本サイトでは「同性家族制度を導入せよ」と論じて、「同性婚そのものは認めない」という方針を取る。ではなぜ、同性婚に否定的な方針を取るか?
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本サイトでは、同性婚に否定的な方針を取る。その理由を述べよう。
そもそも、通常の法的権利では、「夫婦」であろうと「家族」であろうと、たいして差はない。たとえば、病院の入院誓約書や手術承諾書では、夫婦でも家族でも同様だ。(婚姻の有無は問わない。)
はっきりと差が出るのは、相続だ。次のように差が出る。
・ 夫婦ならば1億6000万円まで無税
・ 親子や兄弟のような家族ならば、より少ない額まで無税
前者の場合は、1億6000万円という巨額の金が無税で相続できる。
→ 1億6千万円まで無税!相続税における配偶者控除の適用要件とは?
後者の場合は、「基礎控除額 3000万円に、600万円に法定相続人の数を乗じた額」までが無税だ。妻1人と子2人の場合には、3000万+1800万で、合計 4800万円までが無税となる。
→ 親が亡くなりました。遺産を相続する場合にどのような税金がかかるのですか? : 財務省
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ではなぜ、これほどにも差があるのか? 理由はこうだ。
「夫婦で財産形成をした場合には、財産の名義が夫になっていても、実質的には夫婦で共同して財産形成をしたと見なせる。夫が働いて、妻が専業主婦で子育てをした場合、妻は何もしなかったわけではなく、夫が働けるように協力してきた。ならば、夫名義の財産は、二人の共有財産と見なせる。その半分の額は、もともと妻の分だったのである。(離婚でも財産の半額分与を要求できる。)……ならば、少なくとも半分については、その財産はもともと自分のものなのだから、自分のものを自分で取得するのに課税するのはおかしい。また、二人の共有財産だという立場で考えれば、一方の死後には、他方が全部を受け取るのが当然であり、課税するのはおかしい」
こういう理由があるから、「妻を保護する」という趣旨で、「配偶者間の相続については控除額が巨額になる」という特典が与えられたわけだ。これはまた、「妻が出産と子育てをしたことで、少子化対策をした」という貢献に対するご褒美だ、とも言える。
※ 「おまえは女性の味方をするんだね。男の敵だね」という批判には、甘んじて受け入れる。
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では、同性愛の場合には、どうか?
・ 仕事と子育てという分業(協力)を、もともとしていなかった。
・ 出産と子育てという社会貢献(少子化対策)を、もともとしていなかった。
このように、異性の夫婦間が行なっていたことを、行なっていなかった。だからこそ、同性愛者には、「異性の夫婦間で行なっていたことへのご褒美」がないのである。
どうしても同性愛者にも、相続時おけるご褒美が欲しいというのであれば、同性愛者が自分たちの子供を産む(そして育てる)必要がある。
それは、少なくとも理論的には不可能でない。iPS細胞で、精子や卵子の細胞を作れば、人工授精によって、同性愛者同士の子供を作って育てることができる。そういうことが原則的になるほど普及したならば、相続時おけるご褒美を与えてもいいだろう。
だが、現実には、そうなることはありえまい。とすれば、相続時における特権を、同性愛者に認めるというのは、まずありえないことだと言えるだろう。
そもそも、同性愛者が求めることは、「相続時に巨額の財産を相続すること」ではあるまい。「二人が真に愛しあって暮らすこと」であるはずだ。「人として・家族として、普通の権利が欲しい」というだけのことであるはずだ。なのに、「親子間の権利をはるかに上回る金銭的権利を要求する」というのは、あまりにも欲張りすぎるのである。
同性愛者が求める権利は、「同性愛であることによって差別されない権利」であって、「同性愛であることによって他者を差別する(自分だけが特権的に優遇される)」権利ではないはずだ。
そういう特権的な権利は、夫婦の場合に限っては、認められることもある。それは「名目上では夫の財産であっても、実質的には二人で形成した財産だ」という事実に依拠しているからだ。その事実がない同性愛者が、同様の特権を得ようとするのは、強欲すぎるというものだ。彼らだけが特別に優遇されるのは、法の下の平等に反するとすら言える。
※ 親が死んで子供が相続するときでさえ、普通に相続税がかかる。なのに、同性愛者の場合には、その相続税を免れて、巨額の金を無税で相続しようというのは、あまりにも不公平だ。親子や兄弟は、結婚して配偶者控除を得ることはできないのに、同性愛者の場合には、結婚して配偶者控除を得ることができる……というのは、あまりにも不公平だ。
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結論。
同性愛者に認められる権利は、同性家族制度だけでいい。
同性婚の制度は、必要ない。むしろ、有害だ。それは、同性愛者が異性愛者よりも、大きな権利を持って優遇されることを意味するからだ。
同性愛者は、差別されないような同等の権利を持てばいいのであって、異性愛者を差別するような特権的な権利を持つ必要はない。
( ※ 出産・子育て・内助の功などをしたわけでもないのに、その報奨金をもらう……というズルを認めるべきではない。しかも、 6000万円ぐらいの巨額で。 ← 1億6000万円の相続に対する相続税は 6000万円ぐらい。それが免除されるので、その分、得をする。)
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なお、蛇足で言えば、私は別に同性愛者を差別するという意図はない。「同性愛者にとって大切なのは愛しあうことだけだ」という恋愛至上主義を取るだけだ。(その結果が、「同性家族制度」だ。)
異性愛の場合には、恋愛に出産が付随するので、出産もいっしょに考える。だが、同性愛の場合には、恋愛に出産が付随しないので、出産をいっしょに考える必要がない。その差を認識しているわけだ。
「同性愛は異性愛と同等のものだから、法的に同等の権利を与えるべきだ」という論理には欠陥があることを指摘している。(生物的な出産の有無で。)
[ 付記 ]
本項には、反論があるかもしれない。
(1)
「子供がいない(異性)夫婦はどうなんだ? 子供がいないからといって、相続時の特権(配偶者控除)を否定するのか?」
→ 否定しません。現状維持です。子供のいない夫婦は、子供がいないことの不幸さで、多大な苦痛を味わっているので、さらに追い打ちをかけて、罰を加えるようなことはしません。一方、同性愛者の場合には、「子供がいないことの不幸さ」なんてものはないし、そのことで苦痛を味わうこともないので、同様の扱いにはしません。
※ 異性婚の場合には、結婚するまで子供ができるかどうかはわからない。だから、子供ができないと判明すると、不運と不幸を感じる。同性婚の場合には、同性婚をする前から子供ができないとわかっている。だから、子供ができないという事実に、同性婚のあとで(新たに)不運や不幸を感じることはない。
(2)
「共働きの(異性)夫婦はどうなんだ? 内助の功は ないぞ。だからといって、相続時の特権(配偶者控除)を否定するのか?」
→ この場合には、否定してもよさそうですね。配偶者控除で巨額の控除枠をもらえるのは、残された配偶者(妻)には資産がほとんどなくて、死んだ人(夫)には巨額の資産がある……というふうに、資産の偏りがある場合に限るべきでしょう。税制を変えた方がよさそうですね。(相続を受ける側に多額の資産がある場合には、配偶者控除の枠を減らす、ということ。)
※ 税制面で専門的に言えば、こうだ。「専業主婦を対象とした、特別な優遇策」があるが、それに「共働きの人」に乗るのは、本来の対象ではない人が優遇策に乗ることになるので、一種のズルになる。共働きの人は、現役時代には、二分二乗方式で世帯課税を低税率で済ませてきたのだから、相続時には、それを得られなかった人(高い税率だった人)のための優遇策を利用するべきではないのだ。
[ 補足 ]
「相続の優遇さえなければ、同性婚を認めるのか?」
という質問もありそうだ。それには「イエス」と答える。私は別に、同性婚をしたがる気持ちを否定しているわけではない。税制面での特権を与えることを否定しているだけだ。
同性愛者が法的な優遇なしに、二人だけで結婚式を挙げることは、ただの本人の勝手である。政府がいちいち咎めるようなことではない。
ただし、夫婦としての特権がないのならば、それは法律的には「家族」であるのと同等である。法的には「家族」と同等であるものを、あえて「同性婚」というふうに呼ぶかどうかは、名前の呼び方の問題であるにすぎない。どう呼ぼうと、私の知ったことではない。
2023年06月03日
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