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仮設住宅の建設
本サイトでは反対しているが、仮設住宅の建設が実行されつつある。
輪島市と珠洲市に建設するとした仮設住宅に新たに55戸を加えて計115戸を12日から着工する。計画がなかった能登町と穴水町でも、計60戸を15日に着工する。
応急仮設住宅は、会議で珠洲市長から必要戸数の目安に「4千」という数字が出されるなど、膨大な戸数に上る可能性がある。
( → 応急仮設住宅、能登と穴水でも60戸着工へ 輪島と珠洲には115戸 :朝日新聞 )
115戸と60戸というが、3万人以上もいる被災者に対しては焼け石に水だ。4000戸という数字もあるが、それが実現しても、大半の被災者には届かない。
それでいて、コストは1戸あたり 1000万円以上にもなる。超巨額だ。ちなみに、東日本大震災のときにかかった費用は、1戸あたり 730万円だった。(2011年)
→ 応急仮設住宅のコスト
その後、建設価格が高騰しているので、現在ならば、 1000万円を越える可能性が高い。さらに、将来の解体費用も 300万円ぐらいかかるので、総計で 1300万円程度かかると見込まれる。
また、建設にかかる工期もかなり長くて、約1カ月と見込まれる。
阪神・淡路大震災での応急仮設住宅の建設工期は平均32.43日、1日当たり建設戸数は245.9戸/日であった。
( → 独立行政法人福祉医療機構 )
これは条件がいい都市部での話。今回は交通がほぼ不通の能登半島であるから、工期は2倍以上と見込まれる。さらには、この仮設住宅の資材を送るせいで、さまざまな復旧活動が阻害されると見込まれる。たとえば、停電の復旧も遅れるだろう。仮設住宅を建設するには、電信柱で 100本分ぐらいの資材が必要だから、その分、復旧が大幅に遅れるわけだ。
みなし仮設の提供
みなし仮設の提供が発表された。
→ 能登半島地震【被災者支援情報 8日】「みなし仮設住宅」の受け付け順次始まる | NHK
実施の細目は公式ページがある。
→ 賃貸型応急住宅の供与について | 石川県
これによると、家賃の基準額はこうだ。
2人以下の世帯 6万円
3人〜4人の世帯 8万円
5人以上の世帯 11万円
ずいぶんと高額である。それでいて、期間は「入居から2年以内」と限定されている。ずいぶんと短い。
どうせなら、「金額は3分の2にして、期間は3年にする」というふうにすればよかった。それならば、差し引きして、県が支払う総額は同じである。それでいて、被災者が住める期間は2年から3年に延びる。
というか、そもそも金額が安すぎるだろ。
6万円で2年間なら、総額で 144万円だ。仮設住宅には 1300万円も払うのに、みなし仮設では 144万円。4人世帯でも 192万円。いずれにしても、仮設住宅の 1300万円よりも、ずっと低い金額だ。仮設住宅に 1300万円も出すくらいなら、その金で賃貸住宅に 15年ぐらいも住めることになる。
どう考えても、仮設住宅よりも、みなし仮設の方が圧倒的に良い。なのに政府も石川県も、仮設住宅ばかりに邁進する。マスコミも、それを当然視する。全員そろって、頭が狂っているとしか思えない。
他の県で
ただし、少数ながらも、まともな人もいる。これだ。
→ 総社市が能登半島地震の被災者受け入れを決め無償で市営住宅を提供するなどの支援策 岡山
岡山県の総社市では、市営住宅を無償で提供するそうだ。こちらの方は非常に賢明だ。
ちなみに、他の県や市でも、同様のところはいくらかあるそうだが、総数はかなり限定的だ。それというのも、空室になっている公営住宅を使うだけだからだ。
やはり、本質的には、他の県の一般的な住宅を使うべきだろう。ちなみに、東京都では、あきる野市で、5万円以下の住宅がかなり見つかる。
→ 【SUUMO】4〜5万円で探す あきる野市の賃貸
愛媛県ならば、同様の物件が4万円以下でたくさん見つかる。
→ 【SUUMO】愛媛県の賃貸(賃貸マンション・アパート)住宅
石川県では6万円という条件で提供しているが、他の県に行けばもっと安上がりで済むのだ。
積雪の問題
石川県では賃貸住宅を「みなし仮設」として提供するが、その地域は、金沢市と富山市だ。だが、これらの地域には「積雪」という問題がある。冬には大量の積雪がある。となると、雪掻きの手間などで、高齢者には済むことが困難になる。
金沢市と富山市の積雪量は、ググればわかるが、かなり多い。それというのも、ここが日本海側でも有数の積雪地帯だからだ。前にも論じた。
→ 北陸の大雪の理由は JPCZ: Open ブログ
ここで示した理由で、北陸では大雪が降る。富山と金沢も例外ではない。
→ 富山県/道府県庁所在地の降積雪比較
- 《 訂正 》
※ 以下は間違いだったので、取り消します。
これはどうしてかというと、たぶん、次の二つの理由だ。
・ 能登半島の周囲は海なので、冬でも気温が高い。
・ 雪が降るのは山脈の西側だが、能登半島は該当しない。
(山脈からは距離が遠すぎる。)
ともあれ、能登半島の住民は、積雪に離れていない。そんな住民が、富山市や金沢市に住めば、積雪の多さに、音を上げるだろう。
富山市や金沢市は、場所としては近いのだが、気象がまったく違うのだ。そんな場所に住むように促すのは、「いじめ」に近い残虐さだ。特に、相手が高齢者であれば。
高齢者を移住させるのであれば、もっと温暖な地を推奨するべきだろう。
【 関連動画 】
珠洲市で、春の地震のあとで作った仮設住宅。
1000万円以上をかけながら、このみすぼらしい貧弱な住宅しかできない。断熱材もろくにない。だから、冬は寒く、夏は暑い。住みにくいこと、このうえない。
しかも、2年後には取り壊す。そのときにまた、解体費で 300万円かかる。
能登地方は加賀地方よりも積雪量が少ないとは言え、次のサイトでも「能登の平均降雪量は201cm」「加賀の降雪量は281cm」とあるように少なくとも東京とは比較になりません。
https://www.athome.co.jp/vox/jtown/all/59196/
※ どうも、間違った情報を仕入れて、ろくに出典も確認しないまま、間違いを書いてしまったようです。申し訳ありませんでした。