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前項では、こう述べた。
ただし、こういう人為ミスが起こったことの直接の原因は個人に帰するとしても、こういう人為ミスが起こりやすくなった状況こそ、本当の原因であるはずだ。
(i) 超過密の羽田空港
(ii) イレギュラーな臨時便の追加
この二点が真の原因であると言える。
このうち、(ii) の問題については、前項で言及した。
本項では、(i) の問題について言及しよう。
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「超過密の羽田空港」という問題がある。これは前々項でも言及したとおり。
こんな過密状態のところに、イレギュラーな臨時便を突っ込めば、事故の確率が上がるのは自明だろう。
臨時便を飛ばすなら、すいている空港を使うべきだった。自衛隊の空港でも、民間の小さな空港でも、空港はいくらでもある。何も超過密の羽田から飛ばす必要はなかった。海保が羽田を使うのが根本的におかしい、と言えるだろう。
どうせなら、横田基地や厚木基地を返してもらえば、ずっと楽になるのだが。それができないのであれば、まずは、静岡や名古屋や伊丹などの空港を使うべきだった。というか、救援物資を届けるのに、海保機なんかを使うべきではなかった。通常の民間貨物機を使うべきだった。
( → 羽田で航空機炎上: Open ブログ )
ここでは、次の二点を述べている。
・ 基本的には、海保機を使うべきではない。(前項と同趣旨)
・ 仮に使うとしても、他空港を使うべきだ。
ここでは、二段構えで述べている。この二段構えの少なくとも一方が実現していれば、今回の事故は起こらなかっただろう。
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さて。以下ではさらに話題を絞って、次の話題を考えよう。
「仮に他空港を使うとしたら、どこの空港を使うべきか?」
この問題に対して、上記引用部では、こう答えた。(再掲)
臨時便を飛ばすなら、すいている空港を使うべきだった。自衛隊の空港でも、民間の小さな空港でも、空港はいくらでもある。何も超過密の羽田から飛ばす必要はなかった。海保が羽田を使うのが根本的におかしい、と言えるだろう。
どうせなら、横田基地や厚木基地を返してもらえば、ずっと楽になるのだが。それができないのであれば、まずは、静岡や名古屋や伊丹などの空港を使うべきだった。
ここで一応答えが出ているのだが、さらに次の問題を考える。
「現行では、海保は羽田に基地があって、羽田から出動するのが原則である。この原則がある限り、羽田から出動せざるを得ない。では、どうすればいいか?」
これは難問だ。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「海保の基地を、羽田空港から調布飛行場に移設する。調布飛行場から常時発着することにする。海保の飛行機は、どうせ小型機ばかりなのだから、滑走路の短い調布飛行場で足りる」
これは、アイデアだ。では、このアイデアは、実現可能か? 調べるとわかるが、(残念ながら)実現不可能だ。理由は、下記からわかる。
→ 海上保安庁 機材一覧 | FlyTeam(フライチーム)
→ 調布飛行場 | 国土交通省東京航空局
前者の一覧からわかるように、小型飛行機とはいえ、離陸距離はかなり長めである。
・ ボンバルディア Q300 …… 991メートル
・ ファルコン 2000 …… 1425メートル
一方、後者のデータによると、調布飛行場の滑走路は 800メートルしかない。これでは距離が短すぎる。発着できない。
となると、以上の二点をかんがみて、海保を羽田から調布に移転させることはできない。困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「調布飛行場の北方には、緑地があって、滑走路を延長できる。そこで、滑走路を 1600メートル前後にまで拡張すればいい」
具体的には、航空写真を見よう。

Google マップもある。
滑走路は 800メートルだが、1600メートルぐらいにまで延長できそうだ、とわかる。
ただし、滑走路のすぐ北側には、住宅地となっている狭い土地がある。ここは買収する必要がある。(土地収用法を使えば買収できる。もともと危険な場所なので、買収することは好ましいことだ。)
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土地の買収手続きもあるので、容易に実現できるとは言えないが、ここを買収して、海保を移転させることが、最善の方法だと言えるだろう。
そうしておけば、将来における同種の事故の再現を防げる。
今のままでは、やがてはいつか、乗客 400名が死亡する航空機事故が起こりかねないのだ。それを予防する必要がある。
これが私の提言だ。
[ 付記 ]
代案としては、次の案もある。
・ 木更津の自衛隊基地への移転
・ 静岡空港への移転
いずれも、海保を移転できる。ただし、東京から遠くなりすぎるので、使い勝手は悪い。できることなら、調布を使うことが好ましい。
また、調布の飛行場を拡張すれば、近くの離島(小笠原諸島)への航空便も利用しやすくなるので、小笠原諸島へのアクセスの点で向上する、というメリットもある。一石二鳥だ。
だから、調布飛行場の拡張というのは、とてもいいアイデアなのだ。
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なお、今回に限って言えば、「羽田から飛ばずに、調布から飛べば良かった」という話は、成立しない。もともと羽田にいるからだ。
本項で述べた話題は、今回の事故とは直接の関係はない。あくまで遠い将来の計画であるにすぎない。
滑走路にレーダーをつけておくのも大事ですが、今回のようにすでに着陸態勢に入っている時に侵入された場合には役に立ちません。
そんなことしなくても、通信機器で電子制御するだけで、双方の飛行機を制御できる。
ただし海保機にはそういう機械が何も搭載されていないので、海保機は羽田を使うべからず。下記を参照。
→ http://openblog.seesaa.net/article/501997275.html
※ 物理的なゲートは、開閉に1分間ぐらいの時間がかかるので、その分、余計な時間が必要となり、過密状態の羽田には適さない。時間が不足して、かえって事故が増えかねない。時間のかかる物理的な阻止装置よりは、タイムラグのない電子的な装置の方が、近代的で利口な方法です。ハイテクだ。
設備の点では、茨城空港が有用だが、海保の出動は小笠原のあたりが多いので、静岡空港の方が地理的に有利だ。設備の不足は、お金で解決できる。
木更津基地(滑走路 1800メートル)も使いやすいが、それだったら調布の方が近くて便利だ。
まあ、どれも、ドングリの背比べみたいなものなので、どれかが決定的に有利というわけでもない。どこに決まったとしても、羽田よりはマシなので、私はどこでも支持します。
静岡空港は、新幹線が止まらないのが難だが、だとしても、茨城空港よりはアクセスがいい。新幹線が止まるように改変すれば、難点はずっと少なくなる。
http://openblog.seesaa.net/article/477051676.html
滑走路が 2.0km あれば、ボーイング 737-800 や、エアバス A320 を飛ばすことができる。(いずれも離陸距離 1800メートル以下)。
調布飛行場を拡張すると、現行の羽田の発着分のうち、かなりの分を、調布に移行できる。その分、羽田の過密を緩和できる。
例: 羽田ー八丈島 (定期便)
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海保を調布に移転することが大事だというよりは、調布を拡張することが多大なメリットをもたらす。そのうちの一部に、海保の移転があるだけだ。
一方、調布と成田の直行便を飛ばすと、調布から海外旅行をしやすくなる。まるでプライベートジェットを使うような感じで、「調布 → 成田 → 外国」というふうに簡単に旅行できる。海外出張の多い人にとっては、とても便利だ。(たとえば日産のゴーン社長は当時、ひんぱんに海外出張した。)
外資系の富裕層が調布飛行場のそばに住むようになって、調布の町が発展しそうだ。
国内便も、羽田に入りきれなかった分が調布に回ってくるので、国内便も増えて、調布が羽田周辺のように便利になる。航空交通の利便性が向上することで、土地の価格も上がる。「騒音でうるさいのがイヤだ」と思ったら、土地を高値で売って、よそに引っ越すこともできる。
「ちょっとうるさいぐらいなら我慢できる」という人は、国から騒音対策のお金をもらって、自宅を無料で防音工事をすればいい。これで何も困らない。
航路の直下の民家は、さすがにうるさいので、お金をもらって、買収してもらって、引っ越せばいい。
かくて誰もがハッピーになる。めでたし、めでたし。