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現在、物価上昇がひどい。政府の公式の統計では、2〜3%の物価上昇だ。
→ 政府統計 (総合で 3.0%で、生鮮食品を除くと 2.8%だ。)
だが、実感はそんなものではない。輸入品に関しては、20〜30%の物価上昇があると感じられる。
たとえば、iPhone や Macbook も大幅値上げだ。
→ 7月1日よりApple製品一斉値上げの大打撃 企業リリース | 日刊工業新聞
→ Apple 値上げ 値下げ製品 一覧表まとめ【2023年11月版】 - カードレビューズ
つまり、7月に大幅値上げして、11月にはモデルチェンジを機に大幅値上げした。値上げのダブルパンチだ。
さらに、家具も大幅値上げだ。(品質ダウンの形で値上げ)
→ アイリスオーヤマの回転チェア - Togetter
このように、輸入品は全般的に大幅値上げとなっている。その理由は? もちろん、円安だ。1ドル=150円ぐらいにまで円安になっているのだから、輸入品の物価が大幅アップするのは当然だ。
結局、物価上昇の原因は円安だ。この件については、先に述べたとおり。
では、物価上昇は誰のせいか? 岸田首相か? いや、日銀だ。それが私の解釈だ。
なぜかと言えば、次のことによる。
・ 石油の国際価格は、一時急上昇したが、その後は下がった。
・ 石油に限らず、あらゆる輸入品が価格アップしている。
・ その理由は円安である。
・ 円安をもたらしたのは、日銀の低金利政策だ。
というわけで、国内の物価の上昇の原因は、円安であり、その円安をもたらしたのは日銀だ、と言えるわけだ。
( → 物価上昇は日銀のせい: Open ブログ )
というわけで、現在の物価上昇の原因は日銀にあるわけだ。
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なお、足元では、金融市場での市場金利は1%程度にまで上昇している。日銀としても、もっと市場金利が上がるのを容認する構えを見せている。
日本銀行は31日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和の柱の一つとしてきた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の修正を決めた。低く抑え込む長期金利の上限としてきた1.0%を「めど」として柔軟化し、一定の上昇を容認する。想定を上回る金利の上昇が続き、7月に続き修正を迫られた。
( → 長期金利1.0%超え容認 上限から「めど」 日銀また緩和修正:朝日新聞 )
だが、1%ぐらいの金利では、まだまだ低すぎる。これでは米国の金利との金利差が大きすぎるので、国内資金が米国に流れて、円安が大幅に進んでしまう。これを解消するには、国内金利を大幅に上げるしかない。つまり、物価上昇を解決するには、国内金利を上げることが必要だ。
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ところが、日銀はそうしない。なぜか? 次のことを心配するからだろう。
「金利を上げると、企業業績が悪化して、景気に水を差す。それはまずい。今は不況脱出が何よりも必要であり、そのためには金利を低水準に保つことが必要だ」
この心配は、もっともらしく思える。
しかし、それは誤りだ。日銀は根本的に勘違いしている。経済というものを理解できていない。正しくは、こうだ。
・ 現在は不況ではない。
・ 企業業績は空前の好決算である。内部留保も大幅にある。
・ 金利を上げたからといって、企業が倒産する危険は低い。
・ 現在はデフレでもない。物価上昇率は高い。(前記)
・ 物価上昇率の実感は、統計以上に高い。理由は下記。
→ 物価上昇率 3% ってホント?: Open ブログ
以上が正しい認識だ。とすれば、「金利を上げると景気が悪化するかも」と心配するよりは、「インフレ状態で物価が大幅に上がっているので、金利を上げるべきだ」というのが正しい。
特に、物価上昇率が 3%ぐらいのときには、金利が 1% だと、実質金利が マイナス2% であることになる。これは滅茶苦茶な金融緩和だ。とんでもない低金利だと言える。
最低でも、景気に対して中立的な「実質金利0%」つまり「名目金利3%」を実施する必要がある。現状の「実質金利 マイナス2%」つまり「名目金利1%」というのは、とんでもないインフレ促進政策であることになる。
そして、そのせいで、物価上昇率が高まって、国民は生活苦にあえぐことになる。
ここでは、岸田首相が「4万円の定額減税をする」というような話は二の次なのだ。むしろ、「日銀が金利を上げて物価上昇率を下げる」ということが必要なのだ。
仮に、円安を止めて、物価上昇率を3%から1%に下げることができれば、国民は総支出の2%の利益を得る。単身者では 300万円、既婚者では 600万円の世帯年収があるから、それぞれ、6万円、12万円の利益を得ることになる。これは岸田首相の4万円の減税よりも、5割も多いことになる。
だからこそ、今という現時点でなすべきことは、定額減税なんかではなくて、日銀が金利を引き上げることなのだ。それによって、円安を止めて、輸入物価を大幅に引き下げればいい。そのことが最善なのだ。

では、そのためには、どうすればいいか? 私の提案は、こうだ。
「日銀総裁を解任する」
これによって、金利を大幅に引き上げるように、日銀の方針を変えるべきだ。誰であれ、とにかく、金利を上げる方針を取る人を、日銀総裁に据えればいい。
「そんな人がいるのかよ」
と疑う人がいるのなら、とりあえずは、そこらの馬の骨を適当に見つけて、いい加減に任命すればいい。馬の骨が見つかりにくいのなら、私( Openブログの管理人)が馬の骨になる。これを日銀総裁にすればいい。(冗談だけど。)
ともあれ、人物は誰でもいいので、適当に日銀総裁を決めて、金利を引き上げるべきだ。
現在の日銀総裁は、「判断力はあるのかもしれないが、決断力がまったくない」という点で、史上まれに見る無能な日銀総裁だと言える。岸田首相の任命責任は、きわめて重い。
ちなみに、過去の例を見ると、こう言える。
・ 第1次石油ショック …… 日銀が無能で、狂乱物価を引き起こした。
・ 第2次石油ショック …… 日銀が無能で、狂乱物価を阻止した。
この両者では、日銀の方針は正反対であり、結果もまた正反対だった。
前者では、日銀は(景気回復のために)極端な低金利政策を取ったせいで、一国経済が狂乱物価にまみれて、大混乱となった。大失敗。
後者では、日銀が適切な高金利政策を取ったので、(世界各国が物価上昇で大混乱となるさなかで)日本だけは狂乱物価を避けて安定的な経済を保った。大成功。
これほどにも対照的な結果となったのだ。日銀の政策しだいで、一国経済は、大失敗にもなるし、大成功にもなる。
そして、現在の日銀総裁は、第1次石油ショックのときと同じ方針を取る。あまりにも優柔不断であり、決断力が乏しい。金融政策のことばかりを考えていて、一国全体のマクロ的な経済認識ができない。金融専門馬鹿(タコツボ的専門家)とも言える。経歴を見ても、金融分野のことしかわからない視野狭窄な専門家だとわかる。
→ 植田和男 - Wikipedia
こんな金融馬鹿を日銀総裁に選んだ岸田首相が馬鹿すぎる、と言える。これなら黒田総裁の方がまだマシだったかもしれない。……と思ったけど、学歴を見たら、黒田総裁も、植田総裁も、どちらも東京教育大学附属駒場高等学校(現筑波大学附属駒場高等学校)卒業だった。ありゃ。私の先輩じゃん。ちっ。悪口を言いにくいな。 (^^);
ともあれ、黒田も植田も、どっちもダメだ。特に植田の罪は重い。今すぐ首を切るべきだ。日本を救うには、それしかない。
たった一人の決断のミスによって、1.2億人が大迷惑をこうむっていて、国家の大損害となっている。この状況を救うには、植田の首を切るしかないのだ。
【 関連項目 】
狂乱物価については、下記項目でも解説した。
→ 物価上昇は日銀のせい: Open ブログ
これは、本文中でも紹介した項目だ。
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金利とは別に、政府が財政赤字を出して、インフレ政策を取る……という方式もある。第1次石油ショックのときには、そういう政策が取られた。結果的に、とんでもない狂乱物価が起こった。
石油価格が上昇して不況になったから、インフレ政策で景気を刺激すればいい……という安直な方針を取ると、とんでもない結果を招くわけだ。この件は、すぐ上で紹介した項目でも、いろいろと論じている。そのリンク先も参考になる。
ともあれ、まともな経済知識がないと、「景気が悪化したら金融緩和をすればいい」という単純な発想しかもてなくなる。その行く末は、狂乱物価であり、一国経済の破壊だ。
その失敗例は、第1次石油ショックのときにあった。なのに、その歴史的教訓から、何も学んでいないのが、植田総裁だ。
學びて思はざれば 則ち罔し。
思ひて學ばざれば 則ち殆し。
(論語)