現地の被災者は、ひどい惨状である。
 七尾市に入った。最初に訪れた避難所には、300人ほどの人たちが身を寄せていて、床に薄いマットを敷いたスペースで寝起きしていた。スペースを区切るパーテーションや、更衣室もなかった。
 「安心して過ごせるような場所をつくるための物資は見事に何もなかった。市にパーテーションや段ボールベッドが欲しいと問い合わせても、50個しか用意できないと言われました」
 女性用のトイレのドアが壊れている場所もあり、女性に配慮されている環境とは言えない状況だった。
( → 仕切りも更衣室もない避難所 性暴力の恐れも…女性も安心の環境づくりへ過去の教訓は

 まるで捕虜収容所みたいな惨状である。刑務所よりもひどい、と言えそうだ。ならば、こういう惨状から脱するために金を出せばいいものを、そのための金を出そうとしない。

 都会民が遊びに来れば、美食と美酒を楽しめるように、1泊1万円も与える。その一方で、避難所の人が二次避難所に移っても、それほど多額の援助はもらえないのだ。

 ──

 さらには、あろうことか、首相は「二次避難所は無料です」と嘘をつく。


 「避難者の方にご負担いただくことはありません」つまり「無料です」と述べる。しかし、これは嘘である。正しくは、こうだ。
 「宿泊料は無料ですが、食費は別です。食費がどうなるかは、旅館やホテルによって異なります。食事が提供されない施設もたくさんあります」

 この情報の出典は下記だ。

 この情報に従って典拠を探すと、下記にたくさん見つかった。
  → https://x.gd/I7yID
 いずれも、次の文言がある。
  ※宿泊料は、すべて無料です。
  食事の提供については、施設によって取扱いが異なります。

 まあ、一般に、安価なホテルでは食事は提供されないだろう。高級ホテルでも、食事がセットではないところは多そうだ。そうなると、食費は自腹となる。特に、酒代までは、行政が負担する必要はあるまい。

 また、NHK の報道では、「食事が有料なので憤慨しています」という被災者の声も紹介されている。
  → 食事や駐車は有料で被災者から「一次避難所は無料だったので同じと思ったのに…」の声 - Togetter

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 一方で、都会民が能登に来て観光をすれば、酒代も政府が負担してくれるのだ。50% の負担で。
 「カニと刺身がうまいなあ。越乃寒梅や獺祭だっさいもうまいなあ」
 と美食や美酒に酔っていると、その金は政府が半額を負担してくれるのだ。まさしく極楽だ。

 では、その美食や美酒の金は、どこから来るか? 被災者のための復興資金を横取りすることによってだ。被災者は、捕虜収容所のような劣悪な不衛生な環境で、日々を苦しんで暮らす。そういうふうに虐待されているから、そこで浮いた金で、都会民が北陸で贅沢三昧をするのだ。

     ※ ナチスのユダヤ人収容所では、ユダヤ人捕虜のための食費を削ることで、悪徳所長が(食費に相当する)大金を懐に入れてしまった。日本政府は、それを組織的にやろうとしているわけだ。

 ──

 では、どうするべきか? どうせ金を出すのなら、今すぐ被災者に 10万円の一時金を給付するべきだろう。
 ろくに金ももたずに避難所に来た被災者は、必要な消耗品を購入することもできずにいるはずだ。彼らに 10万円の一時金を出すべきだ。さらには、今後もときどき、一時金を追加支給するべきだ。

 また、スマホも無料で給付するべきだ。15万円のiPhoneを給付しろとは言わないが、3万円の Android ぐらいは給付できるだろう。また、月額プランはゼロでも、Wi-Fi 接続ぐらいは無料で提供できるだろう。
 こういう福祉サービスをすることが先決であるはずだ。

 なのに政府は、そういうことを一切やらない。被災者のためには、出すべき金を出さない。最小限の金さえも出さない。仮設住宅のためなら、 1000万円を(業者に)払うが、被災者の生活のためには、(スマホ代や食費に)ビタ一文払おうとしない。……で、そうして浮いた金を使って、都会民が贅沢三昧をするわけだ。被災者の復興資金を横取りして奪う形で。「酒がうまいぜ」と美酒に酔いながら。

 ──

 能登の地震を利用して、被災者のために用意された国の金を横取りして、贅沢三昧をつくす。これほどうまい手はあるまい。こうして自民党は都会民の票を買収しようとするわけだ。国の金を使って、票を買収できるのだから、こんなにうまい手はあるまい。かくて、自民党と都会民が win-win になる。まったく、うまい手だ。(悪賢いというべきか。)

 これが今現在の、日本政府の方針である。被災者のために何かをしようということは、何も考えない。被災者を利用して、いかに食い物にするか。それだけを考えているのだ。

 ──

 そもそも、現在は、輪島市や珠洲市の避難所に大量の被災者がいて、劣悪な環境に苦しんでいる。これらの人々を旅館やホテルに移すことを最優先とするべきだ。
 なのに、苦しんでいる被災者のためにある旅館やホテルを、遊び半分の都会民のために奪ってしまおうなんて、やっていることがあまりにも外道であろう。ヤクザだって、これほどの外道ではない。





 【 追記・訂正 】
 「補助金の上限額は、1泊1万円でなく2万円ではないか」
 という指摘があった。コメント欄で。
 なるほど。たしかにそうかもしれない。そうである可能性が高い。(確定はしていないが。)
 そこで、2万円であると判明した場合には、本文中の「1万円」という記述を「2万円」に読み替えてください。それにともなって試算額も倍増に訂正しておいてください。( 20万円 → 40万円 )

 ※ 現段階では未判明なので、どちらとも断定しないでおきます。




 ※ 次項に続きます。

  → 被災者の支援金を奪おう .2: Open ブログ

posted by 管理人 at 23:37 | Comment(2) |  震災(東北・熊本) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 朝日やテレ朝の記事の書き方が正確ではないんですが、ひとり1泊あたりの補助金の上限は、宿泊費上限2万円の50%じゃなくて、2万円と50%のどちらか低いほうの気がします。
 ですから、お示しになった、4人家族が5泊するケースだと、ひとり1泊が仮に4万円より高い宿なら、補助金の総額は20万円じゃなくて40万円になると思います。
 まあ、政府が実際にルールをアナウンスする段階になったらハッキリすると思いますが。
Posted by かわっこだっこ at 2024年01月24日 10:48
> 2万円

 ご指摘ありがとうございます。たしかにそうかもしれませんね。
 ちなみに、GoTo トラベルのときは、ご指摘のようになっていました。今回もそうなっていそうです。

 そこで、本項の最後に
    【 追記・訂正 】
 という箇所を付け足しておきました。
Posted by 管理人 at 2024年01月24日 20:29
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