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記事はこちら。
今大会から導入された5回終了時のクーリングタイムの直後、両チームの選手が足をつってプレー続行不可能になった。
まず、土浦日大・香取蒼太外野手(3年)が6回裏の守備につく際、ふくらはぎに違和感を訴えた。このイニングは最後まで守ったが、攻守交代時に中堅の位置から動けず、ストレッチャーで運ばれた。7回の守備からベンチに下がった。
一方、上田西もこの回、三ゴロを放った黒岩大都外野手(3年)が一塁まで全力疾走できなかった。7回の守備から交代した。
( → 【甲子園】初導入クーリングタイム直後に土浦日大、上田西の両チーム選手が足をつり交代 - 高校野球夏の甲子園 : 日刊スポーツ )
この二人だけかと思えたが、そうではなく、他にもいるそうだ。それも、クーリングタイムの直後だ。
dexia2 次の試合も含め軒並み6回にみんな攣っているので、5回のクーリングタイムが原因説があるみたいですね。ここで体を冷やしすぎてその反動が来ているとのこと。これが原因なら罠すぎる。
( → [B! 野球] 【甲子園】6回に土浦日大、上田西の両チームの選手が動けなくなりベンチに運ばれる 今大会から暑熱対策を実施 )
「体を冷やしすぎてその反動が来ている」ということだから、対策としては大失敗だ、ということになる。
では、クーリングタイムとは、どういうものか?
第105回全国高校野球選手権記念大会の大会本部は5日、今大会から暑さ対策の一環で導入されるクーリングタイムに使用されるベンチ裏のクーリングスペースを公開した。
原則全試合の五回終了時に10分間、設けられ、選手の身体冷却や水分補給などに充てる。
この日は大会で選手をサポートする理学療法士3人が、実際の試合中に行う身体冷却の方法を実演した。
保冷剤の入ったアイスベストやネッククーラーを身につけたり、水の入ったペットボトルで手のひらを冷やしたりして、「体の表面だけでなく、深部を冷却することが大切」などと語った。
( → 選手の体をアイスベスト使い冷却 クーリングタイム、今大会から導入 - 高校野球:朝日新聞 )
これはどういうことか?
理学療法士というのは、体を壊した人のリハビリを担当する人のことだ。体をろくに動かせないことが前提となっている。
一方、スポーツというのは、体を極端に酷使するものだ。理学療法士とは正反対の方向性だ。担当する人は、トレーナーやスポーツ医学であって、理学療法士とは関係ない。
こんな分野に、理学療法士を呼び込んだのが、根本的なミスだろう。仮に理学療法士を呼ぶのなら、こうするべきだった。
「試合は中止。ベッドで安静にしていること。クーラーの効いた室内で休むべきであり、猛暑の屋外に出ることは禁止」
これなら、理学療法士の対処も意味をもつ。もちろん、「深部体温を下げる」という方法も取っていい。
しかし、そういうことをしないで、スポーツをやるのであれば、「深部体温を下げる」というのは、ただの逆効果でしかない。体が動かなくなるのは当然だろう。
結局のところ、こう言える。
「深部体温を冷やした上で、安静させる」
というのは、熱中症の対策としては正しい。マニュアルにも書いてある正しい措置だ。一方、
「深部体温を冷やした上で、炎天下で活動させる」
というのは、熱中症の対策としては最悪である。(体の)表面温度と深部温度が乖離してしまうので、体温調整機構が壊れてしまって、体が異常状態になる。理学療法士のやっていることは、最悪だと言える。
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なお、正しい対処策は、別記事に記してある。
26日の大阪大会5回戦。三回が終わると「給水タイム」になった。ベンチに戻った大阪桐蔭と大冠の選手たちは水分をとっていた。
福岡大会も三、七回終了時に「給水タイム」が設けられた。27日の決勝。五回後のグラウンド整備中と合わせて計3回、ベンチの給水タンクに選手らが集まった。準優勝した東筑の青野浩彦監督は「本当にありがたい。最近の暑さは尋常ではない。暑さで選手の足がつることはなかった。給水時間のおかげだと思う」。
( → クーリングタイムで体も心もリセット 給水休憩、流れ変える好機にも - 高校野球:朝日新聞 )
三、五、七回の終了後に、計三回の「給水タイム」があると、とても有効だ、と判明している。これが事前に判明していたことだ。
なのにそうしないで、五回終了時だけに、深部体温を冷やそうとする。そういう馬鹿げた方針を取るから、選手は次々と動けなくなってしまうのだ。
もはや人災だね。
[ 付記 ]
記事の選手が倒れた時刻は、12時ちょっと過ぎ。日照が最も強くなる時刻だ。こんな時刻に試合をやっている、ということがおかしい。
では、どうすればいいか? 試合を午前2試合、夜間2試合にして、午後には試合を休止すればいい。
そのための日程表の例は、先に示したとおり。
→ 高校野球大会の日程 .2: Open ブログ