2023年07月30日

◆ 高速道路の外で EV 充電

 EV 充電のために 高速道路の外に一時退出するのを、認める制度ができるそうだ。これは 日本の EV 政策を大転換させるものだ。 【 重要 】

 ──

 日本経済新聞が報じている。
 国土交通省は電気自動車(EV)を充電するために高速道路を一時的に出入りする場合、追加料金を取らない新たな課金制度づくりに着手する。EVの本格的な普及を見据えた措置で2024年度の導入を目指す。
( → 高速道路、EV充電なら一時退出OK 乗り直しに課金せず - 日本経済新聞

 これだけでは何のことか、意味がよくわからないだろうが、この方針は日本の EV 政策を大転換させるものだ。そのことは、先に記した項目と対比するとわかる。
  → 高速道路の充電所の独占: Open ブログ

 日本の高速道路の充電所は、CHAdeMO に独占されている。これはガラパゴス規格の古いもので、とうてい使い物にならないポンコツだ。米国と欧州は最先端の充電規格が普及しているのに、日本だけは旧時代のポンコツ充電所ばかりだ。これでは、日本の EV の普及は見込めない。

 ──

 ただし、日本でもテスラの充電所だけは、立派に使い物になる。250kW で急速充電もできる。充電所も高速道路の出入口のすぐそばにある。とはいえ、いったん出入口の外に出なくてはならないので、その際、「途中下車」の扱いになり、高速道路の料金が跳ね上がってしまう。それだけが難点だった。
 そこで、その難点をなくすのが、今回の制度改正だ。このように改めれば、高速道路の外の充電所(テスラの充電所)を使えるので、日本でもまともに高速道路で EV を使えるようになる。
 こうして日本でも EV をまともに使えるようになる。かくて、この制度改正ができたあとでは、日本でも EV がどんどん普及するようになるだろう。「高速道路ではまともに充電できない」という難点が一挙に解消するからだ。

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 ただし、注意。これを利用できる車種は、限られている。現状では、テスラの EV だけだ。他社の EV はテスラの充電所を使えない。なぜならば、それに適合するためのアダプターが付いていないからだ。
 たとえば、日産のアリアがそうだ。アリアは、北米で売る車は、テスラの充電所に対応して、テスラの充電器を使えるようになるが、日本で売るアリアは、CHAdeMO に対応するだけで、テスラの充電所には対応しない。
 なお、北米向けの車だけで対応するという方針は、日産が公式に発表した。
 米国日産は、日産自動車株式会社が、2025年から電気自動車(以下EV)の北米充電規格(以下NACS)を採用することでテスラ社と合意したことを現地時間の2023年7月19日に発表した。日産自動車は北米市場おけるNACSへの将来製品対応を発表した最初の日系自動車メーカーとなる。
 日産は、2024年以降に販売されるEV「アリア」についてNACS充電アダプターを提供。現行の「アリア」は、CCS1規格(Combined Charging System 1)を採用しているが、NACSのアダプターを採用することでNACSのプラグにも接続できるようになる。
 さらに2025年以降に米国およびカナダ市場向けに生産される日産のEVにNACS用充電ポートの搭載を開始する。これによりテスラの急速充電ネットワークであるスーパーチャージャーで充電がより簡単になり、米国およびカナダにおける利用可能な公共急速充電スポットが大幅に増加するとしている。
( → 米国日産、アリアほか将来のEVモデルにテスラのスーパーチャージャーネットワーク採用を発表

 ここでは「日本向けの車では対応しない」と明言したわけではないのだが、「対応する」という発表がないのだから、少なくとも当分の間は、対応の予定がないのは明らかだ。
 まして、日産以外の他社製の EV だと、テスラに対応する見通しはまったく立っていない。(テスラ社製以外の)米国製の EV ならば対応するかもしれないが、米国製の EV は日本ではほとんど売れていない。欧州製の EV は日本ではそこそこ売れているが、テスラの充電規格に対応する見通しはまったく立っていない。

 ──

 結論としては、どうなるか? こうだ。
 「日本で EV を買うなら、テスラ社以外は使いものにならないから、やめておけ。アリアなどの国産 EV を買うのなら、テスラの充電所に対応するアダプターが搭載されてから、買うようにしろ。それまでは買うべからず」

 なお、すでにアリアなどを買ってしまった人は、運のツキ。テスラの充電所に対応するアダプターを搭載できるように、修理・アップグレードの工事ができる日まで、気長に待つしかない。それまでには早くて2年、実際には3〜4年はかかりそうだ。そんなに待つのが面倒なら、今持っている EV をさっさと売り払って、テスラ車に乗り換えた方がいい。

 とにかく、日本は国策で、CHAdeMO というポンコツ規格を推進して、それに合わせることで、日本の EV メーカーを撲滅しようとしている。EV 推進ではなく、EV メーカー撲滅だ。それが日本の国策だ。だから、その国策に従って、日本製の EV を捨てるべきだ。かわりに、テスラ車を買って、テスラの充電所を使えばいい。それなら、快適に過ごせる。
 そのための第一歩が、今回の制度改正だ。この制度改正がなされたあとでは、日本ではテスラの1強による独占的な状況が生じるだろう。それこそが日本政府の方針だ。
( ※ 自分でも何をやっているのかわかっていないのだろう。それが日本政府。)



 [ 付記1 ]
 では、正解は? CHAdeMO というポンコツを捨てて、他の新しい規格に乗り換えることだ。経産省あたりがその旗振りをするべきだ。
 しかし経産省は、充電器の規格のことなど、何もわからない。技術音痴の無能ばかりだ。半導体の工場を招くために数千億円の補助金を出す……というような浪費のことばかりを考えている。日本の EV メーカーをぶっ潰すために CHAdeMO を推進していることには頭が回らない。
 文系の阿呆が産業政策をになうと、技術のことがわからないので、産業政策は迷走するばかりだ。

 [ 付記2 ]
 日本の高速道路会社は CHAdeMO 以外の充電所を認めていない。( → 前出 )…… そのような方針を支持しているのが、日本政府だ。高速道路会社に 100% 出資しているのは、日本政府だからだ。どうして政府がこんな馬鹿なことをしているかというと、たぶん、自民党が電力会社と癒着しているからだろう。福島原発事故が起こったのと同じ構造だ。あのときは東北をぶち壊したが、今回は日本の EV 産業をぶち壊そうとしているわけだ。自分たちが何をやっているか、わからないまま。

 さて。それならそれで、日本の EV メーカー(日産・トヨタなど)が、政府に要望すればいいはずだ。「 CHAdeMO 一辺倒をやめて、テスラの規格を採用してくれ。テスラは昨年末に規格を公開して、一般使用を認めるように方針転換した。それから半年もたったんだから、そろそろ日本政府も腰を上げて、方針を変えてくれ」と。
 しかし日産もトヨタも、そうしない。日産はルノーとの経営体制刷新にばかり気を取られているし、トヨタは社長交代と EV の出遅れ挽回にばかり気を取られている。大所高所からの「日本の EV 普及基盤の構築」については考えない。「他の誰かが考えてくれるだろう」と思って、自分では何も考えない。
  だから、日産やトヨタのかわりに、私が考えてあげるわけだ。無料特別サービス・大盤振る舞いだ。

 《 加筆 》
 本項の冒頭では「日本の EV 政策を大転換させる」と述べた。最後の方では「経産省あたりがその旗振りをするべきだ」と述べた。「大転換したのか、してないのか。いったいどっちなんだよ」と疑問に思う人もいそうなので、説明する。
 (1) 今回 …… 「 CHAdeMO 推進により、あらゆる EV の普及を阻害する」という方針から、「テスラの充電所の利用を認めることで、テスラ車を普及させる」という方針に転じた。(大転換はなされた)
 (2) 将来 …… 「CHAdeMO 推進から、テスラ方式推進に大転換するべきだ。その方針転換の旗振りをするべきだ」(大転換はなされていない)

 同じく「大転換」とはいえ、その内容は異なっている。いわば、第1段階と第2段階だ。大転換の第1段階は なされたが、第2段階は なされていない。



 【 関連サイト 】
 充電器の規格については、下記サイトを参照。
  → 日本のCHAdeMOはガラパゴス?急激にEV充電の世界標準へと動き出す、テスラNACSについて知っておくべきこと
  → テスラが自社充電コネクター規格を公開し「北米標準」目指す。日本はどうするべきか? - EVsmartブログ
  → テスラ「スーパーチャージャー」が充電規格統一へ GM、フォードに続きボルボも。日本はどうする | 東洋経済




 [ 余談 ]
 「AIが作文してくれる」というサイトがある。ChatGPT 4 による機械的作文。
   → https://ai-writer.userlocal.jp/

 ここで、テスラの充電所について、作文してくれるように依頼したら、下記の文章ができた。
1. 充電スタンドの重要性
  ・ EV(電気自動車)の普及により、充電インフラの整備が急務となっている。
  ・ 充電所の設置により、長距離ドライブも可能になる。
  ・ 充電スタンドの規格は、安全性や効率性を確保するために重要である。

2. 充電スタンドの基本的な仕組み
  ・ 充電スタンドでは、電気を供給するための充電器が使用される。
  ・ 一般的な充電スタンドでは、交流(AC)電源を直流(DC)電力に変換して供給する。
  ・ 充電スタンドの電圧は、一般的には400V以上の高電圧が使用される。

3. 充電スタンドの規格に関する動向
  ・ 現在、最も普及している充電スタンド規格はCHAdeMOとCCS(Combined Charging System)である。
  ・ これらの規格は、各メーカーが共通の技術仕様を採用することで、充電スタンドの互換性を確保している。
  ・ 新たな充電スタンド規格として、テスラのスーパーチャージャーが注目されている。

4. テスラのスーパーチャージャー
  ・ テスラのスーパーチャージャーは、高出力の充電スタンドであり、数十分でバッテリーを充電することができる。
  ・ スーパーチャージャーは、テスラの専用車両でのみ使用することができる。
  ・ スーパーチャージャーの普及により、テスラの長距離ドライブが実現されている。

5. 充電スタンド規格の今後の展望
  ・ 充電スタンド規格は、技術の進歩やEV市場の拡大に伴って常に進化していく。
  ・ より高出力で効率的な充電が可能な規格への移行が予想されている。
  ・ 今後は、充電スタンドの普及を促進するために、さまざまな規格の互換性が求められる。

 ※ 要するに、これは、ネットにある情報の平均的なものだ、と考えていい。(真偽については保証しない。だけど、別に間違っていないね。妥当だ。)
 


 【 追記 】
 「オレはあわてて アリアを買ってしまったぞ。早まった! 日本の EV 政策がそんなにひどいのなら、もっと早く教えてくれれば良かったのに。どうして教えてくれなかったんだよ! 7月22日(1週間前)に言われたって、間に合わないよ!」
 と嘆いて、本サイトに文句を言う人もいるかもしれない。
 しかし、お間違えなく。7月22日(1週間前)の項目には、昔の記事へのリンクがある。
  → 日本では EV の普及は不可能: Open ブログ(2022年02月17日)
 そこでちゃんと、同趣旨のことが記してある。1週間前でなく、1年半も前に、ちゃんと指摘済みなのだ。
 だから、本サイトをちゃんと読んでおけば、購入で間違えるはずがないのだ。(コメント欄でも、正しく判断した人の例がある。)

 ※ 「1年半も前のことなんか、忘れちゃったよ!」
   と文句を言う人もいそうだが、以後も何度か、同記事への言及はある。
      → https://x.gd/bxMNp
    今年の春までに3回も言及してあるね。
 


 【 参考 】

 CHAdeMO では、次のような報告が多い。
 1台は充電出来ますが2台になるとエラーとなり、2台とも充電出来なくなります。
( → 東名高速道路 遠州豊田PA 上り線 (磐田市) 電気自動車の充電器スタンド |EVsmart

 前から ずっと指摘されていた問題だが、いまだに解決できていないようだ。これというのも古いポンコツ規格を採用しているせいだろう。高速道路会社の責任は重い。
 
 ※ 理由は、eMP という会社が電力会社の出資を受けている子会社であるせいだ。だから電力会社と自民党が癒着している影響を受ける。
   → 高速道路の充電所の独占: Open ブログ
   → 日本では EV の普及は不可能: Open ブログ

( ※ 2台で充電できないのなら、なぜ2台の機械があるのか? 「1台なら 90kW だが、2台だと 44kW + 44kW となる場合のみ可能。片方が 90kW のときは、他方はゼロになる」という仕様のせいだったと思う。確か、そうだと思う。)

 《 加筆 》
 「確か、そうだと思う」と書いたが、確認したところ、まさしくその通りだと判明した。
 全体の容量が 90kW だと、90kW を2台で利用できないので、うまくやっても 44kW + 44kW となるしかない。これで利用すれば問題ないのだが、90kW を2台で利用しようとすると、想定外となって、エラーとなるようだ。
 この問題を解決した新機種が、2019年〜2020年ごろに開発されて、少しずつ普及しているらしい。しかしそれ以前の分は、その対応ができていないので、エラーが起こるようだ。

 このようなエラーが起こるのは「排他制御」という基本的な仕組みができていないことによる。21世紀にもなって、排他制御ができない機種が出回っているというのだから、その技術水準の低さには、呆れるしかない。CHAdeMO というのは、本当にポンコツな規格だね。

 ※ それというのも、「リーフなら 44kW までで足りるさ」と思って、将来の拡張性( 90kW への対応)をきちんと考慮しなかったことによる。なぜ? その理由は、コストダウンだ。目先のコストダウンを優先して、将来の拡張性を無視したのだ。朝三暮四の猿と同じ。……日産ゴーンの影響かもね。

 ──

 なお、排他制御というのは、たとえば、次のような仕組みだ。
 「端末 A で 90kW を使用中なので、機械の使用可能電力の上限に達しています。端末 B を使うと、上限を突破してしまうので、端末 B を使うことはできません。端末 B を使う申込みがあった場合には、端末 B の受け入れを中止します」
 このような仕組みがあれば、端末 B を使う申込みがあっても、端末 A は何も影響を受けずに、そのまま使用可能となる。
 一方、このような仕組みがなければ、端末 B を使う申込みがあった場合には、「使用上限の超過」となって、対処不能で、エラー状態となり、機械がすべてストップする。(馬鹿丸出しだが、現状ではこうなっている機械が多い。)

posted by 管理人 at 21:47 | Comment(5) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 [ 付記2 ] を加筆しました。
 政府方針の話。
Posted by 管理人 at 2023年07月31日 06:05
正にその通りです。
ヒョンデioniq5とテスラモデル3で迷った末にモデル3にしたのは急速充電の際の不安だったからです。
本当はioniq5のほうがシートベンチレーションもついていて国の補助金も20万高かったし、デザインも好みだったのですが、使い物にならないチャデモで消耗したくないのでテスラにしました。
航続距離は400km以上あるので、自宅充電しかまだ使ってないのですけどね。

都民で戸建てならば太陽光パネルを屋根に乗せて自家用車をEVにするのが最強と思います。
家に太陽光あれば都からEV購入時の補助金75万円出ますしね。
太陽光も私は2019年に乗せましたが、今は補助金大判振る舞いです。
クールネット東京で検索してみて下さい。
Posted by メーオ at 2023年07月31日 08:51
> ioniq5のほうが……国の補助金も20万高かった

 それは広告の宣伝だけであって、現実には(条件を満たさないと)20万円をもらえないかもしれない。下記で説明した。

 http://openblog.seesaa.net/article/489569388.html

 充電電力の取り出し装置は、テスラにはないが、アリアや他車にはある。それがあると、20万円の補助金が追加される。
 ただしオプション装備を 20万円弱で装着する必要があるので、手元に 20万円は残らない。
Posted by 管理人 at 2023年07月31日 11:23
 最後に  【 追記 】  【 参考 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2023年07月31日 13:51
 最後に  《 加筆 》 を書き足しました。
 充電所の排他制御の話。
Posted by 管理人 at 2023年07月31日 21:45
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