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実質は労働者なのに、形式的に業務委託契約を結ぶ、という「偽装フリーランス」というものがある。労働者に対する社会保険料の企業負担分を免れるためだ。
さて。このたび、偽装フリーランスで働いていた人が交通事故に遭ったので、それを機に、「労働者として認めるべし」と求めて、労基署に認められた。
偽装フリーランスは、形式上は個人事業主として会社と契約を結んで仕事を請け負っているが、実態は会社の細かな指示を受け、自由な裁量はない。一方で社員やアルバイトなどと違って労働法規で守られない問題がある。
関東地方に住む40代のカメラマンの男性は、写真や映像の企画・撮影を手がける東京都内の会社と2020年から半年更新の業務委託契約を結び、同社が受注した広告写真の撮影や画像処理を担っている。
男性によると、繁忙期はほぼ休みもとれずに労働時間が月200時間に達することがあり、他社から仕事を受ける余裕はない。現場での撮影は自身に裁量があるが、撮影場所や時間は発注者の意向に拘束される。会社からの報酬は撮影件数に関係ない月の固定額があり、カメラ以外の機材は会社から無償提供されていた。
( → フリーランス、「労働者」認定 交通事故「労災」判断へ 労基署:朝日新聞 )
この件では偽装フリーランスの問題が是正された。だが、個人は良くとも、制度としては良くない。労災事故に遭った人ばかりが労災保険に加入するというのでは、制度としての保険が破綻してしまう。問題の解決策になっていない。これではまずい。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「偽装フリーランス制度を採用している企業には、罰金をかける」
つまり、罰金をかけることで、偽装フリーランスを一網打尽にする。その方法は? 次のいずれかだ。
「偽装フリーランス制度を採用している企業には、偽装フリーランスに支出した費用を、損金として扱わない。損金に入れる分(控除率)を、100% から 50% に下げる」
「偽装フリーランス制度を採用している企業には、偽装フリーランスに支出した費用に対して、社会保険料を強制的に徴収する。支払った費用の 30% を、社会保険料として、強制的に徴収する」
ここで、問題が生じる。
「偽装フリーランス制度を採用している企業だと認定するのは、どのような基準によるのか? ただの一般企業と、社員を偽装フリーランスにしている悪徳企業を、どう区別するか?」
なかなか難しい問題だ。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「個人(フリーランス)に業務委託するとして、その個人が社会保険に加入しているか否かをチェックする。その個人が社会保険に加入していれば、問題ない。その個人が社会保険に加入していなければ、その個人は偽装フリーランスと見なす」
すると、次の問題が生じそうだ。
「偽装フリーランスでない通常のフリーランスも、偽装フリーランスと見なされてしまう」
こういう問題が発生する。しかし、それでいい。通常のフリーランスも、社会保険料を払っていないのならば、ただの偽装フリーランスと同様だからだ。排除されてしまって構わない。かわりに、こうすればいい。
「通常のフリーランスも、業界団体による社会保険に加入すればいい。労災保険・失業保険・健康保険・厚生年金などに加入すればいい。その分を、企業負担なしに、全額を自腹で支払えばいい」
これで問題は解決する。ただし、フリーランスの人自身が、「社会保険料を自腹で払いたくない」と、駄々をこねるかもしれない。しかし、そんなことは、知ったことではない。保険料を払いたくないケチは勝手に自爆しろ、というしかない。
※ いずれにせよ、「事故に遭ったあとで労災保険に加入する」というような記事の例は、方針としては間違っている。それは保険という制度を否定するものだ。不当だと言える。論理が滅茶苦茶だ。
※ かといって、放置すればいいというものでもない。この問題は、運用のさじ加減で解決するのでなく、社会的な制度改革で解決するべきだ。それが本項の提言だ。
※ フリーランスの社会保険をどうするか、という問題については、「フリーランス新法」というものが検討されているようだ。だが、現状では、フリーランス新法では、社会保険の強制化についてまでは踏み込んでいないようだ。ここが問題なので、きちんと導入するべきだ。
※ そもそも、フリーランスが厚生保険に入らない(入れない)というのでは、とんでもない制度になっている、と言える。
※ ちなみに、こういうフリーランスが(悪貨のように)はびこるから、Amazon の個人配達業者のような、劣悪な業者が多くなる。この問題は、かなり根が深い。抜本的改正が必要だ。そのことを強調しておこう。