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最初に報道されたときは「真偽不明」の扱いだったが、「部分的に追試に成功」という報が出て、にわかに信憑性を増したようだ。
→ 常温常圧超伝導体「LK-99」の再現に中国の研究機関が成功と報告!夢の物質がついに実現か? | TEXAL
一方で、次の批判もある。
「今回、確認されたのは、超伝導の特性である反磁性だけだ。しかしながら、反磁性は、超伝導以外でも確認されている。ゆえに、反磁性というだけでは、超伝導が確認されたことにはならない」
この理屈は、もっともらしいが、妥当ではない。なぜか? そのことは、次の説明からわかる。
ほとんどの物質において反磁性は非常に弱いが、超伝導体は例外的に強い反磁性を持つ。
( → 反磁性 - NeoMag用語集 )
反磁性体へ下方から非常に強い磁場をかけると、その反発力が重力に打ち勝ち、磁気浮上する。例えば実験室などで15〜20T程度の磁場を発生させ物質にかけると、水を多く含んだりんごや卵、生物などを浮かせることができる。また、反磁性の強い熱分解カーボン(英: Pyrolytic carbon)やビスマスなどは、磁力の強いネオジム磁石を用いた室温実験でも十分浮上させることができる。
( → 反磁性 - Wikipedia )
超伝導以外では、反磁性はあったとしても、きわめて弱いのだ。だから、物が浮くというようなケースは、次の二条件が満たされた場合に限る。
・ 反磁性体物質はきわめて軽い。(薄っぺらである)
・ 外部の磁場はきわめて強力である
しかし今回の確認動画では、そのいずれも満たされていない。
・ 反磁性体物質は、かなりの厚みがある。
・ 外部の磁場は普通の磁石であるようだ。
First claimed successful replication of LK-99
— Andrew Cote (@Andercot) August 1, 2023
Accomplished by a team at the Huazhong University of Science and Technology and posted 30 minutes ago.
Why this is evidence:
The LK-99 flake slightly levitates for both orientations of the magnetic field, meaning it is not simply a… pic.twitter.com/bh0x9oqaz2
以上のことからして、次のように推定できる。
「今回の反磁性は、かなり強い。不純物である(超伝導物質がわずかしか含まれていない)せいで、かなり偏りがあるようだが、純度を高めれば(超伝導物質の成分比が高まれば)、相当強い反磁性を示すだろうと見込まれる。そのように強い反磁性を持つ物質は、超伝導以外にはありえない」
要するに、「反磁性があるだけでは超伝導だとは言えない」という判定は、妥当ではないのだ。「これほどにも大きな反磁性を示すからには、超伝導である見込みが強い」と言っていいのだ。
※ ついでだが、これが超伝導であることは、理論的にも裏付けられているそうだ。
→ 常温常圧超伝導体「LK-99」の再現に中国の研究機関が成功と報告!夢の物質がついに実現か? | TEXAL
だから反磁性はあるけど、浮遊性がないのでは?
それは磁性体なので、反磁性とは逆に、くっついちゃうんですよ。浮くはずがない。
→ https://x.gd/NUoQM
なるほど。動画を見ると、動いているが、浮いていないのかも。しかしそれなら、上から磁石を近づけると、くっつくはずだ。
その確認動画もいっしょに見せてくれれば、反磁性か磁性かを判定できるのだが。
https://www.youtube.com/watch?v=urGMVqBIu20
これを見ると、浮いているように見えるが、一端はくっついている。浮いていると言えるかどうかは不明。
上から磁石を近づけて、くっつくかどうか調べるべきだ。それで決まる。
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華中科技大学(中国) - 再試行中 - 試行1回目 部分成功(反磁性〇、浮上×)、試行2回目 部分成功(反磁性〇、浮上〇)
曲阜師範大学 (中国) - 再試行中 - 試行1回目 部分成功(反磁性〇、浮上〇)
https://ja.wikipedia.org/wiki/LK-99
部分的な成功報告が二つあるので、まったくのデタラメということはないようだ。STAP細胞 よりも、はるかに再現性は高いようだ。( STAP細胞 は、部分的な蛍光のみが認められた。)