2023年10月05日

◆ 民主党政権が失敗したわけ

 ( 前項 の続き )
 民主党政権はなぜ失敗したか? そのわけは?

 ── 

 民主党政権は失敗した。今でも「あの時代の政治はひどかった」と恨む人が多い。はてなブックマークでもそうだ。
  → はてなブックマーク

 立憲民主党の元党首だった枝野の発言を受けて、当の発言そのものを議論するのでなく、「おまえもなー」というふうに揚げ足取りをする形で、(立憲民主党でなく)民主党政権の失敗をあげつらう。
 どうも、民主党政権の政治について、恨み骨髄という感じらしい。

 ──

 では、民主党政権は、なぜ失敗したか? そのことは、野田元首相の後悔からも窺える。
  → インボイス、野田元首相の心残り:朝日新聞

 この記事については、先に別項(軽減税率の後悔(今ごろ))でも扱ったが、それとは別の観点から論じよう。
 
 民主党政権時代には、野田元首相の好む『給付付き税額控除』は採用されず、軽減税率が採用された。それはどうしてかというと、自民・公明(特に公明)が軽減税率にこだわって、譲歩しなかったからだ。
 ではどうして、自民・公明の言うことに従ったかというと、民主党は参院で多数派を取れなかったからだ。このときの民主党は、「衆参両院での多数派」を形成することができず、「衆院だけで多数派」というふうになっていた。参院で法案を通すには、自民・公明の言うことに従うしかなかった。だから、妥協案として、軽減税率を呑んだ。

 ──

 民主党政権時代の政治は大失敗だった。与党の民主党と、野党の自民・公明が大喧嘩して、国の政治はまともに進まなかった。政治的大混迷の時代だった。
 では、なぜそうなったか? それは、自民党が「何でもかんでも大反対」という方針を取ったからだ。「国民の政治を人質にとって、政治をすべて停滞させて、国の政治を立ち往生させてしまおう」という方針を取った。そのせいで、実際に、政治は立ち往生した。すると国民は、「妨害した自民党が悪い」とは思わずに、「妨害された民主党が無能だ」と思い込んだ。(自民党としては「してやったり」の思いだろう。)
 自民党のやったことは、いわば「政治テロ」(サボタージュふう)だった。そのせいで日本の政治は停滞した。かくて民主党政権は崩壊した。自民党のテロ活動は、見事に大成功したのである。
 テロ活動は、通常は「悪である」と批判されるものだが、自民党のやったテロ活動だけは大成功した。その首謀者は、安倍晋三である。彼はのちに、自らが首相となり、憲法無視の独裁者ぶりを発揮した。(国会召集の憲法違反、海外派兵の憲法違反、一票の格差の憲法違反。憲法違反の三連発だ。)

 以上については、このことが起こった当時(2012年)の時点で、詳しく解説した。
  → 民主党政権を評価する: Open ブログ

 この項目の最後の方から、一部抜粋しよう。
 結局、自分たちの妨害によって民主党政権を立ち往生させながら、「民主党は無能だ」というキャンペーンを張った自民党は、詐欺師の典型だ。詐欺師!
 そして、この詐欺師にだまされた国民は、「民主党は無能だ」と思い込んだあげく、「ならば自民党に入れ込もう」と思っているわけだ。すっかり詐欺師にだまされている。


 以上のような事情があったのだ。

 ──

 だが、それとは別に、民主党自身の罪もあった。それは「消費税増税」である。野田と菅直人はそろって「消費税増税」という方針を取った。そのことで国民を裏切った。
 「旧・民主党が失敗したのは、消費税を増税したからである。このことで、国民は『裏切られた』と感じて、怒り狂った」
( → 民主党政権の失敗の理由: Open ブログ

 この件について、詳しくは、上記項目を読んでほしい。

 ともあれ、民主党は「消費税増税」を決めた。このとき、国民は「裏切られた」と思った。だからこそ、今でも恨む人が多いのだ。

 ではなぜ、国民は「裏切られた」と思ったのか? それには、わけがある。
 民主党は「消費税増税」を決めたが、そのときの理由はこうだった。
 「現状では財政赤字が莫大であり、このままでは日本の財政は破綻する。将来の破綻を避けるためには、財政を健全化する必要がある。そのためには、消費税を上げる必要がある」

 なるほど。これはもっともらしい理屈だ。そこで、消費税増税を受け入れたくない国民も、渋々という形で、消費税を呑み込んだ。実際には拒否権などはないまま、民主党・自民党・公明党の三党の合意を呑むという形で、消費税の増税を(否応なしに)呑み込まされた。
 「受け入れたくはないのだが、財政再建のためならば仕方がない」と思いながら。

 では、その結果は?
 民主党の公約通り、財政再建はなし遂げられたか? 財政の大赤字は解消したか? 財政は健全化したか? 財政健全化により日本経済の回復はなし遂げられたか? 経済好転による賃金上昇は実現したか? ……そのすべては「ノー」である。つまり、国民は「だまされた」のだ。
 「消費税増税によって財政健全化」という民主党の公約は、まったく実現しなかったのだ。
 これならば、「民主党は嘘つきだ!」と国民が思うのも仕方ない。

 しかし、である。真相は、そうではない。本当のところは、こうだ。
 「消費税増税による歳入はあった。しかし、その分を、法人税減税に回して、企業に還元してしまった。だから、財政は健全化しなかった」

 つまり、まとめて言えば、こうだ。
 「消費税増税で増えた税収は、そっくりそのまま、企業の減税の回されたので、国民にはまったく還元されなかった」

 要するに、国民は、「消費税増税によって金を盗まれた」のである。これでは「だまされた」と怒り狂うのも当然だろう。

 しかし、である。国民は勘違いしている。確かに国民は「金を盗まれた」のだが、金を盗んだのは民主党ではない。自民党だ。自民党が「法人税減税」を決めたからだ。


houjinzeiritu2.gif
出典:財務省


 このグラフは、前に別項(異次元の少子化対策)で示したものだ。
 このグラフからわかるように、法人税はどんどん引き下げられていった。
 そして、そういうふうに金を奪ったのは、民主党ではなく、自民党だったのだ。

 こうして真相がわかっただろう。
 民主党政権の時代の政治は最悪だった。それは事実である。しかし、それをもたらしたのは、自民党だった。
  ・ 自民党が政治テロをして、政治を停滞させた。
  ・ 自民党が法人税を下げて、消費税増税の歳入を盗んだ。

 前者はテロ活動であり、後者は詐欺と泥棒だ。こういう形で、日本に厄災をもたらしたのが、自民党だった。
 ただし自民党は、その責任をすべて民主党になすりつけた。だからこそ人々はだまされて信じるのだ。「民主党政権は大失敗だった」と。

 
posted by 管理人 at 23:58 | Comment(15) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご意見に賛成です。
 民主党政治は最悪だったとのキャンペーンを広げたのは朝日も含むマスコミです。本文のような解析もしないままキャンペーンだけを広げました。まあだまされる方にも責任はあるのですが。
Posted by ひまなので at 2023年10月06日 09:59
国民が民主党と連立政権に失望したのは発足早々に仲間内で争いはじめたこと、小沢一郎を切ることができなかったからだと思いますよ。鳩山政権〜菅政権初期までは衆参両院とも民主党および連立政権が過半数を占めていたのだから連立政権が団結して法案採決を行っていれば自民党が何をしようとどうにもなりませんでした。

「最低でも県外」の鳩山発言で連立政権内の争いが大きくなり政府としてのルーチンワークすらまともにこなせなくなりました。秋口の政権交代なのだからせめてリーマンショック対策や予算編成をスムーズに進められればよかったけれども、ガラガラポンをしようとして失敗したりね。(自民党と役所がつくった予算を看板だけ変えてそのまま実施した方が国民受けはよかったでしょう)

そして小沢一郎が斉藤次郎と組んで細川護熙のときの「国民福祉税」のときと同様に消費税アップを持ち出してきましたから。
Posted by とおりがかり at 2023年10月06日 16:24
> 鳩山政権〜菅政権初期までは衆参両院とも民主党および連立政権が過半数を占めていたのだから連立政権が団結して法案採決を行っていれば自民党が何をしようとどうにもなりませんでした。

 過半数といってもギリギリだったので、委員会では同数か過半数割れになることもあり、法案を自由に通すことはできませんでした。自民党の妨害戦略が有効だった。特に仙石に対する攻撃は執拗を極めた。

 ただし、この時期には、民主党政権の支持率は圧倒的に高くて、自民党をはるかに上回る支持率を得ていました。支持率は過半数超え。
  https://x.gd/bPc5k
 大成功の時代。「民主党政権は大成功だった」と言える時代。しかしその時代のことを国民はすっかり忘れている。

 その時期を過ぎたあとは、混迷と失望の時代。そのきっかけは消費税増税の方針による、参院選の敗北。自民党の横暴を許すことになった。

 小沢一郎はあまり関係ない。自民党の妨害戦略が有効だった。
 ちなみに、今の野党もそろって妨害戦略を取ることも可能かもしれないが、それをやったら、国民生活はボロボロになる。
 アメリカで「予算を人質に」の日本版。アメリカの共和党はひどいが、昔の自民党はもっとひどかった。

Posted by 管理人 at 2023年10月06日 17:17
同じような意見を持ってます。
日本の低迷は消費増税によって、一般庶民の税負担を過剰に大きくしたことが最大要因です。
消費税は増加しているが、法人税は減少。消費増税分は社会保障費に使うという話だったが、結局は法人税減税に使ったという詐欺政策でした。
経団連が自民党の支持団体ってことが起因してそうです。そりゃスポンサーにはいい顔したいから、法人税を下げるってことで経団連からより強い支持を得ようとするでしょう。
でも一般庶民の可処分所得が増えないから、内需による経済成長が無く、むしろデフレスパイラルがここまで続いていると考えられます。
ここに、政府債務残高が増えると日本が破綻するっている財務官僚の(間違った)入れ知恵があって、消費増税したのでしょう。この入れ知恵は民主党政権時代からあったのだと思います。それを菅直人と野田佳彦は信じてしまったのも日本の低迷を確定化させました。
長い不景気を回復させるには、一般庶民の可処分所得を増やす策が必要なはずですが、岸田文雄はなにかと一般庶民への増税をやりたがる。最初は所得倍増とか言ってたのに。
このままだと失われた30年は失われた40年になることは間違いなさそうです。
Posted by じみんとうを!ぶっこわーっす! at 2023年10月07日 08:35
↑で書き忘れありました。
政府の税収を確保しないと、ただでさえ大きな政府債務残高を抱えてるんでだから、日本が破綻するって主張もありますが、不景気(≒デフレ)の今は、政府債務が徐々に増えていっても問題ないというのが私の意見です。

というのは、
政府債務残高=累積の通貨発行残高
ってことが言えるからです。
これは、私も理解に時間がかかりましたが、三橋貴明氏のYouTubeチャンネルで学ばせてもらいました。

私の理解で言い換えると、以下のようになります。
現在、日本国債の半分は日本銀行が持っていますが、これは政府が政府発行紙幣を発行して日銀に支払えば、すぐに国債残高を半分減らせます。残りの半分も一般金融機関への買いオペレーションを日銀が進めれば、同じように減らすことができます。
政府発行紙幣は日銀だけが持ち、市場には出回らないので、影響があるのは一般金融機関の国債からの利息収入が減るくらいの影響しかないです。(なので買いオペレーションは無理にやらなくても良いと思います)
政府債務残高は年々大きくなっていきましたが、そのたびに通貨発行して、通貨発行益で税収不足分を補っていたと言えます。
過剰に通貨発行すると、インフレ加速効果がありますが、残念ながら未だ日本はデフレです(戦争のせいで輸入品はインフレ状態ですが)。デフレが続く間は通貨発行益で税収不足分を補っていくことで問題ないと考えられます。
好景気(≒インフレ方向)になってきたら、状況を見ながら増税し、景気を冷ませながら政府債務残高を減らしていけばよいと思います。

ということで、減税によって一般庶民の可処分所得を増やす(好景気≒マイルドインフレ方向に向ける)という政策を進めてほしいと思うのですが、増税マニアの岸田文雄にはがっかりさせられました。
Posted by じみんとうを!ぶっこわーっす! at 2023年10月07日 09:06
参議院は衆議院ほどではないので安定多数の重要性は低いですよ。それを法案成立の低さの原因にするのはやや無責任でしょう。(もちろん皆無ではないですけどね。)

リンク先の支持率をみると鳩山由紀夫政権の支持率は真っ逆さまに下がっているし、民主党の支持率も鳩山辞任のときだけ一過的に回復しましたがあとは単調減少です。数字自体も政権を失った直前の福田、麻生政権の時期を除く自民党が与党のときの支持率と比較すれば低いです。
鳩山政権のときに消費税税率アップは持ち出されていません。つまり別の原因で内閣支持率、与党支持率も落ちていたということです。
その原因は「最低でも県外」からはじまった普天間基地移設問題、できるはずがない予算組み替え指示などに見られる政府のルーチンワーク実行能力欠如、金脈問題でしょう。

菅直人が改造内閣を発足させた際に人事の目玉に「脱小沢」を掲げていたし、改造内閣発足後は一時的ではあるものの支持率も60%以上になりました。
小沢一郎の影響は小さいとはいえないと思います。

親小沢と反小沢が党内で争い続けて、折角の民主党単独の308議席が実質ただの第一党(少数与党)になってしまったのが民主党の失敗の原因です。

ただ渡辺恒三がいうように「新しい党を作る時は小沢君が必要だ。しかし党が出来ていれば小沢君は邪魔になる。その繰り返しだ」なので小沢がいなければ民主党もなかったろうから難しいところではあります。


Posted by とおりがかり at 2023年10月07日 18:47
 調べ直したら、自民党の妨害の手法は、与野党伯仲を利用したものではなくて、審議拒否でした。審議拒否による国会開催の停止。
 ここで、政府が自民党政府ならば、強行採決をすることができたのだが、民主党政府は常に善良なる手法を選んで、憲法を尊重してきたので、強行採決などはしないで、少数野党の自民党の審議拒否に妥協することが多かった。
 かくて、審議拒否が手法として成立することにより、国会は停滞して動かなくなり、最終的には「審議拒否のせいで菅直人首相の退陣」にまで行き着いた。
 野党が審議拒否をしたなら、安倍首相や管首相ならば独裁政治をしただろうが、菅直人首相は自分が辞任した。
 なお、この手法が成立したのは、それ以前に仙石に対しても同様の手法を用いて成功したことによる。
 こういう自民党のテロ手法が、民主党政権を崩壊させた。テロによる首相退陣。

 https://x.gd/q6xdb

Posted by 管理人 at 2023年10月07日 21:02
リンク先のなかにある
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/45130/1/HLR61-6_017.pdf
をみると鳩山政権でも強行採決は多用されたそうですよ。小泉政権末期と第一次安倍政権も強行採決を多用、福田政権、麻生政権は与野党協議による修正を多用したとのこと。(136〜138ページ)つまり衆参両院で過半数をとれているならば強気に出ることができる、ということでしょう。菅直人がしなかったのはねじれになったからだけじゃないですか。

同じ文書にも書かれていますが、民主党政権が安定できなかったのは小沢一郎の存在が大きいですよ。
族議員を存在させない、というお題目のもと政府と党を分離して党の法案事前審査をさせない、陳情は幹事長室に一括という方針で党内の権力は幹事長だった小沢一郎に集中しました。

それに対する不満が高まり内閣支持率と党支持率の低下という大義名分もあったため、鳩山と小沢を退陣させ、「脱小沢」を掲げた菅直人政権が成立という流れでした。そして小沢一郎一派は完全に与党内野党に転じてさらに引っ掻き回すということになりました。

「○○おろし」などということがおきると党はさらに弱体化します。自民党も「安倍おろし」、「福田おろし」、「麻生おろし」ときて野党に転落しましたね。「鳩山おろし」、「菅おろし」、「野田おろし」(不発だが衆議院解散)と同じことを民主党はやってしまったわけです。
Posted by とおりがかり at 2023年10月07日 23:18
菅直人氏はちょっと運が悪かったですね。

ちょうど東日本大震災が発生し、そんなに簡単に復興なんてできない大災害なのに「復興が進まない」って人々が言い始めて、それを菅直人政権のせいだってことにさせられた感があります。
現実的には、菅直人が理系出身で物理学を理解している首相だったおかげで、福島原発事故の状況を正確に把握し、東電職員に身を切る対応をさせることができたわけで、その前後の首相だったらできなかったなって想像してます。
たしか、このOPENBLOGでも菅直人が震災後に実行したことの評価が書かれていたと記憶してます。
前後の首相を考えると、鳩山由紀夫も理系ですが、核分裂反応のことを理解していたか疑わしいですし、麻生太郎は放射能除去装置を作ればいいとか理解不可能なことを言うくらい論外ですし、野田佳彦は核分裂反応について何も理解していないでしょう。

ただし、菅直人は理系出身だったがゆえか、経済学に疎かったと思われます。なので財務官僚に消費増税発言をさせられたのでしょう。菅直人は原発事故の被害を最小限にすることに貢献したが、消費増税発言で失われた20年(当時)を失われた30年にしてしまった。
失われた30年を失われた40年にしないために、岸田おろしを進めたいが、政権与党にはそんな動きが全くないのが極めて残念です。

ここに小沢一郎の話は出てこないですが、小沢一郎は政局を見極める達人だったと思います。なので2度の自民党下野を実現した。
でも我々国民が求めるべきは失われた30年を30年で終わらせることであって、その手段は自民党下野の一択ではないです。
もちろん、失われた30年を終わらせる政党があれば、そこが政権を取ればよいと思うが、維新や立憲は緊縮財政派が多いですし、可能性がありそうなのは、国民民主か参政党くらい。どちらも政権を取るには時間がかかりそうです。

少なくとも、岸田文雄は失われた40年を進めるように動いているので、最初にやるべきは岸田おろしだと思います。10年くらい経過した後のOPENBLOGで失われた40年の話題が書かれていないことを祈ります。
Posted by じみんとうを!ぶっこわーっす! at 2023年10月08日 00:01
 菅直人は復興庁の設立に尽力したのだが、自民党が徹底的に妨害して、審議拒否して、復興庁の設立を阻止・延期した。即時設立を禁止して、1年後の設立に引き延ばした。
 復興を妨害すればするほど、日本の復興は遅れて、状況は最悪になり、地獄になる。そうすれば国民の不満は高まり、民主党政権は崩壊するはずだ……という狙い。
 その自民党の狙いはまさしく成功した。菅直人は退陣を呑まされ、震災の復興は遅れ、民主党の支持率は急低下した。政治テロの大成功。
 
Posted by 管理人 at 2023年10月08日 00:32
そもそも菅内閣の支持率は改造直後(2011年1月)から民主党内の菅おろしで急降下していますよ。3.11以前に民主党と自民党の支持率も逆転しているし。

復興庁については政府原案(民主党)をみると復興庁設立に積極的ではなかったですね(附則に「1年以内に復興対策本部から復興庁への移行を検討」)。
むしろ自民党(東日本大震災復興再生院を3か月以内に設置)や公明党(復興庁設置を本文に明記)の方が積極的でした。
これは考え方の問題で政府(民主党)は企画、総合調整のみの機能を復興対策本部に持たせ実施は各省庁にまかせる、自民党や公明党は企画、総合調整、実施までを持たせる機関を設置することを想定していたわけです。おそらく民主党は政治主導を貫きたかったのでしょう。実施機能まで持たせると官僚主導になる可能性があるので。

与野党協議の結果、復興庁設置は本文に明記されましたが、「政府において遅くとも年内にこの復興庁の業務の全体像について成案を得ていただいて、速やかに復興庁設置法案を国会に提出いただきます。そして、法律が成立次第できるだけ早く、二十三年度中にも設置できるよう努力いただく」(第177回国会 参議院 本会議 第21号 平成23年6月13日)ということになりました。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2011pdf/20110701003.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jichisoken/37/394/37_48/_pdf
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=117715254X02120110613&current=141

その後は民主党内の菅おろしで停滞していたわけで、自民党はこの時期に審議拒否はしていないはずですよ。
自民党が行ったのは内閣不信任案提出で、それも菅内閣退陣を要求したのみ(総選挙は要求せず)でした。2011年5月に民主党の参議院議長西岡武夫が菅直人に退陣勧告していた有様でしたから。
(「(不信任決議否決してもらえれば)辞めるといったわけではない」(菅直人)「菅総理はペテン師だ」(鳩山由紀夫)などと応酬していましたよね?)
Posted by とおりがかり at 2023年10月09日 22:27
> 菅内閣の支持率は改造直後(2011年1月)から民主党内の菅おろしで急降下していますよ。

 菅直人内閣の支持率が急降下したのは、参院選の直前に「消費税増税」をぶち上げたから。これを境に、奈落のごとく急降下した。細川内閣の国民福祉税と同様。どちらも一挙に転落した。
 党内の菅おろしなんて、関係ないですよ。かわりに、読売やテレビなどで、菅直人批判のキャンペーンが大々的に広げられた。「原発事故に対処できない菅直人は無能だからクビにしろ」というキャンペーン。ものすごかったぞ。この時点では、私は記録している。
  → https://x.gd/p63MV
 どうしてこういう大々的なキャンペーンがなされたか? 東電解体という方針が出されたので、東電が莫大な広告費を投入したからだ。
  → http://openblog.seesaa.net/article/473790011.html

 今になって昔のことを推測しなくても、当時の時点で、ちゃんと記録されています。党内抗争などは、常にあるのであって、そんなことは政権崩壊の理由にはなりません。
 
 ※ 党内抗争というのは、数人〜数十人でできる。それっぽっちの小さな行動で日本全体の運命が左右されるというのは、「尻尾が犬を振る」というような論理だ。そんな本末転倒のことがあるわけがない。内閣を倒すには、もっと巨大な力(日本全体を動かす力)が必要です。



> 自民党が行ったのは内閣不信任案提出

 そんなことでは内閣は崩壊しません。あっさり否決すればいいだけです。
 思い出したが、真相はこうだ。
 「自民党が予算案の審議拒否をしたので、翌年の予算が成立しなくなったから。民主党としては、強行採決で予算を通すか、民主主義を通すために自民党に妥協するか、二者択一だった。自民党は審議に応じる条件として、菅直人の退陣を要求したので、菅直人は退陣を呑んで、予算を通すことに決めた」
 彼は独裁よりも民主主義を選んだ。そこが安倍首相の方針とは正反対だった。
Posted by 管理人 at 2023年10月09日 23:28
>自民党のやったことは、いわば「政治テロ」(サボタージュふう)だった。そのせいで日本の政治は停滞した。かくて民主党政権は崩壊した。自民党のテロ活動は、見事に大成功したのである。
>テロ活動は、通常は「悪である」と批判されるものだが、自民党のやったテロ活動だけは大成功した。>その首謀者は、安倍晋三である。彼はのちに、自らが首相となり、憲法無視の独裁者ぶりを発揮した。>(国会召集の憲法違反、海外派兵の憲法違反、一票の格差の憲法違反。憲法違反の三連発だ。)

>菅直人は復興庁の設立に尽力したのだが、自民党が徹底的に妨害して、審議拒否して、復興庁の設立を阻止・延期した。即時設立を禁止して、1年後の設立に引き延ばした。
>復興を妨害すればするほど、日本の復興は遅れて、状況は最悪になり、地獄になる。そうすれば国民の不満は高まり、民主党政権は崩壊するはずだ……という狙い。
>その自民党の狙いはまさしく成功した。菅直人は退陣を呑まされ、震災の復興は遅れ、民主党の支持率は急低下した。政治テロの大成功。

これ、今から50年前に南米チリで起きた9.11クーデターに少し似てますか?
無理に例えるなら、菅直人がアジェンデで、安倍晋三がピノチェトといったところですか。
日本の場合はサボタージュあり、デマ混じりの情報戦ありとはいえ、チリとは違い、流血を全く伴わない合法的・民主的な方法で菅直人政権退陣、その後、民主党政権下野に至ったわけですが。
Posted by アイス at 2023年10月14日 02:53
確かに菅内閣の支持率は消費税率アップの提案で急降下して参院選も敗北しましたが、その後の民主党代表選で小沢一郎に勝利して「脱小沢」を旗印にした改造内閣を発足させたときにV字回復していますよ。ただそのために自民党だけではなく党内の小沢グループも野党化してしまったので政権運営がままならず尖閣沖の衝突事件などの対応もあってすぐに急降下していきました。(2011年1月には鳩山内閣も下回りました。)
両院議員総会でこんなやりとりがされていたわけですから。
https://www.youtube.com/watch?v=iNPe9pI_TBw

そして2011年に入ると「3月危機」というのが囁かれるようになりました。
菅内閣は予算関連法案の衆議院再可決を見据えて社民党などに働きかけたものの、小沢グループの一部議員の会派離脱を受けて仮に社民党などが予算関連法案に衆議院で賛成しても再可決は難しい状況になったので社民党も協議を打ち切ったわけです。
https://www.youtube.com/watch?v=iNPe9pI_TBw
以上は3.11以前の動きです。

3.11以降の不信任案では民主党内の小沢グループや中間グループが賛成の動きを見せたので、菅直人は辞任と引き換えに不信任案への反対を求めたわけです。(民主党内からの造反がなければ自民党の内閣不信任案など鎧袖一触で否決だったのですが)
https://www.youtube.com/watch?v=6LJ5EfY3lhM

これらからみてもわかるように菅直人は党内抗争に敗れて辞任に追い込まれたんですよ。

自民党でも海部俊樹内閣などは選挙に敗れたわけでもなく内閣支持率、党支持率もまずまずだったのに党内抗争で総辞職に追い込まれているので、党内抗争で内閣総辞職というのはありえることですよ。
Posted by とおりがかり at 2023年10月15日 00:55
 それは少数派がキャスティングボートを握ったというだけでしょう。少数派がキャスティングボートを握ると、あたかも少数派が全体を左右したように見えるが、現実には、二つの多数派のどちらかを選ぶことしかできません。二つの多数派を形成した力の方が圧倒的に大きくて、そちらが主体です。ここで、二つの多数派を軽視すると、あたかも「少数派が最大の決定力を持った」というふうに誤認します。

 海部内閣は、もともと党内基盤がない少数派で、多数派の上に乗っかっていただけです。ただの神輿なので、かつぐ人がいなくなれば、神輿は崩れます。
 
 大事なのは多数派である、という点は同様です。
Posted by 管理人 at 2023年10月15日 09:50
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