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そういう疑問を感じる人が多いだろう。そこで、答えよう。(調べた結果だ。)
サム・アルトマンは、天才技術者ではない。彼は技術者ではなくて、投資家だ。その点では、ジョブズやゲイツとはまったく異なる。
ゲイツは非常に優れた技術者であり、技術的知識でも他者を圧倒できるほどの能力をもっていた。IQ は滅茶苦茶に高かったと推定される。
ジョブズはそれほどではなかったが、技術の細目を理解して全体を一人で統率できるほどの圧倒的知性をもっていた。さらには、天才という名にふさわしい「洞察力」を備えていた。マッキントッシュでパソコンの方向を定めると、Windows はその物真似をするだけだった。iPhoneでスマホの方向を定めると、Android はその物真似をするだけだった。ジョブズはそれほどにも圧倒的な洞察力を備えていた。
では、サム・アルトマンは何をなし遂げたのか? 細かな技術について指導することはできなくても、大枠を決めて方向性を示すことについては卓抜な才能を持っているようだ。その意味では、イーロン・マスクに近い。
イーロン・マスクは、「 EV は正しい」「将来の自動車の本流は EV だ」と見抜いた。自分自身はその分野において細かな専門的な技術を知っていないが、「これが正しい道だ」と見抜いた。そして、その道を突き進んだ。自分の金を投じ、仲間の金を募って、自分の信じる道を突き進んだ。細かな専門的な技術については、多数の優秀な技術者を招いて、彼らに委ねた。……ここでは、経営的能力も大事だが、投資家としての業績があったことになる。(その金がなければ何も生じなかった。テスラも、スペースX も、スターリンクも。)
サム・アルトマンも同様だ。「 GPT は正しい」「将来のAIの本流は GPT だ」と見抜いた。自分自身はその分野において細かな専門的な技術を知っていないが、「これが正しい道だ」と見抜いた。そして、その道を突き進んだ。自分の金を投じ、仲間の金を募って、自分の信じる道を突き進んだ。細かな専門的な技術については、多数の優秀な技術者を招いて、彼らに委ねた。……ここでは、経営的能力も大事だが、投資家としての業績があったことになる。(その金がなければ何も生じなかった。OpenAI も。)
以上のことからして、アルトマンの業績は、イーロン・マスクと同様で、経営者や投資家としての業績だった(いわば船の船長としての業績だった)、と言えるだろう。
その際、船長は、船の進むべき道を示すだけだった。船が進むための船の構造についてまでは知らなかった。船の構造についてもすべてを知り尽くして、船の構造の細目にまで口を出した、ゲイツやジョブズとはまったく別のタイプのリーダーだ、と言える。
この意味で、双方が別々のタイプであることを、理解するべきだろう。
ただし、上の話だけでは、漠然とした印象論であって、「どうしてそうなのか?」が説明不足であると思えるだろう。「いったいどうしてそういう結論になるんだ?」と納得できない人も多いだろう。
そこで、さらに説明しよう。
そもそも、OpenAI は何をなし遂げたか? ChatGPT を開発したことだ。では、その ChatGPT の飛躍的な能力は、どこからもたらされたか?
通常、飛躍的な進歩は、飛躍的な発見( or 独創的理論)がなされたことによって生じる。DNA の発見であれ、相対性理論の構築であれ、万有引力の法則であれ、飛躍的な発見( or 独創的理論)がなされたことによって生じた。
ChatGPT はどうか? その飛躍的な能力は、何らかの新発見や新理論によってもたらされたのではない。量の拡大を少しずつ進めていったら、突発的に、質的な急上昇が起こったのだ。
→ 生成AIの飛躍的性能アップの秘密「グロッキング」とは? - GIGAZINE
この件については、本サイトでも言及したことがある。
→ 言語 AIの急激な発展: Open ブログ
一方で、ChatGPT の原理であるいくつかの手法や、その最大の貢献をもたらした Transformer という手法は、Google の技術者が発明して無償公開したものだ。
Transformerは、Googleが発明し、2017年にオープンソース化したニューラルネットワークアーキテクチャーだ。Googleによると、興味深いことに、ChatGPTの基盤となる言語モデル「GPT-3」もTransformer上に構築されているという。
( → ZDNET.com )
要するに、原理は Google の技術者が開発して、それを Google がオープンソース化して、提供した。
それを利用して、Google もどんどん研究を進めたが、アルトマンは「 Google の速度は遅すぎてまだるっこしい」と思ったのだろう。「ここは一挙に進めるべきだ。そのためには、ここで莫大な巨費を投入して、大量のコンピュータを一挙に稼働させるべきだ」と判断したわけだ。
一つの研究分野に途方もない巨額の金を投入するというのは、Google の経営者には暴挙としか思えなかった。だから Google はそれには踏み込まなかった。しかしアルトマンは違った。「ここは一挙にやるべきだ」と判断して、自分の金を投じ、仲間の金を募って、GPT のために莫大な巨費を投入した。そのことで、量的な変化が質的な変化をもたらしたのだ。
「 10倍の金を投入しても、10倍の成果が上がるだけだろう」と Google の経営者は思ったのだろうし、他の人々もみんなそう思った。しかし、アルトマンは違った。莫大な巨費を投入すれば、何か途方もないことが起こるだろうと見抜いていた。そして、その結果は、彼の予想した以上に、とんでもないことが起こったのである。
※ それはいわば、(数学用語の)「カタストロフィ」のような変化だった。(詳細は略。)

OpenブログがOpenAIと結びつくことを見通しておられたのなら、管理人さんもとんでもない天才ですね。
2000年代には主流に近くなった。人工知能の分野では初心者でも学ぶようになった。専門分野の基礎知識なので、とんでもない天才と言うほどでもない。
絵画については特にそうで、特徴抽出とパーセプトロンは切っても切れない関係だ。かなり初期からわかっていた。
むしろ、言語とパーセプトロンの関係が難しかった。なかなか発展しなかったが、Transformer の出現で、一挙に飛躍的に向上した。
だれでも良いものは真似をしたくなるし、影響を受けて使いたくなるのが世の常・・・
その逆が「独裁的」で、世界にいるあちこちの独裁者みたいなタイプです。
ブログの名前に「反独裁」みたいな名前を付けるのは不自然なのですが、基本精神の象徴みたいにしました。
アルトマンもたぶんそういう精神をもっているのだと思います。だから、投資家なのに金儲けを目的としないで、非営利組織の所有にした。また、自分のいうことを聞く人を取締役にしないで、自分を批判するような人を取締役にした。
こういうことは、イーロン・マスクみたいに独裁者気質を持つ人とは正反対です。アルトマンはジョブズの「現実歪曲空間」を反面教師として、その逆を行こうとしたのでしょう。そのせいで、今回の解任劇というドタバタを招いてしまった。
あまりにも善人すぎた、ということかも。過ぎたるは及ばざるがごとし。とはいえ、最後は多数の味方が助けてくれた。日頃の行いが良かったからでしょう。