2023年11月28日

◆ 大学病院の値上げ

 大学病院などの高度病院では、初診料が大幅に引き上げられる。特別加算金が 7000円以上になる。

 ──

 朝日記事が報じている。来年から大幅値上げになる病院が多くあるそうだ。
 患者が紹介状を持たずに大病院を受診した場合に支払う「特別料金」を引き上げる医療機関が相次いでいる。国の制度変更に伴い、料金を7千円以上に設定しなければならない施設の対象が広がったため。知らないままに受診に訪れた患者にとっては思わぬ負担を求められる可能性がある。
 国立病院機構「奈良医療センター」(奈良市)では、来年2月から初診時の特別料金を1650円から5350円増の7千円に引き上げる。愛媛県立今治病院(今治市)も来年以降、1650円から7千円以上に引き上げる予定。埼玉県にある春日部市立医療センターは特別料金を徴収してこなかったが、来年2月から7700円と設定した。
( → 初診7000円超へ、大病院引き上げ次々 紹介状なく受診するとかかる「特別料金」、対象拡大:朝日新聞

 本サイトでは先日、このような値上げを推奨した。
 「初診料を 5000円から、倍額の1万円ぐらいに引き上げる。さらに、毎度毎度の受診料も数倍ぐらいに引き上げる。つまり、初回だけでなく、毎度毎度の、特別加算金を徴収する」
 このことで、二つのことが同時に達成される。
  ・ 病院は、増収となる。
  ・ 患者の数は、減少する。(満員にならない。)
( → 大学病院の賃金カット: Open ブログ

 この提案が、早くも実現されつつあるようだ。
( ※ 実は、制度改正がなされたのは昨年 10月なので、本項の提案よりも1年以上早い。)

 ──

 では、これで解決か? いや、そうではない。
  ・ 7000円という額は、1万円という推奨額より低い。
  ・ 初診時以外には、毎回の加算金が徴収されない。


 この分だと、患者数を抑制する効果は少ないだろう。
 患者側からは「念のために大きな病院に診てほしい」といった要望が根強い。

 こういう要望が多いのだから、「どうせ同じ金を取られるのならば、高度な医療水準の病院に行きたい」と思うのは、人情だ。高いのが初回だけなら、「高度な病院で」という需要はなかなか減らないだろう。かくて大病院は混雑する。医者は過労死する。

 ──

 自動車ならばベンツは高価格だし、料理店なら超一流店では高価格だ。ところが病院だけは、大病院でも小病院でも同一料金となる。それだったら多くの人は「大病院へ」と行きたがるものだ。
 とすれば、初診料以外の通常料金でも、大病院では料金を上げるべきだろう。個別の医療の値段を上げてもいいのだが、それだと健保の理念に反するとされて、反対が多いだろう。だから、医療とは別に、毎回の受診時に固定の特別加算金を徴収すればいい。「毎回、1000円の特別加算」というふうに。

 私の提案では、もともとそれが含まれていたのだが、政府の制度にはそれが欠けている。これでは効果が低い。やはり、私の提案したとおりにするべきだ。

 ──

 そもそも、「ただの軽い症状でも、大病院に行こう」というふうに思うのは、金持ち階級だけである。食事でも学校でも、何でも一流にしたがるから、病院も一流にしたがるわけだ。
 一方、普通の庶民は、往復の電車賃をかけてまで大病院にまで行こうとは思わない。身近な町医者にかかる。
 だから、大病院で特別加算金を取ることにしても、それで困るのは金持ち階層だけだろう。普通の庶民にはあまり影響しない。

 「庶民だって大病院で大手術をすることがあるぞ」
 という反論もありそうだが、大手術なら、数万円もの出費になるはずだ。それに対して、通院1回あたり 1000円の特別加算金を取られるとしても、比率としては大きくはなるまい。せいぜい1割増ぐらいだ。
 では、比率が大きくなるのは、誰か? 「医療費は 1000円なのに、特別加算金が 1000円だ」というような、軽症の人だ。こういう軽症の人だと、料金が一挙に倍増する。そして、軽症なのに大病院に行くのは、金持ち層が多い。だから、こういう人からは、どんどん特別加算金を徴収すればいいのだ。
 それを大病院の勤務医の人件費に投入すれば、いろいろと状況が改善するというものだ。



 [ 付記 ]
 「それでも料金の値上げはイヤだ」
 と思う人も多いだろう。だが、料金の値上げを拒むなら、健保の保険料が値上げになる。実際、すでに今春から値上げしている。
  → 2023年4月納付分から社会保険料が値上げ!
 この調子で、さらにどんどん値上げすることになるだろう。
 さらに、その上、別の名分でこっそり値上げすることになりそうだ。
  → 少子化対策の財源、医療保険料に上乗せ徴収案 こども家庭庁提示:朝日新聞

 かくて、あれやこれやという名分で、医療保険料がどんどん引き上げられていく。その負担比率は「低所得者ほど負担が大きい」という形だ。
  → 年収の壁(106万円) .2: Open ブログ
 それに比べれば、「主に高額所得者が負担する」という形の本項の案の方が、まだマシというものだろう。

 ※ ケチって少額の負担を拒むと、別口で多額の負担を強いられる、ということだ。ケチると、かえって損する。



 【 関連項目 】

 → 大学病院の賃金カット: Open ブログ





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posted by 管理人 at 22:29 | Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に [ 付記 ] を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2023年11月29日 08:42
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