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朝日新聞でヒグマによる被害を報じる記事が続いている。
北海道ではヒグマ、本州では東北地方を中心にツキノワグマの人里への出没が増えている。
(グラフあり)
( → 【そもそも解説】全国のクマ被害、過去最悪ペース どうして人里に?:朝日新聞 )
197万人が暮らす札幌市では、近郊で育った「アーバン・ベア」が恒常的に市街地に現れる脅威が年々高まっている。
2021年には、藻岩山がある南区とは対角に位置し、山林には接していない東区の住宅地にヒグマが出没し、4人が負傷した。22年3月には札幌駅から西へ6キロほどの三角山で、冬眠穴を調査していた男性2人が襲われた。23年の出没数は7月末時点で133件に上り、過去10年で最多のペースだ。
アーバン・ベアに関する著書がある酪農学園大学の佐藤喜和教授によると、札幌市では、2000年代からヒグマが市街地に出没し始めた。10年代になると恒常化し、市街地内部への侵入も目立つようになった。こうした事態は今年さらに深刻化したという。
( → (時時刻刻)「アーバン・ベア」の脅威 都市近郊で生まれ育ったクマ 人を恐れず、集団で市街地に:朝日新聞 )
7月3日夕には札幌市南区の民家にも現れた。
「庭先で黒い物体が動いていた」
リビングでくつろいでいた松井浩さん(83)は窓越しの10メートルほど先に体長1.5メートルほどの親グマと子グマ2頭がいることに驚いた。奥の林からは、もう1頭の子グマが顔を出していた。
「ガラスを割られたらまずい」
身の危険を感じて110番通報したが、その後はクマを刺激しないように見守るしかなかった。警官が駆けつけると、松井さんが目撃した母と子のクマは森へと逃げた。翌朝も再び現れ、寝起きざまにカーテンを開けると、クマは驚いた様子で林へと走って逃げた。
1965年からここで暮らす松井さんが、庭先でクマを見たのは初めて。「こんな近くに現れるとは。怖いけれど防ぎようもない」
( → ピザの味、知ったヒグマは街へ 札幌の住宅、連日庭先に:朝日新聞 )
例の OSO18 もその一例であったらしい。
北海道でいま、ヒグマが「変容」している。その脅威は「アーバン・ベア」と呼ばれる都市型のクマにとどまらない。
今年7月、道東部で放牧中の牛66頭を次々に襲い、地元から恐れられ続けたオスのヒグマ「OSO(オソ)18」が射殺された。
道東部の釧路町で7月30日に射殺されたヒグマが後にオソと判明したが、地元が追跡を強める中でオソは4年間牛を襲い続け、被害を食い止めることはできなかった。
いま地元関係者は「第二のオソが現れかねない」と警戒を強める。ヒグマはもともと学習能力が高い。ふとしたきっかけで変容すると、人や家畜を襲うようになるためだ。
( → 「アーバン・ベア」にとどまらないヒグマの脅威 牛66頭襲ったオソ:朝日新聞 )
では、どう対策すればいいのか?
地元で提案されているのは、「ゾーニング」だ。
学者や農家らが参加するヒグマの会は7月、鈴木直道知事にヒグマと人間双方の暮らしを守る「ゾーニング」管理の強化による共存策を求めた。
ヒグマが暮らす奥山を保全しつつ、人間が暮らす市街地との間にある森林を緩衝地帯と位置付ける。緩衝地帯での駆除を認めることでヒグマの生息数を抑える。さらに、人間の生活圏にヒグマを侵入させない誘因物対策や侵入時の駆除の徹底など求めた。
だが、こうした対策も専門職員の不足といった課題が立ちはだかる。
( → ヒグマに押し込まれる境界線「死者出ていないのは、不幸中の幸い」:朝日新聞 )
ゾーニング、緩衝地帯、誘引物対策、侵入時の駆除……という言葉が並んでいる。しかし、それらはかなりコストがかかる割には、効果が低そうだ。
誘引物については、次の記事もある。
クマを人里に引き寄せる要因となるのが、田畑へ放棄された生ごみや放置された柿、栗などだ。こうした誘引物にクマが執着すると、夜間の行動が活発になる傾向がある。被害を防ぐには、ごみやペットフード、干物や漬物を野外に放置しない▽家庭菜園の作物や果実を早めに収穫し、畑に放置しない、といった対策が必要になる。道路の周辺や家、農地の周囲で草刈りを行い、クマが身を隠す場所を取り除くことも重要だ。
( → クマ引き寄せる生ごみや柿 誘引物に執着すると、夜間の行動活発に:朝日新聞 )
まあ、それはそれなりに有効ではあろうが、抜本的な対策にはなるまい。上に掲げた方策は、どれもこれも小手先の対症療法にすぎない、と見える。根源的な対策となっていないのだ。
では、根源的な対策とは? それは、こうだ。
「どうしてヒグマが人里に来ることが急に増えたのか?」
その原因を理解した上で、その原因への対策をきちんと取ることだ。換言すれば、こうだ。
「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」
というふうに、やみくもにあれこれと対策を打っても仕方ない。病気に対しては病気に対応する適切な治療薬が必要であるように、ヒグマ対策でも原因に対する適切な対策が必要だ。
だから、まずは、ヒグマによる被害が増えたことの原因を探るべきだ。
では、原因は? それは、ほぼ判明している。次の二点だ。
・ ヒグマの食糧事情が悪化したこと。
・ ヒグマの数が 10年で倍増したこと。
このうち、前者については前項で示した。(魚やドングリの不足)
後者については、次の記事がある。
ヒグマが人里との距離を縮め、生活やなりわいへの脅威となっている背景には、個体数の増加がある。北海道内の推定生息数(2020年)は1万1700頭と、30年前の5200頭から倍増した。
増加の要因とされるのが、1989年度に実行に移された「春グマ駆除」の禁止だ。
北海道では80年代まで、ヒグマによる人的被害や農業被害を防ごうと、追跡しやすい3〜5月の残雪期の積極的な駆除を進めてきた。だが、個体数の減少に危機感を強めた道が方針を転換。環境保護や生物多様性の重要性も問われるようになり、道は90年以降、春グマ駆除を禁じた。
それから30年余り。ヒグマの駆除には批判もあるが、人を恐れなくなったヒグマが相次いで市街地に出没して市民生活を脅かす事態に。
( → (時時刻刻)「アーバン・ベア」の脅威 都市近郊で生まれ育ったクマ 人を恐れず、集団で市街地に:朝日新聞 )
そこで、「捕殺せよ」という声が出たそうだが、それも困難であるそうだ。
銃でクマを捕殺する道内の狩猟免許所持者数はピーク時の78年に2万人を超えたが、今では約3分の1にまで減少し、高齢化も進む。道によると、ロシアによるウクライナ侵攻や銅の高騰で、ハンターが使う銃弾が不足している現状もある。
捕殺したいと思っても、捕殺できないわけだ。
というか、そもそも、ヒグマを人間の都合で勝手に大量殺害するというのも、気が引ける。かといって、大量殺害しなければ、「個体数増加による被害増大」という問題を解決できそうにない。
あちらが立てば、こちらが立たず。困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
まずは、前項にも示したように、ヒグマパークだ。
「狭い動物園とは違って、広大な領域にヒグマを放し飼いにして、そこでヒグマが自由に生きられるようにする。しかも、領域内に閉じ込めることで、外部に逃げ出せないようにして、人間に危害を及ぼすことをなくす。こうして人間とヒグマが win-win の関係を保つ。」
ここでは、ヒグマが周辺に出向かないように、工夫をする。
「ヒグマ・パークには、柵を付けるとしたら金がかかりすぎる……と思えたが、柵は付けなくても大丈夫だろう。領域の外に出たら、餓死するだけなのだから、中心部に餌を置くだけで、ヒグマは領域の外には出にくくなる。(出れば餓死するだけだ。)」
ここまでは、すでに述べたことだ。
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だが、以上の方法だけでは、ヒグマは領域の外に出てしまうかもしれない。餌が不足すれば、物足りないな、と思って、遠くの人里の方まで出向きそうだ。かといって、餌の量を増やせば、ヒグマが大量に繁殖して、個体数が大幅に増えてしまいそうだ。それでは逆効果だ。
結局、餌を減らしても増やしてもダメだ。あちらもこちらもダメだ。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「ヒグマが人里を襲わなくするように、ヒグマにゲームをさせるといい。人間がゲームに熱中するように、ヒグマもゲームに熱中すればいいのだ」
これを読むと、「おまえは何を言っているんだ?」と疑問に思う人が多いだろう。だが、まあ、次の説明を読んでほしい。
ヒグマに餌をやれば、ヒグマは餌をたらふく食うようになる。それではヒグマが餌付けされてしまうことになる。そいつは最悪だ。ヒグマを餌付けすれば、ヒグマは人間にすり寄るようになって、ヒグマがどんどん人間に接近するようになるからだ。これでは逆効果だと言える。この問題は、ずっと前に扱ったことがある。(名案は出さずじまいだったが。)
→ 熊を殺すか餌付けするか?: Open ブログ
だから、ヒグマを餌付けするわけには行かない。かといって、ヒグマを食糧不足のまま大量餓死させるわけにも行くまい。(前項)
そこで、この二つを両立させる方法として、次の方法を提案する。
「ヒグマにゲームをさせる」
ここで言うゲームとは、「餌探し」をするゲームだ。それはちょうど、ロール・プレイング・ゲーム(RPG)の「宝探し」のようなものだ。ゲーマーが宝を探して、あちこちを掘ったりひっくり返したりするように、ヒグマもまた餌を探して、あちこちを掘ったりひっくり返したりすればいいのだ。ゲーム感覚で餌探しをすればいいのだ。
すると、どうなるか? ヒグマは餌を探して一日中、ゲームをやり続ける。あちことを掘ったりひっくり返したりする。それだけで1日が暮れてしまうので、遠くの人里まで出向くこともない。
つまり、ヒグマパークの中心部にだけゲーム場(餌場)があって、そこ以外には食物がないのだから、ヒグマとしては、中心部のゲーム場(餌場)から離れられなくなるわけだ。
これは、現状とは正反対である。現状とは何か? こうだ。
「本来の餌場である河口では、いるはずの魚がいないので、食べ物に困る。また、山のなかでは、あるはずのドングリがないので、食べ物に困る。どこを探しても、食べ物がない。あるとしたら、人里だけだ。ならば、生きるためには、人里に行くしかない。そこでゴミ漁りでもするしかない」
これが現状だ。だからこそ、ヒグマは人里に行く。
そこで、この現状への対策として、ヒグマパークをつくって、その中心で餌探しをさせればいいのだ。そうすれば、ヒグマは一日中、ゲーム中毒になるので、ヒグマは人里を襲わなくなる。
これが賢明な解決策というものだ。困ったときの Openブログ。
[ 付記 ]
ヒグマの個体数を増やしすぎないことも大切だ。そのためには、捕殺するという方法は必要ない。もっとうまい方法がある。それは、「あえて大量餓死させる」ということだ。
前項では「大量餓死はダメだ」と述べた。それに反するようだが、実は、「あえて大量餓死させる」という方策は成立する。なぜなら、次のことがあるからだ。
ドングリの凶作年があるというのは、実は、ドングリの生存戦略だったのだ。
凶作になって熊が困っているのかと思ったら、実は、それは偶然の産物ではなくて、ドングリの意図的な戦略だった。ドングリは、食い尽くされないために、あえて凶作にして、熊を飢え死にさせているのである。
( → 熊を殺してもいいか? : Open ブログ )
ドングリは、ヒグマに食い尽くされないために、あえて凶作の年をつくる。その年には、凶作のせいでヒグマが大量に餓死する。すると、翌年以後は、ヒグマに食われないので、食い尽くされずに、うまく生き延びることができる。
とすれば、今年はドングリの凶作のせいで、ヒグマが大量に餓死したとしても、それはそれで当然のことなのだ、とも言える。自然の摂理。そこに人間が介入する必要はない、とも言える。
とはいえ、それに重なる形で、地球温暖化による「魚の減少」もあるようだ。これが加算される形で、ヒグマがあまりにも大量餓死するとしたら、そいつはまずい。
ドングリは、「そんなの、オレの知ったこっちゃない。オレのせいじゃない」と言い張りそうだが、だとしても、ドングリと人間の協調行動のせいで、ヒグマが大量餓死しすぎるというのも、問題だ。
では、どうすればいいかというと……もちろん先に述べたとおり、「ヒグマパークでゲームをさせる」というのが、解決策だ。
ただし、ある程度は、餓死をさせてもいいだろう。
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ちなみに、捕殺は難しいようだが、だったら、罠を仕掛けるという手もある。落とし穴とかね。
特に、ゲームを楽しんでいるヒグマは、ゲームでコツをつかむはずなので、そのコツを覚えたヒグマを、うまく誘って、落とし穴に誘導してしまえばいいのだ。
[ 付記 ]
別案もある。
「増えすぎたエゾシカを捕獲して、そのあとは殺さずにおく。縄で樹木に結んでおく。それを見つけたヒグマが、エゾシカを襲って食う。エゾシカは逃げられずに、食い殺される」
これもまあ、広い意味での「餌探し」「宝探し」の一種と言えそうだ。