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大型トラックと大型バスの正面衝突事故があった。
北海道八雲町野田生の国道5号で、乗客15人が乗った都市間高速バスと豚を運ぶトラックが衝突した。道警と消防によると、双方の運転手を含む17人が病院に運ばれ、バスとトラックの運転手、バスの乗客3人の計5人が死亡し、他の乗客12人もけがをしたという。道警は、トラックが対向車線にはみ出したとみて自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で調べている。
( → トラックが車線をはみ出したか バスと衝突、5人死亡 北海道八雲町:朝日新聞 )
バスの側としては、避けようがなかったようだ。「トラックがバスの車線(反対側車線)に逸れたのならば、バスがかわりにトラックの車線に行けば、衝突を避けられたのでは?」とも思ったのだが、そうでもないようだ。トラックは道路の真ん中へんを通っており、どっちみち、正面衝突は避けがたかったようだ。
避ける方法はただ一つ。道路から外れて、畑(緑地)のなかにバスを転落させることだ。それならば、正面衝突を避けられたので、被害は少なかっただろう。……しかし、そんなことを要求するのは、酷というものだ。(その場合も重症者は多数出るだろう。死者はゼロで済むかもしれないが。)
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さて。このような大事故を避けるための根本的な方法として、私は前に提案したことがある。
「自動ブレーキを、中古の大型トラックにも後付けで搭載する。そういう装置が難しいのならば、せめて大音量の警告音を鳴らす」
→ 後付けの自動ブレーキ: Open ブログ
このような装置があったなら、今回の正面衝突事故は避けられた可能性が高い。というのは、この事故では、大型トラックの運転手は居眠り運転をしていたと思えるからだ。
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ただ、居眠り運転の防止ならば、それに特化した装置もある。自動ブレーキのように、「正面の路上空間で衝突を予想する」という方式ではなく、「運転者の眼球をカメラで計測して、居眠りを検知する」という方式だ。この方式は、精度はあまり高くないのだが、かなり低価格で装置が販売されている。
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居眠り運転防止装置というものだ。種類はいくつかあるらしい。上の製品は、比較的高性能のものらしいが、それでも誤検知が多いらしい。が、誤検知が多めでもいいようだ。やたらとうるさく鳴るらしいが、それでも覚醒させてくれるだけ、マシであるらしい。静かで眠くさせるよりは、ずっとマシだ。(ユーザー体験記に、そういう話もある。)
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さらにこの装置を、車内を録画するドラレコと併用するとよさそうだ。この装置が警報を鳴らした時刻のドラレコをチェックして、ドライバーが本当に居眠り運転をしていたか、確認する。そして、まさしく居眠り運転をしていたと(ドラレコで)確認されたら、そのドライバーは解雇の対象となる。三回やったら、解雇だね。
そして、そういう方針をあらかじめ明示しておけば、ドライバーが自分で眠気防止の措置を取るようになるだろう。(つまり、解雇されたくないので、眠けを感じたときは、無理せずに休憩する。……これこそが、居眠り運転防止において最重要だ。)
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《 加筆 》
そこまで考えるとわかるが、今回のトラック事故の遠因となったのは、トラック運転の長時間労働だ。この問題を解決することが肝心だ。
政府は来年からトラック運転の長時間運転を禁止するという方針を出したので、いくらかは改善されるようだ。
→ トラック労働の規制: Open ブログ
しかしこの措置は、法の制定後、「5年間の猶予期間」を与えたものだ。しかも、運送業界(など)に限定しての猶予だ。特別に大甘の猶予だ。……こんな大甘の方針を取らなければ、3年前には長時間労働が禁止されていただろう。そしてそのおかげで、大型トラックによる居眠り事故はいくつも免れていたことだろう。そうしなかった政府の責任は大きい。これらの事故は政府のせいで起こった、とも言えそうだ。
※ 実は、つい先日も、居眠り運転らしいトラック事故があったので、本サイトでも論じたばかりだ。
→ 路肩で停車中に衝突: Open ブログ(2023年05月17日)
宮城県内の東北自動車道で16日夜、路肩に停車していたバスにトラックが追突する事故があり、バス後方付近の路上にいた男女3人がはねられ死亡しました。
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※ 今回の事故では、現場は(トラックから見て)左曲がりのカーブである。トラックはハンドルを右に切ったのではなく、単に直進していた。そのせいで、左曲がりのカーブに差しかかったときに、対向車線に はみ出してしまった。……これはやはり、居眠り運転ですね。
トラック運転の長時間労働が遠因だ、という話。
北海道のようなところでこの狭い道は何でしょうか。小日本人は道路や家だけでなく心まで小さくて薄っぺらいのが悲しいです。
バスが極端に縦長(幅狭)に撮影されていることからして、この動画は左右方向に圧縮されていることがわかります。
現実はもっと左右方向に広がります。道路の幅もまた同様。
→ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230619/k10014103541000.html
かわりに、本人の体調不良があったそうだ。運転困難な状況。
→ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230628/k10014111221000.html
運転困難でも休めない(代理がいない)という体制のせいらしい。
いずれにせよ、最後で述べた「居眠り運転」は妥当だったと言える。ただし、健康な人の睡眠不足が原因だったのではなく、体調不良な人が休めなかったこと(不調なのに運転したこと)が原因だったようだ。
なるほど。動画をよく見たら、ガードレールみたいなものがありますね。
しかし、もっとよく見るとわかるが、これは自動車の脱線を防ぐ頑丈なガードレールではなく、草の繁殖を抑えるだけの柵です。細いパイプが立ててあるだけ。そこにバスをぶつければ、柵は簡単になぎ倒されます。