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長野の猟銃殺害事件を反省して、銃撃犯への訓練をするようになった。
長野県中野市で5月、警察官2人を含む4人が殺害された事件を教訓に、警察庁は、パトカーに乗る警察官を対象にした新たな訓練の導入など、地域警察官の安全対策を全国に指示した。事件で出動した警察官が拳銃を携帯していなかったことを踏まえ、拳銃を短時間で装着し直すための対策も盛り込まれた。
( → 60代女性殺害容疑、男を3回目の逮捕へ 4人犠牲の長野立てこもり:朝日新聞 )
「拳銃を携帯していなかったことを踏まえ、拳銃を短時間で装着し直すための対策」というのをするようになった。これは妥当だ。しかし、そのあとが問題だ。
訓練では、パトカー乗車中や現場に到着した際の対応で、具体的な場面を想定したものを導入する。今回は到着時に青木容疑者の存在に気づいていなかった可能性があり、周囲に不審者がいないか目配りするといった内容が検討されている。
これでは全然ダメだ。そもそも、事件への対策になっていない。事件はこうだった。
事件では、「男が女性を刃物で刺した」との110番通報を受け、中野署地域課の警察官2人が署からパトカーで急行。現場付近に到着し、停車させたところで襲われたとみられる。青木政憲容疑者(32)が猟銃を2発発砲。運転席の池内卓夫警部(61)=2階級特進=を射殺し、車体の後ろから助手席側に回り込んで玉井良樹警視(46)=同=を刃物で刺すなどして殺害したとされる。
これと同様のことがあった場合、「周囲に不審者がいないか目配りする」というような対処方針では、足りるはずがない。
仮に拳銃を所持していることを前提としても、簡単には済まない。
・ 相手が姿を見せなくても、途中で現れることがある。
・ 相手が姿を見せないまま、攻撃してくることもある。
・ 拳銃と猟銃では射程が違う。20メートルも離れたら、勝ち目はない。
一般的に言えば、次の訓練が必要だ。
「猟銃を持つ銃撃犯がいて、ひそんでいる。パトカーが到着したら、攻撃してやろう、と待ち構えている」
このとき、銃撃犯がどこに隠れていて、どういう攻撃をするかは、毎度毎度、変えるようにしていい。予測不能にする。その条件下で、警察官は対処するべきだ。その場合、「周囲に不審者がいないか目配りする」というような対処方針を取った警察官は、飛んで火に入る夏の虫となるだろう。全滅だ。
こういう訓練をしてこそ、訓練の意味があるというものだ。敵のいない名ばかりの訓練をしても、意味がないのである。
[ 付記 ]
では警察官の側は、どうすればいいのか? そのことは、前に私が示しておいた。
→ 警官2名が殉職したわけは?: Open ブログ
拳銃と猟銃では、武装能力に差がある。敵の武装の方が上だ。そういう場合には、まともに敵対してはならないのだ。相手を制圧するよりは、まずは自らの身の安全を保つことを最優先とするべきだ。敵が猟銃を持つ場合には、味方から SIT などの援軍がくるのを待つべきであり、拳銃だけでのこのこ出向くべきではないのだ。それは自殺行為も同然である。
そんなことも理解できないで、「周囲に不審者がいないか目配りする」というような対処方針を取ろうとするなんて、今の警察はまったくの無能だと言える。
そんなことだから、安倍元首相も死なせてしまったんだよ。警察は無能の極み。
※ 「教場」のキムタクに教えを請え、と皮肉ってやりたくなる。
※ 基本的には、「自分が何をしたいか」を考えるのでなく、「相手が何をしようとしているか」が重要となる。特に、「相手が警官を殺害しようとしている」ということを想定して、その上で対処するべきだ。……なのに、今の警察には、その発想がすっぽり抜けている。だから、被害が生じる。「教場」の場合と同様だ。
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「教場」について、詳しくは下記。
→ 警官2名が殉職したわけは?: Open ブログ