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障害者雇用が近年、IT分野で進んでいるそうだ。従来の身体障害者とは別に、発達障害者については、当てはまる。それというのも、「パソコンと向かい続ける」という勤務形態が、発達障害者と相性がいいせいらしい。
発達障害のある人をIT分野で採用しようとする動きが、国内企業で増えている。環境が整えば、集中力や突破力などの強みが生かせるケースも多く、障害者にとって職業の選択肢が広がる面もある。
JPTの成川潤社長は「数合わせではなく、どうすれば付加価値の高い仕事をしてもらえるかを考えた」と話す。
給与水準も「ITエンジニアの相場に合わせている」(成川社長)といい、着実に高度な技術をもつ人材を採用できているという。
30代男性は……「自分の障害特性である『こだわりの強さ』が生きていると思う」という。「好きだったパソコン、プログラミングの技術を生かし、楽しく充実した働き方ができている、仕事で貢献出来ている、という実感がある」
オムロンは……20代男性……は「プログラム作成は部門でトップクラスのスピード。職場からは手放せない人材という声があがっている」
同社は1970年代から障害者を積極的に採用してきたが、……達障害などがある技術者の採用に取り組み始めた。
( → 発達障害ある人「手放せない人材」 IT分野、集中力や突破力に強み:朝日新聞 )
このような傾向は好ましいことだと言える。では、それで十分か? いや、十分ではない。
就職率には課題が残る。22年度の発達障害の人の就職率は36.8%で、障害者全体の43.9%より低かった。
36.8%であれ、43.9%であれ、いずれも数値が低すぎる。これでは企業の社会的責任を果たしていないと言える。
一方で、このような状況を放置しているのは、企業が悪いというよりは、国の制度が悪いせいだと言える。では、どうすればいいのか? 困った。
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。以下の通り。
そもそも現状は、(文中にもあるように)ただの「数合わせ」になっている。法定効用率を高めるために、障害者を低賃金で雇用して、子会社で農作業や雑用などをやらせて、それで形だけ「雇用しています」というふうにする。これでは、せっかくの労働力が無駄になるし、もてる能力が発揮されていないことになる。生産性も低下してしまう。愚の骨頂だ。
そこで、このような「数合わせ」をなくすように仕向ければいい。では、そのためには、どうすればいいいか?
それは、簡単だ。「数合わせをせよ」という現行制度を廃止するだけでいい。現行制度では、「法定雇用率」という形で、従業員に対する一定比率で、障害者雇用を義務づけている。
2023年は法定雇用率を2.3%に据え置き、2024年から2.5%、2026年から2.7%と段階的に引き上げられます。 また、教育委員会を除く、国および地方公共団体については3.0%に設定しています。
こういうふうに「数合わせ」を義務づけているから、企業や団体は「数合わせ」をしようとする。結果的に、低賃金労働ばかりが増えることになり、生産性の低い仕事ばかりが増えることになる。国の制度そのものが、「低賃金・低生産性」を推奨しているわけだ。愚の骨頂。
だから、そのような現行制度を廃止すればいい。それで問題は解決する。簡単だ。
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とはいえ、話はそれで済むわけではない。現行制度を廃止したあとは、どうすればいい? それがわからないと困る。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「労働者の人数ではなく、労働者に払う賃金総額で規制すればいい。たとえば、人数を 2.3%に指定するのではなく、賃金総額を 2.3%に指定する。この場合、低賃金労働者が増えると、人数は 2.3%よりもずっと多くを雇用しなくてはならないので、企業としては損をする。逆に、高賃金労働者が増えると、人数は少なめで済むので、企業としては損をしない。かくて、賃金が自動的に上昇して、生産性も自動的に上昇する」
これこそ、うまい案だ。困ったときの Openブログ。
[ 付記 ]
さらに、実効性を上げるためには、次の手段を併用するといい。
「未達成企業については、未達成分の全額を没収する」
たとえば、2.3% の賃金総額の指定(義務づけ)に対して、1.5% しか達成していなかったとしよう。その場合には、未達成の率が 0.8 になるので、それに相当する金額を国が没収すればいい。
こうすれば、企業としては、「国に没収されるくらいなら、労働者を雇用する方がいい」と思うので、自動的に雇用率の向上が達成される。
また、いったん雇用したあとでは、賃金を高く払う方が得なので(損をしないので)、労働者を高技能・高賃金にするように仕向けるだろう。そのためには、労働者を社内研修によって、有能にしようとするだろう。……こうして労働者と企業がともに得をするようになる。win-win だ。
これこそ、利口な方法だ。
ただし、この方法を提案すると、経団連が大反対する可能性がある。その場合には、その会社を名指しして、社会的に糾弾してボイコットする運動を事前告知するといいだろう。
「××株式会社は、障害者雇用の法案に反対している。社会的な悪徳企業だ! 商品ボイコットしよう!」
というふうに。これで、何とかなる。
※ ただし、今の若い人は、スマホとゲームとアニメばかりやっているので、社会運動を思想にない。もうちょっと上の中高年になると、トヨタ労組や連合みたいに、企業べったりで、会社と癒着する。ひどいものだ。そこが問題点だな。

【 補説 】
障害者雇用についての誤認
障害者雇用について誤認があるので、指摘しておこう。
まず、次の記事がある。(本項目内でも言及した)オムロンの障害者雇用についての記事だ。
→ 発達障害の人、IT業界で活躍 オムロンは独創性・集中力に着目
これを読んだ人が、はてなブックマークで言及した。
障害者はハンディキャップを補って余りあるtalentedである事が求められる社会の生きづらさ
このコメントは、最大の ☆ を得て、高く評価されている。それだけ多くの人々が同意見であるのだろう。しかし、この意見は完全な誤認である。「障害者はハンディキャップを補って余りあるtalentedである事が求められる」ということは、ない。なぜなら、障害者は自由競争の場で雇用されているわけではないからだ。
障害者雇用は、法定雇用率で義務づけられている。したがって、競争相手は、普通の健常者ではないのだ。とすれば、現実的には、次のような競争はないのだ。
・ 能力がある健常者( 2000円/時間 ぐらいの生産性)
・ 障害を補うだけの能力をもつ障害者( 2000円/時間 ぐらいの生産性)
では、どういう競争があるか? こうだ。
・ ほとんど何もしない障害者( 20円/時間 ぐらいの生産性)
・ 少しは何らかの仕事をする障害者( 500円/時間 ぐらいの生産性)
このどちらも、「2000円/時間 ぐらいの生産性」の労働者とは競合しない。法定雇用率を守るという意味で、この二つのどちらかを雇用しなくてはならない。そういう形で、二者択一を迫れるだけだ。
そこで、通常は、前者よりも後者の方を雇用する。それが、オムロンのような例だ。
したがって、「障害者はハンディキャップを補って余りあるtalentedである事が求められる」ということは、ない。健常者の半分以下の能力でも足りるのだ。少なくとも無能力であるよりもマシであればいいのだ。
換言すれば、企業は、障害労働者が「無能力」以上になるように、障害労働者から能力を引き出せばいいのだ。そして、それは可能であるということを、オムロンの例が示しているのだ。