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岸田首相の支持率が大幅に下がっている。( → 前項 )
その理由は、物価上昇のせいであるようだ。(物価上昇のせいで、実質賃金が低下しているからだ。)
では、物価上昇は誰のせいか? 岸田首相か? いや、日銀だ。それが私の解釈だ。
なぜかと言えば、次のことによる。
・ 石油の国際価格は、一時急上昇したが、その後は下がった。
・ 石油に限らず、あらゆる輸入品が価格アップしている。
・ その理由は円安である。
・ 円安をもたらしたのは、日銀の低金利政策だ。
というわけで、国内の物価の上昇の原因は、円安であり、その円安をもたらしたのは日銀だ、と言えるわけだ。
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以上は私の解釈だが、本日の朝日新聞には、似たテーマの話が掲載された。現在ではなく 50年前の狂乱物価について、「原因は日銀の金融緩和だ」という説。
渡辺努・東京大学大学院教授は「原油高はきっかけに過ぎなかった」とし、当時の日本銀行の金融政策が主因だとみる。
――狂乱物価の原因は原油高ではないのですか。
「オイルショックと、それに伴うインフレ(物価上昇)は日本に限らず、米国でも起きました。中東で戦争が起き、原油高からインフレになった。よくそう説明されますが、原油高はきっかけに過ぎません」
――では何が原因に?
「日米ともに、中央銀行による金融緩和策です。当時は固定相場制から変動相場制へ移行する過渡期でした。日銀は円高を防ごうと、ドルを買って円を市場に大量に放出していた。さらに『列島改造』を掲げる田中角栄政権が財政拡大を進めました。この二つによって、市中にお金があふれた。インフレが起こりやすい環境があったのです」
( → 「狂乱物価」の真因、原油高でなく金融緩和 東大院教授・渡辺努氏 石油危機50年:朝日新聞 )
何だか新しい説のように言っているが、これはその当時からわかっていたことで、もともと常識だろう。そのあと福田内閣の高金利(緊縮政策)で、物価上昇は一挙に終息した。それもまた周知の通り。
この記事では、現在の日銀の政策についても言及している。物価上昇が続いている現時点で、日銀が低金利政策を取っていることを批判して、改めることを提言している。
「日銀は既に好循環が起きていることを過小評価しています」
――日銀の見通しが誤っていると。
「日銀は図らずもデフレ脱却に向かう力を邪魔しているように思います」
――では、どうすれば。
「現在、マイナス0.1%の短期金利をゼロにする。日銀は、下手に動いて失敗はできないと考えているのでしょう。しかし動かないことで人々が『日銀は弱気だ』と考えてしまう恐れがある。どちらがいいのか考えなくてはいけません」
日銀を批判しているのはいいが、あまりにも甘い。「マイナス0.1%の短期金利をゼロにする」ぐらいで、足りるわけがないだろう。そのくらいでは、現在の円安を是正できない。是正するためには、1ドル=120円 ぐらいの水準にすることが必要だ。そのためには、金利を2〜3% ぐらいに引き上げるべきだろう。
特に、物価上昇率が2%以上の現状では、金利を2〜3% ぐらいに引き上げても、何ら問題はないはずだ。なぜなら、物価も同程度上がっているから、物価上昇の分を差し引けば、実質金利は 0% ぐらいになるのと同じことだからだ。
・ 物価上昇率が0% のときの金利2%
・ 物価上昇率が2% のときの金利2%
この二つはまったく意味が異なる。
・ 前者は実質金利が2%となり、引き締め効果がある。
・ 後者は実質金利が0%となり、引き締め効果がない。
こういうふうに意味が異なるのだ。だから、現状のように物価上昇率が2%ぐらいある状況では、金利を2%にしても問題ないのだ。
こんなこともわからないまま、金利0%を主張するなんて、この東大教授は、物価上昇の理論をろくにわかっていないね。ダメ学者。