2023年09月01日

◆ リニア新幹線の南回りルート

 ( 前項 の続き )
 リニア新幹線の「東京〜名古屋」間は、南アルプスで工事が難航している。そこで、新たに南回りのルートを提案する。これはコストが大幅低下となる。

 ── 

 前項 で述べたように、リニア新幹線の「東京〜名古屋」間は、南アルプスで工事が難航している。
 そこで、新たに別ルートを提案する。これならば、浅い地下の工事で済むので、コストが激安となる。結果的に、リニア新幹線の料金は、半額程度で済むようになるだろう。(一方、現状のままでは、コストがべらぼうに上がったあげく、計画が頓挫しかねない。)

 ルートは下記だ。


リニア新幹線 南回りルート
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 全路線を通じて、浅い地下トンネルとなる。部分的には高架にすることも考えられるが、その箇所は、渓谷など、ごく限られる。
 比較的深いところになるのは、静岡の北側で、南アルプスの末端に位置する。このあたりだけは、やや深いトンネルとなるが、やむを得ない。

 どうしても、ここでも深いトンネルを避けるとしたら、ルートをさらに南にずらすことになる。その場合には、富士山の南側を通ることになる。それも一案ではあるが、ここではそれを次善の案としておこう。(第二候補だ。)
( ※ なお、この次善の案だと、地上に出たリニアが、富士山の景観を汚すことになりそうだ。富士山の写真を撮ると、リニアの線が出てしまうのだ。これはちょっとまずいね。)

 富士山の北側を通るルートだと、トンネルから富士山の湧水が大量に出る可能性がある。その心配もあるだろう。
 だが、大丈夫。その場合には、湧水は富士五湖に溜まることになるからだ。水があふれても、富士五湖に溜まるので、問題ない。
(そこで湧水が出た分、他の箇所では湧水が減るだろうが、どっちみち、同じことだ。だから、全体としてみれば、湧水は問題ない。)

 景観の点でも、富士山の北側を通る方がいい。このあたりは樹木が多いので、リニアが地上に出ても、樹木で隠されるか、ほとんど目立たないか、そんなところで済むだろう。目立って景観を汚すことはないだろう。
( ※ 富士山の南側で列車が走ると、伊豆半島から海を隔てて富士山を見たときに、景観が汚される危険がある。これは、富士山を遠くから見るからだ。富士山の北側で列車が走ると、途中に海がないので、遠くからは山麓は見えない。近くにある樹木が見えるだけで、遠くの山麓は見えない。)

 ともあれ、この南回りのルートならば、浅い地下だけを通るので、工事が難航することはない。コストも大幅に下がる。完成時期も大幅に早まる。
 「いつできるかもわからないし、そもそも完成するかどうかもわからない」
 という現行ルートよりも、はるかに安全だ。
 現状では、JR東海 が倒産する危険はかなりあるが、本項の案ならば、倒産の危険は皆無だろう。難工事にはならないからだ。
 


 [ 付記1 ]
 「ルートが直線にならず、曲線になるから、工事が困難だ」
 という疑問もありそうだが、大丈夫。
 下記で示した迂回案(南アルプスの北側を迂回する案)が出たときも、JR東海は、「直線でないからダメだ」とは言わなかった。単に「距離が伸びるからダメだ」と言っただけだ。
 つまり、技術的には、曲線ルートを取ることに問題があるとは思っていないわけだ。直線ルートを取るのは、あくまで「最短距離でコストが安いから」という理由によるだけだ。「技術的に困難だから」というような理由はない。(あったとしても、今後 10年間をかけて解決すればいい。たいした技術的問題ではない。)

 [ 付記2 ]
 JR東海は、南アルプスを迂回するルートを、前に検討したことがある。
 JR東海は計画公表時から、東京―名古屋間をほぼ直線の286キロでつなぐルートを希望。これに対し長野県は、南アルプスを北に迂回(うかい)し、人口の多い県中部を通るルートを希望する。
 JR東海の試算では、直線ルートだと東京―大阪間の建設費は9兆300億円だが、迂回ルートだと9兆6800億円。同社は「民間企業の体力の範囲内でしかできない」(松本正之社長)と否定的だ。

linear-ukai.jpg

( → asahi.com(朝日新聞社):リニア中央新幹線、国の審議開始 地元調整難航か - 鉄道 - トラベル

 これは北回りの迂回ルートだ。これでは地下の浅いところを通ることはできないので、意味がない。私が提案するのは、南回りの迂回ルートだ。
 ※ コストは上がるどころか、大幅に下がる。ほぼ半減する。「民間企業の体力の範囲内でしかできない」というのなら、南回りのルートを取るべきだ。

 [ 付記3 ]
 静岡の北側は南アルプスの末端なので、トンネルが深くなる……というふうに述べた。これを回避する名案がある。
 トンネルを坂道にすればいいのだ。つまり、山の標高に沿いながら、いったん坂道を上がり、その後は坂道を下がる。
 この方法だと、エネルギーが無駄になりそうだが、大丈夫。上りの坂道でエネルギーを失った分は、下りの坂道でエネルギーを回収できる。差し引きすれば、ほぼトントンだ。(現実には、いくらかエネルギー消費が増えるが、大幅ではない。)
 この方法で、工事の地下深度を浅くすることができる。

  ※ ただし、上りで減速し、下りで加速するので、所要時間が増える。
      500km → 400km → 300km → 400km → 500km

    という過程で、5分間ほど多くかかる。
    この減速をなくすことはできるが、エネルギー消費が大幅に増える。
    と思ったが、違う。モーターは減速時にエネルギーの回生ができる。
    だから、エネルギーの消費増の心配はないね。少しだけで済む。

 [ 付記4 ]
 南回りルートを取ると、静岡県内に駅ができそうだ。場所は、富士宮の北北西。朝霧ジャンボリーゴルフクラブ のあたり。このあたりなら、富士市からも遠くはない。ここまで鉄道を新設すれば、文句はないだろうが、鉄道は無理でも、自動車で行けるだけでも大丈夫だろう。(富士市から自動車で 59分だ。)
 まあ、静岡側では、利用する客は、ほとんどいないだろうけどね。かわりに、すぐ北の甲府から利用する客は、いるだろう。(自動車で 64分だ。)
 駅までの連絡は、鉄道は必要なく、直通バスで十分だ。(時間は上記の通り。)
 停車するリニアの本数は、1日に2本ぐらいなら、何とかなるかも。
 静岡県と山梨県が協力して推進すれば、南回りルートの実現は可能かもね。

 [ 付記5 ]
 「リニアは、名前からして直線的なんだから、直線にするしかないだろ」
 と言葉の面から難癖を付ける人もいそうだ。だが、それは勘違い。リニア(リニアモーターカー)という名前自体が間違っている。これは JR のつくった和製英語であって、英語圏では通用しない。英語圏では「磁気浮上」( magnetic levitation )を略した Maglev という。中国語では「磁浮」だ。
  → リニアは和製英語だから、世界で通じるようになるまでは正しい言い方を覚えておけ!

 リニア新幹線なんて言っても、英語圏の人にはさっぱり通じないのである。マグレブ新幹線と改称するべきだろう。発音しにくいというのなら、「磁浮」でもいい。短すぎるなら、「磁浮線」でいい。まあ、センスはないけどね。(私のお薦めは音を伸ばして、「ジーフ」だ。造語。「ジップ」でもよさそうだが、Zip は同音異義語が多すぎる。)



 【 関連サイト 】

 関連情報がある。
  → <考えるリニア着工 なぜ決まったCルート>(上)JR信じ20年 「約束違う」:東京新聞 TOKYO Web

 


 【 関連項目 】

 → リニア新幹線・米原ルート: Open ブログ (前々項)
posted by 管理人 at 22:44 | Comment(8) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  [ 付記3 ] [ 付記4 ] [ 付記5 ] を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2023年09月02日 10:01
ちょっと新東名っぽいルートになりましたね。

各交通機関の曲率半径は

東名高速道路 …最小300m
新東名高速道路…最小1,500m
東海道新幹線 …最小400m、原則2,500m
東海道以外  …最小400m、原則4,000m
常電導リニア …1,000m(200km/hの場合)
        2,250m(300km/hの場合)
超伝導リニア …原則8,000m

なので、新東名を作る際に原則2,500mとし(その分コストは上がるが)、超伝導リニアではなく第2東海道新幹線(もしくは常電導リニア)との2階建てにすれば、トータルで安くすんだのかなと思ってしまいました。
Posted by のび at 2023年09月02日 10:34
 常伝導だと、カーブは曲がれるが、スピードが出ない。時速 500km を実現するには、超伝導が必要だ。

> その上海リニアも開業から約20年が経ち、現在はフルスピードでの運行はしておらず、最高速度は時速300kmにとどまっている。これは高速鉄道を走る最速列車の時速350kmさえも下回っている。
  https://toyokeizai.net/articles/-/665738

 ──

 時速 500km なら、直線にする必要もない。
 直線にする必要があるのは、時速 1000km の真空チューブ列車。ただし、それを実現するためには、トンネルの建設工事の時点で、密閉に対応させる必要がある。
  → http://openblog.seesaa.net/article/435851095.html

 JR東海 は、そういう工事をする気がないようだ。だったら、直線にする必要もない。

 ※ なお、真空チューブ列車の場合、真空チューブには周囲からものすごい圧力がかかる。南アルプスを通るのは、至難だろう。
Posted by 管理人 at 2023年09月02日 11:19
2行ケチったばっかりに…

各交通機関の曲率半径は
http://www.nbbk.sakura.ne.jp/npp/2019-09/2019-0921B.html
等によると

東名高速道路 …最小300m
新東名高速道路…最小1,500m
東海道新幹線 …最小400m、原則2,500m
東海道以外  …最小400m、原則4,000m
常電導リニア …1,000m(200km/hの場合)
        2,250m(300km/hの場合)
        4,000m(400km/hの場合)
        6,200m(500km/hの場合)
超伝導リニア …原則8,000m(150km/h以上の場合)

なので、常電導リニアでも時速500kmは出せます。
https://toyokeizai.net/articles/-/665738
にある上海リニアが時速430kmで営業開始し、現在は時速300kmに落としているのは、路線長が30kmしかなく、飛ばしても意味がないからです。
400km以上を書かなかったのは、半径が大きすぎて、今回の趣旨である「新東名との2階建て」が無理だと思ったからです。
Posted by のび at 2023年09月02日 12:39
 以下、転載。

 ──

 中国ですでに運転しているリニアは1pしか浮上しないそうです。
どうして中国に先を越されてるんだろうって思ってたけど、地震の多い日本では1pしか浮上しない方式では危険ということで10p浮上する超伝導方式をとっているそうです

https://ameblo.jp/onemoreplan/entry-11619763542.html
Posted by 管理人 at 2023年09月02日 12:51
 常伝導は、ドイツの技術を使って、中国に短距離の区間を作っただけで、ろくに実用化していない。肝心のドイツでも計画倒れ。愛知県の例では、時速 100km しか出していない。
 超高速鉄道としては、まともに完成して実用化された技術ではない。通常速度でなら、実用化されている。

 https://x.gd/BlP55
Posted by 管理人 at 2023年09月02日 13:01
管理人さんの米原リニア案を「大阪直線ルートと比べて遅い」と散々けなしておいてこんなことを言うのも何ですが、「東海道新幹線のバイパス」がそんなに早いものである必要があるのでしょうか?
(前のコメントで挙げたHPを見て以来、超電導リニアに懐疑的になっていますので、「大阪直線ルートのリニアを予定通り作ればいい」という意見は取り下げます)

現在でも東京−大阪間の移動は飛行機より新幹線の利用客が圧倒的に多いです。ですので、飛行機から奪い取れる需要はたかがしれていますし、高速バスからは料金が違いすぎるのでなおさらです。

もちろん、リニアでより短時間で結ばれるようになれば、新たな需要も生まれるかもしれません。
しかし、本当に新たな需要が生まれた場合、リニアも東海道もどちらも混雑するので、「リニアがあるから東海道を止めて工事」は難しくなります。

新たな需要が生まれなければ工事は可能ですが、
リニアは(どの方式もルートもひっくるめて)バイパスといえるのでしょうか?

高速で言えば、中央道は東名道のバイパスといえなくもありません。しかし、それが成立するのは主に東京と愛知の人であり、途中の人(特に静岡県に用がある人)にとってはバイパスとは呼べません。

現在の新東名は東名道のバイパスといえますが、もし「高速化のために各県に1つしかICのない新東名」があったとして、それはバイパスとして機能するでしょうか?

工事であれば重要の少ない時期の夜間を狙って一気に行えば、影響は少ないでしょう。しかし、事故や災害の場合はどうでしょうか?

そう考えると、「東海道よりは駅が少ないがリニアよりは駅が多い」新路線を、管理人さんのおっしゃるルート、もしくは新東名と2階建てにするなどして、第2東海道新幹線を走らせた方が、真の意味での「バイパス」と呼べるのではないかと思います。
Posted by のび at 2023年09月02日 13:07
 JR東海の計画では、超電導リニアを在来式の新幹線と同程度のコストで建設できる……というはずだったんですね。「だったら、コストが同じまま、速度が倍になる方が、料金を上げることができて、儲かる」という理屈。

 しかしもはや「同程度のコストでできる」という皮算用は成立しないと判明した。JR東海の夢(妄想)は破れた。

 そこで私がかわりの案を出した。
 「コストは在来方式の新幹線とあまり変わらないで、速度は2倍になる、新ルート」
 という案だ。

 ──

 なお、バイパスというのは、「事故時の代替ルート」というよりは、「長距離客の半分を受け入れて、需要の増加を満たす」という意味でしょう。事故時の代替ルート(地方の地元民の需要)は、あまり考えていないと思う。
Posted by 管理人 at 2023年09月02日 13:52
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