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この無償トレードはまったく不可解だということで、あちこちで論議を呼んだ。
そのまま、理由がわからないまま日が経過したようだが、このたび新たに小久保がホークスの監督に就任した。そこで再度、この問題を考えてみよう。
まず、当時の混乱はひどかった。特に、ホークスの選手は大混乱だったようだ。
松中信彦は「球団にふざけるな、と言いたい。どうして小久保さんをタダで巨人に出さなきゃいけないんですか。あんなにチームのために一生懸命やった人が簡単に放出されるなら、ぼくらだって同じ目に遭う。この球団は勝ちたくないんでしょうね。終わりですよ。ファンには申し訳ないけれど、来年連覇したいという気が急激に薄れています」、柴原洋は「チームをまとめていたのは小久保さんだったんでチームにとっても大打撃」、斉藤和巳は「今、頭の中が真っ白で何も考えられません。恥ずかしいです。とても日本一の球団がやることじゃない。選手としては侮辱されているとしか思えない」、城島健司は「普通じゃない」、和田毅は「シーズン中何度も励ましてくれた。来年いないなんて信じられない」とそれぞれコメントを残し、監督である王も「チームが崩壊する」と話している。11月6日に中内オーナーが球場を訪れた際、選手などが誰も中内と挨拶をしないという異例中の異例な出来事が起こった。
( → 小久保裕紀 - Wikipedia )
そのあと、今日までの間に、事情を説明する記事も出た。ネットで調べると、次の記事が見つかる。
→ 小久保裕紀 - Wikipedia
→ 球界揺るがした小久保裕紀の無償トレード…非情通告した身に残り続ける苦渋の思い | Full-Count
→ 小久保裕紀 巨人移籍の謎
→ 小久保裕紀氏 巨人への電撃無償トレードの内幕を初めて語る|NEWSポストセブン
以上を調べると、次のことがあったとわかる。
・ 小久保と球団との間に、あつれきがあった。
・ 小久保としては、退団(自由契約)を望んだ。
・ 球団としても、退団を認めざるを得ない状況だった。
・ 受け入れてくれるのは巨人ぐらいしかないので、巨人に決めた。
この四つのうち、初めの三つは妥当である。問題は、最後の点だ。「受け入れてくれるのは巨人ぐらいしかない」というのは、明らかにおかしい。
文章を引用しよう。(球団の最高責任者の言葉。)
「手術の費用が出せない件も私が伝える役割だった。心苦しかった。納得できない部分は誰もが分かっていたが本人は『選手会長として僕は見過ごすことはできない。もうこの球団ではできません』と。その後、巨人の渡邉恒雄さんに話を持っていき巨人とのトレードが決まった。こちらからお願いした立場、誰かと交換してくれという訳にもいかなかった。小久保も膝を断裂して来季活躍する補償はどこにもなかった」 ( → 球界揺るがした小久保裕紀の無償トレード…非情通告した身に残り続ける苦渋の思い | Full-Count )
小久保は、ケガをしたとはいえ、この時点で球界最高レベルの選手である。だからといって「引き受けてくれるのが巨人ぐらいしかない」ということはありえない。実際、トレードの翌年、小久保の残した成績はこうだ。
打率 .314 打点 96 本塁打 41 OPS 1.013
これは、三冠王とまでは言わないが、それに近い成績だ。圧倒的と言える。これほどの選手を無償トレードで出すなど、常識的にはありえないことだ。
そもそも、球団が本当に「受け入れてくれる球団は巨人しかない」と思うのであれば、小久保の望み通りに、自由契約にすればいいだけのことだ。その場合、最低でも巨人と契約できる。さらには、もっと上の契約も望める。なのに、自由契約にしないで、無償トレードにこだわった。とすれば、無償トレードにこだわったことには、何か別の理由があるのだ。隠された理由が。
では、それは何か?
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そこで、困ったときの名探偵。Openブログが解決しよう……と言いたいところだが、実は、新たに解決するまでもなく、その謎解きはとっくの昔に記している。20年前の時点で記している。当時は Openブログはまだなかったので、前身の「泉の波立ち」(当時は 小泉の波立ち)で記していた。
以下では、その記事を転載しよう。
「小久保の無償トレード」について。
世間で話題になっている茶飲み話なので、私も口を挟んでおく。
朝日新聞などは、「2億円という大金を払えるのは巨人だけだ」などと、さかんに巨人を買いかぶっているようだが、嘘をつかないでほしい。日本ハムは新庄に2年で計3億円プラスCM出演料。横浜は下柳に、2年で計2億8千万円。阪神は伊良部に、2年で計5億円。片岡には、年1億7千万円で、7年契約。……これらに比べれば、小久保の年2億円少々というのは、破格の安さだ。小久保というのは、「全盛期の清原が、三塁守備もできる」というぐらいの、大スター選手である。人格は、ヤンキースのジーターだ。年齢も31歳だから、伊良部や下柳のような引退間際の選手とは全然違う。まともに払えば、年5億円以上が相当だ。どう考えたって、上記三球団は、小久保を欲しがったはずだ。将来の見えない下柳や伊良部や新庄なんかを買うよりも、ずっとお得だ。要するに、「2億円を払えるのは巨人だけ」という報道は、まったくのデタラメである。
( ※ こう書いたあとで判明したが、横浜の球団役員は、「無償トレードなら、是非、うちに来てほしかった」と言っている。雑誌 Number の最新号に記事がある。)
( ※ なお、「ケガ人だ」という説もあるが、ケガはほぼ治っている。現時点でも、三塁守備に負担があるだけで、打撃には問題ないし、来春にはすっかり完治するらしい。ケガ人に金を払うわけではない。ケガ人だった人に金を払うだけだ。)
そもそも、無償トレードとは何か? このことを理解していない記者が多いようだ。
第1に、「有償トレード」と比較すると、球団が損である。(球団は、補償となる金銭または人員を受け取れない。)
第2に、「自由契約」と比較すると、選手が損である。(選手は、好きな球団に行けないし、契約を自分に有利にすることもできない。)
ポイントは、「有償トレードまたは自由契約にしなかったのはなぜか?」ということである。それが「なぜ無償トレードにしたか?」という問題のポイントだ。
そして、その答えは、ただ一つである。無償トレードにすれば、球団または選手が損をするが、どっちが損をするかは、関係がない。無償トレードにすれば、球団または選手の権利を制約することで、巨人が儲かる。それこそ、目的であったわけだ。
結局、小久保は、経営者の人身御供にされたのである。親が借金をこさえて、破産しかけている。そこで、悪い金持ちに、かわいい娘を人身御供にする。姉は、妹が人身御供にされて、涙を流すが、親のためだと思って、黙って我慢する。親は、「娘は親のために犠牲になれ」と主張して、娘を人身御供にしたあと、ふたたび自分勝手なことをし放題である。悪い金持ちは、かわいい娘をタダで入手できて、舌なめずりをしている。
ひひジジイが二人いて、その間で、娘の兄弟たちが悲しんでいる。そのまわりでは、まともな青年実業家たちが、「僕たちなら、もっと金を払って、まともな待遇をしてやれたのに」と、地団駄を踏んでいる。
これが真相だ。ところが、たいていのマスコミは、それを示さずに、「いちばん金があるのは、あの金持ちだから、仕方ないよ」と、ひひジジイたちを弁護しているのだ。
悲しい時代劇。
( → ニュースと感想 (51) :2003年 )
さらにその1年後に、真相が判明する。
「プロ野球と新規参入」について。
ホークスをソフトバンクが買収するらしい。名称は「YahooBB」か「ソフトバンク」か何かになるらしい。ライブドアと楽天が「審査を」と要求しているが、さて、審査をすると、どうなるか?
まともな発想では、「不合格」である。YahooBBは、初期にはトラブルをかかえてユーザーから苦情が殺到した。その後は、個人情報を流出させた。おまけに、街頭で白装束軍団を繰り出して詐欺まがいの勧誘をしていた。……かくて、プロ野球球団の資格では、最悪の不合格点と言える。
でも、たぶん、「合格」だろう。たぶんね。
では、なぜ? それは、ナベツネに根回ししたから。ナベツネは、弱みを握られている。1年前に、小久保を無料でプレゼントしてもらったことだ。つまり、賄賂をもらったことだ。賄賂をもらうと、「いや」とは言えないんですよ。
あの賄賂は、この日のためにあったのだ。
( → ニュースと感想 (77) :2004年 )
要するに、小久保は「貧乏な親の借金のカタで、金持ちに売られた娘」という身になったのだ。
貧乏な親とは? 当時のダイエーだ。金持ちとは? 当時のナベツネの配下の巨人だ。
この当時、ダイエーは青息吐息で、球団を維持できる金もなかった。そこで球団を売却しようと狙っていたが、それに立ちはだかったのがナベツネだ。「球団を安易に売るのは許さん」という立場だった。
これではダイエーが困ってしまう。どうすればいい? ナベツネに賄賂を贈るしかない。とはいえ、現金を贈るわけにも行かない。そこで、現金のかわりに、かわいい娘を無償でプレゼントすることにしたのだ。当時でさえ年俸5億円になるような三冠王レベルの超スターを、無料でプレゼントする。サッカーならば年俸の5倍ぐらいの移籍金になるから、金銭トレードなら 25億円ぐらいになっても不思議ではない。それを無料でプレゼントする。それがこの無償トレードの意味だ。
結果的に、ナベツネは賄賂をもらって、口をつぐむことにした。口をつぐまなければ、「裏約束があった」(密約があった)ということをバラされて、世論の指弾を浴びるし、無償トレードもご破算になる。それを恐れて、口をつぐんだ。おかげで、ダイエーはホークスをソフトバンクに売却できた。売却代金は 200億円。
→ ソフトバンク、ホークス買収でダイエーと合意。取得額は200億 | RBB TODAY
ダイエーは、ナベツネに賄賂を贈ることで、ホークス売却の 200億円を入手した。200億円! すごい金だ。この金が、小久保の無償トレードの真相だったのだ。なるほど。200億円も手に入るのなら、小久保を無料でプレゼントしても、必要経費となるだろう。ダイエーとしては、「仕方ない」と諦めるしかあるまい。
しかし、その裏で小久保を強奪したナベツネ(巨人)は、ヤクザまがいのことをしていたことになる。というか、ヤクザそのものだね。反社団体と言ってもいい。
こういう真相を明らかにして、指弾するのが、マスコミの果たすべき役割だが、私以外の誰もそれを指摘することはない。
※ ソフトバンクも「臭いものに蓋」というつもりなのだろう。




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