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先に、北陸新幹線を米原経由で大阪まで延伸する、というルートを提案した。
→ 北陸新幹線の延伸 .2: Open ブログ
これとほぼ同じルートで、「従来型の新幹線のかわりにリニア新幹線を通す」という案を提案しよう。
これまでのリニア新幹線のルートは、地下トンネルで直線的に結ぶものだった。しかしそれだと、コストがべらぼうに高くなる。そこで、北回りに迂回する経路を取ることで、地下トンネルのかわりに高架で済ませることができる。
こうすると、迂回することで距離は2割ぐらい長くなるし、(途中減速の影響で)時間は3割ぐらい長くなる。しかし建設コストの単価が半分以下になり、距離が2割長くなるのを勘案しても、建設コストの総額は半分で済ませることができる。(私の試算では、半分どころか3分の1で済ませられると思えるが、ちょっと高めに見積もっておく。)
かかる時間が3割増えると、「名古屋〜新大阪」間の時間は、 25分から 33分に伸びる。一方で、料金は半分で済む。ここまで安くなるのだ。ならば、時間が8分増えるぐらいは気にならないだろう。ゆえに、このプランは十分に有意義だ。
ついでだが、このプランをとった場合には、「名古屋停車」をしなくてもいい。その場合には、停車にかかる時間の8分間が減じられるので、迂回ルートによる時間が8分増えるのを帳消しにできる。つまり、現行ルート(名古屋停止)と同じ時間で済む。まったく同じ時間で、(名古屋〜新大阪の区間の)料金が半分になるのだ。これは十分に意義があるだろう。
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この発想のポイントは何か? こうだ。
「東京〜名古屋間は、地下トンネルのルートしかない。仮に平地の東海道を通るとしたら、人口密集地を通ることになるので、やはり地下トンネルを通ることになるので、ナンセンスだからだ。どうせ地下トンネルを通るのならば、直線ルートを通る方がいい。だから、中部の山脈を貫くトンネル工事をする。しかしそのせいで、工事が難航する。工費は予想を大幅に超えそうだ。
一方、名古屋〜新大阪間ならば、地下トンネルのルートを取らなくて済む。ほとんどを地上のルートで済ませることができる。それも、人口の少ない田畑や郊外を通るだけで済む。土地の買収も容易だ。だから、地上の高架で済ませることができる。おかげで、コストは地下トンネルに比べて大幅に安くなる。(距離あたりの工費は3分の1〜5分の1で済む。今後、リニアの工事が難航して、工費が上昇すれば、高架のコストは 10分の1ぐらいにまで下がるかもしれない。)
だから、少しぐらい迂回して、距離が長くなっても、地下トンネルのかわりに地上の高架にする方がいいのだ。そのことは、東京〜名古屋間では不可能だったが、名古屋〜新大阪間では可能なのだ。
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具体的なルートは、下記の通り。(先の「北陸新幹線の延伸」のルートによく似ているが、少しだけ違う。)

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名古屋から濃尾平野を北西に過ぎる。名古屋付近では都市部なので地下トンネルを通るしかないが、途中から郊外に達するので、地上に出て、(田畑や人家を買収して建てた)高架の上を走る。
途中で西に進み、山の間の渓谷を通るが、ところどころでは山にぶつかって、トンネルを通る。
米原に近づくと、減速しながら、ゆるやかなカーブをたどって、米原駅で停車する。(必ず停車する。必須。)
そのあとはほぼ直線に近い経路で、市街地を避けて、畑を通りながら、琵琶湖南端に達する。
琵琶湖対岸に達すると、市街地を過ぎり、山地のトンネルを進んで、宇治市に達する。
宇治市というのは、伊勢田駅 のこと。ここで近鉄につながる。ここに JR の新駅も作れば、JR にもつながる。(すぐ隣にある、小倉駅または新田駅でもいい。)この新駅からは、京都にも奈良にも、短時間で到達できるので、京都や奈良の人にとって利便性が高い。(現状は各停で、京都まで 21分。奈良まで 35分。特急が停まれば、それぞれ 15分、25分ぐらい。)(また、両地域の中間なので、文化財埋没の問題も少ない。)
宇治市から先は、しばらくは高架で進むが、やがて枚方市に達すると、人家が多くなる。このあたりから先は、地下トンネルを通って、新大阪まで直線で達する。
結局、最初の名古屋付近と、最後の新大阪付近は、地下トンネルになるが、それ以外の大部分は、高架となる。その分、コストは下げることができる。
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このプランでポイントとなるのは、米原駅だ。
これは、時速 500km で通過するには、半径がきつすぎる。(時速 500km ならば、曲率半径は 8000メートル以上が必要だ。)
そこで、「米原駅には全列車が停止する」ことを必須とする。このことで、曲率半径が小さいことをカバーする。
米原駅で全列車が停止するので、その分、名古屋駅では停止しないで通過することを許容する。ラッシュアワーのときはともかく、それ以外の場合には、ダイヤの余裕があるので、「名古屋通過」と「名古屋停止」の列車を、ほぼ半々に運行する。
名古屋市民は文句を言うだろうが、こう諭す。
「名古屋なんて、東京や大阪に比べると、ずっと小さい都市なんだよ。東京や大阪は、交通の要所であり、その背後に莫大な後背地の人口が控えているが、名古屋の後背地なんて、ほとんど無いに等しい。なぜなら、その東の岡崎や浜松は、東海道新幹線で独自に通行できるし、その西の羽島市や四日市市はあまりにも規模が小さい。名古屋の北には無人地帯しかない。要するに、名古屋なんて、地方の中小都市にすぎない。だから、無視されても当然だ。
一方、米原駅は、北陸新幹線の終着駅であり、その背後には北陸地方の多大な人口がある。多大な北陸の人口がみんな米原にやって来るのだ。それを受け入れるために、リニアが米原で停車するのは当然だ。名古屋みたいな中小都市とは違うんだよ。ザコとは違うんだよ、ザコとは」
こうして、リニアが米原で必ず停車することが説明される。
《 訂正 》
間違えました。あとで調べたところ、正しくは……
・ 愛知県の人口 750万人
・ 北陸 の人口 290万人
であって、愛知県の圧勝でした。名古屋はザコじゃなかったです。ごめんなさい。ぺこり。
こうなると、「名古屋通過」はありえないですね。「米原通過」の方がありがちだ。まあ、時速 500km は無理でも、時速 300km ぐらいでの通過は可能だから、ちょっと減速しての通過は「あり」ということで、何とかなりそうだ。
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米原駅では、もう一つ問題がある。ここに、東海道新幹線のホームだけでなく、北陸新幹線のホームと、リニア新幹線のホームを、どういうふうに配置するか、ということだ。
それには、下記の通りにすればいい。

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この図で、米原駅の少し南に、緑色で塗りつぶされた場所がある。ここは、現在は田畑だが、ここに新しく米原駅を作ればいい。(現在の米原駅は廃止する。)
ここには現在、東海道新幹線と北陸本線が通っている。
その東側に、赤線としてのリニア新幹線を通せばいい。
さらにその東側に、青線としての北陸新幹線を通せばいい。
これらの三つの新幹線は、緑色の部分で、ホームを並べている。
リニア新幹線は、中央の線路に進む。
北側からホームに入ったら、右側と左側の双方の扉を開ける。右側の扉から出れば、東海道新幹線に乗り換えることができる。左側の扉から出れば、北陸新幹線のホームに乗り換えることができる。
これを2階建ての構造にしてしまえば、上りと下りの双方を扱うことができるだろう。
なお、在来線の北陸本線は、緑の場所からはちょっと離れたところに、別のホームを作る。(地方民向けに、不便なホームを作る。)
なお、黄色の線は、私鉄(近江鉄道)の線路だ。これは少し東側に移設する。(あまり気にしなくていい。)
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「現在の駅の東側に新路線を作るというが、そんなところで土地を買収できるのか?」
という疑問があるだろうが、大丈夫。現地を見るといい。
そこにある民間の建物はごくわずかだ。個人の住居はないも同然だ。北から順に、
民間会社
JRの建物
市役所
空地
民間会社
ヤンマー研究所
などだ。これらの買収は容易だろう。(金額さえ妥当であれば。)
というわけで、これらを買収して、新しく線路を作れば、この場所のすぐ南に、新駅(緑の部分)を建設できるわけだ。
問題解決。
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かくて、すべての問題が解決するので、リニア新幹線の米原ルートは成立する。
※ なお、米原駅の北には、車両基地がある。この車両基地の土地をつぶすことで、線路にすることもできる。かわりの車両基地をどこに作るかと言えば、どこでもいいだろう。どうせ土地はありあまっているのだから。(このあたりは、どこもかしこも、田んぼだらけだ。)
[ 付記1 ]
新大阪のそばでは、地下トンネルにすると述べた。
ただし代案もある。淀川の岸辺に高架を建てることだ。これならば、コストは大幅に安くなりそうだ。
「そんなことをしたら、淀川の洪水対策が問題となる」
と文句を言われそうだが、大丈夫。堤防をかさ上げすることにして、その費用を JR が出せば、かえって喜ばれるだろう。
「堤防が高くなったので、かえって安全になった。JR さん、ありがとう」と。
なお、堤防のかさ上げのための土は、地下トンネルの残土を廃物利用すればいい。それで一石二鳥となる。
[ 付記2 ]
本項の提案を採用すれば、地下トンネルがほとんどないので、リニア新幹線の完成はたやすいだろう。東京〜名古屋間が、工事難航で グズグズして停滞している間に、5年ぐらいの期間だけで、さっさと完成することもできそうだ。
「早い、安い、うまい。これが関西流でっせ」
と自慢しても良さそうだ。
「早いと安いはわかるけど、うまいというのは何だ?」
「それはいつもの、あれさ」
「あれって、何だよ」
「困ったときの Openブログ。うまい案を出そう」
初めは、敦賀〜米原〜関空 を考えていただけ。
米原ルートを取るなら、東半分も南回りの新ルートを取るのが自然です。両者でセットになる。
米原近辺でのカーブを緩くしました。半径 12km程度。うまくやれば 15km ぐらい。これによって、米原を高速で通過することが可能となるでしょう。(これでもまだ足りなければ、もっと緩いカーブにすることも可能。)