2023年08月30日

◆ こだまを値下げせよ

 新幹線こだまを値下げするべきだ。そのことで、こだまの客を増やして、のぞみ・ひかりの混雑度を下げることができる。

 ──

 先に「道路デジタル研究所を設立せよ」と述べた。
  → 道路デジタル研究所の設立: Open ブログ
 その目的は、「道路交通の最適化」だった。それと同様に、「鉄道交通の最適化」を考えることもできるだろう。
 その発想から、次の結論が得られる。
 「新幹線こだまを値下げするべきだ。そのことで、のぞみ・ひかりの混雑度を下げることができる」
 これは「鉄道交通の最適化」という発想から得られる結論だ。

 ──

 一方で、ユーザーの立場から、同じく「こだまを値下げせよ」という結論を下す人もいる。趣旨は次の通り。
 「こだまは、のぞみ・ひかりよりも、ずっと遅いのだから、料金が同じだというのは納得できない」
 記事は下記。
 「こだま」も、通勤利用などの上りの多客時間を除いて基本的に1時間に2本しかない。しかも、下り方向のこだまの半分以上は名古屋駅止まりで、新大阪へは乗り換えを強いられる場合も多い。所要時間についてもひかりだと2時間20分程度だが、こだまだと3時間以上かかる。それでいて、こだまの特急料金がひかりと同じであるのは納得できなかった。
( → 各駅停車「新幹線こだま」特急料金は妥当か 通過待ちばかり、所要時間長く本数も少ない | 東洋経済

 特に割を食っているのが静岡県だ。
 特に静岡エリアでは県内にまったく停まらないのぞみ主体の運行に不満が大きい。現在、静岡駅に停まるのは昼間時の場合1時間にひかり1本、こだま2本だけだ。2002年には当時の石川嘉延・静岡県知事がJR東海の方針に不満を爆発させ、「のぞみからの通行税を検討する」と県議会で発言したほどだ。

 これほど馬鹿にされているのであれば、静岡県がリニアの建設を邪魔したがる気持ちもわかる。ここまでコケにされていれば、「リニアも、のぞみも、ぜんぶ邪魔してやる!」という気になったとしても、おかしくない。
 困った。どうする?

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
 「ひかり・こだま の料金を値下げする。そのことで、のぞみの客を誘導して、のぞみの混雑度を下げる」
 これは次の効果を持つ。
 「空気を運んでいるような、こだま・ひかりに客を誘導することで、全体の交通量を増大させる。そのことで、無駄をなくす」
 こうして「全体最適化」をなすわけだ。
 なお、こだまの料金を下げると、こだまで減収になるように思えるが、そうではない。こだまが値下げすると、こだまの客が増えるので、客の増加によって、空席が減って、こだま全体の収入はかえって増える。たとえば、料金を6割にしても、客が2割から4割に増えれば、
  1×0.2 < 0.6× 0.4
   0.2  < 0.24

 という形で、収入はかえって増える。
 「でも、のぞみの客が減るだろ」
 と思うかもしれないが、のぞみはどうせ満員だから、客が減っても、別の客が補充される。だから、のぞみの客は減らないのだ。(減るのは飛行機の客だろう。)

 「こだまで値下げしたら、減収を補うために、のぞみが値上げになるだろ」
 と心配する人もいる。
  → はてなブックマーク
 だが、そんなことはない。むしろ、こだまで値下げすると、(客が増えるせいで)かえって増収になるので、のぞみも値下げになる。
 また、こだまの値下げと同じ理由で、ひかり も値下げになる。
 モデル的なプランとしては、次のようになる。
  ・ ひかりは、のぞみの 8割の価格
  ・ こだまは、のぞみの 6割の価格

 さらに、こだまにおける「子供料金」はこうなる。
  ・ 20歳以下は、のぞみの4割の価格
  ・ 小学生以下は、のぞみの3割の価格

 これらは、学割ふうの効果がある。なお、年齢確認は、マイナンバーカードでできる。

 さらに、「小学生以下(二人目以降)は、無料」という特別優遇策を加えてもいい。(少子化対策だ。)

 ──

 ちなみに、のぞみの料金は、「東京〜新大阪」が、普通車指定席で  14,720円だ。これの6割というと、8832円だ。ここまで安くなれば、かなり多くの人が、こだまに移行する。その分、「空気を運ぶ」という状況が改善するので、交通量が増える。

 「交通量が増えるといっても、比率的には多くないだろ。どうせ、こだま・ひかりの本数は少ないだろうし」
 と疑問に思う人も多いだろう。だが、さにあらず。名古屋発の下りの時刻表を見るといい。
  → 時刻表

 1時間あたりの本数は8〜10本だ。そのいずれでも、「ひかり 2本、こだま1本」となっている。他が、のぞみだ。
 このうち、こだま1本がガラガラで、ひかりもかなり空席がある。とすれば、こだま・ひかり に乗客を誘導することで、交通量を増やす効果は、十分にあるのだ。

 ──

 「本当に、こだまはガラガラなのか?」
 と疑問に思う人がいるだろうから、調査データを示しておく。下記だ。京都発・下り(新大阪方面行き)の混雑度だ。


jikokuhyo3.gif
出典:T-LOG


 星の数で混雑度を示しているが、こだまの混雑度が際立って低いとわかる。解説は下記。
★★★:窓側の座席は完全に満席
★★:窓側の座席の一部なら空いている
★:ガラガラ

 調べた路線は、京都発・下り(新大阪方面行き)だが、この路線は、かなりの混雑路線である。なのに、こだまはガラガラのことが多いのだ。いわんや、他の路線をや。

 こういう状況であれば、のぞみの客を、こだま・ひかりに誘導することで、全体の交通量を増やすことができるのだ。それはまた、JR にとっても増収策になる、ということだ。

 値下げをすれば、JR はかえって増収で儲かるのだ。
 「値下げをすると損をする」という発想では、金儲けはできないのだ。



 [ 付記1 ]
 実は、「こだまを値下げ」という方針は、部分的にはすでに実現している。「大人二人以上の利用で、往復を前日までに購入」という条件で、4割引ぐらいになる。下記プランがそうだ。
  → こだま指定席きっぷ|トクトクきっぷ:JRおでかけネット
 
 ただし残念ながら、これは JR西にしかない。つまり、新大阪よりも西だけだ。東京〜大阪間には使えない。これじゃ、意味ないね。

 [ 付記2 ]
 「静岡県が馬鹿にされている」という話をしたが、本項の提案が実現すれば、静岡県もニコニコするだろう。
 「こだまの料金が大幅に安くなるのなら、こだまの使い出があるので、おれたちにとってもありがたい。こだまを便利にしてくれて、ありがとう。そっちが静岡県に協力してくれるので、お返しに、リニアの工事を邪魔するのをやめるよ」
 こうなるかもね。win-win だ。
 
posted by 管理人 at 22:20 | Comment(10) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
基本的には賛成です。ただし

>こだまで値下げすると、(客が増えるせいで)かえって増収になるので、のぞみも値下げになる。

のぞみはもともと混雑していて、こだま(やひかり)を値下げしても新たな客が席を埋めるというのであれば、値下げした分だけ単純に減収になるのでは?
Posted by のび at 2023年08月31日 09:13
 こだまの値下げで、1000億円の増収。
 その 1000億円を使えば、のぞみを 1000億円分値下げできる。「できる」だけであって、実施しなくてもいい。
 実施しなければ、1000億円の増収がまるまる残る。
 実施すれば、収支はプラスマイナスゼロで、のぞみの値下げが客に還元される。その分、1000億円の減収とも見える。
 値下げを実施するかどうかは、何とも言えない。

 ただし本文では、
 「のぞみが値上げになるだろ」
 という話しが出ていたので、それを否定した。ついでに「値下げになる」と書いたが、これは断定しすぎだったとも言える。正しくは上記の通り。
Posted by 管理人 at 2023年08月31日 09:24
こだまの値下げは貧乏人なので賛成ですが、論拠がいまいちです。

のぞみは半分ほどが新大阪どまりですが、残り半分は山陽新幹線に乗り入れるので、新大阪以西の乗客が載っています。
こだまは原則として新大阪どまりです。

のぞみは東京、品川、新横浜、名古屋といった大都市から大量の乗客を乗せて新大阪に向かいますが、こだまに乗って新大阪に向かうのは岐阜羽島か米原か静岡県内の各駅の乗客といったところでしょう。

東海道新幹線の京都−新大阪間でのぞみが混雑してこだまが空いているのは、
西武池袋線の練馬−池袋間で快速や準急が混雑して、豊島園始発の各駅が空いているのと同じです。
Posted by のび at 2023年08月31日 14:07
 その理屈だと、他の路線では、こだまはガラガラではない、ということになる。
 現実には、他の路線もみんな、こだまはガラガラです。というか、もっといっそうひどいガラガラです。ググればわかる。
 → https://x.gd/xgWpK

 人気のドル箱路線以外では、もっとガラガラになるのは当然だ。
Posted by 管理人 at 2023年08月31日 14:17
京都−新大阪間のパンクを防ぐというのであれば、本数を増やすことはできるはずです。

東京を出発する新幹線の昼間の時間帯の内訳は
・新大阪より西に行く「のぞみ」 3
・新大阪どまりの「のぞみ」1
・新大阪より西に行く「ひかり」 1
・新大阪どまりの「ひかり」1
・新大阪どまりの「こだま」1
・名古屋どまりの「こだま」1
です。名古屋以西は「こだま」1本分減るので、空きはあります。

対策は
・東京始発の「のぞみ」か「ひかり」を増やす
・「こだま」を2本とも新大阪どまりにする
・名古屋始発の「のぞみ」か「ひかり」を増やす
ですが、いずれもしないということは、
東京−名古屋間より名古屋−新大阪間の需要が小さいため、現状で十分と考えているのでしょう。

名古屋リニアが開業すると
・東京始発の「のぞみ」が減る
・東京始発の「ひかり」が増える
・名古屋始発の「のぞみ」か「ひかり」が増える
といった変化が起きる一方、「こだま」には変化がないのではないかと思います。理由は駅間のばらつきです。

米原−京都間は68.1kmの間駅がありません。
間に南びわ湖駅の建設が進められましたが、着工後まもなく新駅計画は凍結となりました。
車両の統一がなされたことで最高速度の差がなくなったとはいえ、駅間が長すぎると追い抜きに制約が生じるので、「こだま」を増やすのは難しいと思います。

逆に、駅間が短すぎると「こだま」と「のぞみ」の平均時速差が大きくなりすぎるというのが、JR東海が静岡空港新駅を拒む理由です。

本気で富士山静岡空港を「東京と名古屋のどちらにも便利な国際空港」にするなら、リニア開業後に東京−静岡空港新駅−名古屋にしか止まらない「のぞみ」か「ひかり」を設定すればいいと思います。(現状ではソウル便がある以外は国内線です)
Posted by のび at 2023年08月31日 14:44
> 現状で十分と考えているのでしょう。

 今はインバウンド需要が激減しているから。
 やがてインバウンド需要が戻る。
 さらに北陸新幹線(米原ルート)の分が来る。今はよくとも、やがてはパンクが必至。

 下記の   8月31日 14:12  でも述べた通り。
  http://openblog.seesaa.net/article/500534392.html
Posted by 管理人 at 2023年08月31日 14:59
> リニア開業後に東京−静岡空港新駅−名古屋にしか止まらない「のぞみ」か「ひかり」を設定すればいいと思います。

 静岡空港駅の話がいきなり出てきて、戸惑うが、上のプランは妥当でしょう。だけど、私としては、掛川駅の廃止の方が妥当だと思う。こんな小さな駅が存在すること自体が不自然だ。

 静岡空港駅自体は、あったほうが便利。
 特に、神奈川県民は、成田に行くのが面倒なので、ありがたいはず。……と思ったけど、調べ直したら、そうでもなかった。静岡空港はあまりにも遠すぎる。時間はともかく、距離が長いので、金がかかりすぎる。成田の方が、まだマシだ。
 「東京と名古屋のどちらにも便利な国際空港」どころか、どちらにも不便な、でしょう。
Posted by 管理人 at 2023年08月31日 15:07
>これの6割というと、8832円だ。
東京大阪は運賃が8,910円。
在来線普通車より安い。
Posted by nb at 2023年09月13日 10:54
> 在来線普通車より安い。

 じゃあ、在来線運賃にそろえるといいでしょう。61% ぐらいになる。約6割だ。

 別に、6割という数字が先にあるわけではなく、これは大雑把なメドだから、いくらでも変更可能。
Posted by 管理人 at 2023年09月13日 11:31
 よく考えたら、こだまは、在来線普通車より安いとしても、問題ない。赤字料金になってもいい。なぜなら、たとえ赤字でも、こだまは各停のために走らせる必要があるからだ。
 こだまで赤字が出る分は、のぞみを値上げして、穴埋めすればいい。東海道新幹線全体で黒字(利益)を出せばいいのだから、のぞみが満員の状況では、のぞみをもっと値上げしていい。
 こだまの客が増えて、のぞみの自由席に坐りやすくなれば、のぞみの品質が上がるから、サービス向上の分、値上げする価値がある。のぞみで2時間も立たされるよりは、値上げの方がずっとありがたい。
Posted by 管理人 at 2023年09月13日 17:47
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