2023年07月26日

◆ 新幹線特急料金を近代化せよ

 新幹線特急料金は、固定的な段階制料金となっている。これは非近代的な制度なので、連続的な料金制度に変更するべきだ。

 ──

 事例は前項の末尾で示したとおり。軽井沢から東京または横浜へ行くとして、次の2ルートがある。
  ・ 軽井沢から東京へ直行
  ・ 大宮で下車して、以後は在来線で、東京 or 横浜へ


 この場合、新幹線に乗っている区間は、それぞれこうなる。
  ・ 軽井沢〜東京
  ・ 軽井沢〜大宮


 後者は、大宮〜東京 の間で、新幹線に乗っていない。だから、新幹線特急料金は(区間が短い分だけ)安くなっているはずだ。ところが実際には、どちらも新幹線特急料金は同じである。(ともに 2400円である。)
 これはつまり、大宮〜東京 の間の新幹線特急料金がタダになっている、というのと同じである。

 では、大宮〜東京 の間の新幹線の特急代はタダなのか? いや、違う。この区間だけを単独で乗車すれば、(自由席を利用する場合は特定特急券の対象となるので)新幹線特急料金は 880円となる。

 つまり、こうだ。大宮〜東京 の間の新幹線特急料金は、次のようになる。
  ・ 長距離客の場合 ……  0円
  ・ 近距離客の場合 …… 880円

 こんなに差があるのは、いかにも不合理である。長距離客が優遇されるにしても、半額の 440円ぐらいは支払うべきだ。なのに、それが 0円となっている。あまりにも不合理だと言える。

 ──

 この問題を指摘したのは、特に理由がある。前項でも述べたように、次のことだ。
 「東京〜大宮 の間は、新幹線が混雑しているので、乗客を新幹線から在来線の特急に誘導するべきだ。それと同時に、大宮発の新幹線を増発するべきだ」

 このことによって、北陸新幹線・上越新幹線・東北新幹線の輸送力を大幅に増強できる。(本数を増発できる。混雑度を大幅に引き下げることができる。)
 ところが、現実には、それができない。なぜなら、乗客を新幹線から在来線の特急に誘導することが、しにくいからだ。それというのも、東京〜大宮 の間は、新幹線代がタダになっているからだ。(馬鹿げた料金制度になっているからだ。)

 結局、馬鹿げた料金制度があるせいで、北日本の新幹線の輸送力全体が縮小してしまっている。そのせいで一国の高速鉄道網の半分が、ガタガタになってしまっている。ほんの小さな欠陥のせいで、国の半分がおかしくなってしまっている。
 だからこそ、この馬鹿げた制度を改めるべきなのだ。


 《 加筆 》
 新幹線の指定席料金は、通常期に比べて、繁忙期・最繁忙期の料金は高めに設定されている。(200円高、400円高)
 これもまた、輸送力不足が生じることによる価格アップだ。仮に輸送力不足が生じなければ、このような価格アップは必要ないか、価格アップの幅が縮小される。
 東海道新幹線はどうしようもないだろうが、北日本の新幹線ならば、本数を大幅増にすることができて、繁忙期・最繁忙期の料金アップを抑制できるだろう。そのためには、東京〜大宮 の間の区間のボトルネックを緩和すればいいのだ。その方策が、本項で述べたことだ。

 ──

 文中では「新幹線特急料金は 2400円」と記したが、27日に改めて路線検索すると、「新幹線特急料金は 2640円」となっていた。240円のアップ。「軽井沢〜東京」でも、「軽井沢〜大宮〜横浜」でも、ともに 2640円だ。
  → 乗換案内、Yahoo!路線情報

 ※ ただしここには、上野の特別加算 210円が含まれる。240円との差額の 30円がどうなっているのかは不明。



 [ 付記1 ]
 料金表は下記。


ryokinhyo.gif
出典:JR新幹線ネット


 [ 付記2 ]
 「簡便性のためには段階制にするのはやむを得ない」
 という説もありそうだが、ソロバン時代にはともかく、デジタル時代にはそんな主張は成立しない。
 そもそも、こんな段階表を使うより、乗車券の料金に一定倍率をかける方が、はるかに簡単だ。それなら、乗車券の料金がわかると、ほぼ自動的に特急料金も出てくる。

 


 【 追記 】
 実は、「東京〜大宮」のボトルネックを解消する名案がある。新たに思いついたが、こうすればいい。
 「需給を調整する基本原理(ワルラス的調整)を利用すればいい」

 
 経済学の用語を使っているが、わかりやすく言えば、こうだ。
 「需要が多すぎるなら、価格を上げれば、需給は均衡する」


 具体的には、こうだ。
 「東京〜大宮 の料金を大幅に引き上げる。その分、その先の料金を引き下げる」


 簡単に言えば、こうなる。
  ・ 「東京〜大宮」を利用する短距離客は、大幅値上げで排除される。
  ・ 「東京〜大宮」を利用する長距離客は、何も変わらない。

 結果的に、こうなる。
  ・ 「東京〜大宮」を利用する短距離客は、在来線に移行する。
  ・ 「東京〜大宮」を利用する長距離客は、新幹線を使える。


 かくて、経済原理に従うだけで、自動的に問題は解決する。「短距離客だけ大幅値上げする」という方式で、うまく解決できるのだ。頭は使いよう。




 【 関連項目 】

 詳しい背景解説は、前項。
  → 東京〜大宮の混雑(新幹線): Open ブログ

posted by 管理人 at 22:25 | Comment(4) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
飛行機は、すっかり変動料金性が定着しました。宿泊施設もしかり。鉄道だってバスだって何だって、事前カード決済なら変動で、当日払いならむしろ割増で、料金を設定して構わないはず。
ローカル線は仕方ないけれど(ICカード使えない所も多々残っているし)、特急や新幹線はやる気になればすぐ移行できるんじゃないでしょうか。
Posted by けろ at 2023年07月26日 23:50
 [ 付記1 ] の前に  《 加筆 》  の箇所を書き足しました。

Posted by 管理人 at 2023年07月27日 08:35
>文中では「新幹線特急料金は 2400円」と記したが、27日に改めて路線検索すると、「新幹線特急料金は 2640円」となっていた。240円のアップ。「軽井沢〜東京」でも、「軽井沢〜大宮〜横浜」でも、ともに 2640円だ。


新幹線特急料金なら、「軽井沢〜大宮で2640円」、「軽井沢〜東京で2850円」で異なります。
ただ、軽井沢〜東京の乗車券については、2640円なので見間違えたと思われます。

※乗換案内参照
Posted by たかちゃん at 2023年07月28日 12:53
「軽井沢〜東京で2850円」というのはその通りですが、ここでは上野通過の特別加算金 210円が含まれているので、その分を差し引くと、新幹線特急料金は 2640円です。
Posted by 管理人 at 2023年07月28日 13:04
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