──
無料で設置するというが、どういうことかと思ったら、こうだ。
「他人の土地の軒先を借りる方式で、設置費用は会社の負担とする。費用の回収は、利用者の電気代をあてる」
要するに、缶飲料の自販機みたいな方式だ。詳しくは下記。
→ 都内1000か所に超急速充電器を無料設置、テラチャージが業界初の新プラン発表 | レスポンス
→ 東京都で高出力急速充電器「1,000カ所無料設置」への期待とお願い - EVsmartブログ
さて。私は前に、「日本の EV 政策は、充電所が圧倒的に不足しているのが問題だ」と批判した。
→ 日本では EV の普及は不可能: Open ブログ
→ EV 普及と充電所不足: Open ブログ
こういうふうに「充電所が圧倒的に不足している」という問題があった。では、上記の「 1000台を設置」という方針で、この問題は解消するか?
もちろん、これは「都内だけ」だから、都内以外では解消しない。それは当然だ。
では、少なくとも都内に関しては、問題は解消するか?
とりあえず、数の点では、問題は解消しそうだ。だが、ポイントは数ではない。質だ。
そこで、調べてみた。すると、情報によると、「今回の方式は、CHAdeMO らしい」と判明した。というのは、この事業をやる会社である「テラモーターズ」という会社は、CHAdeMO の機械を設置しているだけだからだ。
というか、そもそも、本来のやるべき「テスラ方式」というのは、技術上の問題で、テスラ社でしか製造していないようであるからだ。(少なくとも現時点では。)
しかし、CHAdeMO は旧式規格である。トヨタや日産は北米ではテスラ方式を採用する。日本も遠からず方針転換するだろう。となると、前時代の遺物(CHAdeMO)は、時代遅れとなって、取り残される運命にある。こんな機械を今から 1000台を設置しても、数年後にはゴミになるだけだ。ほとんど意味がない。
そもそも、最初からテスラ車は利用できないのだ。急速充電可能な EV のユーザーの大半はテスラ車なのに、その大半の車が利用できないのだ。これではナンセンスというものだ。
( ※ アダプターを使えば利用することはできるが、そんな手間をかけるのは面倒だ。むしろ、テスラの充電所で 250kW 充電をするだろう。都内であれば、テスラの充電所はたくさんあるからだ。)
──
結論。
大量の充電所を設置するという方針は悪くはないが、設置するのが時代遅れの CHAdeMO では意味がない。CHAdeMO でも 150kW の急速充電はできるが、「できる」というだけであって、あれやこれやと不便な点が山積みとなっている。こんなポンコツ規格の設備を使う気にはなりにくい。遠からず、ゴミになるだろう。
だから、今から設置するのならば、テスラ方式でやるべきだ。ただし、それをやるとしたら、今すぐではない。日本車 EV がテスラ規格を採用したあとのこととなる。その意味で、今は時期尚早だ。焦って大量設置すると、事業破綻・倒産の危険もある。今のところは、やめた方がいいだろう。
[ 付記 ]
どうせやるなら、高速道路の充電所を拡充するべきだ。高速道路の充電所は不足しているからだ。そもそも、設置に制限がかかって、まともに設置できない状況となっている。それというのも、e-Mobility Power という会社が、規格を制限しているからだ。
こういう状況だから、上記の会社(テラモーターズ)がまともな充電機器を設置したくても、設置できない。
このような状況を制度改革する(というか e-Mobility Power という会社を是正する)ことの方が先決だろう。問題のありかを、認識するべきだ。
→ 日本では EV の普及は不可能: Open ブログ
