──
記事はこちら。
公正取引委員会は13日、高速道路のサービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)に設置されたEV(電気自動車)用充電器について、実態調査の結果を発表した。1社が98.7%を占める事実上の「独占」状態となっていることから、「高速道路会社は複数の事業者から選定することが競争政策上望ましい」と指摘。政府に議論するよう求めた。
公取委の調査によると、全国のSA、PAに設置されているEV用充電器は計445基(3月末時点)。このうち、98.7%の439基を「イーモビリティパワー」(eMP、東京都港区)が占めていた。
eMPは19年10月に設立。東京電力ホールディングスや中部電力、トヨタ自動車、日産自動車などが株主で、東電出身の四ツ柳尚子氏が社長を務めている。
( → 高速道路のEV充電器、98%を1社で設置 公取委が指摘、議論促す:朝日新聞 )
解説記事はこちら。
→ 高速道路の充電が便利になる? 公正取引委員会の実態調査結果と申し入れ内容を読み解く - EVsmartブログ
ここに、高速道路会社の言い分が記してある。
・電欠を防止する観点から、一部の路線など局所的な設置ではなく網羅的に設置が必要。
・設置後に需要がなく撤退する、という考えではなく、需要がないエリアでも事業を継続する事業者と組みたい。
・収益性に関わらず、全てのエリアで統一的にサービスを提供することが望ましく、10年前はeMPしか存在せず、現在も同社との提携を継続。
要するに、一つの会社だけに統一したい(そのことで統一的なサービスを提供したい)、ということだ。
これをどう評価するか?
──
実は、この問題は、前に取り上げたことがある。下記だ。
→ 日本では EV の普及は不可能: Open ブログ
その趣旨はこうだ。
・ 日本では EV の普及は不可能である。
・ なぜなら、EV は最新型にできても、充電所が旧式だからだ。
・ 日本の充電所は、世界基準から外れた、ガラパゴス規格だ。
・ 電圧も、時間も、コストも、利便性も、ひどく遅れている。
・ これほどにもひどいのは、e-Mobility Power が支配するせいだ。
・ e-Mobility Power は、EV 会社でなく、電力会社が牛耳る。
上記のことを理解すれば、今回の話はきちんと理解される。
公取委は今回、高速道路における独占の問題を指摘したが、それは別に、今回初めて明らかになったことではない。本サイトでは 2022年02月17日 の段階で、上記記事において指摘してきた。
しかも、その本質も示してきた。
・ 独占はあるが、独占そのものが問題なのではない。
・ ガラパゴス規格で、非常に遅れた水準なのが問題だ。
・ 世界の EV の水準から大きく遅れた旧式規格しかない。
・ 結果的に、日本の EV の普及そのものが大幅に遅れる。
・ そのせいで日本の EV 産業そのものが衰退していく。
つまり、日本が EV 普及で遅れていることの理由の一つは、こういう「 EV の充電所がまともに普及していないこと」にあるのだ。
テスラは、自社で独自の充電所を普及させつつあるが、それらは高速充電できるので、日本の EV よりも圧倒的に優れている。このままでは日本の EV はすべてテスラに席巻されてしまいそうだ。(充電所の普及の問題のせいで。)
──
ちなみに、米国では GM がテスラの充電方式を採用することを決めた。
→ テスラ充電規格が北米の標準に?GMとフォード採用、どうする日本勢:朝日新聞
日本や欧州は、独自に標準規格を採用する予定だったが、技術の方式がテスラに比べて圧倒的に遅れているので、ろくに勝ち目がない。(やたらと充電時間が長くて、手間もすごく面倒だ。テスラの方式に完敗する。)……だから、GMとフォードがテスラ方式を採用するのは、当然なのだ。
遅れて、日産も(米国内で)採用を表明した。
→ 日産、米でテスラの充電規格採用 EV、25年から搭載:東京新聞 TOKYO Web
ここまで米国内では統一されつつあるのだから、日本国内でも、同様にテスラ方式に統一すればいいはずだ。なのに、できない。 e-Mobility Power が独占しているせいだ。そして、そうさせているのは、日本の高速道路会社である NEXCO(旧:日本道路公団)だ。それを支配しているのは日本政府だ。
つまりは、日本政府の方針で、高速道路の EV 用充電所を e-Mobility Power に独占させており、そのせいで旧式技術を採用して、EV の普及を阻害しているわけだ。
これが日本の EV 政策の現状である。そこには根源的な問題があることを、2022年02月17日 の項目で示したが、そのことが今回の公取委の指摘で、改めて問題になりつつあるのだ。……ただし、どういう問題があるかは、公取委は指摘していない。公取委は単に「独占」という手法に着目しただけだ。その手法のせいで日本の EV 政策全体が劣化していることには、言及していない。(頭が悪い。視野が狭い。……まあ、公取だから、仕方ないが。)
[ 付記 ]
充電所の配置は、専用の地図検索でわかる。
→ EV充電マップ - GoGoEV
高速道路沿いには、テスラの 250kW の充電所がたくさんあるので、これを使うと便利そうだが、いずれも高速道路の外にあるので、いったん外に出ないと使えない。高速道路会社が意地悪しているせいだ。
かといって、CHAdeMO を使うと、最高でも 90kW であるにすぎないし、一部は 44kW だったり、50kW だったりする。さらに、使い勝手もずっと悪い。
結論としては、「日本では EV は使わないのが正解だ」となりそうだ。(市街地専用の サクラ は別だが。)
【 関連サイト 】
公取委の報告。
→ 高速道路における電気自動車(EV)充電サービスに関する実態調査について | 公正取引委員会
【 関連動画 】
