──
被害状況
インフラの被害は依然として復旧の見通しが立たない。
(1) 停電
停電の復旧の見通しは立たない。部分的に少しずつ復旧しつつあるが、まだまだだ。
→ 停電続く能登地方 電柱約1200本に被害 復旧のめど立たず | NHK | 令和6年能登半島地震
→ 石川県内の停電2万2000戸、奥能登4市町で復旧のめど立たないまま : 読売新聞
(2) 断水
断水も復旧の見通しが立たない。
→ 【ライフライン 6日】断水や停電続く 給水支援の状況は | NHK | 令和6年能登半島地震
(3) 道路
道路通行も寸断されているが、幹線路については何とか通行できるようになっている。

出典:朝日新聞
しかし、各地の道路の崩壊箇所は多数あるので、全面的な復旧の見通しは遠い先になりそうだ。崩壊の仕方も多様であり、陥没したり、土砂崩れで埋もれたり、いろいろある。大型の重機が必要な箇所も多いが、重機が届くのは遠い先となりそうだ。
土砂崩れのマップは下記。
→ 斜面崩壊や土砂堆積範囲、分析データをネット公開 国土地理院 能登地震:朝日新聞
(4) 全体復旧
インフラのほかに住居もひどいので、元のように街並みを再建することは困難である。知事もそれを認めた。
→ 停電・断水続く能登に雪の予報、馳知事「3年や4年では元に戻せない」: 読売新聞
生活状況
被災者の生活の状況はどうか? 「食料不足」ばかりが話題になりがちだが、もちろん、他の不足もひどい。報道によれば、次の不足がある。
・ 病院不足 (病院の電力も人員も薬剤も不足)
・ 医薬品不足 (患者の手持ちの医薬品も不足)
・ 暖房不足 (避難所の暖房も不足)
・ 通信不通 (スマホや光回線が不通)
すべての地域でそうだというわけではないのだが、そういう不足が起こっている地域がとても多いそうだ。
要するに、人がまともに生活を送れる状況ではない。一日一日と、砂漠に近づきつつある。かろうじて救援物資を補給して生きながらえているが、これらは応急手当であるにすぎない。長期的には持続困難だ。(持病の悪化など。)
もはやそこでは「文明生活」は成立しないのだ。
8時間の帰還
では、どうすればいいか? そこは、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。というか、すでに出している。「疎開」だ。これまで何度も述べた通り。
現実に疎開した(脱出した)人の例もある。朝日新聞が報道している。
第1に、珠洲市から金沢市の自宅に戻った例。
金沢市の林由美子さん(60)は、珠洲市上戸町の山沿いにある旅館に15人ほどのグループで滞在中、地震に遭った。
「とにかく帰ろう」と3日早朝、道に詳しいという帰省中の家族の車の後をついて、車で避難所を出発。8時間かけてようやく金沢に着いた。
( → 旅行・帰省中、被災したら 避難所で人とのつながりを 能登地震:朝日新聞 )
第2に、輪島市から金沢市の実家に戻った例。
川崎哲嗣(さとし)さん(41)は車での旅行帰りに被災。輪島市町野町の「JAおおぞら町野支店」に家族5人で身を寄せた。
4日朝に出発。うわさに聞いたルートは土砂で通れず、進んでは引き返した。約8時間後、金沢市の実家に到着。ガソリンはぎりぎりもった。
( → 孤立、心も「限界」 救助の順番「いつになるか」 能登地震:朝日新聞 )
この二つの例では、いずれも8時間で金沢市に到達している。こうして「脱出」に成功した。今ではまともな文明生活を送れている。
避難所に留まれば地獄だが、被災地から脱出すれば天国なのだ。
避難所にいる人々が何をなすべきかは、これで明らかだろう。「 Openブログの言うことを聞け」と心がければ、それだけで助かるのだ。
富山でキャンセル
富山県内では、旅館・ホテルに大量のキャンセルが出て、業界は大打撃だという。
能登半島地震の影響で富山県内のホテルや旅館への宿泊キャンセルは7000人に上り、損失額は1億円を超える見通しであることが分かりました。
きょうまでに、▼宿泊で7000人、▼宴会では1500人のキャンセルが発生。損失額はあわせて1億1000万円に上る見通しです。
地震による影響は観光業界に大きな打撃となります。
( → 宿泊キャンセル7000人 損失1億円超 富山県のホテル・旅館 | TBS )
これも大変だ。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「キャンセルされて、空き部屋となった旅館やホテルに、被災者を一時収容する。数日間はそこでくつろいでもらって、その後は賃貸住宅などに移ってもらえばいい」
この方法ならば、旅館・ホテルも助かるし、被災者も助かる。一石二鳥だ。これぞうまい方法と言えるだろう。
やっぱり、困ったときの Openブログ。
石川県の対応
上記と似た案を、石川県が示している。私の案は、被害のない富山市や金沢市の旅館・ホテルを使うという案だが、被害のある輪島市で生き残ったホテルを使う、という案だ。
馳浩知事は衛生環境が悪化している避難所があることなどを受け、6日の県災害対策本部員会議で、「2次避難所としての被災地以外の旅館、ホテルの活用の準備を進めている」と述べた。
( → 石川県が2次避難所を準備 衛生環境の悪化で「旅館・ホテルを活用」 [能登半島地震] [石川県]:朝日新聞 )
これは、「避難所で暮らすよりはマシだ」と言えるだろう。とはいえ、輪島市内はインフラが壊滅状態であり、そこでは持続的に文化生活を送ることはできない。とすれば、2〜3日の一時しのぎになるぐらいの効果しかない。
この先の対応を考えれば、輪島市を脱出するしかないのだ。そこまで考えるべきだ。
同じ記事では、次の方針も示されている。
被害が大きい輪島、珠洲両市では、12日にも応急仮設住宅の建設の着工をめざす。最初の戸数は計60戸となる見通しだという。馳知事は行政が賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設」についても、検討を指示している。
仮設住宅というのは最悪の方針である。この地域内に作る限りは、効果はない。また、3万人以上の被災者に対して 60戸を作っても、焼け石に水だ。
一方で、「みなし仮設」ならば有効だ。ただし、被災地の市内にはそんな建物はない。だから、別の地域に脱出してからの話となる。
とにかく、今は何が何でも、さっさと脱出することが最優先なのだ。
疎開先
疎開先は、どこにするべきか? 次の二通りだ。
(i) すぐそばの富山市と金沢市。これらの空き部屋は4万以上あるので、避難者の全員を収容するだけの量がある。
→ 能登半島地震の話題 .1: Open ブログ
(ii) 全国各地の自治体が招いてもいい。公営住宅ならば格安で提供できる。生活再建の援助もできる。各地で少しずつ分担すれば、手厚い援助が可能だろう。特に、東京都は、(23区内でなく)奥多摩に招くといい。似たような自然環境の場所で、格安の家賃の住宅を提供できる。また、現地の住民も、素朴な人柄の人が多いので、都会の索漠たる人間環境の場所とは違って、暮らしやすい。
※ 温暖な瀬戸内海と奥多摩が、私の推奨場所だ。
マイナカード再発行
全国各地に分散して避難するとしたら、そのための手続きが必要だ。その方法として、マイナカードを活用するといい。
マイナカードには顔写真の情報がある。そこで、顔写真を照合しながら、マイナカードを再発行するといい。
こうしてマイナカードを再発行したら、本人確認ができるので、銀行の預金の引き出しも容易になるだろう。各種の公的手続きも簡単になるだろう。
家がつぶれたり、家が焼失したりして、各種の証明書類をなくした人も多いだろうが、マイナカードを活用すれば、再発行が容易になるのだ。
これをうまく利用することを、政府はPRするべきだ。また、そのための体制も整備するべきだ。
岸田首相
この状況で、岸田首相は何をしているか? 報道では、次のことぐらいだ。
岸田文雄首相は5日、首相官邸で開かれた能登半島地震の非常災害対策本部会議で、「住まいの確保対策に早期に着手する必要がある」として、仮設住宅と災害公営住宅の建設準備を進めるよう指示した。
( → 岸田首相、仮設住宅の建設準備を指示 能登半島地震 | 毎日新聞 )
しかし、仮設住宅というのは、効率が悪い。
・ 1戸あたり 1000万円もかかる。
・ 作るのにも時間がかかりすぎる。完成時期は遅い。
・ できたとしても、数年間で解体される。
・ 戸数が少なすぎる。3万人以上の被災者には数不足。
ただの賃貸である「みなし仮設」に比べると、圧倒的に駄目な方式だ。なのに、その方式にこだわる。そのせいで、喫緊の改題である「疎開」が実現できなくなる。
岸田首相は、地震対策の足を引っ張っているだけだ、とも言える。何もしないで黙っている方がまだマシだ。それならば、金の無駄遣いがないだけ、まだマシだ。
現状では、地震対策の金を無駄に浪費するだけで、有害無益だと言える。「疎開」という喫緊の課題を実行しないのであれば、何もしないで昼寝している方がずっとマシだ。
──
ちなみに、「段ボールの住宅」ならば、1万2千円で できるそうだ。
名古屋工業大学の北川啓介先生が被災地の能登に入られました。
— 建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 (@mori_arch_econo) January 4, 2024
屋内用のインスタントハウスをお届けされたそうです。
簡易な作業で避難時のプライベートな空間を確保できる画期的な取り組みです。
真の建築家とはこういう方のことをいいます。 pic.twitter.com/5x30GZpL7n
政府組織の無能さ
政府組織は何をしているか? 調べてみたところ、次の会議がある。
→ 非常災害対策本部会議 : 防災情報のページ - 内閣府
この報告書の最新版を見ると、各省庁でそれなりの活動がなされていると言える。省庁ごとに、かなり頑張っているようだ。日本の役人は、結構しっかりしている。
ただし、いかんせん、縦割りの弊害が強すぎる。各組織は、組織別に行動しているだけであり、あとは上記の会議で毎日いっぺんの報告をして、照合しているだけだ。
つまり、組織間の連携はない。また、横断的活動もない。当然ながら、「疎開」という方針がないので、疎開のための活動もなされていない。
「みなし仮設」も、自治体ごとにばらばらになされているらしくて、自治体を越えた「遠隔地への疎開」は最初から困難であるようだ。
※ 熊本地震のときも、この問題が発生した。熊本市外への「みなし仮設」の適用は、当初は進まなかった。(かなり時間がたってから、それが可能となったが。)
──
やはり、常設の「防災庁」がないと、うまく機能しないようだ。
ちなみに、「復興庁」というものはあるが、これは東北地方限定(東日本大震災限定)の組織なので、他地域の震災には口を出せないようだ。無能の極み。
本項のまとめ
以上をまとめると、次の通り。
・ 被災地に止まる限り、地獄である。
・ 被災地から脱出すれば、天国である。
・ 脱出は可能である。脱出した人もいる。
・ 脱出すると、別の自治体に移る。
・ 自治体間で連絡するシステムは無い。(縦割り行政)
・ 脱出するための自治体サービスは無い。
・ 「みなし仮設」も、他の自治体では無理。
・ 自治体間の相互調整をするには「防災庁」が必要。
・ 政府は「防災庁」の設置を否定した。( → 別項 )
・ 政府は能力がないので無為無策に近い。(疎開について)
・ 岸田首相は有害無益。(現地の仮設住宅を推進する)
私の推奨策を言うなら、こうだ。
「政府や自治体に頼る限りは、生きながらえない。生き残るには、自力で被災地を脱出せよ」
日本という国では、政府は頼りにならないのだ。大阪府知事は金がないのに万博を開く。東京都知事はコロナの最中に五輪を開く。岸田首相は地震被災のさなかに仮設住宅という無駄遣いをして金を食いつぶす。……どれもこれも、白痴ばかりだ。白痴に頼る限りは、生きながらえない。
この先 生き残るには、自力で地獄から抜け出すしかないのだ。