2023年12月01日

◆ ヒグマ被害とドングリ不足

 ヒグマの話題を三つ。人間への被害が大きいことと、ドングリ不足の問題と、その対策。

 ──

 人間への被害


 ヒグマの問題では、人間への被害が大きいそうだ。
 ツキノワグマに襲われ、救命救急センターで治療を受けた人のおよそ9割が顔面にケガを負っていることが、朝日新聞の集計でわかった。治療に携わる医師はクマによる外傷について、「ナイフよりも鈍器に近い性質で、組織をえぐりとる」と話す。
 眼球摘出に至るケースもあり、命が助かっても顔に傷や後遺症が残るリスクがあるという。
環境省が今月1日に公表したクマの人的被害状況(速報値)によると、今年は10月末までに全国で180人が被害にあった。記録の残る2006年以降で過去最多となっている。
 クマは人を襲うとき執拗(しつよう)に顔を狙う習性があると言われている。
 54人の症例のうち、目や鼻など顔面に傷があったのは48人で9割弱を占めた。
( → クマによる傷、顔面は9割 眼球摘出の例も 医師「ナイフより鈍器」:朝日新聞

 いかにも残酷である。「ヒグマの被害など、放置してもいい。ヒグマを殺す方がけしからん」というような動物愛護主義だと、人間に対してひどく苛酷な方針になってしまう。

 ※ 180人という数はあまりにも多い。京アニの事件をはるかに上回る被害者数だ。

 ※ 被害の一例。
    → クマにひっかかれ、顔半分の皮がはがれ落ちる : 読売新聞

 ※ 逆に、ヒグマを撃退した勇者の事例。
    → 迫るヒグマ、消防隊員はなぜ生還できたのか 一か八か、捨て身の攻撃 [北海道]:朝日新聞


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 ドングリ不足


 ヒグマによる被害が今年に限って特別に多いのは、今年がドングリの不作となる年だからだ。
 そこでアイデアを出す人がいる。(朝日新聞・声欄 2023-11-29 )
 「ドングリが不足するのは、広葉樹林が減って、針葉樹林(杉人工林)ばかりが増えたからだ。そこで、杉人工林を減らして、広葉樹林を増やせばいい。そうすれば、ドングリが増えるので、ヒグマは植えることもなく、人里に出て人を襲うこともなくなる」
 という趣旨。(要旨)

 これは名案に見える。しかし、残念ながら、これはピンボケだ。ヒグマにとってドングリは不足しているわけではない。実際、ヒグマの個体数(総数)は近年、どんどん増えている。
 ではなぜ、今年に限ってヒグマは飢えているかというと、今年に限ってドングリが不作だからだ。そして、ドングリが不作であるのは、人間による環境への悪影響が原因ではなく、ドングリの生存戦略なのだ。前に説明したとおり。
 「凶作の時は食べるものがなくて天敵が死んで数が減る。次に豊作の年が来ても、天敵はすぐに数を増やせないため、どんぐりを食べ尽くせない。生き残るどんぐりが増える利点があるといわれている」

 唖然としたね。凶作になって熊が困っているのかと思ったら、実は、それは偶然の産物ではなくて、ドングリの意図的な戦略だった。ドングリは、食い尽くされないために、あえて凶作にして、熊を飢え死にさせているのである。
( → 熊を殺してもいいか? : Open ブログ

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 対策は? 


 ドングリの不作がドングリの生存戦略であるとすれば、ドングリの不足への対策は、広葉樹林を植えることではない、とわかる。では、かわりにどうすればいいか?
 それについては、前に提案したことがある。ヒグマ・パークをつくり、そこで隔離しながらエサを与えることだ。
   → ヒグマ・パークをつくれ: Open ブログ
   → ヒグマ、大量餓死の危機: Open ブログ

 さらに、次の方法もある。
   → ヒグマにゲームをさせよ: Open ブログ
 ヒグマに「宝探し」のような「エサ探し」をさせて、そのことで人里に向かうようなことを回避させるのだ。

 ともあれ、ヒグマを人里から遠ざけるには、人里から遠いところにエサを置けばいい。はるかな山奥にバターやドングリなどを(こっそり)置けば、ヒグマは山奥でそれを漁るから、ヒグマが人里に近づくこともなくなる。


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 ※ ただし、毎年ではない。エサを与えるのは、ドングリが不作の年に限る。



 [ 付記 ]
 「ヒグマに人里でエサを与えると、ヒグマがエサを求めて人里に近づくようになるので、まずいことになる。だから、ヒグマに(人里で)エサを与えないでください」
 と関係者は警告する。

 だが、それを逆手に取れば、被害を減らすこともできるのだ。
 「ヒグマに山奥でエサを与えると、ヒグマがエサを求めて山奥に近づくようになるので、好ましいことになる。だから、ヒグマに(山奥で)エサを与えましょう」というふうになるのだ。

 単に「エサをやるまい」というだけでは、ヒグマの被害を減らせないのである。それは「北風」のような方針だからだ。むしろ「太陽」のような方針を取れば、ヒグマを人里から遠ざけることができるのだ。(山奥に招くことで。)
 






posted by 管理人 at 23:03 | Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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