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トイレのピクトグラム(図案)の失敗例が話題になった。
歌舞伎町タワーのジェンダーレストイレがオープン初日にしてデザインの敗北を迎えていました。 pic.twitter.com/Wm3NbaS2Lx
— 精神世界犬脳宣言 (@RTmc417) April 14, 2023
このピクトグラムを見ても、何のことだか、意味がわからない。
そこで、すぐ下に解説の紙が掲示されて、「こちらが男性用トイレ」などと文字で説明している。
格好良くピクトグラムで説明しようとしたら、意味不明になったので文字で解説せざるを得なくなった。これでは何のためにピクトグラムを作ったのか、わけがわからない。そこで、「デザインの敗北」というふうに評者は論じたわけだ。
この件は、ネットでも話題を呼んだ。
→ これも『デザインの敗北』- Togetter
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さて。ネットでは批判が話題になったが、これでは解決が付かない。かわりに、もっといいアイデア(代案)はないか?
そう思って考えていると、前に見た案が思い出された。
オシャレなお店なのですが、
— 江夏 亜希子 (@akikoent) May 1, 2022
トイレの表示が。
こ、これは、私のココロが汚れて・・・る? pic.twitter.com/WJ4LOxmo8P
左は女性器を、右は男性器を、暗示している。これを見て、「露骨すぎだろ」「まんまじゃん」という感想を出す人もいる。「けしからん」と非難する人も出そうだ。
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だが、よく考えると、このような露骨な表現になることは仕方ない。
そもそも、もともと、男女のトイレのピクトグラムはあった。

ところがこれが、「女はスカート、男はズボン」という衣服に依拠していることから、「ジェンダーを固定するのはけしからん」という批判ゆえに、使われにくくなった。(学校の制服で男女差を固定せずに、どちらを選んでもいいようにする世相と同様だ。)
しかしながら、(服装の性差という)ジェンダーの差を消してしまおうとするれば、残るのは生物学的な性差だけとなる。とすれば、あとは自動的に性器の差で表現するしかなくなるのだ。
ゆえに、「性器を(露骨に)表現する図案」になることは、論理的な必然となる。「エッチな図案はダメだ」と言っても、仕方ないのだ。
とはいえ、それでは保守的な人々の批判を免れまい。
あちらが立てば、こちらが立たず。困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
第1は、従来のピクトグラム(上記)をそのまま使うことだ。「ジェンダーの固定はけしからん」というような批判は無視する。
第2は、生物学の記号を使うことだ。次の二つだ。
♂ ♀
第3は、私の考えた新たなピクトグラムを使うことだ。下記。

下手な手書きの絵で、申し訳ない。実際には、なめらかなプロっぽい図案になる予定だ。ともあれ、この図は次のことを意味する。
・ 左の図は、Woman の W を図案化したもの。
・ 右の図は、Man の M を図案化したもの。
ただし、それぞれは、ある特定の肉体部分(器官)を暗示しているかもしれない。そう思うのは、各人の勝手である。(各人がどう思うのかは、各人の気持ちしだいだ。)
なお、この図案は文字に基づいていて、かなり抽象化されている。その意味で、先のピクトグラムほど、露骨ではない。
[ 付記 ]
余談だが、少なくともトイレについては、ジェンダー差の解消を唱えるのはナンセンスだ。どうしてもジェンダー差の解消を唱えたいのであれば、男女共用のトイレにするべきだろう。それこそ現実的なレベルでの「ジェンダー差の解消」となる。できれば、トイレだけでなく、風呂も男女混浴にするべきだ。混浴温泉のように。
なのに、そうしないで、図だけで「性差解消」を唱えるのが、一種の自己矛盾だと言える。
そして、そこに気づけば、ジェンダー差を有した従来のピクトグラムには何に問題もないとわかる。(これを維持するのが最善だろう。すでに周知されているからだ。)

例えば、オリンピック競技のピクトグラムが必要なのは(それが有用だとして採用されるのは)、それぞれの競技会場の入り口にも、案内版にも、パンフレットにも、全体マップにも、その他の書類や絵図にも、共通のデザインのものを表示したほうが分かりやすいからで、それには簡略化されたもの(ピクトグラム)のほうがつごうがよいからでしょう。
いっぽうで、今回のジェンダーレストイレの場合は、これらの(議論されている部分の)デザインはたぶん入り口にしか表示されないのですから、ピクトグラムよりももっと実物に近い、(男性や女性の)顔または全体像のイラストを表示すればよかったのではないでしょうか。トイレの入り口にまでたどり着いた人は利用したくてそこに来たのですから、それらを見て、「この男性のイラスト、女性のイラストは何を意味するのか? この場所はなんなのか?」とは思わないでしょう。それで、利用者はイラストを見て、自分はどちらの(またはどの)コンパートメントを利用すればいいか、それぞれで判断してもらえばいいことです。
本来のピクトグラムが必要なのは、そのトイレが存在する建物(歌舞伎町タワー)のフロア平面図とか、途中の通路に設置する方角表示板などで、ここには、男性とか女性のイラスト・ピクトグラムではなく、現在このトイレの入り口部分に採用されているような、小便器を使用する人物、大便器を使用する人物のピクトグラム(つまり、トイレを表す機能だけを持たせたデザインのもの)を表示すればいいでしょう。
ただ、平面図や案内板にピクトグラムを表示するにおいて、従来コンセプトのトイレと、今回のようなジェンダーレストイレを描き分ける必要がある場合、それぞれどのようなピクトグラムにするかは、また別の工夫が必要かもしれません。