2023年06月04日

◆ 大雨で新幹線が途中駅に停車

 6月2日、記録的な大雨のせいで、新幹線が途中駅に臨時停車する事態が続発した。ホテルに泊まれなくて、乗客は大迷惑。困った。

 ──

 「のぞみ」のような超特急は、「こだま」と違って、新幹線では各駅停車しないはずだ。だが今回は、いきなり「全線で運休」という方針を取ったせいで、その時刻に、近くの途中駅で強制停車するハメになった。実際、のぞみが「新富士駅」(三島と静岡の中間)で停止した例があった。
 午後2時に東京発、新大阪駅行き「のぞみ231号」。午後2時50分ごろに新富士駅付近で止まった。
 5時間近く経過した午後7時40分ごろ、「関東、東海地区の大雨の影響により全列車の運転中止を決定した。
 午後8時10分すぎ、列車は少し移動して新富士駅のホームに停車した。「駅周辺のホテルは満室で、最寄りのコンビニは徒歩10分程度かかる」とのアナウンスが流れる中、乗客の多くがいったん下車した。
 駅ホームにいた係員は「列車は回送になるかもしれない。このまま車内にいられるかどうか分からない」と述べ、別の係員は「朝までは車内にはいられない」と話した。
 駅の改札付近は、多くの人で混み合った。新横浜から大阪に向かう途中だという乗客の女性は「きちんと説明せず、ホテルも一杯。車内にいられるかどうかも分からないなんておかしいし、野宿しろということか」と怒りをあらわにしていた。
( → 「野宿しろということか」乗客怒り 運転取り止めの東海道新幹線、近くのホテルも満室 16時間後に運転再開|京都新聞

 現実には、車中泊ができたので、事なきを得たようだ。それにしても乗客は悲惨な目に遭ったようだ。

 さて。これを読んだときの私の第一印象は、こうだった。
 「大雨だとわかっているときに、わざわざ出向く方が悪い。ちゃんと予定を立てろ」

 しかし、よく考えると、乗客のせいだけではない。上の記事では、「2時に出発で、2時50分に運休。5時間待ち。さらに翌朝まで停止」である。いかにも JR の手際が悪い。もうちょっと何とかなりそうだが。
 そこで考え直すと、今回の大雨は、いきなり突発的に起こったわけではない。地震ならば突発的に起こるが、大雨ならばおおよその予想が付く。台風だって予想が付くのだから、(台風に付随した)大雨ぐらいなら、もっと予想が付く。「50分後の予想が立たずに、いきなり運休」というのは、手際が悪すぎる。わざわざ被害を最大化するのも同然だ。なるほど、
 「大雨で運休は予想が付くのだから、きちんと対策を立てろ」
 という言葉は、確かに成立するのだが、それを言うなら、素人の乗客に言うよりは、JRに言うべきだろう。金を取って運行するプロが、こんなに甘い判断をして、どうする。
 とはいえ、具体的にどう対策するべきかが、わかりにくい。何とかするべきだろうが、何をどうしたらいいのか、わかりにくい。困った。どうする?

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 (1) 気象予想については、専門の気象予想会社と契約する。運休が起こりそうな気象の時刻と地域を予想してもらう。(災害の起こりそうな時刻と地域ではなく、運休の起こりそうな時刻と地域だ。)
   ※ Yahoo 天気 の「雨雲レーダー」なら、無料で利用できる。
 (2) この (1) によって、実際に運休が起こる時刻と地域を、前もって予知できる。そこで、30分〜60分の余裕を得て、その間に運休への対策をする。以下の通り。
 (3) 運休への対策は、二つある。
  ・ 乗客への告知。「あと××分で運休になります。途中停車します」と。
  ・ 小都市駅が最寄り駅の場合には、大都市駅まで運行する。

  
 以上の二つは、次の意味がある。
 第1に、乗客への告知は、手前の駅で下車する選択肢を与える。たとえば、新富士駅の手前の三島駅または熱海駅または小田原駅で下車する選択肢を与える。(ただし、のぞみは停まらない。こだまなら、停まる。)
 第2に、大都市駅である三島駅または静岡駅まで運行する。上の記事の事例で言えば、こうする。
 「新富士駅は、小都市駅なので、駅の近くにはホテルが少ない。そのせいで、今回はホテルが満室になっており、乗客を収容することができなかった。そこで、近くの三島駅または静岡駅で途中停車することに決める。新富士駅から静岡駅までは 新幹線で 10分間の距離なので、その距離を、高速または低速で運行していく。こうして、新富士駅で途中停止することをやめて、静岡駅で停止することにする。静岡駅ならば、大都市の駅なので、駅のそばには空室のあるホテルが多くある。だから、多くの乗客を収容することができる。乗客を野宿または車中泊させることを強要しないで済む」

 ※ 三島駅と静岡駅は、のぞみの停車駅ではないが、大都市駅なので、臨時停車が可能となる。

 ──

 以上のことを簡単に言えば、こうだ。
 「どうせ途中停車するにしても、いきなり途中停車するべからず。天候の悪化は、いきなり起こるのではなく、十分に予想が付くものなのだから、事前にちゃんと対応するべきだ。少なくとも、30分〜60分の余裕をもって、事前に変更を告知しよう。また、その時間的な余裕を使って、融通を利かせよう。……こうすれば、天候異変による被害の程度を最小化できる。これが知恵というものだ」
 
 頭は帽子のためにあるんじゃない。考えるためにある。ちょっと考えるだけで、被害を最小化できるのだ。それが知恵というものだ。

 ※ 自分で勝手に不手際をやらかしたあとで、すべてを乗客の責任にして、責任をなすりつけるのは、無責任も甚だしい。プロの仕事じゃないね。



 [ 付記 ]
 このような対応が大事なのは、大雨のときだけではない。やがてくる南海トラフ沖地震などの、大地震のときも同様だ。
 大地震が起こると、いったん、全線で新幹線が臨時停車するだろう。その後、「震源は和歌山沖にあったので、東京・新大阪間では、被害は発生していないようです。確認後に運行します」というふうになるだろう。だが、それまで乗客は線路上に閉じ込められることになる。その間の手順が問題だ。
 東日本大震災のときには、おおむね順調だったようだ。
 東海道新幹線の運転再開が一番早かったようです。
 新幹線は、はじめのうちはレール点検をかねてか超のろのろ運転で、新横浜まで1時間ぐらいかかりましたが、それからはやや速度が上がり、静岡県の三島駅で座席に座ることも出来ました。列車はその後は通常の速度で運転され、京都に11時40分ごろ着きました。
( → 東京でのできごと 帰宅あれこれ

 だが、トンネルで立ち往生した例もあった。
 眠れぬ一夜を過ごしたのは、4本で合わせて2743人に乗客たちだ。二戸駅から八戸駅間のトンネル内に停車している列車に500人、福島駅から郡山駅間のトンネル内に1083人、盛岡駅から新花巻駅間に780人、七戸十和田駅から八戸駅間で380人が車内にいる。
 停電のために列車を動かすことができない。
( → 【東日本大地震】4本の新幹線に約2700人が閉じ込められたまま | レスポンス(Response.jp)

 「はじめのうちはレール点検をかねてか超のろのろ運転で、新横浜まで1時間ぐらいかかりました」というのだから、ある程度は対策のマニュアルができていたようだ。
 ならば、それを大雨のときにも適用してもよさそうなものだが、そうできていない。
 とすると、南海トラフ沖地震のときも、「いきなり全線で全面停車して、そのままずっと動けないまま」となる可能性もある。
 大雨のときにできないことは、大地震のときにもできない、となりかねない。普段からきちんと対策できるようにしておくことが大切だ。



 [ 付記 ]
 以上の話を書いたあとで、以下の話が出た。
  → 大雨の影響で名古屋駅がありえないほど混雑していたがJR東海が本気を出し山手線並みのダイヤで新幹線を運行して数時間で混雑が解消する - Togetter

 JR東海はずいぶん頑張っている。たいしたものだ。すぐ上では「普段からきちんと対策できるようにしておくことが大切だ」という結論を述べたが、JR東海はきちんとやっているようだね。ただし、JR東 や西は、知らん。別体制だしね。

 なお、今回も、次のコメントがあった。(冒頭記事[新富士駅]への感想。)
nacamula  今回のJR東海の対応はかなりイマイチだと思うぞ。そもそも「遅れるかも」とは言ってても「止まるかも」と言わなかった(JR西は止まるかもと言っていた)。乗客はそれに振り回された格好。
( → はてなブックマーク

 JR西の情報伝達はマシだったが、JR東海の情報伝達はダメだった、という評価だ。各社それぞれ。てんで、バラバラ。



 【 関連動画 】



6月2日の NTV




 【 追記 】
 文中で、次のように記した。
 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 (1) 気象予想については、専門の気象予想会社と契約する。運休が起こりそうな気象の時刻と地域を予想してもらう。(災害の起こりそうな時刻と地域ではなく、運休の起こりそうな時刻と地域だ。)
   ※ Yahoo 天気 の「雨雲レーダー」なら、無料で利用できる。

 この「雨雲レーダー」は、当日、私も見ていた。線状降水帯が発生していたということで、どのあたりの地域で、どのくらいの降水量になるか、時間的推移を「予想図」の形で情報入手していた。
 この予想は、1時間ぐらいの予想では、かなり精度が高い。1時間ぐらいならば、将来の予想ができる。とすれば、この情報を見ることで、運行停止の状態になる1時間前には、その気象を予測できるわけだ。また、2時間ぐらい前にも、おおよその情報を得ることができる。
 つまり、現状で入手できる情報だけでも、十分に対策できることになる。JR は、そうしていなかったわけで、気象情報の利用の仕方がひどすぎる、と言える。この情報化の時代に、情報をまともに利用できなかったことが、今回の混乱の根本原因だと言えよう。

 ──

 ついでだが、せめて徐行運転で、隣の大都市駅(静岡駅)まで運行するべきだった。そうすれば、「ホテルなしで車中泊」を強要されることもなかっただろうに。
 

posted by 管理人 at 13:58 | Comment(3) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2023年06月05日 08:36
これに関しては、大雨が予想されているから、昼過ぎ辺りから、新幹線も計画運休(終日)をすればよかっただけでは?(徐々に減らしながら運休。)

そのように考えると、東京〜名古屋で終日運休が決定してのも、夜の7時すぎだし判断が遅いとも言える。

Posted by たかちゃん at 2023年06月06日 12:37
 計画運休は、もっと難しいので、JR みたいなお馬鹿さんには、無理です。(気象理解の点で)

 比喩で言うと、
 現状 …… 小学生
 本項 …… 中学生
 計画運休 …… 高校生

 というぐらいの技術的難易度がある。私はせめて中学生レベルの対応を求めた。ここで、高校生レベルの対応を求めても、小学生レベルのお馬鹿さんには、実行が不可能。

 なお、雨雲レーダーは、1時間ぐらいの予測しかできない。それ以上先の予想は難しい。(できなくはないが、信頼度が下がる。)
Posted by 管理人 at 2023年06月06日 13:38
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