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これはスキーバス事故と関連する。
先日、スキーバス事故の判決がようやく出た。
長野県軽井沢町で大学生ら15人が死亡、26人が重軽傷を負った16年のスキーバス事故で、運行会社の社長らに禁錮刑の判決が言い渡された。
8日の長野地裁判決は、社長と運行管理者は、運転手が技量不足から死傷事故を起こすおそれがあると予見でき、刑法上の注意義務を怠っていたと判断した。さらに安全を確保する意識が欠落し、目先の利益を優先してずさんな運行管理を続けたとも指摘。実刑とした。
貸し切りバスは00年の規制緩和で免許制から許可制になり、参入する事業者が急増した。価格競争が過熱し、安全管理が不十分なバスによる大事故が相次い
( → (社説)バス事故判決 命預かる重み 再認識を:朝日新聞 )
政府の規制緩和による安全軽視が根源だ……ということは、上記の社説でも指摘しているし、私も何度か指摘した。最近も下記で述べた。
→ 知床遊覧船事故と規制緩和: Open ブログ
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さて。規制緩和とはまったく別の論点から、スキーバス事故の原因を考察したこともある。
今回のバスも SA が満員で、進路を予定から変えたことが、事故の一因であったらしい。
( → スキーバス事故には事故調を: Open ブログ )
その典拠は、下記の記事だ。
長野県軽井沢町のバス転落事故で、事故車両に乗っていた運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)の運転手が以前、高速道路のサービスエリア(SA)の混雑を理由に休憩場所を変え、事故現場を走行するルートに変更していたことが分かった。今回も同様の理由だった可能性がある。
( → スキーバス転落:運転手、過去にもルート変更 | 毎日新聞 )
東京に近い高坂 SA で休憩するはずだったのに、そこが満車だったので、その先まで高速道路を直進した。こうして予定外のルートを取ることになったが、そこは不慣れな場所だったので、うまく危険回避の操作ができなかったようだ。
→ 静岡のバス事故の対策: Open ブログ
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ここまでは事故の原因分析だった。主な要因は運転者の技量未熟であり、そういう初心者をいきなり勤務に就けたバス会社の営利主義が大きな原因となる。
ただ、それとは別に、再発防止の観点からは、「高速道路のサービスエリア(SA)の混雑」を解消することも大切だろう。
この問題は、事故とは関係なく、高速道路の大きな問題(安全問題というよりは社会問題)として話題になってきた。何年も(何十年も)前から、しばしば報道されてきた。たとえば、下記記事がある。
《 SA・PAが満車で休めない | トラック業界裏話 | ブルル | 》
高速道路走行で休憩ができないという問題が持ち上がっている。
高速道路の休憩場所として、適度にサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)が設置されている。休憩するには高速を走行していれば当然、SAやPAを利用することになるが、一部の区間では日常的に混雑しているため、簡単に休憩が取れないのだという。
東名日本平・新東名静岡〜港北の上り区間では、毎日約3万台といわれる走行トラックに対し、駐車スペースは乗用車スペースを共用しても約2000台程度。このため、運輸労連(全日本運輸産業労働組合連合会)は、トラック駐車スペースの数が絶対的に不足していることが慢性的な満車状態の原因だと主張する。さらに、時間帯割引制度の影響も示唆している。割引は深夜時間帯に限られており、その時間はトラックが集中する。ただ、深夜割引の適用を受けるためには、午前0時以降に出口料金所を通過しなければならず、このため、料金所の直前や出口に近いSA・PAでは、時間調整を行うトラックが後を絶たず、混雑の要因となっているという。
確かに混雑するSAやPAでは駐車スペースに止められず、路肩に駐車するトラックの光景を目にする。
( → トラックドライバー求人情報サイト )
《 深夜にSA・PAの進入路に停止している車に注意しよう 》
午前0時から4時までの時間帯に、ETC(自動料金収受システム)の深夜割引料金が適用されるため、トラックによる混雑が常態化しています。
そのため、駐車枠外や進入路へ違法駐車するトラックが横行しており、その車に追突する事故も絶えません。
( → シンク出版株式会社 )
深夜料金をめざす車の、料金所における集中的な混雑という問題は、時間帯を分散させる対処で、いくらか緩和されたようだ。しかし、料金所という出入口では混雑が緩和されても、SA の駐車場の混雑は解消されない。
これには、「車中泊でホテル代を浮かす」という狙いもあるようだ。トラックだけでなく、一般人でさえ、SA と自家用車をホテルがわりにしているそうだ。
どうも各サービスエリアが不自然に満車なのです。20キロ級の渋滞が発生する前から、どこのSA入口も車の列が出来ていて、レストランやガソリンスタンドを併設するような大型SAだけでなく、小ぶりなところも同様の状態なのです。
駐車場は隙もなくかっちり満車なのに、人が動きがまるでない・・・。これはミステリーではなく、皆休憩というよりも本格的に寝ているんですね。
帰ってきてから見たNHKの朝のニュースに腹が立ったのですが、そこでは高速道路を宿代わりにする「車中泊」が流行っていることをレポートしていました。某SAで一夜を明かす中年夫婦が登場し、自作の車中泊グッズなども披露しながら、そのメリットを得々と語っていました。曰く「経済的で、ホテルを予約したりする面倒がなく気楽」というものでした。
( → 車中泊を禁止せよ - 音次郎の夏炉冬扇 )
まったくひどいものだ。高速道路を無料駐車場がわりにしている。そのせいで必要な駐車ができなくなって、バスが予定外のルートを取らされて、その結果、スキーバス事故が起こったりする。とんでもないことだ。
困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。何とか考えよう。
まず、目的とするべきことは、こうだ。
「高速道路の SA の駐車場では、車中泊を禁止する」
これが目的だ。ただし、この目的を実現するのは、難しい。車中泊をする車と、ただの駐車中の車を、区別しにくいからだ。いったい、どうやって区別すればいいのか?
この問題には、困ったときの Openブログで、うまい案を出そう。二つある。
(1) 騒音車
駐車を阻止するのでなく、睡眠を阻止するといい。たとえば、光と大音量で目覚めさせる。駐車場の全体でやるのは無理だから、騒音車という車両を使って、うるさい音を鳴らす。サイレンみたいに。
あまり大きな音だと、近所迷惑になる。しかし、1台だけなら、その車両から 50メートルぐらいまでが騒音の範囲だろう。50メートルも離れれば、一般の人家への被害は減じられる。
そこで、騒音車を広い駐車場のあちこちで走らせるといい。あちこちを走ると、騒音車が5メートルぐらいそばまで近づくこともあるだろう。そうなると、あまりにもの大音量がひどくて、眠ることはできなくなる。……こういう騒音車が、30分に1度ぐらい近づいてくれば、もはや安眠はできなくなる。SA で車中泊をしようという人は、いなくなるだろう。
(2) 駐車料金
駐車場の車には、駐車料金を取ればいい。たとえば、
「最初の2時間までは無料。以後、60分ごとに 600円を徴収」
というふうにする。
問題は、課金の仕方だ。どうやって課金するか? それには、名案がある。こうだ。
「駐車場の領域を柵で囲んで、閉鎖的な領域とする。出入り口を通じて、出入りするようにする。その出入口には ETC のシステムを設置して、出入りするたびに料金を自動徴収する」
たとえば、「 23:30 に入場して、06:30 に退場した」というデータが ETC で記録される。すると、「7時間、駐車した」という結果が判明するので、「駐車7時間なので、4200円を徴収します」というふうになり、ETC から 4200円を徴収されてしまう。
こうすれば、駐車するたびに高い金を取られることになるので、ケチな人々はたちまち逃げていくだろう。
※ ただし、これは車内に何人も宿泊できるので、コスト的にはまだ安い。夫婦でホテルに泊まると、1人 4000円だと 2人で 8000円になる。それに比べれば駐車料金の 4200円の方が安いな、と思う人も出るかもしれない。(単身者は排除できても、2人以上の家族は排除できないかも。)
※ とはいえ、この方式で効果が薄くても、大丈夫。仮に、その金を払う宿泊者がたくさん出現したとしても、それはそれで、問題ない。なぜなら、その客はちゃんと金を払ってくれるからだ。その客からもらえる金を利用して、SA に隣接する土地を購入して、有料駐車場をたくさん拡張・整備すればいい。
たとえば、1000平方メートルぐらいを新規購入して、それを有料駐車場とすればいい。この場合、宿泊客が増えると、困るどころか、金儲けのタネとなる。だから、かえって好都合だ。「駐車場で車中泊する人が増えました。困った」と嘆くどころか、「駐車場で車中泊する人が増えました。商売繁盛で、大儲けできます」と大喜び。……無料と有料では、そういう差がある。
災い転じて、福となす。困ったときの Openブログ。
[ 付記 ]
上記の方法を取ると、利用者は別の対策をするかもしれない。たとえば、こうだ。
「2時間以内の駐車を増やす。2時間走行、2時間仮眠、というのを繰り返す。こうすれば、それぞれの SA では、2時間まで無料駐車できるから、駐車場の金を払わないで済む」
そうなったらどうする? 今度は、ETC による課金を1時間以内にすればいい。これで2時間の駐車を減らすことができる。
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一方で、SA とは別の場所に、「車中泊専用の駐車場」を整備するといいだろう。これは、「8時間まで 2000円」ぐらいの料金で、1晩だけの駐車を認める施設だ。
SA とは別の場所に、広大な空地を用意して、そこを駐車場として利用すればいい。田舎ならば、空地はいくらでもあるので、低コストで整備することもできるだろう。そこを低料金で提供すればいい。
SA の駐車場で高料金を徴収すれば、他の場所の駐車場では低料金を徴収することができるのだ。
※ 現状では無料だから、いろいろと問題が発生する。
※ 有料(低料金)ならば、そこそこ儲けることができる。「商売繁盛で、大儲けできる」というほどではないが、十分だ。これはこれで問題ない。
※ SA の駐車場を無料にしたままでは、この方法は使えない。人々は低料金の有料駐車場を使わずに、SA の無料駐車場を使うからだ。
【 関連動画 】
深夜はトラックがほとんどで
車中泊なんて微々たるものです。
実体験でいうと普通車エリアに
トラックが入ってきて彼らは
エンジンをかけたままなので
排気ガスが嫌で移動せざるを
得ませんでした。
四国遍路では道の駅とかSAに
は世話になりました。
四国は車中泊に優しいです。
トラック(の車中泊と駐車)のことを話題にしているんですよ。「満杯なのが問題だ」と。
自家用車の車中泊は、ついでの言及であって、主題ではありません。お間違えなく。(どうでもいい。微々たるものなので。)
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大型車の駐車スペースを確保するため、高速道路各社はハード面での対策も進めている。
NEXCO3社(東日本、中日本、西日本)は2018〜22年度で大型車の駐車スペース計約3千台分を増設。
東北道佐野SA下り線で51台から83台に、中国道の安佐SA上り線でも18台から約3倍の55台に拡充。今年度も全国37カ所で約600台分を増やす予定という。
また3社は11月から順次、全国のSAで、大型車の駐車スペースの一部に利用時間の制限を設ける実証実験を始める。利用を最大1時間に限ることで回転率を上げ、休憩できない運転手を減らすのが狙いだ。
実験では、駐車場内の看板で「大型車短時間P」、路面標示で「短時間」と示してスペースを案内する。
→ https://digital.asahi.com/articles/ASRB45HCHRB4OXIE00G.html
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4年間で3千台分を増設とのことだ。規模がまったく不足している。ほとんど焼け石に水だろう。
費用が問題で増設できないのが原因だ。本項の提案のように、駐車料金を有償化すれば、あっという間に多大な面積を提供できるのだが。そもそも、自腹でやらなくとも、民間業者に任せてもいいのだが。
あまりにも無為無策すぎる。馬鹿丸出しだ。