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朝日新聞の記事では、テロには防護が困難だ、と論じている。
選挙に伴う警護には独特の難しさが残る。陣営側は聴衆との触れ合いを大事にする。通常の警護警備では身元がはっきりした人やセキュリティーチェックを通った人だけ会場に入れる方法も採られるが、選挙では不特定多数の人と要人を完全に分離するのは困難だ。警察幹部は「陣営側の考えと安全をどう両立させるか悩ましい」と明かす。
県警と緊密にやりとりを行ったという陣営幹部は、「これ以上の事前の対策は難しい。これで非難を受けるならば、選挙の街頭で大物政治家と有権者が直接やりとりできなくなってしまう」と語る。
今回の事件の直後、警察庁は都道府県警に警護の強化を指示した。演説会場などでの不審者への積極的な職務質問や所持品検査、不審物の検索、警察官の配置の増強が内容という。
( → (時時刻刻)選挙中の襲撃、また 市民と触れ合い、警護難題 首相演説直前に爆発:朝日新聞 )
テロが起こったのに、現状以上の対策はできないようだ。
事件後に、「演説会場などでの不審者への積極的な職務質問や所持品検査、不審物の検索、警察官の配置の増強」という対策を指示したそうだが、こんな方針では再発を防げまい。
今回は、首相のそばに爆発物が投げ込まれた。
そばに立つ尾花正啓・和歌山市長(69)は、この港の美しさを首相に説明するためイタリアの地名を口にしようとした。
「アマル……」
その瞬間、聴衆の中から灰色にも銀色にも見える筒のような物が飛んできて、首相のそばに転がった。
現場にいた人が撮影した動画には、ふわりと放物線を描くように飛んできた筒が首相の背後で音を立てて転がり、女性とみられる悲鳴が響く中、SPに守られるようにして慌ただしく現場から離れる首相の様子が映っている。
発煙筒よりも少し大きく見えるその筒からは、煙が出ていた。
筒はしばらく煙を出した後、突然オレンジ色の閃光(せんこう)を発した。
「ドン!」
爆発音があたりに響く。
白い煙が立ち上る。
「危ない!」「逃げろ!」。怒声が飛び交う中、聴衆は一斉に逃げ出した。
( → 首相の背後に爆発物 聴衆の中から投げ込み 漁師ら、男を取り押さえ:朝日新聞 )
今回は爆弾が落ちてから、爆発するまでに、50秒ほどの時間があった。
→ 投げ込まれた爆発物、岸田首相のすぐ横に落下して50秒後に爆発…24歳容疑者は黙秘 : 読売新聞
だが、手榴弾ならば、うまくタイミングを見計らえば、落ちた1秒後に爆発させることも可能だ。
今度、誰かがそういうふうにして手榴弾を投げたら、首相は殺傷されるだろう。こうなると、お手上げだ。もはや首相がテロで死ぬのを見過ごす(見殺しにする)しかない。
困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。といっても、ごく簡単な方法だ。
「群衆を、手投げ弾の届く距離まで近づけなければいい。常に距離から距離を保てばいい。人払いすればいい」
つまり、爆発してから人払いするのでなく、爆発する前に人払いするわけだ。規制のロープや人員配置で、一定の距離を保つようにすればいい。具体的には、30メートルぐらいの距離だ。
「 30メートルだと、手榴弾は届くぞ」
という意見もありそうだ。なるほど、強肩の男性テロリストならば、それが可能だろう。
そこで、そのためには、こうしよう。
「首相のまわりに SP を配置する。防護用のアタッシェケースを常に用意しておいて、何かが飛んできたら、すぐにアタッシェケースで撥ね返す。あるいは、アタッシェケースで爆発を防護する。あるいは、自分が身を挺して、自分の体で爆発を受け止める。つまり、自分が犠牲になって、背後にいる首相の身を守る」
このくらいの覚悟がほしいところだ。
現実には、そういう訓練をしていないようだ。SP の訓練では、「相手が素手であるので、肉体で弾圧する」ということを原則としているようだ。
相手が素手であることを前提とした警護だから、銃を持っている相手から守れずに、安倍・元首相を死なせるに至った。また、爆発物を投げ込んだ相手から守れずに、岸田首相を爆発の危険にさらした。
つまり、今の SP は、あまりにも生ぬるい。必要不可欠な対策を取っていない。
では、必要不可欠な対策とは? こうだ。
「外部のプロ民間事業者(軍事経験者)に、テロのシミュレーションをしてもらう。そのことで、警護の穴を見つけ出してもらう」
これならば、「テロが成功して首相が暗殺された」ということは、喜ぶべきことになる。(あくまでシミュレーションまたは試験にすぎないからだ。爆発物などは模擬弾にすぎない。)
※ 今回の犯人も、模擬試験をやってくれたと思えば、かえってありがたい。できれば、安倍・元首相が死ぬ前にやってほしかった。
本日(4/16)のTBS「サンデーモーニング」で、コメンテーターを務める同局の松原耕二氏のコメント
「(ニューヨーク支局長時代の選挙取材の経験では)少なくとも幹部が行くときにはあんなふうに近づけないです。もっと警備は厳しい。だから日本もこういうことが続くとある程度は選挙戦とはいえ、もうちょっと距離を取るとか、例えば外でも手荷物検査をするとか、何らかの方法は考えざるをえない時代に来ているんじゃないかなという気はしています。」
https://news.yahoo.co.jp/articles/869d13175a1eaf3813c7b523a41a7bc5dcb7f9ed