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被害規模
被害規模は、当初の報道をはるかに超えて、大きな規模になっている。
(1) 避難者
避難者数はどんどん増えているようだ。昨日の項目で示した数字では、輪島市では1万人弱だったが、本日記事ではこうなっている。
避難者数は輪島市1万2834人▽珠洲市6981人▽能登町4930人▽穴水町3625人など、計3万3千人余りに上る。
( → 死者92人、行方不明16人 安否分からぬ人も242人 能登地震:朝日新聞 )
輪島市は1日で3割も増えている。輪島市の人口は 2.3万人( → 出典 )。人口の半分以上が避難者となっているわけだ。
なお、珠洲市の数字は更新されていないが、データを取る人員もないのかもしれない。こちらも人口の半分以上が避難者となっているようだ。
(2) 行方不明者
死者数は日ごとに集計数が増えているが、それにも増して気がかりなのが行方不明者数だ。単に連絡が取れないだけの人もいるだろうが、9割ぐらいは死者にカウントされそうだ。
その数は下記の通り。
→ 能登地震、死者92人に 行方不明16人、安否分からぬ人も242人 :朝日新聞
総計で 350人ほどになる。とすると、最終的な死者数は 300人を少し越えるぐらいとなりそうだ。近年ではまれに見る大災害と言える。
ちなみに、熊本地震の死者数は 211人。これを上回る可能性は十分にある。
※ 東日本大震災や阪神大震災は、もっと人的被害が多かったが、それは場所が人口密集地だったからだ。今回は能登半島という過疎地であり、熊本よりもはるかに辺鄙な場所だ。人の数が少ない。なのに死者数は熊本を上回りそうだ。地震の規模は熊本を上回ると言えそうだ。
(3) 津波
今回は津波が来ないかと思えたのだが、津波が来た地点もある。高さ2メートルにもなったそうだ。もともと教訓があったので、みんなで「津波が来るぞ、逃げろ」と叫びあったので、人的被害は少なかったようだが、それでも高齢者は逃げるのを嫌がった例も多いそうだ。
「ここに津波が来るなんて思ってもみなかった」。 土砂が流れ込んだ母屋を見つめた。2メートルほどの高さにくっきりと津波の痕が残り、離れは基礎から流されていた。
近くに住む高齢者らに「高台に避難して」と促した。すぐに動けない世代の人が多く、災害時には積極的に声をかけようと思っていた。
ただ、「家を離れたくない」と避難を拒む高齢者も多く、声をかけ続けているうちに津波が近づいてきたという。
ここ数年、能登半島で地震はよく起きていたが、津波が来ないことに慣れていたといい、「津波をひとごととして捉えていて、危機感が地域全体で足りなかった」と話す。
( → まさか、集落のんだ波 能登町・珠洲 能登地震:朝日新聞 )
(4) マグニチュード
マグニチュードは 7.6 で、相当大きな地震だったと判明した。阪神淡路大震災を上回るそうだ。
最大震度7を記録した地震の規模を示したマグニチュード7.6。
地震の種類は内陸型の逆断層型です。 内陸・逆断層型の地震では阪神淡路大震災(M7.3)、熊本地震(M7.3)を超える規模です。
( → 最大震度7・マグニチュード7.6の大地震 令和6年能登半島地震の被害状況 )
インフラ被害
電力や水道や通信などのインフラについては、途絶えているところがかなり多い。徐々に復旧するかと思えたが、道路の寸断の影響が大きくて、インフラの復旧もままならないようだ。
齋藤大臣は4日、記者会見し、石川県内の停電について、各地の電力会社の応援を受けて復旧作業を進めているとしたうえで、輪島市や珠洲市などでは道路の被害が大きく、復旧に時間がかかるという見通しを示しました。
七尾市や志賀町では一部の地域を除いて停電が解消した一方で、輪島市や珠洲市などの能登半島の北部では道路の被害が大きく、復旧に時間がかかるという見通しを示しました。
また、齋藤大臣は石川県内で営業しているガソリンスタンドが4日午前11時の時点で73か所と、3日の38か所から増えて、徐々に復旧が進んでいることを明らかにしました。
( → 石川県内の停電 “輪島・珠洲など 復旧に時間かかる見通し” | NHK | 令和6年能登半島地震 )
「七尾市や志賀町では一部の地域を除いて停電が解消した」とあるが、ここは震源からかなり離れた場所だからだ。
このあたりは、もともと被害は大規模ではないので、停電も復旧しやすいのだろう。
一方、珠洲市や輪島市では、停電や断水や通信不通の問題は、なかなか解消しづらいようだ。まだまだ大変である。
(かろうじてガソリンと灯油の配達だけは、いくらか解決ができつつあるようだが。)
トヨタの通行地図
道路の通行状態(寸断状態)を示す地図を、トヨタが公開しているそうだ。
通行止めの場所を巡っては、トヨタ自動車も、ネットとつながる車から集めた情報を元に「通れた道マップ」を公開している。直近24時間以内の通行実績が地図上に表示されており、安全運転の参考情報にして欲しいとしている。
( → 「能登の大動脈」国道249号、複数箇所で土砂崩れ 国土地理院分析 [能登半島地震]:朝日新聞 )
アクセス集中を防ぐため、関係者以外は利用しないでほしい、という要望がある。そこで、サイトにはアクセスせず、記事から転載しよう。(元はトヨタ)

かなり寸断されていることがわかる。
都会ならば、迂回路がいくらでも見つかるだろうが、今回のような辺鄙な土地では、ほとんどが険峻な山であり、谷間を通る道路網はごく限定されている。ちょっと寸断されると、陸の孤島になりがちであるようだ。
こうなると、さまざまな復旧も困難になるだろう。
疎開大作戦
さまざまな復旧が困難になるだろうから、疎開という方針を大々的に取るといいだろう。地元での再建という方針は放棄して、他の地域で生活再建をめざすべきだ。
運搬はどうする?
物資を運搬したトラックで、その帰途に、空荷の荷台に人を乗せて、住民を脱出させるといいかもしれない。
あるいは、いっそのこと、漁港を経由して、船で住民を大量脱出させるといいかもしれない。
方法はいろいろ考えられるが、ともあれ、さっさと住民を脱出(疎開)させるべきだ。
住民の半数以上が避難所にいるという事態は、現地での再建を困難にする。熊本や阪神よりも、状況は悪いと言わざるを得ない。ここは肝を据えて、「住民の大規模移転」という方針を定めるべきだ。
※ 仮設住宅なんていう方針は絶対に駄目だ。
船舶
船舶による輸送力はどうか?
「珠洲市の港は小さな漁港で頼りにならないが、輪島市の港は大きいので頼りになる」
と思ったが、あにはからんや、輪島市の港もたいしたことがなかった。中小の船しか接岸できない。
《 石川・輪島港に救助物資を載せた船が5日夕方にも到着 水や食料品など 》
国土交通省によりますと、1.2メートル以上の津波を観測した石川県の輪島港に早ければ5日夕方にも食料品や生活用品を積んだ国交省の「海翔丸」が到着する見込みです。
海翔丸にはご飯1400食やカップ麺230食分、子ども用のおむつ1300枚、2リットルのペットボトルの水1000本などを積んでいるということです。
海翔丸は油回収などを業務としますが、被災している港に入れる大きさのなかで多くの物資を運べることから選ばれ、3日午後4時ごろに北九州港を出港しています。
画像:国交省提供
( → 国交省 | khb東日本放送 )
トラック数台分の規模になるようだが、船に期待する規模に比べると、かなり小さい。フェリーに比べると、圧倒的に小さい。このくらいの船が続々と接岸するならともかく、北九州から遠路はるばるとやって来る船が1隻だけだ。このあと、近隣の港とピストン輸送するにしても、規模は限られている。
輪島港はもともと物資の輸送用にはできていないようだ。小さな漁港ですね。
海上経由の輸送は期待ができないので、やはり陸路の復旧を待つしかないようだ。しかしそれには長い時間がかかるので、最善の策は「疎開」しかあるまい。
※ Google マップを表示すると、輪島港は現在、「臨時休業」と表示される。機能麻痺が続いているようだ。
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さらに続報によると、もっとひどいことになっている。
石川県輪島市の施設には、きょうにも船で運ばれてきた物資が届く予定でした。しかし、強風などで海の状態が悪いため陸路での輸送に切り替えられ、到着が大幅に遅れる見込みです。
これまでにも、陸路では一部の支援物資が運ばれているということですが、住民からは依然として「水や食料が足りない」「抽選に外れた」などと切実な声があがっていて、必要な物資が十分にいきわたっていない現実が浮かび上がっています。
( → 輪島港きょう救助物資届くはずも海路では届かず 到着が大幅に遅れる見込み 住民は「水が足りない」 | TBS NEWS DIG (1ページ) )
ついでに言うと、たとえ救援物資を得られたとしても、「ご飯」や「カップ麺」ぐらいなので、まともな食事とは言えない。最低限のカロリーだけだ。
「炊き出し」をやらない限りは、まともな食事はできないだろう。(前々項を参照。)
→ 前々項