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有給休暇の取得は、法律で認められた権利だ。しかし現実には、企業の側が有給休暇の取得に難癖を付けて、なかなか取らせない、という状況がある。
その事例が話題にあんった。
→ 有給の申請理由で「私用」は駄目だってほざく会社なので - Togetter
ここには、事例が多数報告されている。(★)
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この問題は、実は、政府も認識していて、しばしば取り上げている。
→ 制度の概要│厚生労働省│都道府県労働局│労働基準監督署
ここでは、有給休暇の取得率が 48.8% (平成25年)であると指摘した上で、「もっと取りましょう」と勧奨している。しかし、労働者が徒労としても、企業が取らせてくれないのだ。そのことが上記の(★)でわかる。
別の調査では、有給休暇の取得率が 58.3%(令和4年)であるそうだ。これも厚労省の調査。
→ 有給休暇は取りづらい?取得率が低い原因と解決策
9年かけて、48.8% から 58.3% に向上したことになるが、まだまだ足りない。
では、どうればいいか? ネットで探ると、こうある。
「休みやすい職場環境を作りましょう」
ぷぷっ。冗談はやめてくれ。それで済むなら、誰も苦労はしないだろう。
では、いったいどうしたらいいのか? 困った。
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。以下の通り。
そもそも、企業が有給休暇を取らせないのは、取らせない方が儲かるからだ。有給休暇を取らせるというのは、働かないでいる社員に金を払うということだから、その分、賃金が上がることに相当する。
あるいは、同じことだが、有給休暇を取らせないということは、同じ給料で社員を無償労働させることに相当する。
つまり、有給休暇を取らないように仕向ければ仕向けるほど、企業は得をするのだ。企業が得をする制度があるからには、企業が得をするように努めるのは当然のことだ。
ここにおいて「法律では有給休暇を取る権利があることが規定されている」というような法律論を述べても、意味がない。「だったら法律を守らなければいいだけだ」と思うだけだ。
自民党の政治家だって、「政治資金規正法みたいなザル法は守らない方が得だ」と思って、法律を無視する。とすれば、企業だって、「有給休暇を取る権利を認める法律なんて、守らない方が得だ」と思って、法律を無視する。それが当然なのだ。
要するに、罰則の規定されて否法律は、有名無実なのである。これが根源だ。
そして、そう理解すれば、対策もわかる。こうだ。
「法律を守らない企業には、罰を科する」
では、どんな? 次の方式が妥当だろう。
「有給休暇の規定を守らない会社からは、労働者が逃げ出す。その分、失業保険の利用率が高まる。したがって、その補償金として、雇用保険料を上げる」
具体的に言おう。雇用保険料の会社負担分は、0.95% である。(一般の場合)
2023年4月から、料率がさらに0.2%引き上げられる方針です。今回は、労働者負担が0.5%から0.6%に、事業主負担分が0.85%から0.95%に上がります。
( → 雇用保険の計算方法や2023年の動向を解説!従業員の生活を守る方法とは )
このページによると、2022年4月1日から2022年9月30日には、労働者負担は 0.3% だったのに、23年からは 0.6% に倍増する。呆れた話だ。
それはともかく、企業負担分は 0.95% だ。この分を、可変的に引き上げればいい。次のように。
「有給休暇の取得率の低い企業は、退職して失業者になる率が高いので、雇用保険料の会社負担分を引き上げる。 0.95%から 1.8% ぐらいへ、ほぼ倍増させる」
このくらいの重い罰金をかけるといいだろう。
なお、可変的に、次のような料率にしてもいい。
・ 有給取得率 90% …… 0.5%
・ 有給取得率 70% …… 0.8%
・ 有給取得率 50% …… 1.2%
・ 有給取得率 30% …… 1.8%
このようにして会社負担分を引き上げれば、「そんな罰金を払いたくない」と思って、企業は法律を遵守するようになるだろう。
「罰則のない法律を守ろうとする人はいない」という原理を肝に銘じるべきだ。「法律を作れば、それでみんなが法律を守るようになる」と思うのは、考えがあまりにも甘ちゃん過ぎる。ほとんど子供のような幼稚な発想だ。
なのに、それを信じて、「法律があるから、有給休暇の取得率は高まるはずだ」と妄想する人が多すぎる。頭が単純すぎるというしかない。
【 追記 】
あとで計算し直したが、上の「罰金」の額は低すぎたようだ。このくらいの額では、「有休を取らせないで、社員をタダ働きさせる」方が、依然としてお得である。だから、あまり効果がない。
効果を持たせるには、「罰金」の額をもっと高める必要がある。最低でも、上記の倍額。できれば3倍ぐらいの額にするべきだ。そうすれば、企業は罰金が怖くて、どんどん有休を取らせるようになるだろう。
