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仮設住宅・みなし仮設
仮設住宅・みなし仮設については、下記の報道がある。
仮設住宅は来月上旬から順次、完成する予定で、家賃は光熱費を除いて無料で入居できる期間は原則1年、最長2年としています。
「みなし仮設」について、11日午後1時時点で石川県内ではあわせて14の市と町で受け付けが始まっています。
このほか、全国の自治体で空きのある公営住宅およそ6500戸が提供可能になっているということです。
( → 【被災者支援情報 11日】仮設住宅入居受け付け 12日から 輪島 | NHK | 令和6年能登半島地震 )
(1) 仮設住宅の期間が「原則1年、最長2年」というのは、あまりにも短すぎる。これだけの期間のために1千万円も投入するのは、金の無駄遣いだろう。どうしても建設するのであれば、家賃として月 50万円ぐらいを徴収するべきだ。その金がないのであれば、まずは1千万円を給付して、その1千万円で家賃の月 50万円を払ってもらえばいい。(当然だが、1千万円だけもらって、仮設住宅以外の別の場所に住むだろうから、仮設住宅には誰も住まなくなる。それが当然だ。誰も住まない仮設住宅には、石川県知事や岸田首相に住んでもらえばいい。)
(2) みなし仮設の住宅が県内にあるそうだが、県内に限られているのは問題だ。他の全国各地の県も含めるべきだ。
(3) 公営住宅は、「全国の自治体で空きのある公営住宅およそ6500戸が提供可能」とのことだが、これは良し悪しがある。
第1に、量的な面では、6500戸ということで、かなり多い数が見込める。これだけの数があれば、全国各地で被災者の全員を引き受けることができるかもしれない。1世帯3人なら、1.95万人になる。避難所の 2.6万人のうちの大部分を吸収できる。残りはみなし仮設で足りるだろう。
第2に、各自治体の「公営住宅」に限られていて、各自治体の「みなし仮設」が含まれていないのが、残念だ。先にも述べたが、愛媛県当たりの温暖な地の民間住宅を使えば、安価で住みやすい部屋を調達できる。そちらを「みなし仮設」として利用できるようにしたいものだ。
現地に住めない
現地の惨状がひどすぎて、もはや現地には住めない、という住民の声がある。朝日新聞で紹介されている。
金沢市に隣接する石川県内灘町でも大きな被害が出ている。液状化によるとみられる家の沈下や道路の隆起などで、家に住めない状況は同じだ。
電柱や看板は傾き、道路は隆起し、砂があちこちで噴き出ている。
「建て替えるわけにもいかんし、もう住めんな」
家が少なくとも40センチ沈んだ根布長(ねぶちょう)満さん(80)はこう語る。自宅のすぐ前の近所の家は、敷地のコンクリート地面と道路側の地面が液状化で60センチも離れ、間から砂が出ていた。
( → 「もう住めない」道路波打ち液状化 金沢市隣接の町でも被害は深刻 :朝日新聞 )
この問題に対しては、私の見解は、次の通り。
(1) 通常、地盤改良費などが、国から交付されて、造成してもらえる。だから、「もう住めない」ということはないはずだ。補助金をもらって、工事して、住めるようになるはずだ。
(2) ここよりも破壊の程度がひどい奥能登では、町の全体を放棄して、その代わり、土地を国が買収することにしてもいいだろう。これなら、住民は高額の土地売却費を得ることができる。
(3) 口能登であれ、奥能登であれ、破壊の程度がかなりひどいので、「もうここには住めない」と思いたくなるのはわかる。しかし、歴史を見ると、「同じ場所で何度も地震が起こった」ということは少ないようだ。
→ 地震の年表 (日本) - Wikipedia
つまり、「ここで地震が起こったから、またいつか同じところで地震が起こる」という推定は、成立しないわけだ。だから、ここが特に危険だということはない。「いったん地震が起こったら、もうここでは起こらない」と思った方がいい。だから、特に心配しないで、同じ場所で住み続けていいのだ。
※ 地震の専門家の説では「活断層のある場所は、地震が起こりやすいので、危険だ」ということになっている。しかし、地震が起こるのは、活断層のある場所だとは限らない。日本中のどこもが、同じぐらい危険度は高いのだ、と思った方がいい。そもそも、地震が起これば、かなり広範囲に被害が及ぶので、活断層だけを避けても意味がないのだ。「特に危険な場所」もないし、「特に安全な場所」もないのだ。……ちなみに、阪神大震災の起こった場所は、そのときまで「地震の起こりにくい安全な場所」だと思われてきた。三陸沖も「地震の起こりにくい安全な場所」だと思われてきた。しかし実際は、「地震が長年起こらなかったので、地殻のひずみがいっぱい貯まっている、危険な場所だった」と判明した。学者の説は事実とは正反対の誤りだったのだ。過去の統計頻度から地震を推定する方式は、まったくの間違いだったわけだ。
《 加筆 》
「能登半島では過去に何度も地震が起こった」という記事がある。
6000年前から現在までに大規模な地震によってできたとみられる「海成段丘」が3段確認されています。
( → 「数千年に1回の現象」防潮堤や海沿い岩礁約4m隆起 石川 輪島 | NHK )
6000年間に3回の地震があったわけだから、2000年にいっぺんの割合だ。このあと 2000年間は起こらないことになる。現在の人が生きている限りは、地震は起こりそうにない。ならば、逃げ出す必要はないわけだ。むしろ、他の地域にいる方が、地震と遭遇する可能性が高い。
※ 「急いては事を仕損ずる」「走れば躓く」
ふるさと居住
ふるさとに居住したいと思うのは人の本性だから、ふるさとに居住したい気持ちを優先させよ、という主張がある。
東日本大震災の経験から学んだのは、多くの人が「その土地を離れたら、自分が自分でいられなくなる」という感情を共有していることだった。それは人間存在の根幹にかかわる感情で、ときに生命よりも優先される。彼らに「危険な土地を捨てて移住せよ」と勧めることが、いかに残酷な提案でありうるか。
( → Togetter )
この人は勘違いしているが、「他の土地に移住せよ」と勧めている人などはいない。どの土地を選択するかは、あくまで被災者自身に委ねられている。「よその土地に無理やり行け」などと勧めている人はいない。
一方で、「よその土地に行くことはまかりならぬ。何が何でも、同じ県内に移住せよ」と県外移住を制限する(禁止する)人は、たくさんいる。石川県自身がそうだし、県外の「みなし仮設」を設定しない政府もそうだ。
野党でも、立憲民主党の泉代表がそう述べている。
泉氏は被災者が県内にとどまれるよう環境整備を求めていく考えを示した。
「県外避難は地域再生のハードルになりかねない。県内に避難できる環境作りを国が強力に支援すべきだ」と指摘した。
( → 「国は県内避難できる環境作りを」 立憲・泉代表が金沢市を訪問 :朝日新聞 )
「地域再生という県の都合が何より大事だ。だから被災者が健康のために温暖な地に移ることはまかりならぬ。被災者の選択肢を制限する」という方針だ。
つまり、たとえ人を殺しても地域再生を重視する、というわけだ。自民党も真っ青の金銭優先主義だ。
ここまで人命無視の金銭主義の道を選ぶとは、立憲も地に墜ちたね。闇落ちだ。

県の方針転換
そもそも、「県内ならばいいが、県外ならば駄目だ」という発想がおかしいだろう。
県内だろうと県外だろうと、地元を離れたら、地元の再生は難しい。どうしても地元の再生を優先するなら、県内移住を許すのでなく、地元に留まることを強制するべきだ。「どこにも行くな。地元に残れ」と。
しかし、そうすれば、被災者の境遇は地獄レベルに落ちる。それは許されまい。
ちなみに、「地元には留まれないので、疎開するしかない」という方針は、私が最初からずっと述べていたが、石川県知事も(遅ればせに)ようやく気づいたようだ。昨日になって、ようやく方針を転換したようだ。
馳浩知事は11日の対策会議で「道路の復旧のめどが立たず、孤立状態の長期化が判明した以上、災害関連死を防ぐためには、集落のみなさんを丸ごと、金沢市以南の避難所に移送することも考えなければならない時期に来ている」と語った。
( → 中学生の一時避難検討 輪島市、3校400人の意向確認 能登地震、死者213人:朝日新聞 )
少なくとも一部の孤立地域については、大規模な移住を容認するようだ。それを、避難民全面的に認めるかどうかは、まだ不明だが。
※ 同じ記事によると、中学生については「白山青年の家」か「白山ろく少年自然の家」に避難してもらう、という方針も立てたようだ。これも大規模な移住に該当する。
※ あくまで地元の復興にこだわって、移住を絶対に認めない、という方針を取る人(泉代表など)とは、異なる方針だと言える。
> 「能登半島では過去に何度も地震が起こった」という記事がある。
という話。