前項の問題を解決するには?
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解決には?
前項では問題をいろいろと掲げた。では、こうした問題を解決するには、どうすればいいか?
この問題は、実は、論理的に考えるだけで、簡単に解決が付く。以下で示そう。
まず、前項で最後の箇所(橋下徹の案)を見よう。そこには、こう記してある。
マイナカードを強制交付せよ、というわけだ。
なるほど。これは一案である。だが、これはやりたくても、実現は不可能だ。なぜなら、本人の顔写真のデータがないからだ。
マイナカードを強制交付すればいいのだが、本人の顔写真データがないから、実現は困難である。
とすれば、ここから論理的に、次の結論を得る。
「本人の顔写真データなしにすれば、マイナカードを強制交付できる」
換言すれば、こうだ。
「顔写真なしのマイナカードを強制交付すればいい」
こうして、正しい方法が、論理的に判明した。
以前の案
実は、すぐ上の案は、本項で初めて提示したわけではない。実はずっと前にも提示したことがある。2020年と、2023年の項目だ。引用しよう。
「いきなりマイナンバーカードを各人に書留で送付する」(顔写真はなしで、文字だけ。)
( → マイナンバーカードの普及: Open ブログ )(2020年08月25日)
「顔写真のないマイナンバーカードを国民全員に交付する。マイナンバーを紛失した場合にも、この新たなカードを使えば、病院で受診できるので、全員にとって便利だ」
( → 健康保険証の代案: Open ブログ )(2023年02月14日)
以上のように、以前の項目でも提案済みだ。前項では「困った。どうする?」と最後に書いたが、本項では「困ったときの Openブログ。うまい案を出そう」とは言わなかった。なぜなら、本項で案を出すまでもなく、とっくの昔に案を出していたからだ。 (^^);
ともあれ、なすべきことはわかった。
「顔写真なしのマイナンバーカードを強制交付すること」
である。具体的には、すでに交付済みの人(70%)は除外して、残りの 30% に強制交付すればいい。一部の人は、重複して受け取ることになるだろうが、その場合は、双方を所持してもらっていて構わない。(そうしても特に難点はないからだ。)
この 30%の人は、「顔写真なしのマイナンバーカード」を、健康保険証の代わりに使えばいい。
残りの 70%の人は、「顔写真ありのマイナンバーカード」を、健康保険証の代わりに使えばいい。
以上で、問題は自動的に解決する。
※ 「健康保険証の廃止」も、上記の方針で解決する。上記の方針で、全員への交付が完遂されるので、健康保険証をマイナンバーカードに移行することが、自動的に可能となる。
※ 暗証番号の指定はどうするんだ? という疑問がありそうだ。その点は、大丈夫。本人が指定するのではなく、役所が勝手にランダムな数字を割り当てればいい。その数字を印刷して、マイナンバーカードといっしょに送付すればいい。(ただし、事後的に、マイナポータルで暗証番号を変更できるようにする。あるいは、区役所で、変更手続きを代行してもらう。区役所内には、マイナンバーのサポートサービスの部署がある。)
※ 介護施設ではどうするんだ……という疑問もありそうだが、その話は後述する。
逆の案
本項の案とは逆の案も提示されている。これだ。
→ 暗証番号なしの「マイナンバーカード」に意味はある? カギは「券面情報」
上記案:
…… 顔写真あり / 暗証番号なし
本サイト:
…… 顔写真なし / 暗証番号あり
上記案は、本サイトの案とは対照的であるとわかる。このような案を、政府は検討中であるそうだ。
では、その意図は何か? こうだ。
「顔写真があれば、顔認証または目視確認によって、本人確認ができる。だから、暗証番号がないという難点を、いくらかは補える。
一方で、暗証番号の入力が不要なので、介護施設などでは(本人以外が暗証番号を入力するという)現状の難点がなくなる」
後者の問題については、前項で「介護施設の問題」として紹介した。この問題が回避できる。だから、「暗証番号なし」というタイプのマイナンバーカードにはそれなりの美点がある。ゆえに、こういうタイプのマイナンバーカードを導入するべきだ。……というのが政府方針であり、その方針が進められているそうだ。
そんな中、主に高齢者がマイナ保険証として利用することを想定して、11月をめどに「暗証番号設定のないマイナンバーカード」の発行を開始できるように検討が進められています。
→ 松本総務大臣閣議後記者会見の概要(2023年7月4日)
逆の案の難点
だが、上記の「逆の案」は、まったくダメだ。それが私の評価だ。その理由は以下の通り。
(1) 「政府は個人の顔写真を入手できない」という問題を解決できていない。とすれば、強制交付するためには、「顔写真なし」にする必要がある。なのに、「顔写真あり」のタイプにするのであれば、「顔写真がないので、マイナンバーカードを発行できない」ということになる。だから、強制交付することができない。結果的に、マイナンバーカードの普及率を上げる効果がない。つまり、最も重要なメリットがないことになる。
※ 「顔写真あり」だと、「全員への交付」ができない。ゆえに、「健康保険証の廃止」は、できないままだ。
(2) 「暗証番号なしにする」ということには、何の意味もない。なぜなら、「有は無を兼ねる」からだ。「暗証番号を使いたくない」のであれば、単に暗証番号を(設定したまま)使わなければいいだけだ。わざわざ「暗証番号なし」にする必要はないのである。
※ この件は、下記で詳しく述べる。
暗証番号の不使用
介護施設では、施設が個人の暗証番号を勝手に入力するのはまずい……という問題がある。( → 前項)
そこで、「だったら暗証番号をなくしてしまえ」というのが上記の政府案だ。だが、いちいち暗証番号をなくす必要はない。暗証番号があるまま、暗証番号を単に使わなければいいだけだ。
※ 「有は無を兼ねる」のである。あったとしても、それを無視すれば、ないのと同じことになる。
そのためには、次の方策を取ればいい。
「暗証番号を使わないままマイナンバーカードの健康保険証機能を使う資格」
というのを、介護施設に与える。(個別に許可を得る形で。)
このような資格を得た介護施設でのみ、「暗証番号を使わないまま、マイナンバーカードの健康保険証機能を使う」ということを認めればいい。
こうすれば、一般の病院では、暗証番号なしではマイナンバーカードを健康保険証がわりに使うことができない。(顔写真のあるタイプならば顔認証はできる。顔写真のないタイプでは、暗証番号を使うことが必須となる。)
一方、介護施設では、暗証番号なしのまま、マイナンバーカードを健康保険証がわりに使うことができる。それには、次のようにするといいだろう。(★)
《 具体的な使用例 》
・ 患者は寝たきりで動けない。
・ 患者のマイナンバーカードはあるが、暗証番号は不明である。
・ 介護施設は、患者のマイナンバーカードを預かる。
・ 介護施設は、患者のマイナンバーカードでログインする。(健康保険に)
・ カードリーダで、暗証番号が要求される。
・ 暗証番号が不明なので、介護施設はログインできない。
・ 介護施設は特別コード「0000」を入力する。(全国共通)
・ 「施設番号と暗証番号を入力してください」と表示される。
・ それぞれの番号を入力する。
・ こうして介護施設は、一種の「マスターキー」(万能キー)の能力をもつ。
・ 介護施設は、患者の暗証番号を知らないまま、ログインできるようになる。
こうして、介護施設における問題点は解消された。
※ 「マスターキー」(万能キー)というのは、「あらゆる患者の暗証番号を代行できる能力」のことである。つまり、万能パスワードだ。これは、システムの管理者権限でシステムを勝手に操作できる能力のことではない。混同しないように。
※ 「マスターキー」(万能キー)の能力があると、不正があると大変だと思える。だが、不正の検出は容易なので、心配はいらない。また、不正が見つかれば、処罰すればいい。高額の罰金がかかるとなると、介護施設の側が変な不正をすることはないだろう。また、やった個人も刑事罰で罰されて、刑務所行き(懲役 10年以下)になるので、やる気にはなるまい。
→ 電子計算機使用詐欺罪
[ 補足 ]
上記の案では、介護施設に特別コード「0000」というものを設定した。
これについて、次の疑問が生じるかもしれない。
「もともと個人の暗証番号に 0000 を設定していた人は、どうするんだ? システムが混同してしまうだろ! まずいぞ」
その点は大丈夫。ちゃんと考慮してある。こうだ。
「たとえば、2023年10月01日以後は、個人の暗証番号に 0000 を認めない。9月30日以前の分は、認める。そして、ログイン時に 0000 が入力されたなら、カード登録者の登録日を見て、2023年10月01日以後であるか以前であるかでチェックする。登録日が 2023年10月01日以後であるなら、個人の暗証番号が 0000 であることはありえないので、特別コードとして認定して、以後の画面に移ればいい。一方、登録日が 2023年9月30日以前であるなら、次の二通りだ。
(1) 個人の暗証番号が 0000 でないなら、個人の暗証番号は不明のまま、その番号を特別コードと認定して、以後の画面に移ればいい。(施設番号と暗証番号を入力する画面に移る。)
(2) 個人の暗証番号が 0000 である場合には、その個人(またはその代理)としてログインしてしまえばいい。ちゃんと正しい暗証番号を入力したのだから、そのままログインできる。
こうして、どっちみち、 0000 で正しく処理される」
かくて、もともと個人の暗証番号に 0000 を設定していた人がいたとしても、問題なく処理できる。
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カードリーダーを使う場合には、前出の手順(★)を簡略化するといい。個別の患者ごとに、いちいちマスターキーを得るのでは、個別に手間がかかりすぎる。そこで、いっぺんマスターキーを得たら、以後は連続して、多数の患者のログイン処理を続けてできるようにするといい。いっぺんログインしたら、百人ぐらいの患者の処理を、続けてできるようにするわけだ。これで、手間がかからなくなる。
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実は、別案もある。カードリーダーで 0000 を読み取るのでなく、パソコンで特別サイトに入って、同様の操作をすればいい。施設番号と暗証番号を入力することで、(多数の患者の)健康保険証の連続処理が可能となる。……そのような資格を、介護施設に与えればいい。
( 両方式を併用して、使い分けするといい。)
※ 次項 に続きます。
でも、過去にiPhoneの暗証番号のマスターキーがAppleは持っていてFBIの要請に頑なに拒んでいるというような話も聞いたことがあるので、マスターキーは可能なのかもしれませんが。
本来の入口は通れないが、新たに別の入口を設けて、そちらから通る。
だから、現状のままでは、通れません。新たにシステム内に、別の入口を設置する必要があります。システムを作り直す必要がある。まあ、1カ月ぐらいでできそうだが。