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二次避難所
石川県内で二次避難所としての旅館やホテルが十分に確保されているそうだ。
能登半島地震の被災者の避難先として、ホテルや旅館などを活用する「2次避難所」について、政府が被災自治体などと調整を進め、週内に石川、富山、福井、新潟の4県で約1万人分を確保できる見通しとなったことが分かった。
( → 週内に「2次避難所」1万人分確保へ 政府、災害関連死の防止に向け:朝日新聞 )
1万人分というのは、十分な数字だ。ここに全員を滞在させるわけではなく、出したり入れたりで、交替で利用すればいいからだ。(出た分だけ新たに入れればいい。)
避難所の人数は、3.3万人いたが、今では 2万5770人まで減ったらしい。この数に対しては、1万人分の二次避難所で足りるだろう。
ボトルネック
ではそれで問題はないか……というと、そうでもない。問題はある。それは、一時避難所から二次避難所までの移動だ。ここの道路交通が制限されているせいで、ここがボトルネックとなる。出発点と到着点がいくら大きくても、途中の道が狭くては、両者を移動することができないのだ。
特に問題なのが、「七尾市〜穴水町」間と、「穴水町〜珠洲市」間だ。どちらも交通が制限されていて、渋滞になっているようだ。
国交省のTwitterによると、最新状態はこうだ。
能登半島における幹線道路の緊急復旧【1月11日7時時点】の状況をお知らせします#国土交通省 ホームページも随時更新しています
— 【公式】国土交通省 北陸地方整備局 (@mlit_hokuriku) January 11, 2024
▼令和6年能登半島地震における被害と対応についてhttps://t.co/8ylScvpDrR#令和6年能登半島地震 #道路啓開 #緊急復旧 #国交省 pic.twitter.com/TavCym4RWZ
※ 画像抜粋:


(復旧しても片側1車線通行)
地元の報告という形で、次のような声も多く出ている。
「能登へ行く道」も主語がでかい。
— かわさん (@shinnoaikoku) January 8, 2024
穴水から輪島、能登、珠洲へ行く道と、穴水七尾間で幹線道路の壊れ具合は全く異なる。
穴水から先に規制をかけるのなら合理性がある。
繰り返すが、七尾穴水は渋滞してないが被害は激甚で人手は足りてない。
このように、「七尾市〜穴水町」間は渋滞していない、という声が多い。だが、渋滞していない時間帯があるとしても、渋滞している時間帯もあるようだ。そのことは国交省のTwitterが示している。
#国道249号 七尾市から穴水町にかけて交通混雑が見られます。
— 【公式】国土交通省 北陸地方整備局 (@mlit_hokuriku) January 10, 2024
円滑な支援物資の輸送、人命救助、復旧作業に支障が生じることから、一般車両の能登地域への移動は控えていただくようご理解とご協力をお願いいたします。 pic.twitter.com/7Pkkboe3zs
このように渋滞がある。つまり、ボトルネックがある。
だから、一時避難所の人々を二次避難所まで移したくても、そう簡単は行かないのだ。
「下り路線(北向き)は混雑していても、上り路線(南向き)はガラガラだよ。だから、簡単に運べるよ」
という声もありそうだが、そう簡単には行かない。空荷のトラックの荷台に載せることができればいいが、若者ならばともかく、高齢者だと、トラックの荷台に載せるのは容易ではない。
現実的には、マイクロバスを使うしかないが、マイクロバスを一時避難所に送りたくても、往路の道路が渋滞しているので、マイクロバスを一時避難所に送れない。
困った。どうする?
交通制限 1
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「往路では、一般車両(軽自動車など)の通行を禁止する。トラックまたはマイクロバスなどの大型車両のみの通行を許可する」
これでいいはずだ。というのは、前出の画像を見ても、通行しているのは、一般車両(軽自動車など)が大半だからだ。

出典:写真情報(画像)
こういう一般車両は通行止めにしてもいいのだ。
一般車両の無駄
一般車両を制限することの理由は、ろくでもないものばかりを運んでいることだ。その事例は、下記で見出される。
→ 賞味期限切れ食品にシェフ怒り 一方的に置いていかれた支援物資|FNN
賞味期限切れ食品ばかり送られてきて、まともに食べられる食品はバナナぐらいしかないので、結局、何も食べられないままで飢えている……という話だ。大量の食料が送られてきているが、賞味期限切ればかりなので、ゴミとして捨てるしかないそうだ。
こういう無駄な食品が送られるのも、一般車両を使って民間人が送付するからだろう。
ここは、民間人による救援物資の送付を制限・禁止するべきだ。かわりに、政府・自治体の救援物資のみに絞ればいい。必要なものだけを精選するわけだ。その精選されたものを、狭い道路に入れる。こうすれば、ボトルネックの問題を回避できる。
この際、精選することが大事だ。逆に、何でもかんでも道に突っ込むと、道は渋滞する。かくて、「物を大量に送りすぎたせいで、かえって物が不足する」という逆説的な結果になる。
知恵をうまく使わないと、最悪の結果になる。そして、それが現状なのだ。だから、上記の写真のように、渋滞で物が運べないという状況になる。
被災者を二次避難所に送るという問題も、同様だろう。
交通制限 2
一般車両の通行を止めるだけでなく、救援物資を積んだトラックを止めることも必要かもしれない。現状では、そこまで制限する必要は薄そうだが、一応、そのような「強い制限」も準備しておくべきだ。
なぜトラックを止めるべきか? それは、ボトルネック効果を回避するためだ。
では、トラックを止めて、かわりに何を通すのか? それは、こうだ。
・ 帰路では、マイクロバスに被災者を乗せる。
・ 往路では、マイクロバスに救援物資を入れる。
つまり、マイクロバスを物資トラックのかわりにするわけだ。こうすれば、マイクロバスが両用になるので、帰路と往路を無駄なく使うことができる。かくて、ボトルネック効果を回避できる。一石二鳥。うまい案だ。
ただし、この案には、難点がある。次のことだ。
「出発点(倉庫)で、大量の物資をトラックに積んだなら、途中でいったん、マイクロバスに積み替えなくてはならない」
つまり、マイクロバスに積むためには、積み替えの手間がかかる。これは面倒だ。余分な人手がかかるからだ。
だから、この方法は、効率の面では、とても効率的だとは言えない。しかしそれでも、ボトルネック効果が出ているときには、物資や人員の通行労を最大化するために、あえて非効率な手段を取る必要があることもある。
まあ、現実的には、「一般車両の制限」だけをすれば足りて、それで避難所の人々を脱出させることもできそうだ。
しかし、それがうまく行く保証はない。現実には避難所で「食糧不足だ・物資不足だ」という声も多い。
人々をどんどん脱出させれば、運ぶべき救援物資の量もだんだん減っていくだろうが、当面は、運ぶべき救援物資の量はまだ多い。対策はいろいろと考えておいた方がいいだろう。
机上の計算
本サイトとは違って、国交省は「台数を確保した」という机上の計算を発表した。
国土交通省は、能登半島地震の避難者がホテルや旅館などの2次避難先に移る際の移動手段の確保の状況を公表しました。
それによりますと、2次避難先への移動を1日1回と仮定した場合
▽バスはおよそ5000人分
▽タクシーはおよそ700人分を
移動手段として確保したということです。
国土交通省はバスやタクシー会社の情報を石川県に提供したうえで、1日2回以上移動をするなどできるかぎり輸送の人員を増やしたいとして具体的な準備を進めるとしています。
( → 2次避難のため 約5700人分のバスなどの移動手段を確保 国交省 | NHK | 令和6年能登半島地震 )
これで車両の台数を確保したから大丈夫……という計算であるようだ。
しかしここには「ボトルネック」という発想が欠けている。ここで新たに大量の車両を投入したら、どうなるか? 増えた車両の分だけ、交通量が増えるか? いや、渋滞が悪化して、かえって通行量は減ってしまいそうだ。国交省が車両を投入すればするほど、運べる人数はかえって減ってしまいそうなのだ。
そして、そのためには、「一般車両の通行を制限する」という方針が必要だ。しかし政府は、その方針を取らない。「一般車両の通行を制限する」という方針を取りました、と公言してはいるが、その経路は、「のと里山海道」に限られており、「七尾市〜穴水町」間は対象外だ。だから、国交省の写真のように、大渋滞が発生する。
結局、国交省の方針は、バケツの底に穴があいているのも同然だ。水が穴からダダ漏れのせいで、バケツには水が貯まらない。そういう状況だ。
思考に穴があると、こういう結果になる。
※ タクシーを使う、という発想も駄目だ。タクシーでは、往路に荷物をたくさん運べないから、輸送効率の点で無駄になる。往路はマイクロバスに絞って、荷物をたっぷり積載するべきだ。
山本太郎の騒動
山本太郎が被災地に出向いたことが、ネットで大々的に非難されている。「邪魔になって、迷惑をかけた」と。
しかし私は同意しない。
(1) 邪魔になったのは事実だが、大量の一般車両のうちの一つであるに過ぎず、九牛の一毛である。ことさら騒ぐほどの規模ではない。
(2) 問題はむしろ、一般車両の通行を止めない政府にある。批判するべきは、そこを通った山本太郎ではなく、そこを通らせた政府にある。(泥棒が野放しになったなら、泥棒をした一人を責めても仕方ない。大量の泥棒を野放しにした政府が悪い。)
(3) 山本太郎自身は、正しい結論を出している。
【提案◎ 半島の根っこ手前に関所(検問)を置き、交通をコントロールせよ】
住民とその家族、特定の支援団体、行政・政府関係者、それらから業務委託を受けている業者、報道など復旧復興に関わる関係者以外は、一定期間、能登半島への出入りを制限する。
現在、国や行政で行われているのは、「来ないでください」とのお願いと、与野党国会議員と総理大臣の現地視察を控える申し合わせ、というズレた対応のみ。これでは本質的な問題は何も解決されない。
( → れいわ 山本太郎 / X )
これは、おおむね正しい結論だと言える。位置については「半島の根っこ」を「七尾市」に修正するべきだが、そこは本質ではない。「一般車両の通行を制限するべきだ」という結論は正しい。
現状ではその方針は取られていない。政府は「通らないでください」とお願いするばかりだ。それでは駄目だと山本太郎は言っている。私もそう言っている。
このように正しい結論を出しているのは、山本太郎と私だけだ。
今の日本で、首相になるべき政治家は、山本太郎一人しかいない、と言っても良さそうだ。少なくとも震災対策については、そう言える。
※ まあ、道化師みたいなものだが、道化師が首相になると政治は良くなる、ということは、ありがちである。ウクライナもそうだった。日本もウクライナの真似をするといいかも。
※ 「おまえは山本太郎のファンなのか?」と詰め寄る人も出てきそうだが、そんなわけ ないでしょ。「おまえはどうせ、イヤミを言いたいだけだろ。性格が悪いから」「山本太郎をダシにしているだけだろ。自分の都合で」と詰め寄る人も出てきそうだが、それはまあ、正しい。
「善意の」大勢が自分の信念の赴くままに、好き勝手に現地入りして有難迷惑を振りまくよりは、よほどマシかもしれません。