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一つのお菓子を、二人で取り合っている。争いを避けるにはどうすればいいか? 通常、ジャンケンで決める。そこで、ジャンケンで決めたら、ジャンケンで負けた方が悔しがって、すねてしまった。幼い女の子なので、扱いが難しい。どうしたらいいか?
この問題を扱った記事が話題となった。
一つしかない抹茶アイスを巡って、どうやら「ジャンケンで勝った方が抹茶アイスを食べる」ということになったらしく、数回のあいこの末長男が勝ちました。これ自体は何の問題もありません。
ただ、負けてしまった次女、この時は相当ディープな抹茶気分だったらしく、軽く泣きべそをかいちゃったんですね。
普段物分かりの良い次女には珍しく、「抹茶アイスじゃないなら他のアイスは要らない」などと言い出して、ちょっと拗ねてしまったようでした。テーブルに緊迫した雰囲気が漂いました。
( → 長男の「アイスの譲り方」を見て、しみじみ感心した話 | Books&Apps )
兄が妹に譲ることにしたが、単に譲るのでは教育上よろしくない。そこで「交渉で譲る」という手法を取らせた……という話。詳しくは上記記事を参照。

まあ、それはそれでいいし、別に問題はないのだが。……
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他に、別案もある。こうだ。
「抹茶を半分ずつ、分けて取る」
これならば、公平だし、どちらもそれなりに満足できるはずだ。しかも、二通りの味が楽しめるのだから、別に文句はあるまい。
ただし、ここで話が終わってしまっては、つまらない。
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より学究的に考えてみることができる。
「限りある資源を最適配分する」
というのは、実は、経済学で扱う対象だ。通常、「パレート最適」という手法が取られる。これは、「高い金を払う人が取る」という分け方だ。(市場原理の手法でもある。)
その意味は、「金持ちほど横暴にできる」という意味ではなく、「高い対価を払える人ほど、その資源を有効に利用できる。だから高い対価を払える人が入手するのが、(社会的に)最も効率的だ」ということだ。
この方法を、お菓子の配分にも適用すればいい。
「高い金を払う方が取る」という方法を取るべきだが、もともと各人が持っている金の量は同じであり、金の多少では決着が付かない。(たとえば全員が1ドルを持っている状態。)
この場合には、どうするか? 金の額を買えるのでなく、同じ金で取る品物の量を変えることで、品物の価格を変えることができる。要するに、「1ドルで買える菓子の量を減らすことで、品物の価格を上げる」ということだ。
その意味は、「要求度の高い人ほど、取る分を減らす」ということだ。
今回の例で言えば、必要度の高い人(妹)が、高い単価を提示する。そのことで、入手する権利を得るが、得られる量は少なくなる。
妹は、どうしても抹茶が好きだから、抹茶を取ることができるが、取る分量は減る。「たとえば、価格 5割高」という価格を打ち出すことで、競りに買って、抹茶を取ることができる。しかし価格が5割高なので、取る分量は 1.5 の逆数、つまり、3分の2 となる。妹は抹茶を取れるが、取れる量は 3分の2 だけだ。残りの3分の1は、競合相手(兄)に譲る。
兄はその3分の1(抹茶)を取り、さらに自分の分で、バニラ1つ取る。抹茶3分の1と、バニラ1つで、合計1と3分の1。量が多くて満足できる。しかも、兄は量が増えただけでなく、抹茶バニラになって大喜びだ。一方、妹も3分の2の抹茶を取れて満足できる。こうして最適配分ができる。
ただし、もっといい手がある。
このあと、兄が自分の持つたくさんのバニラから、バニラ1口分を妹に譲れば、妹も大満足できる。「お兄ちゃん、ありがとう、大好き!」……これこそが最適配分だな。 (^^);