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ドラえもんの主人公は、のび太だから、主人公の結婚相手はヒロインのしずかちゃんであるしかない。ハッピーエンドのためには、これしかない。……というのは原則的な話だが、それは作者の都合だ。(読者の都合もある。)
しかし、のび太に感情移入する男性読者はともかく、しずかに感情移入する女性読者からすれば、「出木杉くんでなく、のび太を選ぶなんて、ありえない」という思いに駆られるだろう。
→ 出木杉vsのび太 | 発言小町
たしかにそうだ。そこで改めて、次の問題を立てよう。
「しずかちゃんが出木杉くんと結婚しなかったのは、どうしてか?」
これに対して、ネット上の見解を探ると、次の3通りがある。
(1) のび太に美点がある。(人間的な優しさ)
(2) 出木杉くんに欠点がある。(人間的な優しさが足りない。)
(3) 出木杉くんが優秀すぎて、二人が釣り合わない。
順に見ていこう。
(1) のび太に美点がある。(人間的な優しさ)
「のび太に美点がある」「人間的な優しさ」というのは、もっともらしい理屈だ。作者もこれを古式見解としている。
未来のしずかちゃんが結婚式前夜に、お父さんから諭される場面がある。
「のび太君は人の喜びを喜び、人の悲しみを悲しむことができる。それが人間として一番大事なことだ」
それはそうかもしれないが、話がきれいごと過ぎる。現実の女性はそんな夢物語で男を選んだりしない。そうわかっているから、女性たちは上の説明に納得できないのだろう。
(2) 出木杉くんに欠点がある。(人間的な優しさが足りない。)
上の話の裏返して、「出木杉くんに欠点がある」「人間的な優しさが足りない」という説明もありそうだ。しかし、のび太に美点があるからといって、出木杉くんに美点がないということにはならない。出木杉くんは性格だって優秀なんだから、人間的な優しさだってあるはずだ。
ゆえに、この説明は、まったくのマトはずれだ。
(3) 出木杉くんが優秀すぎて、二人が釣り合わない。
二人が釣り合わない、という見解は、納得度が高い。特に、次の見解がある。
出来杉、しずかちゃんを選ばず白人美女と結婚してしまう
 ̄ ̄
実際しずかすごときが出来杉と釣り合うわけないいんだよな
 ̄ ̄
出木杉クラスの才能があったらクラスの可愛い子程度のしずかなんか選択肢に入らんやろ
 ̄ ̄
そりゃ出木杉君は雑魚共しかいないご近所レベルの女には興味ないさ
( → 【悲報】出来杉、しずかちゃんを選ばず白人美女と結婚してしまう | 超マンガ速報 )

二人が不釣り合いだという説は、かなり納得度が高い。しかしまだ、疑問がある。
「二人が不釣り合いだとしても、玉の輿を狙う女性は多いのだから、自分よりもはるかに上のクラスに属する上杉くんを、あえて選んでもいいのでは?」
この疑問に、私なりに答えよう。以下の通り。
(i)
しずかちゃんは出木杉くんにアタックされて拒んだのではない。二人の間には何もなかった可能性が高い。実際、しずかちゃんとのび太の結婚を描いた映画でも、しずかちゃんが出木杉くんにアタックされたというような話はない。
→ 【議論】しずかちゃんは出木杉くんではなく何故のび太を選んだのか??
出木杉くんは、しずかちゃんを好きにならなかったようだ。だったら、しずかちゃんが出木杉くんを選ぶということはもともとできなかったわけだ。その選択肢がなかったのだから。
(ii)
出木杉くんはあまりにも優秀すぎて、二人は不釣り合いだ。そこで「とにかくハイスペックの男と結婚したい」と思う女性もいるだろうが、しずかちゃんはもうちょっと賢明だったのだろう。だから、こう思う。
「こんなに頭のいい人だと、話も噛み合わないし、いっしょにいても楽しくない。むしろ気詰まりだ。この人はどうせ東大に入って、頭のいい女性たちに囲まれて、そういう女性たちと仲良く過ごすのだろう。そんなところに、馬鹿な私が入り込んでも、一人だけつまはじきにされて、疎外感を受けるだけだ。そんなみじめな思いは味わいたくない。あの人にはあの人にふさわしい女性がいる。それは私ではない。身の程知らずの結婚をして、あとでつらい思いをしたくない。むしろ同レベルの男と、楽しく笑える日々を送りたい」
二人が不釣り合いだという事実が理由だったのではない。二人は不釣り合いだとしずかちゃんが認識したということ(しずかちゃんの心理)が理由だったのだ。
仮にしずかちゃんが馬鹿な女だったら、出木杉くんを自宅に招いて、裸で風呂に入って、出木杉くんに裸を見せて、エッチして、できちゃった婚をするだろう。出木杉くんと、できちゃった婚だ。ダジャレみたいな結婚だ。しかし、結婚したあとで、頭のレベルの違いゆえに、話が合わずに、会話も進まない。出木杉くんの言っていることも、難しすぎて、理解できない。自分の頭の悪さを痛感させられるばかりだ。その一方で、出木杉くんのまわりにいる女性は優秀で頭がいいので、彼我を比べて、劣等感に苛まれるばかりだ。……こうなったら、悲劇だ。
しずかちゃんはそれほど馬鹿な女ではなかった。ちゃんと先を見通せた。だから、身の程知らずのような格差婚を選ばなかった。むしろ、自分には自分にふさわしい男がいると見抜いた。その相手が、のび太だったのだ。
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結局、出木杉くんは、白人女性と結婚した。たぶん、大学は米国に留学したのだろう。そのまま米国で就職して、ハイスペックの白人美女と出会って、ハイスペック同士で結婚したのだろう。それが最も自然な姿なのである。
※ 思えば、ダルビッシュも、ただのタレント美女と「できちゃった婚」をしたが、遠からず別れて、新たな相手を選んだ。その相手は「世界女子選手権で優勝4回」という超ハイスペックのスポーツ選手だった。(ちなみにダルビッシュが世界一になったことは一度もない。)……ダルビッシュにはふさわしい相手がいる。その相手といつかは結ばれるようになる。なのに、あまり賢くないタレント女性だと、「ダルビッシュは超優秀。不釣り合いだとしても、誘惑して、できちゃった結婚すればいいわ」と思い込む。しかし、しずかちゃんは、そうは思わなかった。しずかちゃんは賢かったからである。
って、ワールドシリーズのことですね。すみません
自分の人生とも重ね合わせて、色々考えせせられました。
自分なりに解釈してみたい話題ですね。
知性と克己と地位と金はあるけれど、(女性が求める意味での)本質的な共感がないので出木杉でしょうか。
ダメな女が出木杉と結婚したら、
知性と克己と地位と金があるくせに、私の気持ちがわからない糞だとか言いそうです。
それはダルビッシュじゃなくて、チームジャパン(侍ジャパン)
野球で名実とも世界一(ただ一人)と言えるのは、大谷だけでしょう。あとは、MLB の MVP とサイヤング賞ぐらいか。チームは対象外。
(誤)出来杉
(正)出木杉
ちなみに、私が思いついた説は、
@ しずかちゃんの本名は「源静香」なので、明らかに「静御前」を意識した名前になっている。
A ということは、しずかちゃんも判官びいき≠ニなるはずなので、出木杉君よりはのび太のほうを選んでしまった、すなわち、過去からの因縁というか、日本人特有の判官びいきの気質を背負わされたことによってそう選ばされた、というものです。
(以下、参考サイトとその要旨)
<要旨抜粋>「判官びいき」という言葉は室町時代末期に出来上がっていたというが、古くから日本人の心の中には、弱者に加担する心理が十分にあった。菅原道真に纏(まつ)わる説話や『忠臣蔵』などが読み継がれてきたのも同様の心理によるであろう。それは現代人にも受け継がれている。だから、我々はいじめられているのび太がジャイアンを懲らしめる場面を見ずにはいられなくなるのである。一話読みきりの話に興味を示してもらうためには、はじめの取っ掛かりが大事だったのである。読者が否応にも引き込まれる日本人的心理を藤子不二雄は知っていて、その仕掛けの痕跡をしずかちゃんの名前にそっと忍ばせたことが、彼の密かなる読者へのメッセージなのだろう。
https://www.ndsu.ac.jp/blog/article/index.php?c=blog_view&pk=157526228174fcb5cedf520cb6a7216027d30d8d26&category=&category2=
静御前は、のび太 みたいな馬の骨には引かれず、出木杉2 みたいな存在に引かれました。