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健康保険証を廃止して、マイナンバーカードだけで済ませよ、というのは、河野太郎大臣が主張していることだ。
河野太郎デジタル相は9日、健康保険証の廃止は「法律で決まっていること」とし、マイナンバーカードに保険証機能を持たせたマイナ保険証の利用拡大が医療の質の向上につながると改めて強調した。
廃止に疑問を持つ医療関係者もいると問われ、「お医者さんがどう思うかではなく、きちんとやるべきことはやっていただかなければならない」とも述べた。
( → 河野太郎氏、保険証廃止「法律で決まっている」 利点を強調 - 日本経済新聞 )
言っているのは、「法律でそう決まっている」という法律論だけだ。現実にそれが可能かどうかは、また別の話である。
比喩で言えば、「月面に日本人を到着させる」という法律を作っても、そのためのロケットがなければ、実現は不可能だ。また、「万博を予定通りに開催する」と法律で決めても、現実にパビリオンが建設されていなければ、予定通りには開催できない。つまり、法律通りに現実が進むとは限らない。
健康保険証もまた同じ。これを廃止することは、現実には不可能であるようだ。なぜなら、私は次の体験をしたからだ。
病院の窓口で、
私 「マイナカードで受診します」
病院「初診ですか?」
私 「初診です」
病院「では、この機械にマイナカードを入れてください」
以後、操作して、認証完了。
しかし数分後に、病院が改めて問いかける。
病院「健康保険証はありますか?」
私 「一応、持ってきましたが」
病院「持ってきたのなら、貸してください」
私 「マイナカードがあれば、保険証は不要のはずですが」
病院「どうしても必要なんです。預かります」
こうして否応なしに保険証を奪い取っていった。
数分後に、返却してくれた。
病院「ありがとうございました。今回は初診なので、健康保険証の有効期限を確認するために、健康保険証の画像を撮影することが必要でした。次回以後は、不要になりますが、今回は必要でした」
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というわけで、「健康保険証の有効期限を確認するため」という理由で、健康保険証は病院で必要となる。健康保険証の廃止なんて、できないわけだ。少なくとも、病院の側はそう言っている。病院がそう言っているのだから、そうなんだろう。
この問題、河野太郎は、どうするつもりなんだ。今のまま、健康保険証を廃止すると、健康保険証の有効期限を確認できないまま、患者はみんな病院で診療拒否されそうだぞ。それでいいのか?
[ 余談 ]
病院と言ったが、正確には歯医者だった。歯垢除去のために、半年ごとに通う必要がある。