2023年12月23日

◆ 交通事故を減らすには

 交通事故が多発している。これを解決するには、どうすればいいか?

 ──

 交通事故(特に人身事故)が多発しており、しばしば話題になる。

 (1) 福岡マラソン

 福岡マラソンで事故があった。
 福岡市で開かれた福岡国際マラソンで、選手が大会運営車両にはねられる事故があった。レース中に起きた異例の事故で、全国のマラソン大会の運営関係者に衝撃が広がった。
 大会の事務局によると、車両は選手の違反行為などがないかチェックする監察車で、折り返し地点で一時停止し、選手集団が通り過ぎるのを待って発進したが、その際に選手を見落としたとみられている。

fukuokamara.gif

( → レース中の人身事故、異例 福岡国際マラソン、運営車がランナーはねる:朝日新聞

 「キキー!!」
 大きなブレーキ音が聞こえた。
 前方を走っていた選手が、後ろからきた大会の運営車両にはねられ、前に転倒する姿が飛び込んできた。「ひかれた!」という声も聞こえた。
 沿道でレースを観戦していた医療関係者の男性(36)も、車のブレーキ音と「ドンッ」という鈍い音に驚き、慌てて目を向けた。1人の選手が車の右バンパーの先でうずくまっていた。
( → マラソン大会中に「ドンッ」選手が骨折 異例の衝突事故、なぜ起きた [福岡県]:朝日新聞


 (2) 轢き逃げ事故の統計

 轢き逃げ事故の統計情報がある。
 全国で、2013~22年の10年間に公訴時効が成立した死亡ひき逃げ事故が、少なくとも 103件に上ることが朝日新聞の全国の警察への取材でわかった。
 警察庁によると、22年に全国で発生した死亡事故は2550件。死亡ひき逃げ事故は99件だった。
 ひき逃げ全体の検挙件数は22年は4837件で、検挙率は3年ぶりに7割を切り、69.3%だった。
( → 死亡ひき逃げ、時効103件 10年間累計、朝日新聞社まとめ:朝日新聞

 では、どう対策すればいいか? 
 この記事では「厳罰化」や「時効延長」が提案されていたが、それは、すでに起こった事故の犯人を検挙するだけであって、轢き逃げ事故そのものを予防することはできない。
 また、轢き逃げではない (1) のような「うっかり事故」を予防することもできない。
 だから、「厳罰化」や「時効延長」をいくらやっても、交通事故の予防はできないのだ。
 では、どうすればいいのか? 困った。

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「自動ブレーキを普及させる」

 すでに何度も述べた対策だ。特に変哲もない。これを、地道に実施すればいい。
 ところが、現実には、政府はこの方針を取らない。マスコミも、この方針を取らない。かわりに、「厳罰化」「時効延長」などを提案する。そんなことをやっても、将来の事故を減らす効果はろくにないのだが。

 自動ブレーキの普及のためには、「高齢者には自動ブレーキを義務づける」ということが必要だ。また、マラソンのときの伴奏者などにも、自動ブレーキを義務づけるべきだ。こういうことを地道にやればいい。それでまさしく交通事故を減らすことができる。
 正しい方法はわかっている。ただし、政府にはそれをやる気がない。この「やる気のなさ」が根本原因だと言えるだろう。

 ※ かわりに自転車に交通切符を切る、というような対策をする。そんなことでは、たいして効果はないのだが。どうでもいいことばかりやっている。
  → 自転車反則金、26年にも導入 信号無視で5千〜6千円想定 - 日本経済新聞
  → 自転車「青切符」導入へ 反則金は5000円から1万2000円程度想定 | NHK

 効果がないどころか、逆効果になって、死者が増えてしまう、という指摘もある。
  → 自転車青切符は人が死ぬからやめたほうがいいよ



 [ 付記 ]
 高齢者に自動ブレーキ装着者を義務づけると、高齢者は中古車を買いにくくなり、新車購入が増えて、中古車購入が減ってしまう……という変化が生じそうだ。
 しかし、それはそれで問題ない。自動ブレーキの付いていない中古車は、高齢者でなく若者が使うようにすればいい。若者ならば、反射神経が優れているので、「反応の遅れによって事故が起こった」ということは、起こりにくいからだ。

 ※ 若者の交通事故率が高いのは、無謀な暴走をすることが理由であって、反射神経の鈍さが理由ではない。その意味で、自動ブレーキがいっそう効果があるのは高齢者であって、若者には自動ブレーキ車の必要性が低い。そういう傾向があるから、それに基づいて資源の最適配分をすればいい。(経済学における「最適配分」の問題だ。)



 [ 余談 ]
 関連する話題で、次の記事もある。
 警察庁は22日、大型トラックの高速道路での最高速度を、現行の時速80キロから同90キロへ引き上げることを決めた。最高速度の変更は初めて。物流の停滞が懸念される「2024年問題」への対策の一つで、警察庁は近く関係の道路交通法施行令を改正し、来年4月からの実施をめざす。
( → 大型トラックの高速道路での最高速度、初めて引き上げ 90キロに:朝日新聞

 一読して、「安全無視の変更はけしからん」と思ったが、実際には、現状の追認で、何も変更はないようだ。
 大型トラックには、90キロを超えては走れないようにする速度抑制装置の装着が義務づけられている。全国の高速道路で調査した結果、実際に出している速度(実勢速度)は87キロだった。

 90km/h 制限の装置も同じだし、実勢速度も同程度だろう。ほとんど何も変わらないはずだ。
 装置の上限を変更するとしたら問題だが、そうでないのなら、気にかける必要もあるまい。法の運用の差があるだけで、実態は何も変わるまい。

posted by 管理人 at 23:31 | Comment(0) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
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