リニア新幹線の「東京〜名古屋」間は、南アルプスで工事が難航している。そこで、新たに南回りのルートを提案する。これはコストが大幅低下となる。
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前項 で述べたように、リニア新幹線の「東京〜名古屋」間は、南アルプスで工事が難航している。
そこで、新たに別ルートを提案する。これならば、浅い地下の工事で済むので、コストが激安となる。結果的に、リニア新幹線の料金は、半額程度で済むようになるだろう。(一方、現状のままでは、コストがべらぼうに上がったあげく、計画が頓挫しかねない。)
ルートは下記だ。
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全路線を通じて、浅い地下トンネルとなる。部分的には高架にすることも考えられるが、その箇所は、渓谷など、ごく限られる。
比較的深いところになるのは、静岡の北側で、南アルプスの末端に位置する。このあたりだけは、やや深いトンネルとなるが、やむを得ない。
どうしても、ここでも深いトンネルを避けるとしたら、ルートをさらに南にずらすことになる。その場合には、富士山の南側を通ることになる。それも一案ではあるが、ここではそれを次善の案としておこう。(第二候補だ。)
( ※ なお、この次善の案だと、地上に出たリニアが、富士山の景観を汚すことになりそうだ。富士山の写真を撮ると、リニアの線が出てしまうのだ。これはちょっとまずいね。)
富士山の北側を通るルートだと、トンネルから富士山の湧水が大量に出る可能性がある。その心配もあるだろう。
だが、大丈夫。その場合には、湧水は富士五湖に溜まることになるからだ。水があふれても、富士五湖に溜まるので、問題ない。
(そこで湧水が出た分、他の箇所では湧水が減るだろうが、どっちみち、同じことだ。だから、全体としてみれば、湧水は問題ない。)
景観の点でも、富士山の北側を通る方がいい。このあたりは樹木が多いので、リニアが地上に出ても、樹木で隠されるか、ほとんど目立たないか、そんなところで済むだろう。目立って景観を汚すことはないだろう。
( ※ 富士山の南側で列車が走ると、伊豆半島から海を隔てて富士山を見たときに、景観が汚される危険がある。これは、富士山を遠くから見るからだ。富士山の北側で列車が走ると、途中に海がないので、遠くからは山麓は見えない。近くにある樹木が見えるだけで、遠くの山麓は見えない。)
ともあれ、この南回りのルートならば、浅い地下だけを通るので、工事が難航することはない。コストも大幅に下がる。完成時期も大幅に早まる。
「いつできるかもわからないし、そもそも完成するかどうかもわからない」
という現行ルートよりも、はるかに安全だ。
現状では、JR東海 が倒産する危険はかなりあるが、本項の案ならば、倒産の危険は皆無だろう。難工事にはならないからだ。
[ 付記1 ]
「ルートが直線にならず、曲線になるから、工事が困難だ」
という疑問もありそうだが、大丈夫。
下記で示した迂回案(南アルプスの北側を迂回する案)が出たときも、JR東海は、「直線でないからダメだ」とは言わなかった。単に「距離が伸びるからダメだ」と言っただけだ。
つまり、技術的には、曲線ルートを取ることに問題があるとは思っていないわけだ。直線ルートを取るのは、あくまで「最短距離でコストが安いから」という理由によるだけだ。「技術的に困難だから」というような理由はない。(あったとしても、今後 10年間をかけて解決すればいい。たいした技術的問題ではない。)
[ 付記2 ]
JR東海は、南アルプスを迂回するルートを、前に検討したことがある。
JR東海は計画公表時から、東京―名古屋間をほぼ直線の286キロでつなぐルートを希望。これに対し長野県は、南アルプスを北に迂回(うかい)し、人口の多い県中部を通るルートを希望する。
JR東海の試算では、直線ルートだと東京―大阪間の建設費は9兆300億円だが、迂回ルートだと9兆6800億円。同社は「民間企業の体力の範囲内でしかできない」(松本正之社長)と否定的だ。
( → asahi.com(朝日新聞社):リニア中央新幹線、国の審議開始 地元調整難航か - 鉄道 - トラベル )
これは北回りの迂回ルートだ。これでは地下の浅いところを通ることはできないので、意味がない。私が提案するのは、南回りの迂回ルートだ。
※ コストは上がるどころか、大幅に下がる。ほぼ半減する。「民間企業の体力の範囲内でしかできない」というのなら、南回りのルートを取るべきだ。
[ 付記3 ]
静岡の北側は南アルプスの末端なので、トンネルが深くなる……というふうに述べた。これを回避する名案がある。
トンネルを坂道にすればいいのだ。つまり、山の標高に沿いながら、いったん坂道を上がり、その後は坂道を下がる。
この方法だと、エネルギーが無駄になりそうだが、大丈夫。上りの坂道でエネルギーを失った分は、下りの坂道でエネルギーを回収できる。差し引きすれば、ほぼトントンだ。(現実には、いくらかエネルギー消費が増えるが、大幅ではない。)
この方法で、工事の地下深度を浅くすることができる。
※ ただし、上りで減速し、下りで加速するので、所要時間が増える。
500km → 400km → 300km → 400km → 500km
という過程で、5分間ほど多くかかる。
この減速をなくすことはできるが、エネルギー消費が大幅に増える。
と思ったが、違う。モーターは減速時にエネルギーの回生ができる。
だから、エネルギーの消費増の心配はないね。少しだけで済む。
[ 付記4 ]
南回りルートを取ると、静岡県内に駅ができそうだ。場所は、富士宮の北北西。朝霧ジャンボリーゴルフクラブ のあたり。このあたりなら、富士市からも遠くはない。ここまで鉄道を新設すれば、文句はないだろうが、鉄道は無理でも、自動車で行けるだけでも大丈夫だろう。(富士市から自動車で 59分だ。)
まあ、静岡側では、利用する客は、ほとんどいないだろうけどね。かわりに、すぐ北の甲府から利用する客は、いるだろう。(自動車で 64分だ。)
駅までの連絡は、鉄道は必要なく、直通バスで十分だ。(時間は上記の通り。)
停車するリニアの本数は、1日に2本ぐらいなら、何とかなるかも。
静岡県と山梨県が協力して推進すれば、南回りルートの実現は可能かもね。
[ 付記5 ]
「リニアは、名前からして直線的なんだから、直線にするしかないだろ」
と言葉の面から難癖を付ける人もいそうだ。だが、それは勘違い。リニア(リニアモーターカー)という名前自体が間違っている。これは JR のつくった和製英語であって、英語圏では通用しない。英語圏では「磁気浮上」( magnetic levitation )を略した Maglev という。中国語では「磁浮」だ。
→ リニアは和製英語だから、世界で通じるようになるまでは正しい言い方を覚えておけ!
リニア新幹線なんて言っても、英語圏の人にはさっぱり通じないのである。マグレブ新幹線と改称するべきだろう。発音しにくいというのなら、「磁浮」でもいい。短すぎるなら、「磁浮線」でいい。まあ、センスはないけどね。(私のお薦めは音を伸ばして、「ジーフ」だ。造語。「ジップ」でもよさそうだが、Zip は同音異義語が多すぎる。)
【 関連サイト 】
関連情報がある。
→ <考えるリニア着工 なぜ決まったCルート>(上)JR信じ20年 「約束違う」:東京新聞 TOKYO Web
【 関連項目 】
→ リニア新幹線・米原ルート: Open ブログ (前々項)
各交通機関の曲率半径は
東名高速道路 …最小300m
新東名高速道路…最小1,500m
東海道新幹線 …最小400m、原則2,500m
東海道以外 …最小400m、原則4,000m
常電導リニア …1,000m(200km/hの場合)
2,250m(300km/hの場合)
超伝導リニア …原則8,000m
なので、新東名を作る際に原則2,500mとし(その分コストは上がるが)、超伝導リニアではなく第2東海道新幹線(もしくは常電導リニア)との2階建てにすれば、トータルで安くすんだのかなと思ってしまいました。
> その上海リニアも開業から約20年が経ち、現在はフルスピードでの運行はしておらず、最高速度は時速300kmにとどまっている。これは高速鉄道を走る最速列車の時速350kmさえも下回っている。
https://toyokeizai.net/articles/-/665738
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時速 500km なら、直線にする必要もない。
直線にする必要があるのは、時速 1000km の真空チューブ列車。ただし、それを実現するためには、トンネルの建設工事の時点で、密閉に対応させる必要がある。
→ http://openblog.seesaa.net/article/435851095.html
JR東海 は、そういう工事をする気がないようだ。だったら、直線にする必要もない。
※ なお、真空チューブ列車の場合、真空チューブには周囲からものすごい圧力がかかる。南アルプスを通るのは、至難だろう。
各交通機関の曲率半径は
http://www.nbbk.sakura.ne.jp/npp/2019-09/2019-0921B.html
等によると
東名高速道路 …最小300m
新東名高速道路…最小1,500m
東海道新幹線 …最小400m、原則2,500m
東海道以外 …最小400m、原則4,000m
常電導リニア …1,000m(200km/hの場合)
2,250m(300km/hの場合)
4,000m(400km/hの場合)
6,200m(500km/hの場合)
超伝導リニア …原則8,000m(150km/h以上の場合)
なので、常電導リニアでも時速500kmは出せます。
https://toyokeizai.net/articles/-/665738
にある上海リニアが時速430kmで営業開始し、現在は時速300kmに落としているのは、路線長が30kmしかなく、飛ばしても意味がないからです。
400km以上を書かなかったのは、半径が大きすぎて、今回の趣旨である「新東名との2階建て」が無理だと思ったからです。
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中国ですでに運転しているリニアは1pしか浮上しないそうです。
どうして中国に先を越されてるんだろうって思ってたけど、地震の多い日本では1pしか浮上しない方式では危険ということで10p浮上する超伝導方式をとっているそうです
https://ameblo.jp/onemoreplan/entry-11619763542.html
超高速鉄道としては、まともに完成して実用化された技術ではない。通常速度でなら、実用化されている。
https://x.gd/BlP55
(前のコメントで挙げたHPを見て以来、超電導リニアに懐疑的になっていますので、「大阪直線ルートのリニアを予定通り作ればいい」という意見は取り下げます)
現在でも東京−大阪間の移動は飛行機より新幹線の利用客が圧倒的に多いです。ですので、飛行機から奪い取れる需要はたかがしれていますし、高速バスからは料金が違いすぎるのでなおさらです。
もちろん、リニアでより短時間で結ばれるようになれば、新たな需要も生まれるかもしれません。
しかし、本当に新たな需要が生まれた場合、リニアも東海道もどちらも混雑するので、「リニアがあるから東海道を止めて工事」は難しくなります。
新たな需要が生まれなければ工事は可能ですが、
リニアは(どの方式もルートもひっくるめて)バイパスといえるのでしょうか?
高速で言えば、中央道は東名道のバイパスといえなくもありません。しかし、それが成立するのは主に東京と愛知の人であり、途中の人(特に静岡県に用がある人)にとってはバイパスとは呼べません。
現在の新東名は東名道のバイパスといえますが、もし「高速化のために各県に1つしかICのない新東名」があったとして、それはバイパスとして機能するでしょうか?
工事であれば重要の少ない時期の夜間を狙って一気に行えば、影響は少ないでしょう。しかし、事故や災害の場合はどうでしょうか?
そう考えると、「東海道よりは駅が少ないがリニアよりは駅が多い」新路線を、管理人さんのおっしゃるルート、もしくは新東名と2階建てにするなどして、第2東海道新幹線を走らせた方が、真の意味での「バイパス」と呼べるのではないかと思います。
しかしもはや「同程度のコストでできる」という皮算用は成立しないと判明した。JR東海の夢(妄想)は破れた。
そこで私がかわりの案を出した。
「コストは在来方式の新幹線とあまり変わらないで、速度は2倍になる、新ルート」
という案だ。
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なお、バイパスというのは、「事故時の代替ルート」というよりは、「長距離客の半分を受け入れて、需要の増加を満たす」という意味でしょう。事故時の代替ルート(地方の地元民の需要)は、あまり考えていないと思う。