2023年08月03日

◆ 高校野球大会の日程 .1

 夏の高校野球は炎天下でなされるが、それで当然だと思えた。とはいえ、近年は猛暑が続くので、日程を改革するべきだろう。

  ※ 本項を読む前に、前項 を読んでおいてください。


 ──

 今年は猛暑が例年になくひどい。これまでなら「35度以上の猛暑は年に数日だけ」と言えたのだが、今年は7月だけでも猛暑日が多い。史上最高の暑さだ。
 気象庁によると、7月の東京は、最高気温が35度以上の猛暑日が13日もあった。これまでは2001年の7日が最も多く、大きく更新した。最低気温が25度以上となる熱帯夜も今年は17日に及び、歴代4位タイになった。
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( → 最も暑かった7月 120年間分析、45年ぶり更新 平均25.96度:朝日新聞


 ここでスポーツに目を向けよう。これほどの猛暑になると、スポーツでも影響が出そうだ。実際、高校のインターハイでは、緊急搬送される人が続出している。
  → 北海道でも熱中症、インターハイ選手が相次いで搬送…沖縄の選手も「照り返し強い」 : 読売新聞

 これはテニスやホッケーの選手の例だ。では、野球はどうか?
 

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 夏の高校野球は、8月6日から甲子園大会があるが、現在は地方大会がなされているところだ。緊急搬送された例は、今のところはないようだ。(選手でなく観客が緊急搬送された例はある。)
 これはどうしてかというと、十分に休養を取って、水分も取るようにしているせいらしい。
 福岡大会も三、七回終了時に「給水タイム」が設けられた。27日の決勝。五回後のグラウンド整備中と合わせて計3回、ベンチの給水タンクに選手らが集まった。……「暑さで選手の足がつることはなかった。給水時間のおかげだと思う」
( → クーリングタイム、体も心もリセット 給水休憩、流れ変える好機にも 第105回全国高校野球:朝日新聞

 とはいえ、緊急搬送されるほどではなくとも、足がつるという異常が起こる例は起こっているそうだ。
  → 選手、審判、応援団、観客がバタバタと倒れている…今年の「夏の甲子園予選」で起きている異様な光景
 つまり、最悪というほどではないが、不健康になる状況は避けがたいようだ。

 この問題を解決するには、炎天下となる日中の試合をやめればいい。しかし、そうすると、試合数が減った分、学校の滞在期間が延びてしまうので、宿泊費が増えてしまう。宿泊費は、主催者による援助があるとはいえ、1万円のうち 4000円だけであり、残りの 6000円は自腹だ。宿泊日数が増えると、学校の負担が大きくなる。現状ですら、選手と応援団で数千万円がかかり、1億円を越える学校もあるそうだ。
  → 甲子園お金は親の負担?高校野球の費用や宿泊費を徹底調査!
 そこで、宿泊日数を減らすために、日程を過密にすると、「過密日程のせいで肩を壊してしまう」という問題も生じる。

 結局、健康の問題と日数の問題とは、対立する関係にある。あちらが立てば、こちらが立たず。困った。どうする?

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう……と言いたいところだが、実は、この問題は、前に考えたことがある。そこでは一応の解決案を示した。
  → 高校野球大会の過密日程: Open ブログ

 ここで示したのは、次の案だ。
 「 48校を、16校ずつの3期(前期・中期・後期)に分けて、そのあと変則トーナメントで優勝校を決める」


 これで一応、解決策となっている。(過密日程で肩を壊す問題を回避できる。また、宿泊日数を減らす問題も回避できる。)

 ただし、新たに考え直すと、もっとうまい案を思いついた。基本は上の通りだが、これに若干の追加策を足して、もっとうまく運用することができるのだ。
 これは、技巧的・アクロバティックなアイデアで、さまざまな問題を一挙に解決する。数学で「エレガントな解答を求む」に対する答案のような方法だ。以下でその説明をしよう。

 ※ いくつかの章に分けて説明する。

 エキストラ試合


 出場校数は 49校だ。(大会の規定でそうなっているので、仕方ない。)
 そこで、余分の1校を減らして、49校を 48校に減らすための試合を行う。これを「エキストラ試合」と呼ぶ。
 エキストラ試合は、大会の最初の日の第1試合として実施する。最初に行うことで、翌日を休養日とすることができるので、日程上の不利が少なくなる。
( ※ エキストラ試合をやる学校は、最大で3回戦を行う。エキストラ試合をやらない学校は、最大で2回戦を行う。前者の方が不利なので、先に試合を行うことで、翌日を休養日とする。そのために、エキストラ試合は、1日目の1試合だけとする。これは開会式の後に行う。)
( ※ エキストラ試合を行う学校がどれになるかは、後述する。)

 前期・中期・後期


 エキストラ試合のあとでは、48校が残る。この 48校を三つのグループに分ける。それぞれのグループを、前期・中期・後期の三つに配分する。( 16×3=48 )

    前期   
    中期   
    後期   

 前期・中期・後期のそれぞれの校は、計2試合をして、各期 16校を、各期4校に絞る。
 ( ※ 2試合だけだから、短期間に2試合があっても、投手への負担は限定的だ。球数の影響も少なくて済む。)
 
 日程としては、次の順で進む。
  ・ 前期の 16校を、4校に絞る。
  ・ 中期の 16校を、4校に絞る。
  ・ 後期の 16校を、4校に絞る。


 ※ それぞれ 16校のグループ内でのみ、対戦がある。別グループの学校との対戦はない。

 地域別


 さて。このあとで、うまい方法を考える。前期・中期・後期のグループ分けをするときに、大阪までの距離別でグループを配分するのだ。
 そのためには、あらかじめ、すべての学校を距離別で三つのグループに分けておく。遠・中・近という三つのグループだ。
  ・ 遠 …… 青森・鹿児島など
  ・ 中 …… 北関東や山口など
  ・ 近 …… 関西や名古屋など


 ※ 距離は大阪までの所要時間で決める。(大阪というのは、在来線ならば大阪駅。新幹線ならば新大阪駅。航空機ならば伊丹空港。
 ※ 距離を測るときの出発点は、県庁所在地ではなく、各校の所在地とする。
 ※ 同一県でも、学校が異なれば、年ごとにグループの分けが変わることがある。たとえば、僻地の学校だと、交通不便なので、直線距離は近くとも遠グループに分類されることもある。北海道や沖縄の学校だと、空港のそばにあるのならば、(飛行機で短時間で到達できるので)近グループに分類されることもありそうだ。
 ※ ともあれ、その年ごとに、それぞれの学校の所要時間を調べて、分類する。

 期間とグループ


 距離別で三つのグループに分けたあとで、これらの三つのグループを、期間別に、次のように割り当てる。
  ・ 前期は、中グループ。
  ・ 中期は、近グループ。
  ・ 後期は、遠グループ。


 ここでは、後期は遠グループになる。その点が重要だ。そのおかげで、遠グループは宿泊日数が少ないまま、次の日程に進める。
 一方、近グループと中グループは、後期の期間中にはいったん地元に帰郷してもらう。つまり、宿泊しない。そのおかげで、近グループと中グループもまた、宿泊日数が少ないまま、次の日程に進める。
 具体的には、次のようになる。

 前期には、中グループの県が配される。勝ち残った4校は、中期と後期の試合が行われている間、いったん帰郷する。(その間の宿泊費は必要ない。)(帰郷の交通費は主催者が支払う。)
 中期には、近グループの県が配される。勝ち残った4校は、後期の試合が行われている間、いったん帰郷する。(その間の宿泊費は必要ない。なお、近場の学校ばかりなので、1〜3時間ぐらいで帰郷できるはずだ。)
 後期には、遠グループの県が配される。勝ち残った4校は、帰郷しない。そのまま宿泊しつづける。(遠グループは、往復に多大な手間がかかるので、帰郷はしないことにする。そのかわり、宿泊日数は少ない。)

 ※ グループ別にしたおかげで、前期と中期の学校は、試合後に空白の日程が続くことになるので、いったん帰郷することができる。かくて、宿泊費を節約できることになる。これが「うまい工夫」だ。

 追加選抜


 前期・中期・後期でそれぞれ、4校が残ったあとで、次の選抜をする。(前回の案では「変則トーナメント」と述べたが、新たに次の方式を決める。)
  ・ 前期4校を前期2校に絞る。(2試合)
  ・ 中期4校を中期2校に絞る。(2試合)
  ・ 後期4校はそのまま。   (0試合)

 こうして、4試合をすることで、合計8校が残る。2+2+4=8。
 この8校が準々決勝のトーナメントに残る。

 2試合+2試合 で、それぞれ1日を要するので、2日間かかる。その間、後期の4校は休養していることになる。その2日間は、休んで、疲労回復に努めればいい。
(この間、後期の4校は、帰郷はない。これ以後も、帰郷はない。すべて連続宿泊とする。)

 ※ 「2日間かかる」と述べたが、4試合をまとめて1日で済ませてもいい。どちらでもいい。

 準々決勝以後


 準々決勝では、次のようにする。
  ・ 1日目 …… 後期4校で2試合
  ・ 2日目 …… 前期2校と中期2校で2試合


 これで、後期2校と前期・中期2校、合計4校が残る。この4校で準決勝を行う。以後は、普通にトーナメントを行えばいい。こうして、最後の決勝までたどり着く。

 ※ 2日目の組み合わせは抽選である。準決勝以後の組み合わせも抽選である。(ここで指定されるのは、「1日目には後期4校が選ばれる」ということだけだ。)
 ※ 最後のあたり(準々決勝の後半以後)は、抽選ばかりとなる。そこでは、普通のトーナメントと同様となり、本項の独自の方式などはない。

 効果


 以上で、本項の独自の方式を示した。では、これによる効果は、どんなことがあるか? 下記のことだ。

 (1) グループ分けすることで、無駄な待機期間がなくなる。開始までに長く待つこともないし、開始後に長く待つこともない。半数の学校は、宿泊日数が1日だけで済む。試合の前日に来て、その翌日に試合をして、敗北して、帰郷する。これが半数だ。残る半数も、おおよそ二日後に2試合目をするが、そこで敗北したなら、すぐに帰郷するから、宿泊日数は3泊だけで済む。いずれにしても、宿泊日数はごく短期間で済む。

 (2) 勝ち残った4校も、余分な宿泊日数がなくなる。前期と中期の学校は、帰郷するので、余分な宿泊日数がなくなる。
 後期の学校は、(前期と中期の)追加選抜のある二日間だけ宿泊すればいい。その間は、休養期間に充てられるので、特に無駄でもない。ここでも、無駄な待機期間がなくなる。

 (3) 準々決勝以後は、普通に過密日程が続くので、無駄な待機期間はなくなる。(ただし工夫もできる。詳細は次項で。)

 費用


 無駄な待機期間が大幅に減るので、主催者が払う宿泊費の総額は大幅に減ることが見込まれる。そこで、その分、補助金の額を増やすことができる。現状では1日1万円の宿泊費のうち 4000円が補助金となるが、今後は 8000円〜1万円を補助金とするといいだろう。こうすれば、出場校の負担は激減する。

 まとめ


 結果的には、こうなる。
  ・ 大半の学校は、最初の1〜2試合をやっただけで、敗退して、帰郷する。その場合の宿泊費は最小限で済む。
  ・ 最初の2試合をやって、勝ち残った学校については、そのあといったん帰郷することで、宿泊費の負担を免れる。(前期・中期)
  ・ 後期の学校だけは、宿泊が続くが、宿泊の期間は短いので、問題ない。
  ・ いずれの場合も、宿泊費のほとんどが補助金でまかなわれるので、自己負担は少額で済む。


 こうして、あらゆる問題を解消することができる。そして、そのことが可能となった理由は、次のことだ。
 「前期・中期・後期の3グループに分けて、グループ内では短期間に集中的に試合をすることで、無駄な待機期間をなくすことができた。おかげで宿泊日数を激減させることができた」

 ※ ちなみに、現行方式では、次のようになる。(昨年の例)
    → 104回全国高校野球選手権大会概要 代表校一覧 ーナメント表

 ※ これによると、1日目に出場した学校は、こうなる。
    ・ 7日目、10日目に試合をする
    ・ 8日目、11日目に試合をする

   つまり、1日目に出場したあと、10日目や 11日目まで、ずっと宿泊し続ける必要がある。(勝ち残った場合には。)……その間、途中帰郷することはできないので、多大な宿泊費が避けがたい。それというのも、無駄な待機期間があるからだ。つまり、無駄な待機期間があるせいで、多額の宿泊費の支払いを強いられるわけだ。無駄ゆえの浪費。馬鹿馬鹿しいですね。(制度設計が馬鹿丸出しであるせいだ。)




 ※ 次項 に続きます。 (炎天下を避ける方法)

 
posted by 管理人 at 22:55 | Comment(4) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
1試合で1校ずつ減っていくので試合数は48で固定。この48をどう振り分けるかですね。でもどう振り分けても投手1人なら後半の連投は避けられません。
 パズルと離れますが何段階かのゾーン代表制にして、最後の東西決勝戦だけ甲子園でやればよいように思います。1週間に1試合くらいのペースで地域で6月頃から試合すれば進学校でも参加できそうです。
 スポーツ界はいまだに気力と根性、論理や道徳より仲間大事の世界ですね。日大アメフトもそのようですね。
Posted by ひまなのでよく見ています at 2023年08月04日 09:53
> 後半の連投は避けられません。

 それは大丈夫。次項で解決策を示します。
Posted by 管理人 at 2023年08月04日 10:51
> ゾーン代表制

 それだと、勝ち残った少数の学校以外は、甲子園にたどりつけません。「甲子園に出場することが夢なんだ」という高校球児の夢が消えてしまいます。

 あまり合理的すぎて、セレモニーがすっかり消えてしまうと、数字だけが残って、スポーツがつまらなくなります。

 全校が甲子園に来る制度は、ひとまず残す方がいいでしょう。
Posted by 管理人 at 2023年08月04日 18:16
結局は人生の思い出作りの大会なので、支援者を含め甲子園に行って金の無駄遣いをしたと思う人は少ないのでしょうか。
高校球児がわくわくしながら次の試合を待っていることを想像するとうらやましいです。
ディズニーランドで待たせたり、カップラーメンで待たせたりするのもそれなりに意味があると思います。
とはいえ、合理性について考えるのは楽しいですね。いつもありがとうございます。
Posted by Openブログ最高! at 2023年08月05日 18:52
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