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救急車の音が聞こえないので、気づかずに救急車に轢かれそうになった……という老婦人の例があったそうだ。
《 「サイレンを鳴らす救急車が走ってくるのに、横断歩道を渡ろうとする老婦人。腕をつかんで引き留めると...」》
数年前、Yさんが信号待ちをしていると、救急車がサイレンを鳴らしながら近づいてきた。
しかし、一緒に信号を待っていた老婦人は青信号に変わった途端、前に進みだして......。
<Yさんの体験談>
数年前、信号待ちをしていたときのことです。私の他に、とてもきれいに着飾った老婦人が横断歩道の前にいました。
少し遠くから、救急車がサイレンを鳴らしながら交差点へ近づいて来るのが見えました。道路の車もゆっくりと端へ寄って止まっていきます。
救急車が来ているのに...
その時、道路の信号が赤に変わり、私達が待っていた歩行者信号は青に。
すると老婦人が、青に変わったからと歩き出したのです。
このままでは救急車にはねられると思い、私はとっさにその老婦人の腕を掴んで引き止めました。
彼女はびっくりしていましたが、すぐに状況に気付いたようで、「まぁ!!すみません、ありがとうございます」と言われました。
どうやら老婦人の身長では路肩に停車した車で救急車が見えなかったようです。救急車の音も聞こえていなかった様子でした。
( → Jタウンネット )
救急車の高音は、老人には聞こえにくいようだ。もっと低音にするべきだと言えるだろう。
低音ならば、遠くまで届きやすい。また、車両の窓ガラスを透過しやすい。そういう効果もある。
一方で、高音は「人々の注意を引きやすい」という長所があるし、低音には「ただの騒音とまぎらわしい」という弱点もある。この意味では、高音の方が好ましいことになる。
では、どちらがいいのか? 困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
この問題は「あちらが立てば、こちらが立たず」という二律背反の関係にはない。高音と低音は、どちらも成立させることができる。つまり、高音と低音を、混ぜてしまえばいいのだ。
そうすれば、高齢者は低音だけに気づくし、普通の人は、高音と低音の入り混じった音で注意を引かれる。
なお、この際、簡単なメロディーを付けてもいい。例の「ポポポポーン」みたいなのでもいい。「ドドドン、ポキポキ、キーン」でもいい。
ともあれ、以上のような工夫をすることで、高音と低音を両立させることができる。「高音だけ」という現状からの改善となる。
[ 付記 ]
この問題については、関係者も気づいていて、対策を考えているそうだ。
歩行者には2千〜4千ヘルツの高音域が聞き取りやすいが、窓を閉め切った車内では300〜500ヘルツの低音域が聞こえやすいといわれる。ただ、音には元の2倍、3倍といった周波数の「倍音」が生じる性質があるほか、異なる音を重ねるとそれぞれの周波数の差と同じ「差音」も発生し、単純ではない。
歩行者が聞き取りやすい高音域と、窓ガラスに遮られにくい低音域を両立させ、しかも人が違和感を覚える不協和音を作り出せないか。最適な周波数の組み合わせを探し、閉め切った車内でも音が聞こえやすいか、離れても音が届くかなど実験を重ねた。音の専門家の協力も得て、歩行者も車内の人も聞こえやすい新たな音を、約3年かけて完成させた。
( → 緊急車両に新サイレン 「ギュイーン」の秘密は不協和音:朝日新聞 )
このようにして、高音と低音の入り混じった新しい音が開発された……という趣旨の記事だ。
ところが現実にできた新音源は、その狙いとは正反対のものになった。
従来の音の周波数は780ヘルツだが、運転席にある「交差点」というスイッチを押すと、1326ヘルツの高音が重ねられ、不協和音が響き渡る。
従来の音に追加されたのは、低音ではなく、高音だ。「窓ガラスに遮られにくい低音」を狙ったくせに、追加されたのは高音だ。……これでは、先の老婦人にとっては、何の意味もない。
開発した当局も、記事を書いた朝日新聞記者も、自分が何をやっているか、わかっていないようだ。「前に進むのが大切なので、後ろへ進みました」というようなものだ。頭のネジがイカレているというしかない。頭に論理というものが備わっているのか、疑うね。
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ただし、ネットでググると、低音を混ぜた新しい音源も開発されているそうだ。
従来のサイレン音:「ピーポー」
新しいサイレン音:「ブーボー」
これまでの甲高い音から、低音が混じった和音タイプに変わりました。
これは偉いね。 コメントを読んでも、評判がいいようだ。
だけど、私だったら、もっとずっと低い音(腹に響くような音)を混ぜるけどね。そのためには、30cm ぐらいのサブウーハーみたいなサイレンが必要になりそうだが。