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次の記事が指摘してる。
「高速道路のサービスエリアなどに設置されている急速充電器を使えばいい」とBEVに乗った経験がない人は思うだろう。確かにそうなのだが、そこに大きな問題が潜んでいるのだ。
現在、多くのサービスエリアやパーキングエリアには急速充電器が設置されている。しかしそのほとんどが出力40〜50kW程度の充電器なのである。
ではなぜ、40〜50kWの充電器では不十分なのか。
現在、急速充電器の利用は1回30分に限定されている。
50kWの充電器で30分充電しても100km分くらいしか充電できないのである。40kWの充電器なら80km程度だ。
1リットルあたり20km走るガソリン車にたとえるなら、30分かけても4〜5リットルのガソリンしか給油できない、という状況だ。仮に90kWの充電器を使っても10リットル程度しか入らないのと同じだ。
宿泊を伴う旅行でも、宿泊先にごく一般的な普通充電器しかなければ、1時間あたり約3kWhしか充電できない。8時間充電しても24kWh、120km分しか充電できないのだ。
さらに問題はあって、多くの充電スポットは充電器がひとつしかない。先客がいた場合、30分待ったうえ、充電に30分かかるので、1時間そのスポットで過ごさなければならないのだ。
だから売れないのである。
中大型BEVではテスラが売れているが、これもスーパーチャージャー網の存在という実用上の理由がある。
( → 日本に電気自動車が普及しない根本原因 30分かけてもガソリン4、5リットル分しか充電できない現状 | PRESIDENT )
充電所の体制がまったく駄目だから、日本では EV が普及しない、という指摘だ。
まったくごもっとも。
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ただし、実はこのことは、本サイトではずっと前に同趣旨のことを記している。
→ EV の急速充電の問題: Open ブログ(2022年04月22日)
→ 日本では EV の普及は不可能: Open ブログ(2022年02月17日)
日本の充電所はポンコツだから、とうていまともに充電できない。そして、その理由は、電力会社の参加の充電所会社が、ポンコツな充電所(充電設備)を強要するからだ。
結局、日本政府と電力会社がいっしょになって、ポンコツな充電設備を共用する。そういう制度ができている。(法制度もそうなっている。)
官民そろって、EV 普及の邪魔をしている。
※ 燃料電池車を普及させるために、EV の邪魔をしているのかも。
かくて、政府の方針で、日本では EV の普及を阻害している。結果的に、EV は普及しなくなり、EV メーカーは EV を売れない。政府の方針で、自動車会社を倒産ささせようとしているわけだ。
→ 高速道路の外で EV 充電: Open ブログ(2023年07月30日)
世界の流れは、テスラの充電規格の普及だ。日本でもそうすればいいのだが、日本政府は相も変わらず CHAdeMO というポンコツ規格にこだわる。これも EV メーカーを倒産させるためだろう。
しかも、である。上記記事によれば、政府は「高速道路の外で EV 充電する」という方式を容認することにした。これで、テスラ車ばかりが有利になり、CHAdeMO というポンコツ規格を採用する bZ4X や アリアはますます不利になる(だから売れなくなる)。
日本政府はもはや、トヨタや日産を完全に見捨てたようだ。ひどいものだ。
前出項目では、こう述べた。(要旨)
「経産省は、間違った産業政策で、日本企業の進むべき方向を誤らせた」
→ 日本企業はなぜ敗北したか: Open ブログ
ここでは、産業政策を間違えただけであり、意図そのものは「日本企業を繁栄させよう」というものだった。
しかしながら、EV については違う。「充電所の普及を徹底的に阻害する」という方針ばかりを取る。このことで日本 EV 産業を壊滅させようとする。そこには悪意しかない。徹底的に日本の EV 産業を壊滅させようとするのだ。
では、何のために? 電力会社の利権を守るためだ。古い CHAdeMO にこだわると、CHAdeMO の権益団体が繁栄する。そこに天下った電力会社 OB が有利になる。また、癒着している高速道路会社( NEXCO )の重役や OB も有利になる。……こういう利権を守るために、EV メーカーとしてのトヨタや日産は不利を強いられて、倒産に導かれていくのである。
これがつまりは、日本政府の産業政策だ。
