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朝日新聞が報じている。
近年、公立小中学校の教室にはエアコン設置が進み、文部科学省によると昨年9月の設置率は 95.7%に達する。ただ、ほとんどの教室は無断熱のままだ。エアコンの利きは悪く、電気代ばかりかさむ。
さいたま市の小学校で天井の温度を測ったところ42度あり、エアコンをフル稼働しても教室内の室温は30〜35度にしか下がらなかった。
「全国の小中高のすべての教室の断熱改修を早急に進めてください」
建築家で東北芸術工科大学教授の竹内昌義さんは「全国の小中学校の全教室約40万を改修しても、約6千億円で済む」という。竹内さんたちは、来年度からの予算化を求めて、近く文科省などに署名を提出するという。
( → (取材考記)エアコン利かず 教室の断熱、予算化が必要 石井徹:朝日新聞 )
この記事は興味深いが、数字が疑わしい。「全国の小中学校の全教室約40万を改修しても、約6千億円で済む」というが、ちょっと価格が低すぎないか? 計算すると、1教室あたり 150万円だ。それですべての教室の断熱工事が可能なのか? 人件費を考えると、とても無理そうだが。
※ 「1校あたり 150万円」と書いていたのを、「1教室あたり 150万円」に修正しました。
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そこで別記事を探すと、こうあった。
県立の上田染谷丘(そめやおか)高校。
地元NPOや工務店が協力し、2月にあったワークショップ(WS)。気候危機や省エネについて学び、実際の断熱改修もする。限られた約70万円の予算で、改修できるのは1教室だけ。
さいたま市立芝川小学校。
児童や教員、PTA、地域の人たちなど約70人が参加した断熱WSがあった。天井裏に断熱材を敷き詰め、壁には断熱ボードの埼玉県産の杉板を貼った。直射日光を遮るため、窓にはアルミはくのパネルを設置。約200万円の費用は、企業からの寄付とクラウドファンディングでまかなった。
( → エアコン普及したけど…利き悪い教室、生徒が断熱工事 知事に直訴も:朝日新聞 )
また、工事は生徒が担当して、その上に、無償奉仕で指導するプロの建築家が何人もいることが前提だ。人件費はゼロが必要だ。……もう、滅茶苦茶である。そんなことができる地域は限られている。できる学校もあるだろうが、たいていの学校では無理だ。
また、「たったの 6000億円だけ」と言うが、国立科学博物館に出す電気代の1億円も出さない国が、6000億円も出すはずがない。
そもそも、1年間だけ 6000億円を出して、そのあとは全然出さない、というのは、方針としては不自然だ。かといって、そうしないと、今いる生徒たちは蒸し風呂状態だ。(地獄のありさまだ。)
特に、「エアコンは入れるが、室温は下がらない」というのでは、これまで投入したエアコン費用が無駄になるので、愚の骨頂だ。
結局、あれもこれも、どうやってもダメだ。困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
低コストで断熱効果を出す方法がある。以下の通り。
(1) 1円もかけないで済む方法法
1円もかけないで済む方法がある。こうだ。
「教室を配置換えする。屋上のすぐ下で暑くなる教室には、一般の学級を配置しないで、他用途の教室を配置する。たとえば、音楽教室、理科の実験室、準備室、文化クラブ用控え室、用具室、など」
こうすれば、そこで苦しむ生徒はいなくなる。通常、一番上の階には、最上級生の教室があるが、それをやめて、物置部屋にでもしてしまえばいいのだ。(近年は少子化だから、空き教室もありそうだ。)
(2) 1万円で済む方法
1万円で済む方法もある。こうだ。
「 100円ショップのセリアで、両面式のアルミ断熱シートを購入して、南側の窓に貼りつける」
これで窓からの熱線侵入を防げる。1教室あたり1万円ぐらいで済むだろう。(全教室でやると、もっとかかるが。30教室だと、30倍か。……まあ、そのくらいは、仕方ない。)
(3) 10万円で済む方法
もうちょっとお金をかけるなら、(2) に加えて、発泡スチロールで南側の窓をふさぐといい。
これを、(2) の方法と兼ねれば、二重に窓をふさぐことになる。アルミは輻射熱を遮断し、発泡スチロールは伝導熱を遮断する。(アルミのパネルを使うという方法もある。 → さいたま )
※ (2) や (3) を利用した場合には、室内はかなり暗くなる。廊下側から来る光しか使えない。そこで、天井の LED 照明に頼ることになる。……ここで照明のための電気代がかかるが、エアコンの電気代を節約できることの効果の方が圧倒的に大きい。
(4)100万円で済む方法
100万円以上の金をかけていいのなら、天井裏に断熱材を敷き詰めるといいだろう。(工事は自腹。)
だが、別案もある。屋上の断熱工事だ。次の二通りがある。
・ 屋上緑化で、植物を植える。
・ 屋上に、日陰のできる人工設置物を置いて、台風対策もしておく。人工設置物は熱くなるが、その陰となる屋上は涼しくなるので、屋上の裏となる屋内空間も涼しくなる。
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以上で、4通りを示した。あとは予算や担当者と相談して、決めるといいだろう。
【 関連サイト 】
朝日には詳しい解説記事がある。 2023.04.26 の記事だ。
→ 猛暑の教室を冷やせ!子どもたちが手がける小学校の断熱改修 | 朝日新聞 2030 SDGs
※ この記事を簡略化したような短い記事が、その後、何度も掲載されることになる。今回もそうだ。
でも欧米のように7月〜8月は夏休みにし、学年開始を9月にしましょう。これですべて解決です。日本のなまぬる授業を嫌う学生の留学や海外頭脳の採用もしゃすくなります。
万博パビリオンは段ボールで良いと思います。
そのお金がないので、完成するまで 100年河清を待つ。その間に、生徒は卒業してしまうので、結局は地獄状態です。
「金がないときにどうするべきか?」という質問に対して、「大金を投じれば解決できる」というのは、答になっていない。0点です。「問題文をよく読みましょう」という評が付く。
> 欧米のように7月〜8月は夏休みにし、学年開始を9月にしましょう。
それを実現するには、学校だけでなく社会全体を「4月開始」から「9月開始」に変更する必要がある。
社会システムを全面変更するのには、コストがかかりすぎる。現実的でない。
秋学期開始は、これまでも何度も議論されてきたが、すべて尻すぼみ。
屋上については、どうせ防水が十数年でダメになって改修する必要があるので、その際に断熱材を敷き詰める工事を一緒にやれば良いので、比較的やりやすいはずです。実際、それなりにやっているはず。
そもそも、鉄筋コンクリート造の学校にガンガン日射があたることによる蓄熱効果が大きいので、窓からの日射を防ぐだけでは全然足りません。抜本的に断熱設置を行わないと、それは無くせません。
せめてもの対策として換気を追加してナイトパージする手法もありますが、熱帯夜・超熱帯夜の近年では効果も薄いことでしょう。
劣化による大規模改修、耐震強度不足解消のための補強工事は必須ですし、少子高齢化に伴う学校の統廃合も相まって、コスト比較をした上で新しく建て替えるという選択をする自治体も増えているはずです。そっちのほうは、冷房設置とは別の既存の予算立てがあるので、それなりにカネは出る部分もあると思います。
それもそうですね。
だけどこの件は、「緑のカーテン」という植物スダレを使う手もある。
http://openblog.seesaa.net/article/435847192.html
1階に限られるかと思ったが、上記によると、5階にまで伸ばしている例がある。学校建築は4階までだから、何とかなるかも。
https://ameblo.jp/kimimatsu/entry-10126873819.html
どういう計算をしているのかな。
6000億円÷40万教室=150万円
この40万は教室数なので150万円は1校あたりの費用ではなく、1教室あたりの費用ですね。
全国には中学校が約1万校、小学校が約2万校あるため、1校あたり2000万円の費用と概算されます。
ご指摘ありがとうございます。記事を修正しました。
> どういう計算をしているのかな。
暑さのせいで、頭がボケちゃったのかな。
まあ、大量の文章を短時間で書き続けると、たまにはミスがまぎれこむものです。私は AIじゃないので。