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トラックにも自動ブレーキを搭載したいが、搭載はあくまで今後に販売される新型車両だけだ。既存の車両には搭載しにくい。
そこで、既存の車両にも搭載できるように、後付けの自動ブレーキを開発したい。トラックは寿命が長くて、販売後 10年以上の旧型車もいっぱい走っている。このままだと、あと 10年以上は、自動ブレーキなしのトラックがいっぱい走り続けることになる。それでは危険が残る。
だから、後付けの装置が必要なのだ。
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とはいえ、必要性は高くても、技術開発は容易ではない。
特に、タイヤの走行と連動させることができないので、車両の走行情報がないのだ。このことからして、単眼カメラ方式では自動ブレーキの搭載は困難だろう。不可能と言ってもいい。
では、どうする? ステレオカメラ方式か、ミリ波レーダー方式か、ライダー方式を採用すればいい。これらの方式ならば、測距機能があるので、対象物との距離を測定できる。
逆に言えば、後付けの自動ブレーキでは、測距機能を必須とするべきだ。測距機能のない方式(画像から推測するだけのタイプの方式)は禁止するべきだ。
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さて。対象との距離を測距したあとは、どうするか? 特に、ブレーキはどうするか?
自動的にブレーキをかける機能は、実現できれば好ましいが、現実には無理っぽい。ブレーキに自動 ON の機能を搭載するには、大幅な改造が必要となるからだ。
とはいえ、単に測距しただけでは、自動ブレーキとしての意味がない。何とかしてブレーキをかける必要がある。どうすればいい?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「対象物との危険が高まったら、自動でブレーキをかけるかわりに、大音量の警告を鳴らす。警告音で代用する。運転者が居眠りしても、ビックリして目覚めるようにする。こうして大音量で、否応なしに、反射的にブレーキを踏ませる」

これで解決が付くだろう。
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※ 前々項の「路肩で停車中に衝突」という事故の例では、追突したトラックに自動ブレーキが搭載されていれば、事故を回避できたはずだ。(前々項で述べた通り。)
【 追記 】
ブレーキをかけなくても、フューエルカットするだけで、エンジンブレーキによって、大幅な減速が可能となるようだ。
→ https://okwave.jp/qa/q4379283.html
大音量だけでなく、この方式も併用すると、大きな効果が得られそうだ。
※ フューエルカットするには、メーカーがプログラムの書き換えをする必要がある。いくらか面倒だが、ハードの変更は必要ないので、機械的な自動ブレーキ機構を搭載するよりは、ずっと容易だろう。
https://www.acr-ltd.jp/product/automatic_brake/
上のメーカーサイトには価格が載ってないみたいですが、別のブログ?に、取り付け工賃込みで 17万6,000円(税込)という情報がありました。まあ、自家用の乗用車には少し高いかもしれませんが、業務用のバス・トラックなら大した費用ではないといえるでしょう。
https://minkara.carview.co.jp/userid/201520/blog/45843934/
上記で紹介された方式は、電動アクチュエーターでブレーキペダルそのものを動かすという、非常に野暮ったいものです。装置が邪魔なので、売れないでしょう。この装置のせいで変な事故が起こりかねないし。
同様の機構をエンジンルーム内に収納できればいいのだが、そこまでやるとコストがかかりすぎるので、まずは無理。技術的に開発も大変だ。個別の車種ごとにやる必要があるので、汎用にもならない。
やはり、大音量の警告音というのが、現実的です。コストも大幅に安くなるし。
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後付けの自動ブレーキ装置というアイデアは、誰でも思いつくので、アイデアに所有権はなさそうです。
後付けの誤発進抑制装置は、トヨタが出したとき、「へえ」と思ったが、調べたら 2019年だったんですね。
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1187171.html
プリウスでさんざん話題になったから、設定したのでしょう。
他社は? もともとプリウスみたいに誤発進だらけではなかったから、やらなかったのでしょう。プリウスは設計ミスも同然だった。
フューエルカットの話。
⇒ 大型車(とくに大型トラック)は、フューエルカットをしても、エンジンブレーキは殆ど効かないように思います。それで十分エンジンブレーキが効くようなら、排気ブレーキは最初から不要だということになってしまいます。
これに対して、「普通のエンブレではなくて、フューエルカットで起こるエンブレのことをいってるんだよ。」と反論されそうなので、先に補足しますと、大型車でも普通車でも、フューエルカットは普通の運転中にしょっちゅう自動で行われます。走行中にアクセルを全閉にすると、だいたいフューエルカットになります(アイドリング時よりも燃料の消費が大きく抑えられる)。
それと、やっぱり、「大音量の警告を鳴らす」という方式では、今回のような事故はほとんど防げないと思います。直前のコメントで skyblue さんが書かれているように、「(一般的な)自動ブレーキは、最初に音や警告灯で知らせる」⇒まずは運転者自身にブレーキを使わせて減速させる設計思想≠ナはあるのですが、これは、最終的には自動ブレーキを作動させる仕組みがあるから、それでもいいのです。
最後の自動ブレーキの一発がなかったら、完全な居眠り運転の場合には、ドライバーが目を覚まして現状把握するまでには数秒かかりますから、その間にぶつかってます。また、急病で意識を失った場合には、筆者がいわれるような方式では全く効果がありません。
それでも、「野暮ったい、この装置のせいで変な事故が起こりかねないし」ということなら、ブレーキ制御ではなくて、ステアリング制御になるでしょう。自動ブレーキシステムとよくセットで付いている、レーン・キーピング・アシスト(LKA)や、レーン・デパーチャー・アラート(LDA)の一部では、ステアリングを緩やかに制御して車線逸脱を防止します。この方式なら、もし誤作動が起こっても、運転者がきちんと覚醒してハンドルをしっかり握っている状態であれば、事故につながるようなことは考えにくいでしょう。
やはり、たとえ「野暮ったくても装置が邪魔」でも、最低限、この程度のものは必要になると思います。
どうしても必要だから義務づける、というのであれば、別に、反対はしませんよ。私は、そんな合意は得られそうにないと思うけれど、それで合意ができるのなら、それでいい。
ただ、それで合意ができない場合には、大音量の警告だけでも義務づけるべきだ、というのが本項です。
今回は、前方不注意が原因だという見方が強いようなので、そういう事故を防げます。この手の事故は、たいていが前方不注意です。たいていが、大音量で防げます。
参考:
→ 「基本的にはトラックがよく前を見ていなかったことが原因」
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/493032?display=1
> ドライバーが目を覚まして現状把握するまでには数秒かかりますから、その間にぶつかってます。
時速 100km で 100メートル先の障害物を検知すると、そこに達するまでに、3.6秒の時間があります。3.6秒前に大音量を鳴らして、2秒前に急ブレーキをかければ、約 60メートル手前なので、衝突は回避できます。
仮に回避できなくても、大幅に速度は減速しているので、時速 10km ぐらいで衝突するだけです。大惨事にはなりません。
※ なお、居眠り運転というのは、熟睡中ではなく、半覚醒状態です。通常、1秒以内に覚醒します。
例えば、大型車の運転手は、高速道路では通常あまりフットブレーキを使わないのですが、大音量で起こされた時だけ、すぐに急ブレーキを踏むでしょうか。せいぜいアクセルから足を離すだけで、十分な減速は期待できない気がします。それか、とっさに右にハンドルを切ることはするかもしれませんが、その右の車線に別の車がいたら、そこで衝突事故が起こります。
そもそも、「大音量の警告を鳴らすだけ」の機能で、「回避行動はドライバーにまかせる」ことにするなら、停車車両があるなどの具体的な危険が差し迫ってからでは遅いのであって、ドライバーの居眠りなどの異常を検知したら、すぐに鳴らすべきでしょう。そうなると、必要なデバイスは、本項で書かれている「測距装置(ステレオカメラ、ミリ波レーダー、LiDAR)」ではなくて、ドライバーの顔(まぶたは閉じていないか、瞳孔は検出できるか)や頭の角度(ちゃんと前方を見ているか)などを認識できる室内カメラでしょう。もちろん、クルマと直接連動する必要もないでしょう。そして、こういった装置は、すでにたくさん世の中に出ているようですね。
例えば、以下のようなものです。
https://www.yupiteru.co.jp/products/biz_okite/
http://inemuriunten.com/
すべての事故を確実に防止することは目的となっておらず、7割ぐらいの事故を防止すればいい、というぐらいの目的です。大半の事故を安価に防止できる方法を取るべし、ということ。すべての事故を高価に防止する方法は、対象外です。それはオプション。やりたい人はやればいい。義務化・標準化とは別だ。
現状はゼロなのだから、いきなり高い水準をクリアするよりは、まずは安易な水準からクリアしたい、ということ。
> ドライバーの居眠りなどの異常
他に、脇見運転など、単なる不注意も多いです。私も同乗者が脇見運転していて、事故った例に遭遇しました。
ヒューマン・エラーや不注意による事故は、非常に多いものです。いわゆる前方不注意。これをなくすだけで、衝突事故の大半は防げる。居眠り運転は、そのうちの一部だけであるにすぎない。これだけを防止しても、他の多く(前方不注意)は防止できない。
事故原因の7割ぐらいは、安全意識の欠如が理由である、というデータがあります。
→ https://www.ms-ins.com/special/rm_car/accident-data/
しかし、筆者のように安全意識の高いベテランのドライバーだと、運転中にいろいろなところに注意を払っているので、基本は前を視ながらも目線があちこちに動くということが、一般的に言われています。そのこと(安全のための認知行動)と、わき見・注意散漫での前方不注意とを、画像ソフトやAIがどうきちんと見分けられるか、ですね。
しかし、脇見運転をしただけで大音量を鳴らすと、頻度が高すぎて、かえって事故が起こりかねない。そもそも大音量の必要もない。小さな警報ぐらいが関の山だ。それで足りる。
ステレオカメラ方式が必要なのは、まさしく大惨事が起こるのを避ける、特別な緊急時だ。話はまったく異なる。
バスの運転手が脇見運転をしていたら、衝突事故を起こした。その対策として、会社はバスの速度を 40km/h に制限した。そのせいで、乗客は通勤時間(乗車時間)が長くなって困るし、従業員は労働時間(乗車時間)が長くなって困る。みんなが困ってしまった。しかし会社は「これで事故が 17%も減ったので正しい」と言い張って、改める気はない。
→ https://digital.asahi.com/articles/ASR526JMNR49TIPE004.html
本項の警報方式の装置があれば、誰もが幸せになれるのに。脇見運転による事故が多発する、ということを、人々は軽視しすぎている。
対象とする車種は段階的に拡大されています。
該当する車両を購入する際に、購入補助金や自動車関連税の優遇が制度化されています。
・国土交通省:先進安元技術に関する現行制度(2017/1/25) 2P〜
https://www.mlit.go.jp/common/001169944.pdf
中型で、継続生産車だと、2021年から。まだ2年ぐらいしかたっていないので、大部分の車は対象外のようですね。