2023年12月01日

◆ 核廃棄物の保管場所

 核廃棄物の保管場所の適地は、日本国内のどこにもない……という指摘が出た。地学の専門家による指摘。

 ──

 朝日新聞の記事にある。
 「核のごみ」の最終処分をめぐり、10月末、「日本に適地はない」とする声明を地球科学の専門家有志が発表した。
 地殻変動の激しい日本では、10万年にわたり地下に閉じ込める「地層処分」に向く場所は選べないとし、抜本的な見直しを求める内容だ。
 声明は「地球科学を学ぶ者にとっては、容易に理解できること」とも言い、300人以上が賛同者に名を連ねた。
 「地学を専門とする私たちの責任で意見を示そうと取り組んできた。議論を喚起したい」と呼びかけ人の一人、赤井純治・新潟大名誉教授は記者会見で語った。
 声明は、安定な場所を選び出すのは「現状では不可能」だと指摘する。岩盤は不均質で亀裂も多く、地震活動も活発だ。直撃を受ければ、岩盤のすき間の地下水に放射性物質が漏れ出す。しかし、岩盤の変化や地下水の流れを長期にわたり予測することはできないという。
 10万年たったとき、結果的に安定していた場所はあるかもしれない。しかし、それがどこなのか、事前にはわからないとの主張だ。
( → (e潮流)核のごみ、専門家指摘の重み 佐々木英輔:朝日新聞

 言っていることは間違いないのだろうが、代案がない。「ではどうする?」という問いに、答えられない。
 「原発を再稼働しなければいい。原発を廃止すればいい」
 という声もありそうだが、たとえ原発を廃止しても、過去の核廃棄物を消すことはできない。過去の核廃棄物は、今も日本国内で一時保管されている。
 「選ぶことは不可能だ」と声明して、「抜本的な見直しを求める」というが、そんな「名案がタナボタで空から降ってくる」というのを望むのは、無責任すぎる。(空から女の子が降ってくるのを待つようなものだ。)

 そもそも、日本国内に適地がないというとは、最初からわかっているんだよ。理想などは存在しない。そして、そのなかで、「少しでもマシな選択肢を取る」というのが、政治の役割だ。だからこそ政治家は頭をひねって知恵を絞り出そうとする。
 そういう状況で、「どの場所を選んでも理想的ではない」と言って全否定するのは、馬鹿げている。そんなことだと、「だったら東京のど真ん中に核廃棄物を置けばいい」と言われても、反対できなくなる。狂気の沙汰だ。

 ──

 では、どうすればいいのか? 日本国内のどこにも適地がないのなら、いったいどうすればいいのか? 困った。どうする?

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。というか、その案は、すでに出している。下記だ。
  → 核廃棄物の捨て場:無人島: Open ブログ
 ここには、こうある。
 「地下水脈が汚染される危険があるのなら、それを前提として受け入れる。地下水脈が汚染されない場所を捜すのではなく、地下水脈が汚染されても構わない場所を捜す。それは、無人島だ」

 これは、声明の懸念への回答となっている。
  岩盤のすき間の地下水に放射性物質が漏れ出す。しかし、岩盤の変化や地下水の流れを長期にわたり予測することはできないという。

 声明はこう懸念した。「地下水が漏れ出す。大変だ」と。だが、地下水が漏れて大変なのは、日本の本土だけだ。一方、本土を離れた離島では、地下水が漏れても問題ないのである。どうせ周囲は太平洋なのだから。

 ──

 声明は「適地は国内のどこにもない」と述べた。ならば、「国内ではなく国外を選べ」というのが結論となる。ただし、国外は、日本の主権が及ばない。となると、「法的には日本の国内だが、地理的には日本の国外である」という場所を選ぶしかない。そんな場所はあるか? ある。それが、太平洋の彼方の無人島だ。
 具体的な場所は、先のリンク先に示してある。再掲する形で列挙すると、こうだ。
 小笠原諸島の兄島、弟島、姉島、妹島、姪島。
 硫黄島、南硫黄島、歯舞諸島 (ロシアとの係争地)、久場島


 このような土地を選べば、核廃棄物の最終処分場になる。



 [ 付記 ]
 さらに考察すべきことがある。
 最終処分場では、「核廃棄物をそこに放置する」というつもりであるようだ。だから、「10万年もたてば、地下水に放射性物質が漏れ出す」ということを想定している。
 だが、「放置する」のでなく、「管理する」ことにすればいい。
 つまり、自動モニターしながら、少しでも「漏れ」が発生したら、「漏れ」への対処をすればいい。方法はいろいろとある。
 (1) (フロート式の)容器を移動して、容器を別所で修理する。
 (2) 容器を移動せずに、その場でロボットで修理する。
 (3) 容器を「マトリョーシカ方式」で包み込む。
 「詰め替えがうまくできないのだから、詰め替えをやめる。そのかわり、ケースの全体を、新たな(大きめの)ケースですっぽりと覆う」
 この方式を「マトリョーシカ方式」と呼ぶ。
( → 放射性汚泥の詰め替え: Open ブログ

matryoshkas.png


 こういうふうにすれば、問題は解決できる。
 単に「何でも反対」ではなく、解決策を出すことが大切だ。単に反対するだけだと、「学者馬鹿」となる。自分の専門知識をひけらかすだけで、結果的には最悪の状況を選ぶことになる。利口ぶっているが、現実のことがまったく見えていない。
posted by 管理人 at 22:18 | Comment(3) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
包括的燃料サービス(CFS)なるものが10年前くらい前に記事になったりしてましたが、全然話題にも上がらなくなりました。
Posted by ホホイ at 2023年12月02日 05:45
もう50年ほど前ですが、衛生工学の研究室でガラス固化体を水中に入れて、固化体内部に閉じ込めた物質(放射性物質ではなかった)が溶け出す量を測定しておられました。ガラス固化は高価すぎるのでしょうか。
 火山性でない離島を廃棄場所にする案はだいぶ前から検討されています。韓国には離島がないので日本以上に困っています。竹島を日韓共同廃棄場所にするのはどうでしょうか。竹島は近すぎるかな。
Posted by ひまなので at 2023年12月02日 10:17
核廃棄物の処分場っていうとオンカロのことを思い浮かべる人が多くて、それと同じものを日本にって考えたら、そりゃ無理ですね。
なので、この記事のような発想を変えるってことが必要なんだとだと思います。

その方向で、かなり発想が変わるのですが、核廃棄物を10万年閉じ込めるってのが、あまりに現実性が無いので、10万年を短くする方法が無いか?って発想だと、まだ実現を目指している段階ですが、核破砕反応を起こして放射性廃棄物の半減期を短くする方法があるようです。
Wikipediaですが、以下に説明あります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E9%80%9F%E5%99%A8%E9%A7%86%E5%8B%95%E6%9C%AA%E8%87%A8%E7%95%8C%E7%82%89
大雑把ですが、10万年→100年ってことが可能になれば、この技術を実用化を目指す方が、現実的なのでは?と思います。
私もこの方面の専門家ではないので、じつは実用化上の難しい課題があるのかもしれませんが、Wikipediaの説明を見る限り、近い将来実現しそうに思えます。
Posted by じみんとうを!ぶっこわーっす! at 2023年12月02日 23:03
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