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朝日新聞が報じている。
DNAはたんぱく質に巻きつき「ヌクレオソーム」という構造をとる。さらにそれらが折りたたまれている。遺伝情報が読み出される領域では、この折りたたみがゆるく伸び、読み取りに必要な分子がくっつきやすくなっていると考えられてきた。しかし、……
伸びているはずの領域でも、ヌクレオソームどうしはくっついて、不規則に凝縮した塊になっているとわかった。
ところが、細かく見ていくと、塊の中では、ヌクレオソームが動き、液体のようにゆらいでいると突き止めた。
画像出典:国立遺伝学研究所
( → (ぶらっとラボ)DNAはゆらぐ「塊」:朝日新聞 )
折り畳まれた状態では、遺伝子が奥に閉じ込められた状態なので、遺伝子が発現しない。それではまずい。そこで、遺伝子が発現するときには、遺伝子は折り畳まれていないはずだ。……ここまでは論理的に必然だ。
そのあと、「折り畳まれていないのならば、ほぐれている(伸びている)はずだ」と推測された。しかし現実には、そうではなかった。これまでは観察されなかったが、特殊な顕微鏡で見ると、観察できた。すると、発現中の遺伝子は、ほどけているのではなく、ゆるんでいる(ほぐれている)だけだけだとわかった。
帯で言えば、きつく巻き付けられて締まっているのが標準状態だ。しかしその状態では、エッチすることができない。そこで、帯をほどく必要がある。ただ、「帯をほどくのなら、帯を戻して、一本のまっすぐな状態にする必要がある」と思われたのだが、いちいちそんな面倒なことをしなくてもいいのだ。帯を緩めて、帯をゆるゆるの状態にするだけでいいのだ。それだけでも、ことをするには足りるからだ。
らせん状に規則的に束ねられた線維状の構造をとるという従来の説を覆し、不規則に折りたたまれていると2008年に提唱し、以来、論文発表を重ねてきた。「最近、大学生の教科書として使われている細胞生物学の本でも、私たちの論文が引用されるなど、この説が広がってきた」
とあるので、これは目新しい説ではないようだ。専門家には既知であるようだ。
ただ、標準としての位置を獲得する(教科書で記述される)までには至っていないようだ。主流でなく傍流の扱いであるようだ。どうしてでしょうね。
【 関連サイト 】
研究者本人の解説ページ
→ RESEARCH 不規則な収納が生む自由 | JT生命誌研究館
→ 遺伝子が転写されるときのヌクレオソームの”動き”を捉えた! | academist Journal
※ これ以外には、他人による情報は、あまり大きなものは見つからない。
※ ちなみに、Wikipedia には「前島一博」の項目がない。「 Kazuhiro Maeshima 」で、ネット上の英語情報はいくらか見つかるが、ごく限定的だ。あまり有力な情報はない。
※ どうも、公式に広く認められるに至っていないようだ。「 DNA 発現 ほぐれる」で検索すると、かなり多くの項目が見つかるので、「 DNA がほどけて発現する」というふうに思っている人が、いまだに多数であるようだ。